INTERVIEW

吉本実憂

「自分を出すことに抵抗がなくなった」意識の変化


記者:村上順一

写真:冨田味我

掲載:22年12月23日

読了時間:約8分

 女優の吉本実憂が、ABEMAで放送中のシリーズ10作目となる『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』(以下『ドラ恋』)に出演。吉本実憂は、全日本国民的美少女コンテスト・グランプリを受賞し芸能界デビュー後、映画『瞽女 GOZE』で第30回日本映画批評 家大賞・新人女優賞を受賞 するなど、注目を集めている。『ドラ恋』は、リアルな舞台裏を覗くことが出来ると話題を呼び、20代・30代の女性視聴者から人気を集め、これまでに1500万人以上が見届けた「ABEMA」のロングラン恋愛番組。夢を掴むために多種多様な人が集まるニューヨークで、女優と俳優がドラマの主役を懸けて本気で演技と向き合う様子、そしてそんな中で、ふと素を見せたときに織りなしていく人間ドラマとなっている。シリーズ史上初の海外編となった本作は、小野翔平、小島梨里杏、高橋大翔(高ははしごだか)、立石晴香、トミコ・クレア、福山翔大、柾木玲弥、吉本実憂の8人が主役を懸けて切磋琢磨する。インタビューでは、『ドラ恋』シリーズのファンだという吉本に、同作に出演したことで感じたことから、芝居に対する意識の変化など話を聞いた。(取材=村上順一/撮影=冨田味我)

人生が変わるきっかけになった『ドラ恋』

冨田味我

吉本実憂

――アメリカから日本に戻ってこられましたが、まだニューヨークの余韻はありますよね?

 9月に3週間ほど撮影して日本に戻ってきたのですが、私、ニューヨークと相性が良すぎて帰りたくなかったんです。

――どんなところが特に気にいりました?

 ニューヨークはすごい都会だと思っていたのですが、意外とビルとビルの距離があるので空がよく見えるんです。私は自然が大好きなのですごく心地良かったです。あと、ニューヨークに住んでいる人は基本干渉はしてはこないのですが、私たちが困っていると助けてくれたり、そのバランスがすごくいいなと思いました。それで、帰りの空港でみんなに「本当に帰るの?」と言ってしまうくらいニューヨークが好きになってしまいました。日本に戻って来てからも2週間くらい逆ホームシックになるくらい。

――今はホームシック、大丈夫ですか?

 一度落ち着いたのですが、11月から『ドラ恋』の放送が始まってそれを観ていたら、ニューヨークにいた時の感覚が戻って来てしまいました(笑)。

――(笑)。今回出演が決まった時はどんな心境でした?

 私はシーズン1から全部観ている『ドラ恋』シリーズのファンなんです。『ドラ恋』はオーディションの様子を見るのがすごく好きで、そこに焦点を当てていつも放送を観ていたのですが、恋愛の面も多く出ていることは知っていたので、その部分をどうしようという思いがありました。でも、ニューヨークでお芝居の勉強ができると聞いて、出演させていただきたいと思いました。

――実際に出演されてみていかがでしたか。

 私にとってターニングポイント、人生が変わるきっかけになったと思います。

――芝居といえば、ドラマの中でリー・ストラスバーグという名門演劇学校に通うシーンもありましたが、すごく良い経験になったみたいですね。

  実は私、渡米する前はあまり体調が良くなかったんです。それもあってニューヨークでの撮影がすごく心配でした。着いてからも時差ボケも重なってしまい体調は万全ではなくて…。でも、リー・ストラスバーグに訪れてからすごく元気になって(笑)。メソッドの勉強は日本でもやったことはあったのですが、ティム先生の言葉が本当に心に響きました。ロバート・デニーロさんやマリリン・モンローさん、そして私が大好きなロバート・ダウニー・Jr.さんなど、憧れの方々があのスクールで学ばれていたので、緊張もしたのですが、レッスンを受けられて光栄でした。

――パワースポットだったんですね。『ドラ恋』を拝見して思ったのですが、吉本さんの主演を勝ち取りたいという熱量、執念がすごいなと思いました。

 それは私も放送を観て思いました。私、こんな顔をしてたんだって(笑)。誰かが主演を勝ち取った時も素直には喜べてはいなくて…。他のみんなが笑顔で祝福しているところを見て、すごいなと尊敬しました。私はどうしても悔しさの方が勝ってしまうので、なかなかそういう風にはなれなかったんです。

