坂本龍一

坂本龍一

 音楽家の坂本龍一が7日、都内でおこなわれた映画『レヴェナント:蘇えりし者』の特別試写会に出席。担当した同映画の音楽をピアノで演奏した。また、克服した中咽頭がんについても触れ「体重も10キロ以上減ってスリムになれてかえって良かった」と語った。

 映画は、主演をレオナルド・ディカプリオ、音楽を坂本龍一、監督をアレハンドロ・G・イニャリトゥが務めた大作。舞台は1823年の未開拓地アメリカ。仲間の裏切りで重傷しながらも、死の淵から蘇えった主人公が復讐の執念を生きる力に変えて生還しようとするサバイバルドラマ。

 音楽を担当した坂本は、そのきっかけを「(監督と共通の知人から)突然明日からLAに来てと言われて。やるともやらないとも言ってないんだけど、もうやるものと決めつけられてしまって(笑)。翌日にはさすがに行きませんでしたけども」と明かした。

 今回の音楽的なコンセプトについては「特に音楽と現実音の境目が良くわからないものになっている」と解説。「(関係者から)10分くらいしか音楽が無かったと言われて嬉しかった(映画は2時間37分で音楽はもっと全然長い)」と、音楽と環境音の境目が無いほどに融合されている点を語った。

 坂本は2年前に中咽頭がんを患い克服している。「体重も10キロ以上減ってスリムになれて、かえって良かった」とも述べた。

 またイベント後半では、映画のメインテーマと劇中に流れる音楽をピアノで披露。エンドロールにだけしか使われなかったという映画のメインテーマは美しい音の流れが断続的に現れる印象を受ける楽曲だった。

 坂本は最後に「今日は本当に雨も風も激しい中、観に来てくださったと思いますがその価値はあると思います。でも観た後かなりぐったりくるかと思います。力の入る、息の詰まるような映画だと思います。僕も作りながら大変でした。観終わった後は深く呼吸してください。健康のために」と話した。(取材・小池直也)

 なお、この日のトークセッションでの内容は大変興味深いものでしたので、後日、ミュージックヴォイスが全編文字起こしして掲載します。

この記事の写真

コメントを書く(ユーザー登録不要)