アジア公演を経験して可能性を感じた
──もうライブではけっこうやっているんですか?
田口恵人 今作からは半分くらいやってます。ぜひたくさんの人に生で聴いてほしいですね。
高橋健介 ライブでは意地でも同期は使いたくないと思っているので、サンプリング音を生で出すためにパッドを叩いたりもしているんです。そういう新しいことにチャレンジするきっかけになっていますね。
──対お客さんという部分で、ライブや楽曲制作で意識することは?
高橋健介 楽曲制作に関しては、お客さんを意識すると言うよりも、僕らがやりたいことを表現している感覚です。
高橋海 作曲の時点でライブやオーディエンスのことを考えることはあまりないけど、ライブアレンジをするときに、ここでこういうアレンジを加えたら盛り上がるんじゃないかとか、演奏してる側もテンション上がるんじゃないかとか、そういうことは考えますね。
高橋健介 ライブアレンジで、原曲とはまったく変えてしまうこともあります。
田口恵人 お客さんのテンションもそうですけど、そのほうが僕らのテンションが上がるというのもあります。同じ曲をライブでずっと弾いてると、正直だんだん飽きてきちゃうところがあって。それでちょくちょく変えて演奏します。その違いにお客さんが気づいてくれたときは、すごくうれしいですね。
──ライブをやっていて、幸せだと感じる瞬間は?
高橋健介 僕は、ライブをやっている間は常にずっと幸せです。自分たちがやることに対して、リアルタイムで直に反応をもらえる仕事は、音楽以外にはなかなかないし。音楽をやれていることが、すごく幸せです。お客さんの楽しそうな顔をみたりとか、歓声をあげてくれたりとか、その瞬間がうれしいです。
田口恵人 その通りです。僕は、普段は内向的な性格なので、自己表現ができる唯一の場所がライブや音楽なんです。そういう意味では、ライブは生きる意味を感じさせてくれる場所だなって思います。
高橋健介 ケイティー(田口)は、ベースバカだから、ライブのグルーブやノリをすごく気にしてて、お客さんがノッてくれなかったときに、すごく責任を感じてしまうところがあるんです。だからお客さんが踊ってくれているときは、すごくテンションが上がってるんじゃない?
田口恵人 ああ、踊ってくれているときは、すごく楽しいです。踊れる音楽がそこで鳴っていたら、きっと自分も踊ると思うので、みんなにも揺れるだけじゃなくて踊ってほしいなって思います。
高橋健介 日本人は国民性としてシャイなので踊るということが苦手だけど、そこを僕らは変えていきたいし、音に身を委ねて身体を揺らすと気持ちいいということを、もっと広めていきたいですね。
高橋海 LUCKY TAPESって音源だとクールな印象を持たれることが多くて、そこは僕らの技量不足なところもあるんですけど、ライブはみんなのベクトルが同じ方向を向いて熱くなれる瞬間があるんです。オーディエンスとか演者とか関係なく音が鳴っている空間全体で一つになれる瞬間というのは美しいし、幸せだなと感じます。あの現象って、リハーサルでは得られないものだし。
高橋健介 ライブには、何か突き動かされるものがあると言うか。ライブ中の動きも計算したものではなくて、自然と体がそう動いてしまうんです。
高橋海 健ちゃんは、ライブ中、膝から崩れ落ちてギター弾いていることもあるもんね。それくらい憑依すると言うか、自分が入り込める瞬間は、ライブ以外にはないです。
──バンドとしての目標はありますか?
高橋海 先日、タイと台北、北京、上海での公演を行ったのですが、台北以外初めて行った場所なのにどこもオーディエンスが熱狂的で。日本語がわからないのに一緒になってシンガロングしてくれたり、音楽に対して素直にリアクションをしてくれるんです。中国は2公演とも単独公演で、ソールドアウトした地域もあったりして、4都市合わせて3000人を超える人たちが駆けつけてくれたことは予想もしていなかったし、正直僕らが一番驚いています。今作の5曲目に収録の「ENCORE (Voice Space) 」(Voice Space=タイ公演の会場名)に入れた歓声は、実際にタイ公演のアンコールで起きたオーディエンスの声をサンプリングして使っています。
LUCKY TAPESを結成した頃は、海外のことなんてほとんど意識していなかった。だけど今回のアジアツアーを経て、そこにとても可能性を感じたし、日本以外にも自分たちの音楽を待ってくれている人達がいるんだなと実感したし、これからはそういったところにも応えていきたい、いや、応えていかなきゃいけないと思っています。
(おわり)








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