4人組ロックバンドの四星球(スーシンチュウ)が、30日にメジャー1stシングル「お告げ 〜さあ占ってしんぜよう〜」をリリース。2002年に結成し、現在は北島康雄(Vo)、まさやん(Gt)、U太(Ba)、モリス(Dr)のメンバーで活動している。泣けて笑える楽曲が話題を呼び、数々の大型フェスへの出演を経て、今年1月にアルバム『メジャーデビューというボケ』でメジャーデビュー。「お告げ 〜さあ占ってしんぜよう〜」は、楽曲と笑いをミルフィーユ状にして13トラック収録した作品で、「アイデアの無駄遣いだけど、1作1作濃い作品にしたい。カルピス原液みたいな」と話す。コミカルな活動について「いかに想像して楽しんでもらえるか、実写化不可能な曲を作るべきだと思っています」とその信念を語る。一風変わった本作の制作経緯や、バンドに対する想いなど話を聞いた。
神戸の変態バンドシーンのルーキー
――四星球は、最初からこういうコミカルな音楽性ですか?
北島康雄 最初は、青春パンクみたいな感じでした。地元の徳島県外でライブをすることが増えていくうちに、いろんな面白いバンドと出会って、面白い部分ばかりが触発されて今の状態になりました。
――出会った面白いバンドと言うと?
北島康雄 例えば“巨乳まんだら王国”とか(笑)。
U太 神戸に、変態バンドが集まってオールナイトで遊ぶ、変態バンドシーンがあって。他には、花団とかセックスマシーンとか。そんなバンドシーンの中で、僕らは「変態バンドシーンのルーキー」として期待されていたわけです。
――まず、白いブリーフとハッピという衣装が変態ですよね。
北島康雄 ブリーフは、最初は僕だけでした。他のバンドと同じことはしたくないと思って、ブリーフ一丁でライブをやるようになって。その4カ月後には、みんなブリーフになっていました。
それである時、変態系の先輩から「ブリーフだけでは、この先はやっていけないだろう」ということで、ハッピをいただきました。ブリーフ一丁よりは、受け入れられやすくなるだろうと。
――ハッピを着ることで、変態性が緩和されたと。しかしモリスさんは、ブリーフではないですね。
モリス 他の3人はシュッとしているので、ブリーフでもまだ清潔感を保てていると思いますが、僕がブリーフを履くと、本当に“ただの変態”になってしまうので(笑)。それで、虎柄のパンツを履かせていただいていますが、これは“高木ブーさんイズム”の継承で…。
北島康雄 でもモリスくんは、男性が好きな男性から人気があるよな。
モリス まあ、悪い気持ちはしないです。
――楽曲は青春パンクをルーツに感じますし、キャッチーなメロディラインなどは、J-POPやJ-ROCKが根底にありそうですね。
まさやん 僕がバンドを始めたきっかけは、それこそブルーハーツでした。そこからだいぶブレましたけど(笑)。
U太 僕は、90年代のヴィジュアル系ですね。
北島康雄 僕もブルーハーツが好きだったし、90年代の渋谷系もすごく好きでした。90年代に中学生だったので、その当時は等身大より、もうちょっと背伸びをした音楽を好んで聴いていました。
モリス 僕はスピッツさんがずっと好きです! 特に「スピカ」の歌詞がすごく好きで、僕の人生の支えになっています。スピッツさん、30周年本当におめでとうございます!
今は“第二初期衝動”の時期
――メジャー1stシングル「お告げ 〜さあ占ってしんぜよう〜」は、全13トラック48分収録という大ボリューム。そもそもどんなところから、こういう作品を制作しようと?
北島康雄 ライブでお客さんが手に持って一緒に楽しめるアイテムとして、ラッキーアイテムを特典に付けたパッケージにしたいと思っていて。それで、ラッキーアイテムからの連想で、神様や占いをテーマに歌詞を書いていこうと。その流れで、以前にアルバムで1年をテーマにした、12カ月分の曲を作ったことがあったので、じゃあ、いっそ12星座の曲を全部作ってカップリングにしたら面白いのではないかと思って。その頃には、ラッキーアイテムのことはどこかに飛んでしまっていて、曲だけが残ったという経緯です。
――しかし占いというテーマ一つで、13トラックというのはすごいですね。
北島康雄 今、“第二の初期衝動”と言うか…。19〜20歳の時は、初期衝動で何でも歌詞に書けたけど、今は別の意味で何でも書けると思っています。大人になると、若い頃には気づけなかった、いろんな捉え方が出来るようになるので、一つのテーマでいろんな角度から書けるようになって。それが、今回は「占い」というテーマでした。
まさやん 何か、お題や課題、テーマをいただいたほうが燃えますね。
――じゃあ次は、“干支”で作ってみては?
