金子理江(19)と黒宮れい(16)から成る2人組アイドルユニットのThe Idol Formerly Known As LADYBABYが、27日にメジャー3rdシングル「Pinky! Pinky!」をリリースした。2015年リリースのインディーズデビュー曲「ニッポン饅頭」の動画再生数が瞬く間に1000万回(2017年9月現在は2100万回)を超え、NYやロンドンでライブを行うなど海外でも高い評価を得た。2016年に現在の2人組となって、シングル「参拝!御朱印girl☆」でメジャーデビューした。今作「Pinky! Pinky!」は“指切りげんまん”をテーマにした楽曲で、メンバーは「ファンと何か具体的な約束(指切り)はしていないけど、ファンの気持ちには応えたい。誰もが知ってるくらいの存在にはなりたい」と話す。激化するアイドルシーンの中で、揺れ動きながら一歩ずつ成長を見せる2人の姿が反映された曲になった。金子は「自分たちの気持ちの入ったものを発信していかないと、ファンの人たちはついて来てくれない」とこれからの道をしっかり見据えている様子。2人に新曲と今後の活動などについて聞いた。
未来は不確実だけどファンの気持ちに応えたい
――「Pinky! Pinky!」はハードなロックサウンドですが、最初に聴いた時の印象は?
黒宮れい 最初にれいたちに送られてくるのは、デモの段階なんですけど、最初はけっこうポップだなって思いましたね。重低音の部分もあるけどポップな部分も多くて、一回聴いたら覚えやすいし、そこがいいところだなって。それで完パケしたものを聴いた時は、すごく格好いいサウンドになっていて。
金子理江 完成したものは、LADYBABYっぽいなと思いつつ、どこか挑戦的な部分もあって。曲調が目まぐるしく変わっていくんですけど、今までの曲もそういう部分があって、そこが今回は特に印象として強いなと思いました。その分いろんな場面を楽しめるので、ファンの人にもライブでいろんな楽しみ方をしてもらえる曲だと思います。
――8月に開催した「ネオ・ダダイズムパレードvol.4」で初披露した時は、どんな感じでしたか?
黒宮れい 初披露の時は、歌詞がちゃんと出てくるか少し不安な部分もあったんだけど、ステージに立ったら意外とスッと出て来て。それはきっと、歌詞が「二人で支え合う」とか、そういう内容だったからだと思うんですね。そういう部分では、すごく私たちの等身大の歌だなと思います。最初は日本の文化をテーマにしていたけど、少しずつシフトチェンジして、歌詞で私たちの関係性のことを歌っていたりとか、すごく身近な内容にどんどんなって来ていて。そういう部分では、感情を乗せやすいですね。
――“指切りげんまん”がテーマになっていますね。
黒宮れい 指切りげんまんって、小指を切って送ったのが由来って、怖いですよね。もはやホラー。そういう歌詞を歌うのは、いつも私の担当です(笑)。でも指切りって、海外でも通じるのかな?
金子理江 国によって、あったりなかったりじゃない? 小指で指切りするのとは違うけど、韓国には別の形で同じようなのがあるし。フィリピンには指切り的なもの自体がないし。
――グループ内で何か約束ごとってありますか?
金子理江 あった?
黒宮れい ないよね。
金子理江 常識的にそれは守って当たり前でしょ? ということでさえ守れるか危うい二人なんで(笑)。
黒宮れい 縛られたくないし。
――ファンとの約束は何かありますか? みんなで武道館を目指そうとか。
金子理江 具体的にどこにとか、そういう話はしてないです。
黒宮れい 最初から大きな目標を掲げるよりも、一歩ずつでいいかなと思っています。それにゴールを決めてしまうと、ゴールしたらまた次のゴールを定めることになるわけで、短距離に見せかけて実は長距離というのが超嫌いです(笑)。でもライブは楽しいし、生きがいだと思っていますよ!
――20代とか30代になった時に、どうなっていたいとか考えたりしないですか?
金子理江 考えたことない(笑)。今はまだ、すぐ先のことしか考えられないです。未来は不確実で、自分たちではどうにもならないこともあるし。2〜3年やって来たけど、せっかくここまでやって来たし、私の十代後半のすべてを費やしてきたし。だから行けるところまで行きたいという気持ちもあって。ただ、その行けるところというゴールは、特に何も決めてなくて。でも、誰かに「LADYBABY知ってる?」って聞いて、みんなに知ってると言ってもらえるくらいにはならないとなって思います。ファンはそうなって欲しいと思ってくれていると思うし、私たちもその気持ちには応えたいと思っています。
作られたものをきっちりこなすだけがプロとは思わない
――通常盤の3曲目に収録の「Generation Hard Knocks」は、ミディアムバラードのロックチューンでかっこいいですね。
黒宮れい インディーズ時代の「SCHOOL OF HARD KNOCKS」という曲があって、作詞家のNOBEさんが書いて下さった曲なんですけど、今回の「Generation Hard Knocks」もNOBEさんが書いてくれて。だから「SCHOOL OF HARD KNOCKS」の姉妹曲みたいな感じです。
「SCHOOL OF HARD KNOCKS」は、学校のことをテーマにして歌っていて、今回の「Generation Hard Knocks」はうちらの年齢のこととか、等身大のうちらのことを歌った内容になっていて。そこは、前からのファンにとっては、時間が経ってうちらが成長したことを感じてもらえると思います。
金子理江 2曲目のSNSをテーマにした「Me! Me! Me!」も含めた3曲全部好きですけど、「Generation Hard Knocks」は、歌詞も曲調も、自分たちの感情を入れやすかったです。聴いてすぐ「好きだな〜」と思ったから、すぐに歌詞を覚えられたし、レコーディングの時も、すごく気持ちを込めることが出来ました。
――こういうバラード系の曲は、ステージではどんな気持ちで歌っているのですか?
