サザンオールスターズが、新曲「Relay〜杜の詩」(9月18日)をリリース。本作は3カ月連続新曲配信第三弾シングルで、7月17日リリースの「盆ギリ恋歌」、8月2日「歌えニッポンの空」に次ぐ、サザン2023三部作のアンカーとなる。

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 デビュー45周年を目前に控えた2023年4月、「Relay〜杜の詩」は45年間音楽を作り続けてきた愛すべき第二の“故郷”ビクタースタジオで一番初めに産声をあげた楽曲。スタジオがある一帯の杜は今、時代の移ろいの中で大きな変化に直面し、同じくこの杜を愛する偉大な先達の声を知り、歌を書いて意志を継なぐ、時代を映した詩となっている。

 永き時間を連ねた神秘的な“杜”を思わすピアノの響きとストリングスの広がり。刻を表すような粛々としたエレクトロビート。荘厳かつ清澄なコーラス。桑田の歌は、これらの音の万象に溶け込み、みんなに寄り添う叙情的な言葉を丁寧に重ねる。憂いを抱くなかでも、まっすぐ前を向き、一緒に明日を夢見る光景が映し出されるようだ。

 サビでは、共に助走をしてくれるかのような4つ打ちビートが走り、あらゆる者を鼓舞するようにメロディが高みに昇るような展開を見せる。アレンジの音数がコンパクトながらも体と心を全て覆うようなボリューム感で、音と歌がダイレクトに沁み入る。

 詩はサザンオールスターズにとっての“故郷”、リスナーそれぞれの場所、そしてこの世を憂いつつ、全てが尊重し合い、大切な場所で豊かな暮らしを願う想いが込められている。

 サザンオールスターズはいつだって世に問いかけ、時代への嘆きを危惧するなかでも答えを探し続け、様々なかたちで音と言葉とで発し、その魂を示す。「Relay〜杜の詩」では特に、そのメッセージ性が顕著に感じられる。

 本作、サザン2023新曲三部作の“アンカー”は、“最後の曲”であることと、“支え、よりどころ”というダブルミーニングのように思える。

 それは、三部作ラストにふさわしい空気感と世界観が表されていることがひとつ。そして、世の中の安寧を図ると共に未来の希望を照らす光明をもたらすことから、そのように感じさせてくれるのである。同時に生じる想いは、楽曲の旋律からも感じられるサザンオールスターズの「祈り」でもあるかもしれない。

 まるでアルバム1枚ぶんのボリューム感を3曲に凝縮したかのようなサザン2023新曲三部作では、 “故郷”というキーワードが見事に表されている。

 第一弾から順に、まず「盆ギリ恋歌」では<故郷(ふるさと)帰りゃんせ>と歌い、「歌えニッポンの空」で<ここが故郷(ふるさと)>、<この街に生きて>と続ける。

 そして本作では<音楽(おと)を紡いだスタジオ(場所)>、<麗しいオアシス>と歌い、の最後の一節で<この杜(ここ)が好きだよ>と締めくくる。サザンオールスターズにとっての“故郷”、リスナーそれぞれの“場所”、そしてこの世を憂いつつも「全てが尊重し合い、大切な場所で豊かな暮らしを」と、願うような想いと受け止められることができる。

 自分の故郷は、あの人の大切な場所は、みんなの居場所は、サザンと共にする時代とは――。「Relay〜杜の詩」を聴くと、めまぐるしく変化する現代のこれからを考えさせられると共に、あらゆる想いが“Relay”される、継がれていることを、改めて感受できる。

 原点ともなる場所で根を張り、今一度、現在と未来を見つめ、過去の「点」を「線」で紡ぐ。人々の心に呼びかけ、光を灯し、今をどう生きて、各々の場所で意志を繋いでいくか――。サザンオールスターズは問いかける。美しい音楽に、愛する杜から言葉を乗せて。【文・平吉賢治】

「Relay〜杜の詩」ジャケ写

・配信サービス一覧リンク

https://taishita.lnk.to/relayYT

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