北島康雄 12コ縛りは、もうやめましょう(笑)。
――13トラックの中には、曲もあれば、声によるネタと言うか、コントのようなトラックもあって。ラジオ世代と言うか、完全に耳で聴いて想像して楽しむ作品だなと思いました。
北島康雄 実際に中学生の時は、ラジオもよく聴いていましたからね。昔は、絵が浮かぶことを大事に作っていましたが、今は絵がないからこそ作れることを大事にしています。例えばKEYTALKの八木優樹くんが参加してくれた、「山羊座『哺乳類星座会議 feat.八木優樹』」というトラックは、ヴィジュアルでは作りにくいけど、声と音だけなら成り立つわけです。こういうコミカルなバンドをやっている意味を考えると、いかに想像して楽しんでもらえるか、実写化不可能な曲を作るべきだと思っています。
――チャットモンチーの橋本絵莉子さんがゲストボーカルの「乙女座『蛍の影feat.橋本絵莉子』」は、普通に良い曲ですね。
北島康雄 同じ徳島出身で、ライブハウス時代によく対バンしていました。彼女たちは20代前半で上京したので、一緒にやっていた期間は4年くらいです。でも、僕らが東京でライブをやる時は見に来てくれて、以前から一緒に何かやりたいと思っていて。
去年チャットモンチーさんが、結婚式場を借りてディナーショーをやった時に、司会をやって欲しいとお話をいただいて。一人でチャットモンチーさんのチームに飛び込んでいった時、雰囲気も良かったし、やりたいことをやれているのだなと感じて。その時に、一緒にやるなら今のタイミングしかないと思って、今回のシングルで一緒にやりたいと話をしたら、すぐOKの返事をくれました。えっちゃんが歌ってくれて、本当に嬉しかったです。チャットモンチーさんのファンの方にも聴いて欲しいです。
アイデアの無駄遣いをしたい
――「お告げ」は、ライブではどんな風にやっていますか?
北島康雄 後半で曲調が変わる部分は、ライブごとに違ったアレンジを施してやっています。ライブでそういうことがしたくて、作ったようなところもあるので。
U太 後半の変化がより分かりやすいものにしたくて、逆に前半は分かりやすくシンプルにしようと思って、ギターリフやリズムを考えました。
――ライブでは、手作りのセットみたいなものも出て来ますが、あれはみんなで作っているのですか?
まさやん 僕一人です。ライブでこういうネタをやりたいから、こういうものを作って来て欲しいと話をもらって。これまでに作ったのは、伝説の生き物シリーズでケンタウロスやマーメイド。乗り物シリーズでは、新幹線や車。あと変わったところで、明太子。
お笑いのもう中学生さんとは、一度お話をしてみたいです。大変さとか、すごく共感出来そうで(笑)。
(*編注=もう中学生:イラストを描いた段ボールなど自作の大道具・小道具を使用した一人コントをするピン芸人)
北島康雄 でも、まさやんが自分で作りたいものは、一度も作ったことがないという(笑)。
まさやん 下請け工場か!
――今後はどういう気持ちで活動をして行きたいですか?
北島康雄 今回は、シングルだけど13トラックも収録していて、もうちょっと頑張ったらミニアルバムを作れていたのではないかな? とも思います。でも、そういう“無駄遣い”を、今後もどんどんやっていきたいですね。アイデアの無駄遣いと言うか。
もしこの場所で細く長く生きたかったら、アイデアを薄く引き伸ばして少しずつ使って行くのが本当だと思います。でも僕らは、バンバン無駄遣いして、1作1作濃い作品を出して行きたいです。カルピスの原液みたいな。
――そんな活動の中で、ズボンを履く時は来るのでしょうか?
U太 ズボンを履いた途端に個性が薄れそうで怖いですけど(笑)。特に意識はしていないです。マジメな話をすると、お客さんの中でブリーフのイメージが付いているので、その期待に応えることとのバランスですね。ただブリーフのほうが、ステージでは動きやすいです!
北島康雄 機能性の問題か(笑)!
【取材・撮影=榑林史章】
◆四星球とは 北島康雄(Vo)、U太(Ba)、まさやん(Gt)、モリス(Dr)の4人組ロックバンド。2002年に結成。泣けて笑える楽曲が話題を呼び、2008年に『MONSTER baSH』、2013年に『京都大作戦』、2015年にはDragon AshのKjがキュレーターを務める『Bowline』に招聘された。今年1月にアルバム『メジャーデビューというボケ』で、メジャーデビューした。
作品情報四星球 ▽CD収録内容 ▽完全限定生産盤付属DVD収録内容 公演情報▽TREASURE05X 2017 -MARCH OF TIME- ▽OTODAMA'17 〜音泉魂〜 『夏フェスというボケ編』 ▽風とロック芋煮会2017 KAZETOROCK IMONY COSMO ▽G-FREAK FACTORY “⾵林花⼭” TOUR 2017-2018 ▽TOKYO CALLING2017 ▽山人音楽祭 2017 |