INTERVIEW

佐野勇斗

“ストイックな現在地”「俳優としては28点...ギリギリ赤点」:ドラマ「おコメの女」


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:26年01月15日

読了時間:約7分

 俳優の佐野勇斗が、ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系 毎週木曜日21時~)に出演。本作で佐野が演じるのは、東大法学部卒の財務省キャリアでありながら、ある秘密を抱えて「ザッコク(複雑国税事案処理室)」に加わるエリート調査官・笹野耕一だ。ドラマ『おコメの女』は、テレビ朝日系列の連続ドラマ初主演となる松嶋菜々子が、“決して脱税を許さない”東京国税局の敏腕国税調査官・米田正子となり、悪徳脱税者を成敗していくこれまでにない社会派・痛快エンタメ作品。インタビューでは、10年ぶりの共演となる主演・松嶋への思いや、専門用語の壁に挑む過酷な役作り、自身の意外な素顔、そして所属する5人組ボーカルダンスユニット「M!LK」として『第76回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす心境を聞いた。

スターキャスト陣の圧倒的なオーラにセリフが出てこなくなった

佐野勇斗

――主演の松嶋菜々子さんとは10年ぶりの共演となります。ご自身の成長を感じる部分はありますか?

 共演した10年前は初めてのレギュラー出演作で、緊張のあまり自分のことでいっぱいいっぱいでした。当時は「一般の高校生が大スターに会っている」という感覚でしたが、今回は多少なりとも経験を積んで余裕を持てるようになり、ようやく「一緒にお仕事をしている」という実感が湧いています。

――松嶋さんとはどのようなお話をされましたか。

 今後の芸能活動についてアドバイスをいただいたり、松嶋さんのご家族のお話を伺ったりしました。僕の「どんなことに幸せを感じますか」という問いに対して、「心から人に感謝できること」と答えられる松嶋さんは、まさに神の領域にいらっしゃると改めて感じました。

――現場の雰囲気はいかがですか。

 皆さん、驚くほどの人格者で温かい方ばかりです。飯島作久子を演じる大地真央さんは僕のアーティスト活動も知ってくださっていて、喉を気遣ってトローチをくださったり、宝塚時代のお話から発声のアドバイスをくださったりもしました。ただ、皆さんの放つスター性がすごすぎて、家で完璧に覚えたはずの長セリフが、皆さんの前に立つとその圧倒的なオーラに押されて出てこなくなることが何度かありました。

――佐野さんが演じる笹野耕一は、東大卒の「数字のスペシャリスト」という非常にハイスペックな役どころです。役作りはいかがですか。

 めちゃくちゃ大変です(笑)。今までもセリフが多い役はありましたが、覚えること自体は割と得意なんです。でも、今回は専門用語が多すぎて……。一つひとつのワードを調べて勉強しながら挑んでいます。視聴者の方に説明するシーンも多いので、完璧に理解した上で話さなければならず、受験生の頃を思い出しました。

――どんなふうにセリフを覚えましたか。

 ちょっと分かりづらいかもしれませんが、「ひらがな」で覚えるということをしました。頭の文字、ひらがなさえ分かれば、連鎖的に思い出せるんです。特殊な覚え方でした。

――『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)からすぐのクランクインとのことでしたが、役の切り替えは大変でしたか。

 『ESCAPE』が終わって、M!LKのライブを経てからのクランクインだったので、正直切り替えは大変でした。髪色なども変わっていますし、家で練習している時に『ESCAPE』の役――リンダ(林田大介)っぽく、セリフの語尾が少しヤンキー風になったりすることもありましたが、調整しました。

笹野耕一の二面性にシンパシーを感じた

佐野勇斗

――役作りの上で、特に意識されていることは何でしょうか?

 笹野は皆の前では明るく「飄々とした態度」を演じていますが、松嶋さん演じる正子の前ではトーンが変わるような、何かを抱えた人物です。また、数学のスペシャリストという設定ですが、僕自身も理系で昔から数字が好きなので、そこは共通点かもしれません。ただ、普段の僕の演技は感情をベースにしたものが多いのですが、今回は感情を隠して淡々と、あるいはロジカルに振る舞う場面が多いので、周囲とのバランスを見ながらトーンを調整しています。

――佐野さんは周囲から「陽キャ(明るい性格)」に見られることが多いと思いますが、ご自身ではどう分析されていますか?

 実は、裏ではあまり喋らないタイプなんです。プライベートはどちらかといえば「陰」に近い部分があると思っています。笹野も表向きは明るく振る舞いながら、心を開いた人の前では別の顔を見せるので、その二面性にはとてもシンパシーを感じます。

――今年はドラマ『ひとりでしにたい』(NHK)、『ESCAPE』と活躍されました。アーティスト活動も含め多忙を極める中、俳優としての自分を自己採点すると?

 俳優としては、理想を100点とするなら今は28点くらいかなと。ギリギリ赤点ですね。まだまだ伸びしろはあると思っています。

M!LKは10年かけてようやく「0」から「1」になった

佐野勇斗

――過去に佐野さんは、俳優活動のやりがいを「M!LKに還元できた時」とお話しされていました。紅白出場が決まり、一つ肩の荷が下りたのでは?

 今はむしろ少し怖い時期で、肩の荷を下ろしていいものなのか悩んでいるところもあります。僕は0か100かの両極端な人間なので、一気に肩の荷を下ろしてしまうのが、ちょっと怖いんです(笑)。それこそアーティストとしては、10年かけてようやく「0から1になった」という感覚。いつか100になれていればいいなと思っています。

――紅白はどんなステージになりそうですか。

 緊張感はあると思うのですが、僕は2024年に朝ドラ『おむすび』に関連して紅白に参加させていただき、現地の雰囲気は知っているので、あっという間に終わってしまうんだろうなと思っています。きっと出演後のコメントでも「あっという間でした」と言っている、未来の景色が見えています(笑)。とにかく楽しみですし、出場が決定して本当に嬉しいです!

――最後に、『おコメの女』とかけて「〇〇の男」とするなら、ご自身をどう表現しますか。

 僕は「有言実行の男」でありたいと思っています。何もないゼロの状態からスタートした僕を信じて応援してくれる皆さんの存在は、本当にありがたいです。このドラマは、難しい「税」の話を扱いながらも、最後はスカッと気持ちよくなれるヒーローもののような作品です。ぜひ、毎週ハラハラしながら楽しんでいただければ嬉しいです。

(おわり)

ドラマ情報

木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』
テレビ朝日系にて、2026年1月8日(木)スタート 毎週木曜21:00~21:54放送※初回は拡大スペシャル(21:00〜22:00放送)
出演:松嶋菜々子、佐野勇斗、長濱ねる、千葉雄大 / 高橋克実 / 勝村政信、戸次重幸、大地真央、寺尾聰
脚本:『g . O . A . T』
演出:田村直己(テレビ朝日)、楢木野礼、塚本連平
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
音楽:村松崇継
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日

この記事の写真
村上順一

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事