狼煙を上げる、SWANKY DANK 結成10年一貫した想い込めた1枚
INTERVIEW

狼煙を上げる、SWANKY DANK 結成10年一貫した想い込めた1枚


記者:長澤智典

撮影:

掲載:17年10月01日

読了時間:約13分

「『未来しか見てない』変わらない想いを詰め込みました」と今作への想いを語るSWANKY DANK(撮影=片山拓)

 4人組ポップ・パンク・バンドのSWANKY DANKが27日に、アルバム『Smokes』を発売し、メジャーデビューを果たした。同作には「俺たちがこの世界に自分たちの存在を知らしめてやる=狼煙を上げる」という意味が込められているという。2007年に兄のYUICHI(Vo、Gt)と弟のKOJI(Vo、Ba)によって結成され、今年で結成10周年を迎える。しかし、YUICHIは最初に作ったアルバムから言いたいことは一貫していると言い、「『未来しか見てない』変わらない想いを詰め込みました」と今作への想いを語る。今回は、KOJI、YUICHI、KO-TA(Gt)の3人に話を聞いた。

現在のメンバーの音を詰め込んだ

(撮影=片山拓)

――SWANKY DANKは、今年で結成10周年を迎えるんですね。

KOJI バンドとしては10年ですけど、今のメンバーになってからは4年くらいですね。

――アルバム『Smokes』を聞いていて感じたのが、どの歌にも「ここから突き進んでやる」「攻めてやるぜ」という強い意気込みを詰め込んでるなということです。

YUICHI その通りです。タイトルの『Smokes』も、「俺たちがこの作品を通して狼煙を上げてやる」という意味合いで付けた言葉。同時に、俺らにとっては原点回帰と言いますか、今回のアルバムがメジャー移籍一発目だったんで、1stアルバムを作る気持ちでこの『Smokes』を作りました。まさに、こっからまたやってやろうみたいな。

KOJI 「ここで一回区切りを付けるのと同時に、こっからもう一度スタートしよう」という意味合いでこのタイトルを付けているので。

――この10年間の中、音楽的な変化もいろいろあったのでしょうか?

YUICHI 10年間の日々の中、いろいろ音楽的にはやってきましたし、その中で音楽面でもいろんな変化はしてきました。この10年間で出した1枚1枚の作品ごとに個性を詰め込んできたのも事実です。中でも、去年8月に出したミニアルバム『it is WHAT it is』は、すごくテーマがはっきりしていて。それが、「俺たちの中にあるポップパンクをすべて出しきってやろう」ということで。その意気込みを持ってリリースして、その作品を手に47都道府県ツアーをやって。

 ツアーをやっていく中で、またいろいろと感じることがあったので、「じゃあ、その感じる想いや疑問も一度フラットにして、自分たちの中から湧き出てくる素直な感情を」というか、「原点回帰した気持ちや初期衝動を出したままに作品を作ろう」として作りあげたのが『Smokes』なんですよ。

――原点回帰ということは、良い形でひと回り出来たということでしょうか?

YUICHI それはある。しかも、ひと回りし原点回帰しながらも、その実はしっかり前へと進んでいる。何より、楽曲のレベル面でだいぶ進化しているなという手応えは自分らでも感じてることで。

KOJI 10年間でひと回りというよりは、今のメンバーになってからの4年あまりの日々の中でひと回りしてのことで。今の4人になる前のSWANKY DANKの音楽と、この4年間、今の4人で作りあげたSWANKY DANKの音には違いがあるから。

YUICHI そうだね。

KOJI この4人だからこそ作りあげることの出来た音楽が、4年間の日々の中にはいろいろとある。『Smokes』はその4年間の集大成であり、そこを踏まえて新たな衝動も詰め込んでいて。だからこそ、「この4人でしか出来ないサウンドがここには詰まってる」という意識が強いんだと思う。

電子ジャーを持ち歩いて楽屋でご飯を炊く

(撮影=片山拓)

――47都道府県ツアーをおこなった経験は、バンドにもいろんな刺激を与えましたか?

KOJI あの経験を通して、メンバー間の気持ちの繋がりは深くなったと思う。同時に、メンバーひとり一人の思うSWANKY DANKの中でやらなければいけないこともすごく明確になったなと思います。

――日程面では、かなりハードだったんじゃないですか?

