中井貴一「8回くらい断った」新ドラマで弁護士役 条件付き出演
俳優の中井貴一が9日、神奈川・横浜迎賓館でおこなわれた、フジテレビONE/TWO/NEXT×J:COM共同制作の連続ドラマ『記憶』(21日夜10時~放送開始)の制作発表会見に出席。会見には共演者の女優・優香、松下由樹、今田美桜、俳優の泉澤祐希が出席し作品や役どころについて語った。多忙なスケジュールの中、撮影に臨んだという中井は「8回くらい断りました」と今作に出演するにあたり、順撮りにするという条件で出演したことを明かした。
『記憶』は中井演じる主人公の敏腕弁護士、本条英久が若年性アルツハイマーを宣告されるものの、最後まで尊厳を守り抜こうと闘う彼の姿と家族の姿を描く人間ドラマ。本作のオリジナルは韓国で“復習3部作”と言われる『魔王』『復活』『サメ』を生み出したパク・チャンホン監督と脚本家のキム・ジウ氏が韓国tvN10周年記念特別ドラマとして再タッグを組んだ感動作。
今作ではフジテレビ系ドラマ『HERO』などを手掛けた平野眞氏が演出を務め、総監督をパク・チャンホン氏が務める。また、森山直太朗が主題歌『人間の森』をドラマの為に書き下ろした。森山がドラマ主題歌を書き下ろすのはNHK朝の連続テレビ小説『風のハルカ』以来、約13年ぶりとなる。
今作について、中井は「韓国版は引きずられてはいけないと思い、観ていないのですが台本を読んで、久々に地上波でやるべきだと思える程、深く掘り下げた作品になっていると思います」と言い、今はコンプライアンスなどの問題でテレビ側が“忖度”している状況だと語る。そして「今は有料放送だからこういうこともできると思うのですが、僕らの世代は“テレビっ子”と言われて、本当にかじりつく様にテレビを観ていたのでこういうドラマが地上波ではどんどんできなくなっていることが寂しくて…」と時代の移り変わりを嘆いた。
母親が韓国版のファンで「面白いよ」と勧められたという、優香は「本当に深くて、劇中で夫の本条さんを支える妻の愛に胸打たれました」と語る。また大雪の日となった、撮影中に中井からラーメンの差し入れがあったという優香。「『中井さん、何て天使なんだ!』と思いました(笑)」と撮影を振り返った。
本条の元妻を演じた、松下は「中井さんとカメラの前に立つと、演じようとか、そういう頭で考えるよりもただそこに存在するといった感じで撮影できたので本当にありがたかったです」と中井との共演で自然な演技ができたと明かす。
また、本条とバディを組む、若手弁護士を演じる泉澤は「シリアスな場面が続くのですが、パッと明るくなるキャラも出てきてそういう場面場面の移り変わりも観て頂けたらと思います」と見どころを語った。
ドラマのオファーを8回くらい断ったという中井。「生半可な気持ちでやってはいけないと思って、スケジュールを見ても到底無理だと思ったので。器用ではないので、一つの役に掛かりっきりになるんです。僕はやらない方がいいですと8回くらい断りました」と明かす。
さらに今作に出演する上で条件を付けたといい、「リメイクなので、スケジュールなどの都合で1話撮った後に、10話を撮ったりできるのですが、順撮りにして欲しいと。全員が順番に撮って行った方が感情が自然に入っていくので、その方がこのドラマは成功するんじゃないですかと提案しました」と順撮りにこだわったと話す。
タイトな衣装が多かったという今田は「ストッキングも20デニールくらいで寒かったですね…」と寒い中での撮影を振り返った。正月明けに、今田と話したという中井は「九州出身だというので、『お雑煮の具は何なの?』と聞いたら、『お雑煮は何?』と言うので、『いや、種類。おすまし?』と言うと、『おすまし??』といった感じで全部質問が質問で返ってきたので話が一向に進まなくて(笑)」とエピソードを明かす。
さらに「僕はあまり世代の差とか感じたことはないですけど、その時は凄く感じましたね」と語り、会場も笑いに包まれた。今田は「世の中知らないことが多すぎて…すみません」と頭を下げた。
アルツハイマーを扱う本作。忘れたくないことについて中井は「自分が生きていたんだ、という記憶だけは持っていたい」と話す。泉澤は「中井さんと出会えたことは忘れたくないです。色んなことを教えて頂いたんで」と言うと、中井が「嘘っぽいな(笑)」とすかさずツッコんだ。
最後は中井の指名を受けて、泉澤が「素晴らしい作品になっていると思います。葛藤や家族愛などをふんだんに盛り込んだ物語になっていますので是非ご覧になって下さい」と呼びかけ記者会を締めくくった。【取材・撮影=松尾模糊】