丸山隆平、原動力は「届けたい」 13年ぶり時代劇 役柄に滲み出る人間味
INTERVIEW

丸山隆平、原動力は「届けたい」 13年ぶり時代劇 役柄に滲み出る人間味


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年06月01日

読了時間:約5分

 丸山隆平(関ジャニ∞)が6月6日スタートのWOWOW『連続ドラマW 大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~』(全6話)で主演を務める。本作では、原作・脚本の土橋章宏氏と監督の本木克英氏が大ヒット映画『超高速!参勤交代』以来のタッグを組む。丸山にとって連続ドラマ主演は約6年ぶり、時代劇は約13年ぶりとなる。どのような思いで撮影に臨んだのか。そしてジャニー氏から教わったものとは。【取材=木村武雄】

鈍感さを意識した辰五郎

 丸山が時代劇に出演するのは、07年放送のドラマ『輪違屋糸里〜女たちの新撰組〜』で沖田総司役を演じて以来13年ぶりとなる。

 「頭の片隅に楽しかったという記憶があって。着物もしっくりしていたし、いつかはまた時代劇に出たいと思っていました。あれから13年が経ったのかという驚きもありますし、探している物は忘れた頃に見つかるようなことと似ていて、こういうのは忘れた頃にくるんだなと。こうしてお話を頂けて嬉しいです」

 ドラマの舞台は1830年(文政十三年)の江戸時代。かつて江戸の中で最強の賭博師と呼ばれながらも今はツキに見放され多額の借金を背負った辰五郎(丸山隆平)が、ひょんなことからお伊勢参りの中でも60年に一度のおかげ参りに参加することに。様々な人との出会いやハプニングに見舞われながら伊勢神宮を目指す姿を描く。

 「辰五郎はその日暮らしで『まあ、どうにかなるだろう』とお金を全部使ってしまう。失うものがないから死に対しても恐怖心はないだろうし。人はなかなかすぐには変われないものですし、変わってきているとしてもそれに気づかない。大きな変化になればなるほど気づきにくい。何かに突き動かされて、ふと『そういうことだったのか』ということに気づく。そういう点からも辰五郎にはある種の鈍感さが大事だと思いました。彼は絶妙にダサいし(笑)。カッコつけてもカッコつかないし、でも思ってもみないところでカッコがつくという(笑)」

 絵に描いたようなダメ男だが、どこか人間的な魅力も感じる。

 「人徳がまるっきりないわけではないんですよ。ダメ男でも人が集まってくる。お金に恵まれていないだけで、人には恵まれているんです。第一話の長屋のシーンでも何か愛されている感じがありますし。お金がある時に大盤振る舞いしたからということもあるかもしれないけど、どこか憎めないところが彼の人間力というところだと思います。なんだかんだ綱渡りが上手くいってしまっているところも良くないですし、でも彼の生きる養分にはなっていると思います」

役と自身が重なって見えるのは「嬉しい」

 辰五郎の人間力に引き寄せられたのは、奉公先を抜け出してきた少年・三吉(斎藤汰鷹)、訳ありな美女・沙夜(芳根京子)。道中を共にするが、トラブル続きだ。

 「翁丸(代参犬の駄犬)との出会いも、道中でのハプニングも彼をきっかけに引き寄せたものだと思うんです。人だけでなく、犬にさえも助けられてしまうのが辰五郎で、そうした一筋縄で幸せにはなれないという人生訓みたいなものが彼を通して描かれていて。正負の法則ではないけど、そうした法則だけでは綺麗にまとまらないものと言いますか。現実的だけど、江戸時代という現代と離れた時代が絡むことでマイルドさが出て、より届きやすくなっている。面白いバランスに仕上がっていると思います」

 そんな辰五郎を演じる丸山だが、自身は「お酒はダメですね。撮影など緊張した後は飲んでしまって、長くなるんです。お酒で緊張を流しているようなもので…」と笑む。その表情に陽気さと人間味が滲み出る。

 演じるにあたっては「人がみんな持っている弱さや見栄っ張りさなど、本来あまり見せたくない部分が剥き出しなので、撮影のその瞬間にその場で生まれた感情をそのまま素直に映像に残していきたい」とも語っていた。

 人徳がない辰五郎だが、丸山が演じる辰五郎には人徳が見える。それは丸山自身の人柄が投影されているからともいえる。原作・脚本の土橋章宏氏は「丸山隆平さんなら、ダメ人間だけど陽気で情が深いキャラを面白く演じてくれると思います」、監督の本木克英氏も「持ち前の万人を陽気にする演技力で、主人公・辰五郎に降りかかる苦難を軽快に乗り越えてくれる」と期待を寄せる。

 「演じている役ではなく、『丸山隆平』として見られる部分はあると思いますし、そう見えても良いと思うんです。それは僕と辰五郎がリンクしている証でもあるし、自分が納得して演じているという事でもあるので、そう見られることは嬉しいです。土橋さんや本木さんもそう狙って書いて撮っていると思うので感謝しています」

ジャニー氏の教え

 ハプニングに見舞われながらも伊勢神宮へと向かう辰五郎のように、丸山自身も関ジャニ∞も数々の困難や転機が訪れても足を止めず、歩き続けてきた。突き動かすモチベーションとなっているのはファン、グループ、そして故・ジャニー喜多川氏の教え。

 「もちろん自分が生きるために働いているというのが大前提ですが、10代、20代の時は『目立ちたい』『活躍したい』『褒められたい』というのが前に出ていました。でもグループを15年以上もやっていると、自分の為にやっているというより、目の前に何か届けたいというか、きっと見ているだろうなと思うと力が入るようになりました。そっちのほうが気も楽で、進む意味もあると思う。ずっと前からメンバー共々そういう感じだったからグループを『続ける』という選択をして。ジャニーさんから教わった、たくさんある中の1つのエンターテインメイトの形です」

 そしてこう続ける。

 「良いものを見たら勧めたくなるでしょう。それを自分達で出来る贅沢さもあると思っていて、僕を知ることで知らなかった作品に出会える方々もいる。1つの広報みたいな作業をしている気がするんです。みんなにより豊かになって欲しいし、同じ気持ちを共有したい。複雑な事ができる生き物なんだからやらない手はないかなと。モチベーションはそういう事かな」

 そんな丸山に見どころを聞いた。

 「それは視聴者のものと答えたいです。観ている方が、主人公あるいは沙夜なのか、または三吉なのか、はたまた菊佐や六助なのか。どこに思いを寄せるかで物語の旅の見え方は変わってきますから。注目を寄せるその人物が最後にどんな顔をしているかを想像しながら旅をしていくと自分の中のハイライトは変わってくると思うんですよ。観る方にそこは委ねたいです」

(おわり)

「連続ドラマW 大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~」
6月6日(土)放送スタート![第1話無料放送]
毎週土曜日よる10時 WOWOWプライムにて放送(全6話)

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