――『ドラ恋』を観ていて、吉本さんは一つひとつ物事を確認しながら進めていくタイプだなとも思いました。

 私は頑固な性格で、何事も自分で選択しないと嫌なタイプなんです。例えば誰かに相談をしたとしても、その時にはもう自分の中でどうしたいかは決まっているんですよね。そうじゃなければ私は言葉に発することはないので。演技のペアを決める時も全て自分の中でどうしたいかは決めた上で臨んでいました。

――どんな発見が撮影の中でありましたか。

 みんな自由に動いているんですけど、奇跡が起きる瞬間があるんです。それを実際に体感してみて、「ここまでできるんだ」という発見がありました。

――リスナーの皆さんが、吉本さんの演技にすごく注目しているのもSNSからも伝わってきました。

 本当に嬉しいです。みんな私と同じように喜んだり悔しがったりしてくれているんですよ。注目して放送を見てくれているのが伝わって来て、本当にありがたいです。

ありのままの自分を出すことに抵抗がなくなった

冨田味我

吉本実憂

――この作品に出演して変化もあったと思うのですが、ここ数年での目指す役者像の変化はいかがですか。

 大きな変化があったと感じています。今まで自分の表現だったり、発する言葉に対してちょっと自信がないところがありました。『ドラ恋』に出演させていただいて、みんなと戦いながらも自分とも戦ったことによって、ありのままの自分を出すことへの抵抗がなくなりました。何をしても「私、今の大丈夫だったかな」とか、すぐ不安になってしまうのですが、ありのままでいいんだ、とここまでの放送を観て再確認しましたし、自然体がなにより一番だと感じています。

 そして、オーディションでみんなと戦っていく中で、自分の本気さと言いますか、お芝居やものづくりが好きだという気持ちが自分の想像を超えていたと思いました。その気持ちがあれば、ここから先どんなオーディションを受ける時も自分自身に負けないと思いますし、これから出会う作品では、さらに本気度は上がっているんじゃないかなと思います。

――素晴らしい経験をされてきましたが、吉本さんの2022年を総括するとどんな1年でしたか。

 昨年から事務所が変わって、色んなお仕事をさせていただいた1年でした。今年の初めは舞台『告白』で4人芝居をやったり、人生で初めて金髪にしたり、Huluオリジナル『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(Season2)で1年半くらい習っていたアクションを作品で表現することができたり、『ドラ恋』に出演できたことも大きかった1年でした。

――環境の変化もありましたが、どんなことを2022年に学びましたか。

 お芝居というのは、ウソをつくものではないなと再確認することができました。お芝居は、いい意味でウソをつく仕事だと言われることもあるんですけど、私はそうじゃないのでは? とずっと思っていました。坂口拓さんが私のアクション面での師匠なのですが、戦う心を学びながら強くなっていく、ということを教えてくださる方なんです。その姿勢がすごく好きでアクションを習いに行ったという経緯がありました。そこで本物を作る作業を経て、今回の『ドラ恋』で、素の感情を膨らませたり、違う感情に置き換えたりしながら、演じていたのですが、そこで結果が出るとやっぱり本物って大事なんだなと思いました。これからも本物を追求するために、日常の中でも五感を大切にして過ごしていきたいなと思います。

――そんな吉本さんが五感の中で一番強い感覚は?

 視覚かなと思います。というのも、例えばお名前とか耳で聞いたことはなかなか覚えられないんですけど、私の場合、名刺などで目で見たものの方が覚えられるんです。 

――吉本さん、今も目力がすごいなと感じています。

 (笑)。『ドラ恋』を観た知人から連絡が来たんですけど、「実憂は人と話している時、真っ直ぐ相手の目を見てるよね」と言われましたし、自分でも確かにそうだなと思いました(笑)。人の目を見て何かを感じることが好きなんです。

――最後に『ドラ恋』を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

 イチ『ドラ恋』ファンとしての発言になってしまうのですが、今まで以上にお芝居にフォーカスしているシーズンだなと感じています。みんなの緊張感も伝わってきていますし、共演者のみんなはお芝居と長年向き合っている方達が多いので、その先に何があるのか、というのを楽しみに観てもらえたら嬉しいです。それは『ドラ恋』の根本にあるものですが、今回のシーズンはそれがより濃く出ているんじゃないかなと思っています。

 そして、すごく変な顔してたり、自分が思っていたよりも私って意外と表情が豊かなんだなと思いました。笑っている顔とか客観的に見て、思っていたより自分が明るい人間で安心しました(笑)。この『ドラ恋』で私のイメージが変わったら嬉しいですし、『ドラ恋』を観て、私も明日から頑張ろうと活力になってもらえたら嬉しいです。

(おわり)

冨田味我

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