出演したAI、三浦大知、リトグリら

出演したAI、三浦大知、リトグリら

 三浦大知、Little Glee Monster、AIが24日、東京・豊洲PITでおこなわれた、パラスポーツと音楽の祭典『TEAM BEYOND LIVE FIELD 2017 at Toyosu PIT』に出演した。同公演はパラスポーツの魅力を発信する『TEAM BEYOND』が主催するライブイベント。東京都の小池百合子都知事からも応援ビデオメッセージが届けられた。最後には、アテネパラリンピック5000m金メダリストの土田和歌子選手などがステージに上がり、出演者全員でAIの「みんながみんな英雄」を合唱し、盛り上げた。

パラスポーツを通じて

熱唱する出演者

 『TEAM BEYOND』は東京都主導の障がい者スポーツのファンサイト。昨年11月に開設され、小池都知事をはじめ、モデルの蛯原友里、タレントの武井壮など各界の著名人が同プロジェクトに参加している。

 この日は『TEAM BEYOND』の公式ページ上で応募の中から抽選で選ばれた観客が、開場前から長蛇の列を会場前に成していた。車椅子で訪れている観客も多数見受けられた。

 ステージ上には巨大なスクリーンが設置され、小池都知事によるビデオメッセージで開幕を迎えた。小池都知事は「東京都はパラスポーツを通じて障害の有無をはじめとして、ありとあらゆる違いや壁を乗り越え、共存できるダイバーシティを目指しています。今日はAIさん、Little Glee Monsterさん、三浦大知さん、そして土田和歌子さんをはじめとするここにお集まりのアスリートの力をお借りして音楽とスポーツのセッションを展開していきます」と今回のイベントの趣旨を説明。

 さらに「音楽には今日の体験、興奮を鮮烈な記憶として心に深く刻む力があります。今日のステージから何かを感じ取ってそれを持ち帰って日々の生活が豊かになったり、新しいことに挑戦するきっかけになればと願っております」とライブイベントの成功と観客の豊かな未来を願った。

 そして「パラスポーツには多くの人々を繋げて社会を豊かにする、未来を変える力があると信じています。一緒に未来を変えていきましょう」と呼びかけた。

Little Glee Monster

Little Glee Monster

 小池都知事のビデオメッセージが終わり、和太鼓のSEが会場に響き渡ると会場は暗転。その始まりを待ちきれない観客が太鼓のリズムに合わせ手拍子を始めた。「全力REAL LIFE」の前奏とともにメンバーの芹奈が「初めまして! Little Glee Monsterです」と挨拶をし、メンバーがステージに現れると歓声が上がった。

 芹奈は「TEAM BEYONDに呼んで頂き、ありがとうございます」と今回のイベント参加を喜んだ。さらに「私たちの同世代の方々が世界で活躍されていて、私たちは音楽で選手を応援していきたいし、その選手の活躍が私たちに元気をくれる。これからも音楽とスポーツでいい関係を保っていけたらと思います」とスポーツと音楽の良好な関係をこれからも意識していくことを語った。

 そして、アカペラで中島みゆきの「ファイト!」(1983年)などの応援ソングメドレーを披露。観客からも自然と手拍子が起こった。ここでステージが暗転し、車椅子テニス船水梓緒里選手の映像がスクリーンに映し出され、「リトグリ(Little Glee Monster)はよく聞いて元気をもらっています」とコメント。

 さらに卓球日本代表の伊藤美誠(みま)選手もビデオメッセージに登場。伊藤選手は「リトグリさんのアカペラがグーンと心にきます。manakaちゃんと連絡したりします。2020年はリトグリさんと一緒に東京五輪の舞台に出れたらいいなと思います」とメンバーのmanakaともプライベートで親交があると明かし、2020年の夢を語った。

 このビデオメッセージの想いを受け取り、それに応えるように明るくライトアップされたステージで体を揺らしながら「人生は一度きり」を歌唱。<人生は一度きり がんばったぶんだけ いつか誇れるはず 胸張って歩いていこう♪>という前向きな歌詞が観客と選手たちの人生を勇気づけているようだった。

 芹奈は「次が最後の曲です。タオル持っていますか? 何でもいいんで振って下さい!」と観客を煽り、「SAY!!!」を披露。タオルを振りながら勢いのあるパフォーマンスを魅せた。観客もタオルやペットボトルなど持ち寄ったものを振り、会場は一体感で満たされた。

三浦大知「楽しみへの変換」

三浦大知

 ここでステージ転換がおこなわれる間、視覚障害柔道の廣瀬順子選手と廣瀬遥(はるか)選手夫妻と全盲競泳リオパラリンピック銀メダリストの木村敬一選手がビデオメッセージに登場。2020年東京パラリンピックへの目標を語った。廣瀬順子選手は「毎日を楽しむことを心がけています。柔道が楽しいと思えることが自分が強くなるのに一番良い環境だと思います。しんどい、キツイばかりだと楽しくなくなってしまうので」と自身のポリシーを述べた。

 ステージが紫の照明で照らされると「Right Now」の前奏とともに三浦大知が登場。会場に歓声と拍手が響き渡った。「三浦大知です! 今日は盛り上がっていきましょう!」と挨拶し、踊りながらの歌唱を披露した。

 続けざまに4人のダンサーを引き連れ、「今日は音楽でみんなと一つになりたいと思います」と「music」を披露。小気味いいリズムの楽曲に観客からも手拍子が起こる。

 三浦は「リトグリさん素晴らしかったですね。ダンサー、DJはいますけど基本、僕1人なのでハーモニーはできないので切ないものがあります(笑)」とリトグリが嫉妬するほど素晴らしいステージを見せたことを称賛。

