INTERVIEW

加藤小夏

辛いこともポジティブに。3年の変化。
『取り立て屋ハニーズ』でアクションも


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年03月25日

読了時間:約7分

 女優・加藤小夏(21)が、26日スタートのドラマ『取り立て屋ハニーズ』で連続ドラマ初主演を飾る。金と欲望渦巻く東京を舞台に、「闇金」という裏社会に生きる“美人三姉妹”が、悪質債務者から華麗に借金を回収する物語。高橋ユウと掛橋沙耶香(乃木坂46)との三姉妹の次女を演じる加藤は本作で心境地を見せる。デビュー当時、透明感のある美しさで「宣材美女」とも言われた彼女は「等身大」のまましっかりと前を見つめている。

順風満帆な3年

 デビュー間もない18歳の頃にインタビューした。当時はドラマデビュー前夜。高校卒業直前だった。3年経った彼女はその頃と比べて落ち着きがあり考え方もしっかりしている大人になっていた。ただ、変わっていないところもある。人懐っこさとピュアさだ。良い意味で擦れていない。

 「もう、そんな時間が立つんですね。当時18歳!その時もありましたね。その時と比べると取材もだいぶ慣れました(笑)」

 3年といえば、学校でいうところの就業年期にあたる。成長は早い。この間に加藤は、ドラマ『I"s』(スカパー!)、ドラマ『父と息子の地下アイドル』(WOWOW)、ドラマ『年下彼氏』、映画『踊ってミタ』など話題作への出演を重ねた。

 特にドラマデビュー作となった『I"s』ではヒロイン・麻生藍子を、当時の初々しさと純朴さで見事に演じ、高い評価を得た。

 「今も作品(I”s)を見たよと声をかけて下さることがあります。嬉しいですね」

 出演した作品を並べればこの3年の歩みは順風満帆。女優としてのキャリアを着実に積み重ねているように見える。しかし、表には見せていない転機があった。

加藤小夏

転機、考えを改めるきっかけに

 19歳から20歳にかけて心の変化があった。

 この歳の頃に眠れない日が多くなった。「いまは爆睡していますよ(笑)でも当時は、疲れているけど朝になっても目が覚めていて…」。3年前のインタビューでは「悩みごとは寝て忘れる」と言っていただけに、どんなに大変だったのかは察しがつく。

 そこで「自分を見つめ直そう」と思った。まずはとりかかったのは「身近にあるものから変えていこう」。見直したのは食生活と洋服。食材を気にするようになり自炊も始めた。気分転換の意味も含めて洋服選びも変えた。それによって気持ちに余裕が生まれ少しずつ改善されていった。

 一方、調べていく過程で気づいたことがあった。それは世界的飢餓が懸念されているなかでの食品ロスと、環境に配慮したサスティナブルファッションだ。

 「色々と調べていくなかで食品が多く廃棄されていることを知って、日本は600万トンも無駄になっているんですよ。自分だけが良くても周りも良くないと意味がないと思って。それは洋服もそうです。環境や周りを考えたものを取り入れていかないといけないと思いました」

 ファッションは最近、環境に配慮したサステナブルがトレンドになっている。加藤は、このことをきっかけに、環境に配慮し自分らしさが表現できるアパレルブランドを持ちたいと考えるようになった。それが3月5日に立ち上がった「ForWe」というプロジェクトだ。流行りにとらわれない美しさと、環境に配慮するブランドだ。

 「もともと私は流行りものに載るタイプではありませんでしたが、より自分らしい、自分に合う流行り廃りに左右されないファッションを自分でも発表したいと思いました」

 自分を見つめ直したことが、新たな可能性を広げた。

 そんな彼女にとっての「自分らしさ」とは何か。

 「辛いこともポジティブに変えられること、それが私らしいところだと思います。もともとネガティブだったんですよ。でも自分自身を見つめ直したことで変わりました」

 作品には映らない、心情の部分での変化。それを経て迎えるのが本作『取り立て屋ハニーズ』。これまで清純派のイメージがあった彼女とは異なる正反対の役どころだが、先の“変化”と重なるところがある。