KOJI すげぇハードでしたね。1カ月、自宅に帰ってこれなかったりとか…。

KO-TA メンバーみんなの絆を深めようということから、電子ジャーを持ち歩いては、よく楽屋でご飯を炊いて食べてたり(笑)。

――もしや、宿泊も車中で?

KO-TA 泊まりだけはホテルを取って、各自のプライベートな時間は作ってました。
YUICHI さすがにもう車中泊はしんどいからね。

――でも、自炊するところはさすがですね。

KO-TA 自分が米炊き当番だったんです。前日から米を水に浸しといてと準備をしたり、炊き込みご飯を作ったりと、ご飯もツアー本数を重ねるごとに進化していった感じで。

YUICHI ツアーも後半へ向かうにしたがい、ご飯も豪華になっていた(笑)。とくに、自炊話をMCのネタにし始めてからは、ご飯のおかずをいろいろ差し入れてもらったり、その情報を知ったそれぞれの地元の人たちが差し入れをくれたり。ウニの味噌汁とか、あれは豪華だった。

KO-TA 高級な佃煮とか。

KOJI 楽屋で弁当を買ってきて食べてた対バンの人らが、「そっちのご飯のほうが豪華だから、ちょっと食わせてよ」と言ってきていたくらい。

KO-TA ライブを通してバンドの音や演奏も、飯も進化していったな。

YUICHI 文字通り、同じ釜の飯を食って絆も深まったのは間違いないね。

KO-TA 47都道府県ツアーはきつかった面もあったけど、ホントやって良かったなと思っています。

「これがSWANKY DANKだ」という狼煙

(撮影=片山拓)

――『Smokes』は、疾走感を持ったメロディックなパンクナンバーをギュッと詰め込んでいます。同時に、イントロ面にラウドな要素やレゲエやダブな効果などを加えたりといろんな遊び心も反映させていますね。

YUICHI そこも、初期衝動に導かれてのことですね。「やってみたかったことをいろいろやった」結果、物凄く濃い作品になったなと思う。何より、これまで経験したレコーディングの中でも一番気負いなく楽しめた。

KOJI 中には、いろんな実験もあったしね。

YUICHI 次々と転調していく曲もあれば、「Colors」では別々に作っていた楽曲をくっつけて一つにしてみたり。それだって衝動に任せてのこと。とにかく、初期衝動として「こうやってみたい」と感じた事柄を詰め込みまくったのが『Smokes』。結果、今までのSWANKY DANKにはない、ひと癖もふた癖もありながら新しいSWANKY DANKの可能性を提示出来たと思う。それこそ「これがSWANKY DANKだ」という狼煙をあげた作品になったなと強く感じています。

――初期衝動こそ大切だったんですね。

YUICHI そうですね。「Obedeience」でメタル要素の強いフレーズを入れたのだって、「メタルチックなフレーズをギター2本でハモッたら格好良さそうだからやってみてぇ」という気持ちからだったし。「KOJIの持つR&Bテイストの歌い方も際立たせたいから、ここの部分はこういうサウンド感にしよう」など、とにかくやりたいことをやり切った感覚が強かった。

 普通メジャー移籍第一弾となると、変にそこを意識してしまうんだろうけど、うちらに関しては、メジャーという環境を意識することはなかった。それよりも、やりたい衝動のまま、とことんまで突き詰めきった。まさに、そんな感じでした。

――今回、メジャーへ移籍したわけですが、環境の変化をメンバー自身はとくに感じてない?

KOJI きっと無意識の中で、感じているところはあるんでしょうけど。気負ったら良い作品が出来なくなると思っていて。いつも通りの自分たちで制作へ臨んでいるので、環境面でも大きな変化は感じてないです。

YUICHI むしろ、応援してくれる仲間が増えたって感じ。

KOJI そうだね。レコーディングの話に戻るけど。俺ら自身が今、新しい挑戦をいろいろしたかった。曲によっては、友達のプロデューサーを呼んで、一緒に作ったり。むしろ周りは、「こういう挑戦が出来ないか?」と言ったことをいろいろやらせてくれた。そこがデカかったね。

――歌詞には、今の自分たちの強い意志を描いた内容を多く含んでいるように感じました。

YUICHI 今回の制作に当たって、SWANKY DANKが初めて出したアルバム『SWANKY DANK』の歌詞を改めて読み返して。そのときに感じたのが、「あの頃から自分たちの伝えたい気持ちは一貫しているな」ということ。もちろん、この10年間という日々の中で培った表現のテクニックも…それこそ、韻を踏むなどの巧みな書き方なども活かした上で、『Smokes』へも「未来しか見てない」変わらない想いを詰め込みました。

――SWANKY DANKは英詞と日本語詞を巧みにミックスしています。その辺は、どう意識しているのでしょうか?

