“オメでたいコア”略して「オメコア」を武器に活動する、ロックバンドのオメでたい頭でなによりが4日、東京Shibuya O-WESTで全国ツアー『オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~ 開店記念』の初日公演をおこなった。同日にリリースしたシングル「鯛獲る」でメジャーデビューした彼らが、その門出を集まった観客とともに熱狂のステージで華やかに祝った。ゲストに迎えた、ビレッジマンズストアが水野ギイ(Vo)の体調不良により出演中止となる中、オメでたい頭でなによりはビレッジマンズストアのカバーを演奏するなど人との繋がりを大事にする彼らの姿勢が如何なく繰り広げられた夜となった。【取材=長澤智典】

とにかく全力で騒ぎまくれ

(撮影=竹内光司)

 オメでたい頭でなによりは、赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(Gt、Vo)、324(みつよ、Gt)、mao(Ba)、ミト充(Dr)の5人組。もともと同じメンバーで活動していた5人が2016年8月に、現在のバンド名を名乗り始動。

 この日は、ゲストにバックドロップシンデレラステージが展開された。

 トップバッターのバックドロップシンデレラのライブがからスタート。終始、高いテンションのもと、スピーディでタイト、何よりエネルギッシュでダイナミックなロックナンバーを次々と叩きつけ、常にフロアー中を沸き立つ熱狂に染め上げていた。いい感じどころか、だいぶ場内を熱しきったところで、ライブのバトンはオメでたい頭でなによりへ。

 幕が開くと同時に、オメでたい頭でなによりのライブはデビュー曲の「鯛獲る」から幕を開けた。赤飯の呼びかけに合わせ、場内からも掛け声が上がり続ける。何より、テンション高く駆ける演奏と祭りの様な雰囲気に触発され、フロアー中は最初からいい感じでアガッていた。バンド名通り、とても「おめでたい」ハッピーなライブだ。一緒に手を上げ「おめでたい」と叫びたい。

 「日本一おめでたい人情あるバンド、オメでたい頭でなによりです」の挨拶に続き、勢いを加速させるように、「憂き浮きウォッチング」を突きつけた。熱く攻める赤飯のラップとラウドな演奏。彼のラップに声援を返すファンたち。サビ歌で楽曲が疾走し出した途端、観客たちも一緒に演奏へ飛び乗り、思いきり跳ねだした。

 オメでたい頭でなによりのライブは、バンドとファンたちによる熱いコール&レスポンスが熱狂を生み出す大きな魅力になっている。テンションを高く導く楽曲へ飛び乗り、とにかく全力で騒ぎまくれ。それが、一番似合う楽しみ方だ。

人と人とが結んだ縁で繋がっている

(撮影=竹内光司)

 赤飯は会場を見渡し「パンパンですやん、嬉しいなぁ。本日、メジャーデビューという運びとなりました。最初はメジャーなんか死んでも行くか、ボケと言っていたのに、世の中、何が起きるかわかりませんね。要は、会社とかどうでもいい。結局、ここに俺らを立たせてくれてるのは人なんですよ。人と人とが結んだ縁で繋がっているバンド、それがオメでたい頭でなによりなんです」と語る。

 「お寿司になる準備はよろしいでしょうか」と呼びかけ始まった「wosushi~ウォールオブ寿司~」では、フロアーの真ん中へ紅白タイツ姿の寿マンを配置。彼に向かって、客席を左右二手に分けたしゃりチームとネタチームがぶつかる(ウォール・オブ・デスをおこなう)という、何とも愛でたいライブパフォーマンスを実施。

 フロアー中をぐっちゃぐちゃにしながら。でも、彼らの奏でる明るくテンション高い演奏に嬉しく触発され、会場中の人たちが浮かれ祭っていた。理屈なんて、どうでもいいよね。もみくちゃになって楽しく騒げば、それがすべてだ。

 「海老振り屋」が飛び出すと同時に、フロアー中にたくさんのタオルがまるで海老の様にくるくると舞いだした。軽快なビートとラウドな演奏をミックス。熱狂の中、心地好くステップを踏みながら、満員の観客たちが宴の中、笑顔ではしゃいでいた。演奏が進むごとに大きく揺れ、空に舞うタオルの風景。それだけ気持ちがどんどん昂り続けていたってこと。

 「一緒にテンション高くライブを作っていこうや。今日誕生日の方、お祝いさせてください」と呼びかけると、フロアーには、この日に誕生日を迎えた観客が2人いた。ここからは、誕生日の2人をメンバーと観客たち全員で祝福。演奏したのが,「VIVA!ハピバ」。

 気持ちをウキウキ弾ませる楽曲へ伸び乗り、会場中の人たちが大はしゃぎ。2人をお祝いする名目を掲げつつも、みんなでテンション高く騒ぎ続ければ、それでOK。中盤ではラウドな演奏に合わせヘドバンをしたり、ドリフターズの髭ダンス風な踊りも登場したりと、理屈を抜きに楽しんでこそというライブを、オメでたい頭でなによりは描きだしていた。最後に、みんなで絶叫した「お誕生日おめでとう」の声が、とても華やいでいた。

