小林克也がMCを務めるBS朝日『ベストヒットUSA』。2月13日放送回では、ノラ・ジョーンズに提供した「ドント・ノー・ホワイ」の作者として知られる、現代N.Y.を代表する稀代のシンガー・ソングライター、ジェシー・ハリスが登場、運命を変えた曲に隠されたエピソード&ソングライティングに対する想いに迫った。今回は未公開部分も含めてお届けする。
シンガー・ソングライターとして
――いちばん最初に作った曲を憶えていますか?
ああ、覚えているよ。絶対に演奏はしないけど覚えてる。でも曲作りを始めた頃、ほとんどギターは弾かなかったし、歌も歌わなかった。だから自分でも何のためにやっているのかわからなかったことさえあったよ。なのに、山ほど曲を書いたんだ。聴く価値があるものができるまで、何百もの曲を作ったと思う。その後はギターで作曲していたけど、確かに当時はピアノで作った曲のほうが多かったな。僕は最初から最高の曲が書けたみたいなタイプじゃない。いい曲ですらなかった。でもそこから急速に変わっていったんだよね。
――楽曲を作るのにお気に入りの環境はありますか?
そういうルーティンはないし、どこでも曲は書けるよ。ホテルでもビーチでも家でも…。カフェでもいいし、どこでも大丈夫なんだ。特に歌詞に関して言えば、楽器は必要ないしね。だけど既にメロディーが出来ている場合、どこかに行って歌詞を書くことはある。メロディを作る時は楽器がある方がいいかな。
――アルバムを完成させたあと、全体を聴き直して、“ここはこうすればよかった。別のやり方もあった”と思うようなことはありますか?
まあ、別のやり方はいくらでもあるよね。というか実際は毎回必ずやり方が変わり、いつも違うやり方になる。でも若い頃にアルバムを作り始めた時は、毎回不安に思っていたよ。録音済みの曲を聴いて“もっとうまくやれたのに”とか“ 今のアレンジのほうがもっとクールなのに”とかね。だけど、今はそんなの関係ないし、間違っていると思う。やり直す機会があったとしても大抵、1回目の方がよかったと気づいて終わるんだ。