収録に臨んだ、Little Glee Monster(撮影・桂 伸也)

ディズニー・チャンネルのバラエティ番組『マル★カツ定食』の収録に臨んだ、Little Glee Monster(撮影・桂 伸也)

 【取材雑感】平均年齢17歳の女子高生6人からなる、歌うま少女「リトグリ」こと、Little Glee Monster。力強い歌声と高度なアカペラを歌いこなす透き通ったハーモニーが特長で、2014年10月のメジャーデビューからメディア等で騒がれた。最近でいうと、自動車保険やアミューズメント施設のテレビCMで流れるアカペラが馴染み深いかもしれない。

 彼女達は、ディズニー・チャンネルのバラエティ番組『マル★カツ定食』に出演、5月には千葉県の某所で番組収録をおこなった。当日は同番組に出演するJAYDEE'S、劇団番町ボーイズ☆らと合同で撮影にのぞみ、撮影のチェック時間にできた合間の空き時間ともなると、どこにでもいるような女の子のようにケータリングに舌鼓を打ったり、無邪気に仲間と談笑したりしていた。その姿にはミュージシャン、アーティストというイメージはあまり深く感じられなかった。

 しかし、収録直前に彼女らがステージそばで、メンバー全員揃ってリハーサルをおこなっている姿が、非常に印象的だった。彼女らの存在に気が付いたのが、その時に発していた彼女らの声だった。そこにいたのは、先程見かけた「どこにでもいる女の子」という姿とは全く異なる面にある「プロの表情をした」女の子たち。メンバーそれぞれがお互いの声に耳を傾けて、正確なハーモニーを作り出そうとする表情は、真剣そのもの。その時に聴こえた声は、特に大きな音ではなかったが、騒々しいロケ現場の中でもしっかり抜けてくる、強さを持ったもの。それこそが私自身をハッとさせた要因だった。

 番組本編の撮影に入るとさらに様子は一変。楽しそうな雰囲気を目一杯に盛り上げようとする彼女らだったが、番組内でLittle Glee Monsterが紹介され、ステージに登場した彼女らが発したハーモニーは、寸分違わぬ正確な音程、そして迷いなくパン!と勢いよく飛び出してきたものだった。会場では初めて耳にしたその声に、大いにに驚かされた者も多くいたようだ。

 当然歌こそは彼女らの持ち味であるが、彼女らが唐突に発したその音は、同時に全く不安な様子が感じられなかったことにも大きな驚きを得た。恐らく普通のアカペラのコーラスグループであれば、最初は少しでもアイドリング的なタイミングを設け、少し弱い声から徐々に声の調子を上げていく場合が多いだろう。彼女らほどに必要な時に、サッとシャープなハーモニーを歌い上げられるようになるには、単に「歌える」というだけではまず無理。彼女らには「寝てても歌える」くらいに鍛練した様子すら見えてくる。

 例えばロックのようなインパクトのある音を生み出すのは、彼女らの携わるジャンルには難しいものであるかもしれない。しかし、この日その瞬間に聴いた音には、騒々しい音でもないのに、十分なインパクトを持っていた。その時私の頭にふと浮かんだのは「奇跡の歌声」という、彼女らのグループとしてのキャッチフレーズ。まさしくその瞬間を言い当てたような言葉とも思えた。

 ひょっとしたら彼女らより上手で、高精度なハーモニーを聴かせるコーラスグループはほかにもいるかもしれないが、このシチュエーションで聴いた彼女らの声は、私にはさりげない「奇跡」のようにも見えた。まだ高校生のメンバーだが、持ち味である歌には、プロ意識すら感じられる。(文・桂 伸也)

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