黒宮れい れいは、ステージで歌詞を間違えないか心配な気持ちで(笑)。
金子理江 理江は、音を外さないかが心配で(笑)。LADYBABYの曲って激しいものが多いし音も強いから、いかにそれに負けないようにするかを考えて歌っていて。それが突然バラード系になると、いきなりポツンと立っている感じになって、音程とか歌い方の調整が分からなくなってしまう時があって。
――バラードの曲で、歌の出だしは緊張しますよね。
金子理江 ドキドキですよ。「Generation Hard Knocks」は出だしが私だし、もともと声をガーッて出すのが得意ではないから…得意ではないって言っている場合じゃなくて、練習すればいいんですけど、それで今はボイトレにも行っていて…。それでいつもれいに、「大丈夫かな?」って。れいは「大丈夫だよ。理江はもっと自信を持ったほうがいい」って言ってくれるんだけど。
黒宮れい そうだよ。理江は自信がないだけで、歌えるんだから。
金子理江 音をハズしたり、歌が下手だったり、ダンスが出来ないとか、そういう面がパフォーマンスに出てしまった時に、自分が痛いヤツだと思ってしまうんです。「何でこんなのでお金をもらってるんだ、自分は」って。そういうアイドルは嫌だと思ってやって来たくせに、自分がそう思われたらどうしようって。こんな歌えないやつのために金を出すのは嫌だと思われたら、どうしようって。でも、それをネガティブに受け止めるんじゃなく、今までもそれを自分の成長に繋げて来たんですけど、こういうちょっと難しい曲の時は、つい弱気になってしまいますね。
――黒宮さんは、BRATSというバンドの活動もやってるので、歌には自信があるんですよね。
黒宮れい ないですよ。別に自分で歌が上手いと思ってないし、周りも上手いと思ってる人はいないんじゃないかな。
――でも上手いんじゃないですか?
黒宮れい やめてくださいよ。上手いって思われると、変にハードルが上がっちゃうんで(笑)。
金子理江 うちらは、自己評価が低すぎるんだと思います。
黒宮れい 相対評価が過剰に高すぎるんですよ。
――それぞれの中でそうやって緊張やプレッシャー、ストレスが積み重なった時には、どうやって発散をするんですか?
金子理江 私は地元に帰ります。地元にいる時の自分が、ちょっと前までの現実で、別に芸能界でずっと生きていたわけじゃないので、地元にいるとやっぱり気持ちが穏やかになります。大人の方が、駄菓子屋さんに行って懐かしさにひたる気持ちと近くて。次にまた仕事に戻る前の、ちょっとした休憩場所と言うか。前は何も考えずにやって来たけど、もうそれが無理なことも分かっていて。でも、それは悪いことじゃなくて、いい意味で自分が少し大人になった証拠なんだろうなって。
黒宮れい れいはずっと実家住まいだから、そういう場所はないんだけど。でも、あまりストレスを感じないです。ノンストレスです。怒ることもないし。怒ること自体がエネルギーを使うしストレスになるし。何であるんでしょうね? 怒るっていう感情が。もうそんな感情は捨てて、私は釈迦になりたいです(笑)。
――黒宮さんが釈迦になったら、LADYBABYがつまらなくなりそう。LADYBABYは破天荒なところがいいから。
黒宮れい 破天荒なのは表ですか? 裏ですか?
――両方(笑)。
黒宮れい 両方か〜。うちらヤバイですね(笑)。
金子理江 でもLADYBABYって、今の2人体制になってまだ1年経っていなくて、ファン層もがらりと変わったし。まだ2人になって掴めていないところがたくさんあって。そんな中で私は12月で20歳になるし、れいはまだ10代だし、これからもっと成長して行けるんじゃないかと思います。
黒宮れい うちも11月で17歳になるし。
金子理江 自分たちの出来ることと、出来ないことも分かるようになってきたし。破天荒なのかヤバイのか、見られ方は置いてといて、自分たちのやりたいことを、これからもやり続けたいとは思っています。ちゃんと自分たちの気持ちの入ったものを発信していかないと、ファンの人たちはついて来てくれないし。作られたものをきっちりこなすだけがプロだとは思わないので。
【取材・撮影=榑林史章】
作品情報The Idol Formerly Known As LADYBABY ■初回限定盤【CD+DVD】1667円(税抜)KICM-91810 ■通常盤【CD】1111円(税抜)KICM-1811 |