『ゲットダウン・パート2』のスペシャルトークショーでの様子。プライベート写真をバックに語る久保田利伸

 シンガーソングライターの久保田利伸といえば「LA・LA・LA LOVE SONG」などのヒット曲が思い浮かぶ。80年代から活躍し、日本のR&B界のパイオニアとも呼ばれる彼は、90年代には米国ニューヨークに活動の拠点を移し、全米デビューもしている。今年4月に開催された、米配信ドラマ『ゲットダウン・パート2』のスペシャルトークショーに出席した久保田。日本国内でなかなか窺い知れない、そのR&B本場での評価を知ることができる貴重な機会ともなった。

 『ゲットダウン』は、『華麗なるギャツビー』などヒット作を生み出してきた、米映画監督バズ・ラーマンによる初のドラマシリーズ。70年代後半から80年代のニューヨークを舞台に、ヒップホップをはじめとする“新たなダンス・ムーブメント”の誕生の瞬間を5人の青年の成長を通して描いた音楽ドラマ。その第2シーズンが今作となる。

 日本のR&B界のパイオニアである久保田。90年代から本格的に本作の舞台であるニューヨークを拠点に活動しており、ドラマのストーリーに共感する部分も多いという。イベントでは久保田がニューヨークで撮影した写真も公開され、普段知ることが出来ない彼のニューヨークでの生活のエピソードも語られた。

 その中でも、米国屈指のブラックミュージックの大物たちとのツーショット写真には会場からも歓声が上がった。米HIP-HOPグループのザ・ルーツのリーダーであるクエストラブ(Dr)との写真を見て久保田は「彼はいつも僕に良くしてくれる。“日本人なんかにR&Bが出来るのか?”と言われても、彼が“まあ一度聴いてやってくれよ、世界が変わるから”と言ってくれる」と絶対の信頼関係を築いている様子を明かした。

 さらにスタジオで米国最高のコーラスと称えられているという、米歌手オードリー・ウィーラーらとのスタジオでの作業風景も公開。彼がR&Bの本場でもミュージシャンたちから評価されていることが窺えた。

 また、1971年から2006年まで放送されていた米の音楽番組『ソウル・トレイン』に久保田は2004年11月に出演しており、その際の記念写真も公開された。同番組には日本人アーティストとして過去にYMOも出演している。

 久保田は1995年に「Toshi Kubota」の名前で全米デビューを果たしている。翌96年の木村拓哉、山口智子が出演したフジテレビ系ドラマ『ロングバケーション』の主題歌「LA・LA・LA LOVE SONG」では、英モデルのナオミ・キャンベルとのデュエットも話題を呼び、同曲はミリオンセラーを記録。一躍、日本でも“時の人”となった。久保田というと、この時の印象を持つ人も多いだろう。

 日本国内で、久保田の米国での音楽的評価を窺い知るのはなかなか難しいが、今回の取材ではその様子を知れる、貴重な機会となった。(取材=松尾模糊)

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