YUICHI そこも、メロディに乗せて湧き上がる感覚を信じてというか。そのメロディにハマる言葉を乗せた結果、そこが英詞だったり日本語の歌詞になっていく。ホント、そこは「感覚」という言葉が一番正しいのかも知れない。

――改めてメンバー自身はどんな感触を覚えています?

YUICHI 良い手応えをつかんだ1枚であり、新たな気持ちもつかむことのできた作品。同時に、今の自分たちが出来ることを出し切れたように、これから先のSWANKY DANKのステップになる1枚になると思うし、「これが俺たちなんだ」という狼煙を上げた、すごく自信を持てるアルバムです。

――KO-TAさん、これから始まるツアーでは炊飯器を使って何を作ります?

KO-TA これから始まるツアーは冬に向けてなんで、鍋でも用意して持っていこうかなと…。えっ、この話でいいの?(笑)

――いやいやいや、アルバムの手応えをお願いします。

KO-TA 楽曲のバリエーションも豊富ですし、アレンジにもいろんなパターンがあって、SWANKY DANKの本当に美味しいところを抽出し濃縮還元した作品に出来たと思っています。

KOJI この4人になって今年で4年目。その4年目にメジャーで挑戦出来るチャンスを得られたことが、ここまでSWANKY DANKとしてやり続けてきて良かったなと思えること。しかも、自分たちの好きなように作り上げたアルバムを一発目として出せる。何より、自分たちの出したいものすべてを11曲の中に詰め込めました。

 だからこそ「俺らはここにいる」という狼煙を上げたわけだし、「俺らSWANKY DANKはここにいるんだぜ」と気づいてもらえる作品になったなとも思っています。

――最初から「狼煙を上げる」という意識を持って制作に臨んでいたのでしょうか?

KOJI 「狼煙を上げる」という想いは、楽曲を作ってアルバム制作へと進めていく中で出てきた言葉でした。理由は、「メジャー一発目でやるのなら、まずは俺らのことを知ってもらうのが大事じゃないか」「名詞変わりになる」「俺らみたいなバンドがいるんだというのを絶対に知って欲しい」と思ったことから、このタイトルにしました。

いつか絶対に歯車は上手く動きだす

(撮影=片山拓)

――この10年間、かなり濃い日々を過ごしてきたんでしょうね。

KOJI そうですね。でも、続けてきたからこそ新しい挑戦も出来るし、新たな仲間たちにも出逢えた。10年間という日々に俺らは誇りを持っています。

――決してあきらめることなく続けていく意志は、ずっと強くあった?

KOJI 正直、「辞めたいな」と思うことは何度もあって。以前は、3ピースバンドとして活動していました。そのドラマーが辞め、俺ら2人でしか活動出来ない時期が何年も続いていて。その頃はバンドスタイルでライブが出来ないから、アコースティックなスタイルでライブをやったり。「このままの形なら続けてても意味ないんじゃねぇ?」と思ったり、互いにそこを真剣に話しあった時期もありました。

 それでも続けていく中で、SHUNやKO-TAと出会い、今のメンバーで4年間活動できていて。こうやってメジャーへ挑戦できる環境まで辿り着けた。それも、辞めずに続けてきた成果だなと思っています。

YUICHI 4人のメンバーとしての10年で語るなら、SHUNもKO-TAも、SWANKY DANKと対バンしてきたバンド仲間です。それこそ互いに9年くらい前から対バン相手としてずっと知り合いだった関係なんですよ。SHUNもKO-TAも最終的に、SWANKY DANKという場所を選んでくれた。そこへ辿り着くまでにも、互いにいろんな関係性があってのことだったので。

