のん、内にも秘めた美しさ 舞台挨拶で感じたまっすぐ人柄
女優・のん(26)が『第32回東京国際映画祭』会期中の4日、都内で開かれた映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(12月20日公開)ワールドプレミアに出席した。
先日の同映画祭オープニングイベントに登場した際には、その美しさに報道陣からも驚きの声が上がったのん。その後もネットで話題になるなど、注目を集めた。
この日は、特別招待部門正式出品である同作並びに、のんへの注目度の高さがうかがえるように、会場となった劇場には通路に溢れるほどの報道陣が詰めかけた。その多さに、関係者が受付時に他の作品と間違っていないか確認するほどだった。
そうしたなかでおこなわれた舞台挨拶。のんは白の衣装で登場。オープニングイベントの際も白の衣装だったが、タイプが異なるもの。
いざトークが始まるとのんは、目の前の観客、報道陣の数に緊張をしているのか、斜め下を向いたまま。ただ、司会者が質問したり、片渕須直監の話にはしっかりとそちらに向いて聞いたり、話していた。
自身が作品への思いを語るところでは、手振り身振りを交え、たどたどしくゆっくりとした口調で話していた。しかし、自分の言葉で思いを語っている様子を見ると、この作品、自身が演じた主人公・すずに真剣に向き合ったことがうかがえた。
この舞台挨拶で感じたその姿は、この日のファッションと同じく、純白な真っすぐな人柄だった。退場するときも恥ずかしそうに前を見つめていたが、去り際、体を反転させ会場に向かい一礼。ドアが閉まる間際に控室が見えたが、安堵の表情をしていたのんの姿からはやはり緊張していたのだろうと感じた。
トーク中は、その場にピンと立ったまま。時折、笑顔も見せていたが、以前感じたあどけなさはなかった。一人の大人の女性として内にも秘めた輝きを放っていた。【木村武雄】
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本作は、こうの史代さんの同名コミックを原作した映画『この世界の片隅に』(2016年11月12日公開)を原型に新たにエピソードを盛り込んだアニメ映画。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向き、日々の暮らしを紡いでいく女性・すずの深い感情を描き出す。