くるり岸田繁、自身作曲オーケストラ作品京都初演をハイレゾ配信
『岸田繁「交響曲第一番」初演』を発売した岸田繁
ロックバンド・くるりのフロントマンである岸田繁作曲の『岸田繁「交響曲第一番」初演』が、24日に発売された。ハイレゾ音源によるデジタル配信も始まっている。同作は昨年12月にロームシアター京都メインホールで、広上淳一が指揮した京都市交響楽団の演奏によるもの。初演プログラム全てを完全収録。岸田の感性により、クラシックという枠組みをはるかに超えた独特の作品となっている。
くるりは、京都出身のオルタナティブ・ロックバンド。その20年のキャリアの中で、世界各地様々な音楽に影響されながら今も活動を続けている。音楽の都オーストリアのウィーンで制作された7thアルバム『ワルツを踊れ』(2007年)は、サイケデリック・ロックから感傷的なフォークロア、民俗音楽的な曲など、彼ららしい幅広い志向性をいわゆるクラシック的な管弦楽アレンジで糊付けした作品として、多くのファンやフォロワーを生んだ金字塔的作品。
元々クラシック音楽の熱心なリスナーであった岸田は、本格的な音楽教育を受けていないにも関わらず、以降くるりの作品に自由な書法の管弦楽アレンジを用いた独特な作風を持ち込むことが多くなり、映画音楽やCM音楽作品においてもクラシック風の管弦楽作品を発表することが多くなった。
2014年冬頃、地元である京都の自治体オーケストラとして60年の歴史を誇る京都市交響楽団より、岸田は長尺オーケストラ作品制作の依頼を受けた。およそ1年半の間、書き溜められ完成した作品は『交響曲第一番』と名付けられ、本格的な管弦楽作品でありながら、彼のこれまでの作風や多くの古典・近代クラシック音楽からの影響を感じることもできる。
全5楽章50分を超えるオーケストラ作品が訴えかけるものは、一筋縄ではいかない“名前のついていない音楽”の一種だと言える。ブラジル音楽や東欧のジプシー音楽、日本の雅楽などの要素を感じることもできる、音楽ジャンルを超越した一大音楽絵巻となっている。
2016年12月4日に、ロームシアター京都メインホールでおこなわれた『岸田繁「交響曲第一番」公演』は、ロックアーティストによるクラシック音楽作品の初演、という異例のものとなった。
満員御礼のオーディエンスに迎えられた岸田繁という作曲家は、作品を作り上げる能力と音楽家としての魂の強さを十二分に持つ孤高のアーティストと言えるだろう。一流オーケストラとして世界的な評価をされている京都市交響楽団の端正な演奏と、その常任指揮者/音楽監督としてキャリアを持つ広上淳一の手腕と音楽的センスもまた、本作品の魅力のひとつ。
本作は「交響曲第一番」をはじめ、その初演のために書かれ演奏された「Quruliの主題による狂詩曲」も収録。この作品は、彼のバンド=くるりの作品の幾つかをモチーフに変奏、再構築された組曲形式のもの。
また、アンコールで演奏された美しい旋律の小作品「管弦楽のためのシチリア風舞曲」、岸田の歌唱による「京都音楽博覧会のためのカヴァティーナ」まで、初演プログラム全てを完全収録している。
アルバムの発売に併せてDSD(2.8MHz/1bit)ならびにFLAC(24bit/96kHz)の2形態によるハイレゾ音源がmora他サイトで配信開始された。
なお、これに合わせてトレーラーも公開。音楽評論家の青澤隆明氏によるライナーノーツと初演に至るまでのドキュメントを中心におさめられた映像になっている。
『岸田繁「交響曲第一番」初演』トレーラー




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