芝居で再認識した音楽の力――、北原里英 怖さを追求した主演ホラー映画
INTERVIEW

芝居で再認識した音楽の力――、北原里英 怖さを追求した主演ホラー映画


記者:桂 伸也

撮影:北原里英

掲載:19年05月01日

読了時間:約14分

 女優の北原里英が、『映画 としまえん』(2019年5月10日より全国公開)で主演を務める。本作は遊園地に来た女性たちが、その場所にまつわる都市伝説をおこなったことで怪現象に巻き込まれるホラーストーリー。AKB48グループ卒業後初となる主演映画であり、初のホラー映画作品となる北原はどのような思いで臨んだのか。音楽への思いとともに話を聞いた。【取材・撮影=桂 伸也】

 本作は、東京の老舗遊園地「としまえん」を舞台に、女性たちがいたずら心で都市伝説「としまえんの呪い」を実行したがゆえに、一人、また一人と消えていく恐ろしい現象に巻き込まれていく中で、過去に発生した友人の失踪事件に関する秘密を知るオリジナルストーリー。『鉄道員(ぽっぽや)』などの助監督を務めた高橋浩監督がメガホンをとる。

 キャストには北原のほか、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、映画『馬の骨』などに出演した小島藤子、SUPER☆GiRLSの元メンバーで映画、ドラマ『リケ恋~理系が恋に落ちたので証明してみた。~』シリーズなどの浅川梨奈、『仮面ライダーエグゼイド』シリーズなどの松田るか、映画『となりの怪物くん』『走れ!T校バスケット部』などに出演のさいとうなり、『特命戦隊ゴーバスターズ』『ラブライブ!サンシャイン!!』などの小宮有紗ら、フレッシュな若手女優が集結。さらに竹中直人、中島ひろ子らベテランやヒップホップミュージシャンのYOUNG DAISら個性派も名を連ねている。

 2018年4月にAKB48グループを卒業、以後女優としての道を邁進している北原だが、同グループ在籍時もアイドルとしての活躍を見せる傍らでドラマ、映画と積極的に役者としての活動を展開。2018年に出演、主演を果たした映画『サニー/32』では、凶悪犯に誘拐され監禁される女性役を、体当たりで演じ高い評価を得ている。北原は、本作出演でAKB48グループ卒業後初主演、初ホラー映画作品参加を果たしている。

ホラーは好き! でもグロテスクなものは…当事者になるのも…

北原里英

北原里英

――北原さんはホラーというジャンルに、どのような印象がありますか?

 私はホラーが好きですね。見るほうも、演じるほうも。しっかりとホラー映画に出るのは今回が初めてですが、AKB48の頃にはドラマ『AKBホラーナイト アドレナリンの夜』(テレビ朝日系)や映画『劇場霊』のスピンオフ『劇場霊からの招待状』(TBS系)でホラー作品を経験したことがあります。

――お気に入りの作品はありますか?

 昔から『着信アリ』が一番好きです。いわゆる「ジャパニーズ・ホラー」的な映画が好きです。海外のものは、どちらかというとグロテスクなイメージがあって…。韓国のホラーはかなり生々しくて一番怖いんですけど、日本のホラーも怖いですし、独特な雰囲気を持っているなと思います。

――今回の作品は割と綺麗な画で、心理的に怖がらせるというか…。

 そう、その意味でまさしく「ジャパニーズ・ホラー」だなと。ストーリーもしっかりしていますよね。特に今回は、画のグロさは追究されていないので、ホラーが苦手という方もギリギリで見られるんじゃないかと思います(笑)。だからいろんな人に、毛嫌いせずに見てほしいな、と思います。

――今作への出演に関してはどのような思いがありましたか?

 哲学的なことのようでもありますが、“ホラー映画っていったい何が怖いのか?”とたまに自分で考えることがあるんです。そこで逆に“どうしたら怖くなるのか”と考えてみると答えが分からなくなる時があります。そこで今回はさらに“ちゃんと怖くなっているんだろうか?”という心配もあって、完成した作品を見るまでは結構ソワソワしていました。でも完成した作品を見たらしっかり怖かったので、ホッとしました(笑)。

――ということは撮影中もちょっと不安があった?

 そうですね。現場は楽しかったので、余計に(笑)。ほぼ同年代の女の子たちとずっと一緒だったので“青春!”という感じの現場で、すごく楽しくて。みんなと仲良くなりました。

――この映画の中で一番ホラーだ! と思われたシーンは?

 一番びっくりしたのは、やっぱりお化け屋敷のところでしたね。撮影だということも分かっていたし、何かが走って追いかけてくるというシチュエーションも分かっていたのに、それにもかかわらずびっくりしてしまいました(笑)

――演技中に怖いと感じるということは相当ですね。ホラー映画全体の話として、ご自身の中で「ここは嫌だな」「これは怖いな」みたいなのを感じるシーンはどんなところでしょうか?