加藤小夏

新たな一面と重なる点

 『取り立て屋ハニーズ』は、「闇金」という裏社会に生きる“美人三姉妹”が、悪質債務者から華麗に借金を回収する物語。長女・レイカを高橋ユウ、三女・リリカを掛橋沙耶香(乃木坂46)が演じ、加藤はその三姉妹の次女・シズカ役を務める。三姉妹は母を亡くしている。

 「監督には、ムードメーカーで、と言われてハッとしました。母を亡くしているのに元気があるんだと」

 当初はそう思っていたが演じていくうちに変わっていった。母を亡くした悲しみから立ち直りたい、ネガティブをポジティブに変えようとする意志の表れかもしれない、と。ネガティブをポジティブに、それは19歳の頃の加藤の変化に重なるところがある。出会うべくして出会った役柄ともいえそうだ。

 そんなシズカは、昼は、俳優の深瀬真(演・佐野和真)のマネージャーだ。

 「シズカは、マネージャーの時はしっかりしている顔、三姉妹の時は無邪気で、取り立ての時はやたら楽しそうになります。シズカらしさを失わずに演じ分けをするためにろいろと考えながらやりました」

 加藤はこれまでどちらかと言えば等身大の役が多かった。本作ではこれまでにないものを求められた。しかし、それも撮影の初日に役に一体となれた感覚があった。

 シズカは、スポーツ万能で借金を踏み倒そうとする客に対し時に暴力を振るうこともある。取り立てのシーンでは派手なアクションに挑んだ。ダンス経験者ではあるが「大変でした」と振り返る。

 「やっぱりダンスとは違う筋肉を使うので筋肉痛でした。回し蹴りも、ただ回し蹴りをするのではなくて、ちゃんとカメラのフレームに収まる高さで回さないといけませんし、蹴りを決めた後はそのフレームに合うような位置で止めないといけなくて。でも楽しかったです。大変ですが、目標があれば頑張れるタイプなので、今後はアクションにも挑戦したいですね。ガンガン筋肉痛になっても平気です!」

 刺激は、アクションだけでなく、共演者からも受けた。

 長女を演じる高橋ユウは姉貴肌。「長いセリフを言うシーンがあり、そのシーンが終わった後に褒めてくれて。高橋さんがおはようございますというだけで周囲が明るくなるそんな素敵な方で、たまに出る関西弁(?)にも心がやられています(笑)。高橋さんの言葉が支えになっています!」

 三女を演じる掛橋は乃木坂46のメンバーで現在18歳。「当時の私と比べると全然違って、やっぱりアイドルをされているからキラキラと輝いていて、最初は緊張もあった様子でしたが、堂々とされていました。アイドルの掛橋さんも女優の掛橋さんも違う魅力があってとても好きです」

取り立て屋ハニーズ場面写真(C)ひかりTV

加藤 小夏/丹羽シズカ役(C)ひかりTV

大切な存在

 「現場が終わってしまう寂しさを毎回感じています」

 共演者は加藤にとって大切な存在だ。『I"s』に出演した“女性陣”とは今も会っている。「なんだか不思議な感覚なんです。こんなに近くにいるのに、テレビの向こうにいる時は遠い存在。刺激にもなるし、支えにもなります」

 そして、共演者と同じく大切に思っている存在がいる。それはファン。

 「デビュー当時からファンレター専用の箱があってそこに入れています。いま溢れていますが、それでもそこに入れ続けていて、一度読んだものもそこからランダムで取り出して読んでいます。手紙の言葉って温かみがあるのでより心に染みるというか。毎月絵を描いて送って下さる方もいて。本当に丁寧に書かれていて、嬉しいです」

 今後の目標を聞けば「大きな目標よりも求められることをして、見てくださっている方が前に進む活力になれたら」と目の前のことに集中していきたいとも語った。

 21歳でファッションブランドを立ち上げ、様々な事に挑戦。しかし背伸びせずにあくまでも等身大だ。

加藤小夏

(おわり)

【取材・撮影=木村武雄】

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