――2人は、SWANKY DANKを解散して違うバンドではなく、ずっとSWANKY DANKいう場を守り続けたかったと。

YUICHI そうですね。俺は頑なに守りたいなと思っていました。さっきKOJIも言ってたけど、バンドスタイルでライブが出来なくなった時は2人で「辞めようか?」という話をしてたんですよ。でも、「歌いたい」気持ちを抑えきれなかった。何より、「SWANKY DANKとして歌うことで、たとえ一人でも楽しんでくれる人がいるのなら辞めるべきじゃない」と感じて、それでアコースティックなスタイルでライブを続ければ、サポートドラムをお願い出来るときはバンドスタイルでもライブをやってきたわけで。

 あの頃は、「こんなことやってても意味あんのかな?」という話もしていました。同時に、「歌い続けてれば、それがどんな形であれ、いつか絶対に歯車は上手く動きだす」という話も繰り返していて。そうやって自分らを信じて活動を続けてきた結果が、今に繋がったわけなので。

KO-TA 僕もSHUNも、2人の男気に惚れてSWANKY DANKに加入しているからね。

でっかい狼煙をShibuya O-EASTにあげたい

――今年活動10年目とはいえ、まだまだ攻める意識が格好いいなと思います。

YUICHI 10年目って、ちょうど節目の年。これまでの10年間の中、悔しい経験やむかつく想いもしてきたし、怒りを原動力にしてきたこともありました。だからこそ、「俺らのこの10年間を見てみろよ!! 簡単に進んできたわけじゃねぇぞ、そういう俺たちがここに居るんだぞ」と、改めて今、力強く狼煙を上げたい。もちろん、ここから新しい挑戦をしてやるという意気込みも強いけど、何より、これまでの10年間の俺らを見てみろよと思う部分も強くあります。

 これからSWANKY DANKは『Smokes』を手に全国各地をまわるわけで。今度は、お客さんたちと一緒にライブの場を通して『Smokes』というアルバムを完成させたい。それを作りあげるのが今回のツアーの目的でもある。

――SWANKY DANKは、ライブも数多く演っていますよね。

KO-TA 去年も、年間150本以上はやったかな?

YUICHI ライブは、いつだって演っていたいこと。長いツアーになると、時にはホームシックにもなるけど。その土地、その土地でのいろんな出会いを通し人として成長していける。俺らは一期一会の出会いを求めて各地へライブをしに足を運んでいて。それこそ、30分や40分のライブのために、ときには何十時間とかけてその場所へ向かっています。

 それは何でかっていうと、「俺たちは、その30分や40分のライブのため、命を削りながらぶつかっていたいし、それをやることが俺らの人生だから」。そのために生きたいからこそ、俺らはバンドをやってるんで。

――これから始まるツアーへも、その意識を持って臨んでくわけですね。

YUICHI もちろん。各地へしっかりSWANKY DANKの狼煙をあげたいなと思っています。しかも今回、ツアーのファイナル公演は、今年挑戦しながらもソールドアウトまで手の届かなかったShibuya O-EAST。今度こそしっかりソールドアウトという成果を導きだし、最期にでっかい狼煙をShibuya O-EASTにあげたいなと思っています。

――では、これから始まる全国ツアーへ向けて一言お願いします。

KOJI SWANKY DANKのDANKという名前はライブハウスのことを指した言葉です。ライブハウスは、常に俺らに出会いをくれる場。そんな俺らのホームグラウンドとなるライブハウスで、一緒に楽しんで欲しい。そこに来ることで、絶対に『Smokes』というアルバムに込めた俺らの想いも伝わるはずだから。

KO-TA 『Smokes』というアルバムは、ライブですごく映える楽曲が多い作品。音源を聞いて、ぜひライブに足を運んで欲しいです。ライブを通して初めてSWANKY DANKに触れ、そのうえで『Smokes』に触れても絶対に楽しめる。どっちのスタイルでもいいから、まずはSWANKY DANKに触れて欲しい。

YUICHI バンドにとってライブとは命を削る作業。自分たちの生きる時間のすべてを、毎回のライブへ注ぎ込むもの。そうやって1本1本のライブへ、俺らは魂を削ってぶつかっている。

 今回、初日とファイナル以外を対バンにしたのは、俺ら自身がまだまだ同じ命を削ったバンド連中から刺激を受けたいし、逆に俺らも刺激を与えたいから。互いにライブという空間で勝負をしながら、刺激という緊張感をもっともっと得ていたい。その「負けてらんねぇ」という気持ちが俺らの原動力だし、その気持ちを持って俺らはステージに上がり続けてたいなと思ってます。

【取材=長澤智典/撮影=片山拓】

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