 ホラー映画って、大体「絶対来る!」という空気を醸しながらストーリーが進んでいきますが、その中でもやっぱり痛そうなのは苦手ですね。結構生々しいシーンはよくありますが、たとえば「重機に巻き込まれる」とか、そういうのはちょっと…(笑)

――見ているだけで鳥肌が立つことがありますね(笑)。北原さん自身、超常現象みたいなものに遭ったらどうですか?

 いや~それは…ただ実際に自分が体験した怖い話は、どこの現場に行っても話していて、自分の中では大分出来上がっています(笑)

――そんな話があるんですか?

 あります!新しい現場に行ったら、そこの方たちに話して、次の現場に行ったらさらにそこの方たちに話して、みたいな感じで、新しく出会った友達がいたら、そこでして、みたいな(笑)。もう話の種として持っています。

――最新版は、どんなお話で?(笑)

 大人になったからなのか、自分がすごく鈍感になったからなのかは分からないけど、実はもうここ5年くらいは怖い思いをしていないので、新しい話は無いんです。AKB48に入って地方のホテルに泊まることが多かった時期には、ちゃんとそこそこ怖いお話があったんです。でも今は、アップデートされないというか…。

――北原さんご自身は怖いものを呼ぶ体質ではない?

 ないと思いますね。全く感じないです。

――では現在、新しい超常現象を絶賛募集中、ということで?(笑)

 いやいや!(笑) 私はホラーが好きなんですけど、当事者になるのは…。本当に嫌なんですよ~…ロケの帰りとかで、暗い山道なんかを車で走る時に、誰かが怖い話をしようとすると「ちょっと待って! 1回考えよう」って止めちゃうし(笑)。その日ホテルに、一緒に寝てくれる人がいればいいんですけど(笑)。AKB48の頃とか、メンバーと一緒だったので大丈夫でした。でも今、何かの撮影で行っても、部屋には私一人ですからね…(笑)

――今回はいかがでしたか? この撮影中に、誰かしら怖いことを言ってくる人はいませんでしたか?

 案外ホラーの話とかはしなかったと思います。どちらかというと女子トークをしていました(笑)

――そのほうが盛り上がりますもんね(笑)。また、ご自身が好きな都市伝説もありますか?

 あります! 私はもともと都市伝説が大好きで。『やりすぎ都市伝説』(テレビ東京バラエティ番組『やりすぎコージー』サブコーナ)が大好きなんですよね!

――あれはかなり濃いですよね。そのうち宇宙人も出てくるんじゃないかという感じで(笑)

 宇宙系の都市伝説も割と好きなんですけど、今一番好きな都市伝説は「AI」に関したもの。Siri(iOS、macOS、watchOS、tvOS向けのAIアシスタント)とか、人工知能系の都市伝説が一番好きです!

――かなりマニアックな感じですね。またご自身が子供の頃に怖かった都市伝説ってありますか? 90年代くらいだと「あれかな?」というイメージがあるかと思いましたが。

 う~ん、「かごめかごめ」ですかね…。

――「トイレの花子さん」とかは?

 それもありましたね。それと「何かの言葉を20歳まで覚えていたら、死ぬ」とかありました。私は覚えてないから死んでいないですけど(笑)。あと映画『学校の怪談』も世代で。それと『トリハダ-夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』(フジテレビ系)というドラマがありましたけど、あれも大好きで全部見てます! あと『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)も大好きで、いつか出るのが夢なんですよ。

――タモリさんと一緒にナビゲーターを?

 いえ(笑)、ちゃんとお芝居パートで出たいですね。メインでなくてもいいんです、メインの方の同僚役なんかをやらせていただけたらな、と(笑)

――ホラー作品以外だとこういう役をやってみたい、という思いはありますか?

 本当に日本映画が好きなので、(AKB48グループも)卒業しましたし、3週間から1カ月くらいずっと地方に行って、じっくりと撮影するような作品はやりたいなと、ずっと思っています。まだそういった作品の経験はないんですが、『サニー/32』は2週間くらいずっと現場に行きっぱなしでした。そんな風に時間をかけて撮るような作品に出演してみたいと思っています。

――では、1カ月くらい韓国に行って、ホラー映画を…。

 それはなかなか怖そうですね~(笑)。なんか韓国の幽霊って怖そうじゃないですか? 日本の幽霊は日本語が通じるから「助けて!」と言えば、話を聞いてもらえる可能性があるけど(笑)。以前、JKT48のメンバーとしてジャカルタに行った子から、インドネシアで起きた怖い話を聞かされた時に、やっぱり「海外の幽霊は怖いな」って思いましたよ。兵隊、軍人さんの幽霊を見たらしくて…。

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