INTERVIEW

新木優子

みんなの活力に――。私の原動力。


記者:木村武雄

写真:Maho Korogi

掲載:20年10月16日

読了時間:約5分

 新木優子が、18日放送スタートのWOWOW『連続ドラマW セイレーンの懺悔』で主演を務める。中山七里原作の報道サスペンスで、テレビ局を舞台に「報道」のタブーに切り込む。これまで様々な職種を演じてきた新木だが報道記者役は初めて。「私にとって挑戦でした」

様々な職種を演じ分ける秘密

Maho Korogi

新木優子(撮影=Maho Korogi)

 ひとたびカメラを向ければ、キリッとした表情に変わる。現場の雰囲気を飲み込むほどの圧倒的な存在感を放っている。しかし取材になるとその表情を緩ませ、印象的なあの笑顔を見せる。一気に場が和む。

 連続ドラマの出演が続く。撮影が同じ日に重なることもある。役の切り替えは難しそうだが、「現場に行くと自然と役になれている気がします」

 恋愛がテーマの作品だけでなく、社会的な作品にも多く出演する。パラリーガルや警視庁公安部の特捜チーム、法医研究員に、救命センターの医師など、演じてきた職種は様々だ。

 「医者もそうですが、職業が特殊の場合はまずその職種の事について調べます。そこがある程度理解出来たところで演じるキャラクターの性格に迫っていきます」

 しかし撮影は、カッチリと決め込まずに「余白」を設けて臨むという。

 「現場では自分でも予想がつかないことが沢山起こります。キャラクターについて想像していたものと違っていたことや、仕草一つとってもそうです。共演者の演技によっても変わります。そうした化学変化が現場で起こるので、何事にも対応できる柔軟性を大事に現場に入っています」

 特に、今回演じた報道記者役は「現場で作られていく感覚」が強かった。

共通点は正義感、役柄の背景に「苦しさ」も

『連続ドラマW セイレーンの懺悔』で報道記者・朝倉多香美を演じる新木優子

 新木が演じる朝倉多香美は、入社2年目の新人報道記者。新木より2歳下だ。「フレッシュでガツガツした役柄を想像していました。撮影が始まると、もちろん熱量はありますが、想像以上に達観している部分も感じられて。演じるまで感じられなかった『強さ』が多香美にはありました」

 つらい過去を抱え報道の世界に飛び込んだ多香美は、自身の信念と報道の自由、そして、哀しい現実の狭間でもがきながらも必死に真実を追い求める。新木が感じた共通点は「正義感」だ。

 「多香美は正しいことを突き詰めるタイプ。過去の出来事が正義感をより強くしています。私自身も正義感は強い方だと思うので、そういう点での共通点がより多香美をリアルに、そして上乗せ出来ていると思います」

 その一方で多香美から吸収したいこともあったという。

 「多香美は前のめりというか、ガッツのある女性。記者という仕事にすごく熱量を持っています。そこは私も見習いたい。上司にも警察にも物申す姿はすごいことで、それが出来るのはやっぱり信念があるから。ヒヤヒヤするところもありますが、思い切りのある行動力は良い所だと思います」

 キャラクターに情熱を持っているぶん熱量を注ぎこむため、演じる側は多くのエネルギーを消費する。「抱えているバックボーンも重かったので考えるところも凄くありましたし、苦しいと思う部分も正直ありました」

 役柄の職種だけでなく、自身にない性格や背景をどう作り上げていくか、それは俳優としての腕の見せ所だ。初のミステリーで初主演。撮影前、「ミステリーが好きなのでしっかり自分が出来るかという不安と緊張感を同時に抱きました」という新木だが、その一方で役柄への「挑戦」もあった。様々な役柄を演じてきた彼女が見せる新たな一面が垣間見える。

活動源、ファン、そしてハロプロの存在

Maho Korogi

新木優子(撮影=Maho Korogi)

 劇中では多香美が「声なき声を伝えるのが私達の使命」と言う場面がある。多香美の信念が「真実を追求する、伝える」ということであれば、女優として、モデルとしての新木優子は何か。

 昨年3月に開催された自身初のファンイベントでは3000人のファンと交流を深めた。その合間に行われた会見で新木は終始にこやかに「これからも気を引き締めてお仕事を頑張っていろいろな方にお返しをしていきたいと思いました」と語っていた。

 新木が大事にしているのは「ファンの存在」。そして、「人に良い影響を与えられる人でありたい」

 「私がドラマに出たり、芸能活動を頑張ることによって応援して下さる方の原動力になったら嬉しいなと思っています。『優子ちゃんの作品を観られたから明日も頑張る』とか『ドラマがあるから来週まで仕事を頑張る』など。それは大きな影響ではなくても、本当に小さなきっかけでもいいですし、些細なことでもポジティブになれるきっかけ、頑張ろうと思えるような、そんなエネルギーや良い影響を与えられる人でありたいです」

 ただ、アウトプットだけではなくインプットも必要だ。自身のエネルギーの源になっているのは「ハロプロの存在」だ。

 「音楽はいつも聴いています。気分が上がりますし、私自身ハロプロが大好きなので、コンサートに行くのが私の原動力になっています。たくさんのパワーをもらえますよね! 今おススメのアイドルですか? BEYOOOOONDSです! 1stアルバム買います!」

 そう語り、屈託のない笑みを見せた。

 女優としての顔、ファッションモデルとしての顔、ファンやアイドルを語るときの顔。それぞれ、異なる。

 兼ねてから挑戦したいと言っていた声優も『トイ・ストーリー4』のギャビー・ギャビー役で実現した。

 様々な役柄を演じることについて、過去に「女優として本望。財産にもなりますし、本当にありがたいこと」と語っていた。その器用さ、柔軟性は彼女の魅力の一つであり、その言葉の通り「財産」になっている。【取材=木村武雄】

(おわり)

WOWOW「連続ドラマW セイレーンの懺悔」
10月18日(日)夜10時放送スタート
毎週日曜夜10時放送 【第1話無料放送】

◎カメラマン  Maho Korogi
◎スタイリスト 高野夏季
◎ヘアメイク  中山友恵

◎衣装

シャツ ¥36,000/ワイズ (ワイズ プレスルーム)
スカート ¥44,000/アキコアオキ
イヤリング ¥36,000、リング(右) ¥31,000、リング(左) ¥30,000/ASAMIFUJIKAWA
シューズ/スタイリスト私物

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