ヒャダインとラッキィ池田

ヒャダインとラッキィ池田

 ミュージシャンで音楽プロデューサーのヒャダインが13日、東京・神楽坂の「la kagu」で開かれた、ラッキィ池田による対談イベント『ラッキィ池田×ヒャダイン「ヒットの発想」』に出席。楽曲、振付とそれぞれの分野でこれまでに数多くのヒットを生み出した2人。互いの仕事を称えながら、和やかな雰囲気でトークが繰り広げられた。ラッキィ池田から、日常にヒットのヒントがあるかと尋ねられたヒャダインは「愚直に頑張るしかない。狙っても外します」と現実の厳しさをしみじみと語っていた。

 今回の対談イベントは、ラッキィ池田が6月に書籍『「思わず見ちゃう」のつくりかた 心をつかむ17の「子ども力」』(新潮社)を刊行したことを記念しておこなわれたもの。

 同書は、アーノルド・シュワルツェネッガーによる「ヤカン体操」で当時話題を集めた『カップヌードル』のテレビCMから、『ようかい体操第一』などの人気アニメまで、数多くの振付を手掛けブームを起こしてきた業界のパイオニアでもあるラッキィ池田が、これまでに仕事をともにした秋元康氏や関根勤、永六輔さんなどヒットメーカーたちの「17の成功発想術」を紹介している。

 今回は、私立恵比寿中学やゆず、でんぱ組.incなど数多くのアーティストのヒット曲を手掛けているヒャダインを迎え、創作アイディアや作品を作る際の思考、プロデュース哲学など互いの“ヒットの方程式”について語り合った。なお2人は最近も、東海地方発の男性アイドルグループ、BOYS AND MENの楽曲「帆を上げろ」で作曲をヒャダインが、振付をラッキィ池田が務めている。

 この日、タモリならぬ “ラモリ”に扮するラッキィ池田が会場に登場し、ゲストのヒャダインを迎えた。ラモリに初対面したヒャダイン。タモリとも面識がある彼は「近くで見てもソックリですね! サイズ感といい、肌の感じといい…」とそのソックリ具合に感嘆。

 ラモリが少し席を外している間に、観客とヒャダインがフジテレビ系バラエティ番組『痛快TV スカッとジャパン』で使用されている彼作曲でラッキィ池田が振付を担当する「スカッとジャンケン」でじゃんけん大会をおこなった。3回のじゃんけんで勝ち残った観客がラモリに代って登場した、ラッキィ池田からプレゼントを贈られた。

ラモリとして登場したラッキィ池田

 余興を終え、会場の雰囲気も和やかになったところで2人のトークセッションが始まる。普段から、ハイテンションのラッキィ池田だが、なかなかテンションの合う人間とは出会えないという。ヒャダインとは、明るくて波長が合うと話す。これを受けて、ヒャダインは「考え方が幼いですよね。子供っぽいです」と自身を分析。

 数々のヒットを生み出してきた2人。ラッキィ池田が、日常でのヒットの発想のヒントがあるか尋ねると、ヒャダインは「愚直に頑張るしかないな、と思いますね。狙っても外しますしね」と数多くのヒットを生み出してきたからこそ知る、現実の厳しさをしみじみと語った。

 ヒャダインは作曲への心構えについて「こうなったら楽しいだろうなあ、みんな楽しくなれるよね、と考えて作っているので、ラッキィさんとの振付と相性がいいと思う」と語り、ラッキィ池田とのコラボの相性の良さにも言及。

『「思わず見ちゃう」のつくりかた 心をつかむ17の「子ども力」』ラッキィ池田・著(新潮社)

 王道ポップのようで、随所に遊び心を感じさせる楽曲を生み出すヒャダイン。曲作りに関して「正しいことをやり過ぎたり、自己満足になってしまってもな、と思っています。王道が僕できないんですよね。ちゃんと習ったわけではないので。ほころびが出たり、そのほころびが個性になったり。できないからこそ、トリッキーにやったりしてそれがいい方向に出たり」とセオリーにはまらないその姿勢が、彼の個性的な楽曲に現れていると語った。

 ラッキィ池田も「本当に『子ども力』じゃないですが、わからない、経験がない分、ワクワクするんですよね。あまり経験を積み過ぎると型にはまってしまって、また一緒じゃないか、と思ってしまうんですよね」とヒャダインの言葉に相槌を打った。

 また、彼らのコラボでもある、BOYS AND MENの楽曲「帆を上げろ」の振付を会場の観客とともに実演も。メロディラインがとても覚えやすく、一回の練習で観客もすぐに振付を覚えた。明るく元気な曲とダンスで会場に一体感をもたらし、観客の笑顔が溢れた。【取材・撮影=松尾模糊】

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