 そして「バラードを歌いたいと思います。愛の歌なのですが、皆さん好きなように楽しんでください」と「ふれあうだけで~Always With You~」を歌唱。最初の前奏から、アカペラで1フレーズを歌い上げた。その心震わせる歌声に観客は聴き惚れていた。

 再びダンサーがステージに登場。三浦は「ここからはまたダンスミュージックをやります。みなさん、好きなように自由に楽しんでください」と呼びかけ「EXCITE」と「Cry&Fight」を激しいくキレのあるダンスと伸びのある歌声で披露。

 MCで三浦は「Folderとして9歳でデビューして20年になります。続けさせて頂くことはありがたいと思っています。自分は20年、好きなことを思い切り楽しんできたな、と思います。先ほど廣瀬さんがおっしゃっていた『楽しむこと』というポリシーが、その言葉に救われた気がしました」と自身の20年に及ぶ活動と廣瀬順子選手のポリシーが重なったように感じたという。

 さらに「日々生きている中でそれぞれの立場があったり、悩んだり、実は楽しむことは意外に難しいことだと思うんです。でも、それを楽しむことに変換する。それができた時が素敵な瞬間なんじゃないかなと思うです。僕自身音楽を作っていて、音楽って気づきであり救いであり、色んな絆が生まれていくものだと思っています。夜明けの前は一番暗い時なんですよね。何かそういう状況を楽しむことに変換できるといいと思います」と言い、「Darkest Before Dawn」を最後に歌唱。

 アコースティックギターの音色からシンセサイザー、コーラス、電子音、ビートのアタックに乗せて爆発するサビが暗い夜明け前から朝日が昇り世界が光を取り戻していく景色を鮮やかに再現しているような楽曲で観客を魅了。歓声と拍手が曲の終了とともに沸き起こった。三浦は「最後まで楽しんでいって下さい! ありがとう」と感謝を述べ、ステージを去った。

AI『TEAM BEYOND』での大合唱

AI

 再びステージの転換中に日本初の義足の走り高跳び代表の鈴木徹選手と土田選手のビデオメッセージがスクリーンに映し出された。土田選手は「AIさんの大ファンで、『ハピネス』という曲が大好きで元気になります。2012年の英・ロンドンパラリンピックでその曲を聴いてきつい時も乗り越えました」とAIのファンを公言し、「ハピネス」(2011年)が彼女を支えたエピソードを語った。

 映像後に「MORIAGARO」の前奏とともにAIが「さあ、皆さん盛り上がろう!」と叫び、登場。観客から歓声が上がった。2人の女性ダンサーを引き連れ、ダンスを交えながら歌唱した。続けて「INDEPENDENT WOMAN」を披露した。

 AIは「みんな、元気? 元気そうで良かった。今日は楽しみにしていました。三浦大知さんとLittle Glee Monsterさん、このどちらも大好きで今日一緒にできて良かった」と2組との共演を喜んだ。

 また「最近ジムに行き出して。今日もジムに行って来たんです。私はすごくめんどくさがりなので、ジムに行き続けるのはとても大変なんです。でもね、今日は皆さんに会うから鍛えてこようかな、と思って」とこの日のステージへの意気込みを見せた。

 そして、AIはバラード曲「Story.」を歌い上げた。観客はその力強く伸びのある歌声に聴き入っていた。さらにピアノの音色を大胆に取り入れたアレンジの「VOICE」を立て続けに披露。

 AIは「FAKE」を披露後に、ダンサー2人とDJを紹介し、土田選手のフェイバリット曲でもある「ハピネス」で最後を飾った。ステージの端から端までをゆっくりと歩きながら、観客一人ひとりに語り掛けるように歌唱する姿が印象的だった。

 AIは「皆さん今日は来てくれてありがとうございました!」と感謝を述べてステージを後にし、本編は終了した。

 観客からの拍手と歓声はすぐさまアンコールを求める手拍子へと変わって会場に響いた。スクリーンに全盲の世界観での競技を体感しようと文字が浮かび上がり、会場は暗転したまま鈴の音を鳴らすビニールボールが観客の立見席に投げ込まれ、観客一人ひとりの手によってそのボールがステージまで送り届けられた。

 そして『TEAM BEYOND』のユニフォームを着た全出演者と、廣瀬夫妻、鈴木選手、土田選手、伊藤選手、船水選手、木村選手がステージに登場し、AIの「みんながみんな英雄」を全員で合唱。観客も巻き込み、大団円でこの日の公演を終えた。

 最後は出演者、アスリート、観客で記念撮影もおこなわれた。AIは「これからもパラスポーツをみんなで盛り上げていきましょう! MORIAGARO!」と観客に呼びかけた。(取材・撮影=松尾模糊)

セットリスト

「TEAM BEYOND LIVE FIELD 2017 at Toyosu PIT」
2017年3月24日@東京・豊洲PIT

▽Little Glee Monster
01.全力REAL LIFE
02.好きだ。
03.アカペラメドレー
04.人生は一度きり
05.はじまりのうた
06.SAY!!!

▽三浦大知
01.Right Now
02.music
03.ふれあうだけで~Always With You~
04.EXCITE
05.Cry&Fight
06.Darkest Before Dawn

▽AI
01.MORIAGARO
02.INDEPENDENT WOMAN
03.HANABI
04.Story.
05.VOICE
05.FAKE
06.ハピネス

▽Encore
En.みんながみんな英雄

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