 ラウドな演奏が炸裂。絶叫と一緒に無数の拳が突き上がる場内。「ダルマさんは転ばないっ」に合わせ、一緒に声を掛け合う観客たち。サビではファンキーな横ノリビートも加え、一緒に騒ぎ祭っちゃおうぜと、オメでたい頭でなによりはフロアー中の人たちを巻き込んでいった。

 途中には、何度も演奏をブレイクさせながら、場内のみんなと「だるまさんがころんだ」をしながら遊んでいく。いきなり演奏が止まるたびに観客たちも身体を硬直させ…いや、身体をプルプル震わせながら、一緒に「だるまさんがころんだ」を遊んでいた。

 さらに、間奏では、この日対バンの予定が欠席となったビレッジマンズストアの楽曲のカバー演奏も組み込んでいく。

 オメでたい頭でなによりとして活動をおこなう前、まだ赤飯バンドと名乗り活動を始めた頃から、彼らと真摯に向き合ってくれたのが、バックドロップシンデレラとビレッジマンズストアだった。

 だからこそ彼らは、メジャーデビュー日という新たな門出の日を、自分たちの心の支えになっているこの2バンドと一緒に迎えたかった。その相棒バンドの一つが残念ながら欠席したことから、彼らの魂を変わって伝えようと、オメでたい頭でなによりがビレッジマンズストアの楽曲をカバーしたという背景がある。なんて男気あふれる熱い連中だ。その心意気が嬉しい。その気持ちも受け取ったのか、観客たちも、最後の最後までメンバーらと一緒に大声を張り上げ、歌を掛け合っていた。その関係も最高じゃない!

笑顔に満ちたロックロールなパーティ空間

(撮影=竹内光司)

 「死ぬほど熱いのぉ!! まるでお風呂屋さんみたいですね」の言葉に続いて叩きつけたのが、疾走するナンバーの「スーパー銭湯~オメの湯~」。凄まじい勢いで駆ける演奏に触発され、フロアー中が沸き立ってゆく。どんどんサウナ状態と化す場内。それくらい、熱く熱く沸騰した関係の中、一緒に大騒ぎしていたかった。

 激烈なリフビートが炸裂。「かかってこい」の言葉を合図に、場内はぐちゃぐちゃな宴の場に。「ふわっふー」が、気持ちを楽しく浮き立たせる。フロアー中から飛び交う「ふわっふー!!」の声。大きく揺れ動く拳、疾走する演奏に熱狂を重ね合わせ、身体を揺さぶる観客たち。愛でたい熱狂は、天井知らずでどんどん上がり続ける。

 そして「いつでも、その日を特別の日にしたい。今日が最高の1日になったと思えるように一緒に歌ってください」。最後に、「オメでたい頭でなにより」をプレゼント。触れた人たちをウキウキ弾む浮かれ祭りへ導く楽曲に乗せ、メンバーらも観客たちも、一緒に両手を上げ、笑顔で、汗だくで楽しんでいた。この歌は、はしゃいでいる僕らも主役にしてくれる。一人ひとりにスポットを当ててくれる。この幸福感、もっといろんな人たちに教えてあげたい。<オメでたい頭でなによりです♪>とずっと続く合唱。その声を、笑顔を、もっともっと広げていきたい。

 アンコール前に、メジャーデビューを祝し、鏡割りも実施。「今日の主役はここにいるみんななんですよ」、ぽにきんぐだむの言葉に続いて、最後に「宴もたけなわプリンセス」を演奏。会場中を笑顔に満ちたロックロールなパーティ空間と祭りの宴に塗り上げ、この日のライブも熱狂で染め上げていった。

 オメでたい頭でなによりは、いつだって彼らを熱く支持してくれる人たちのことを観ている。いや、彼らのために歌い、演奏をしている。メジャーへ進出することも、言ってしまえば、そんな自分たちと一緒に笑顔を作れる仲間たちともっともっと出会うため。終始、フロアーには笑顔と嬉しい熱気が満ちていた。それを欲しくてオメでたい頭でなによりがライブ活動をおこなえば、そうなりたくて大勢の観客たちが、彼らのライブに足を運ぶ。

 ぽにきんぐだむが、「どこにでもあるライブレポートはいらない。僕らと観客たちのことを。僕らを支持してくれるお客さんこそが何よりも、この日のライブの主役なんだから、それを伝えて欲しい」とMCで言っていた…にも関わらず、最初からアンコールまで、どこにでもありがちな記事を書いてしまった。なので、最後は、少しだけ違うことを…いや、これもありがちな言葉かな。でも、書いている気持ちは事実なので。

 ツアーはまだ始まったばかり。ファイナルは、7月16日のZepp Diver City Tokyo公演。それまでにこの熱狂の輪がどれくらい大きく膨らんでゆくのか、楽しみになってきた。

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