大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」キービジュアル

 NHKは23日、今月14日に最終回を迎えた横浜流星が主演を務めた大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の視聴人数および視聴率の確定値を発表した。本作は、放送100年の節目に「江戸のメディア王」と呼ばれた蔦屋重三郎の生涯を描き、デジタル配信サービス「NHKプラス」において歴代大河ドラマで最多の視聴数を記録するなど、新たな視聴スタイルの浸透を象徴する結果となった。(※最多視聴数は「べらぼう」第36回までの数字と比較)

 特筆すべきは、インターネットを通じた視聴の伸び。第1回から第36回(9月21日放送分)までの平均視聴UB(ユニーク・ブラウザ)数は38.6万UBに達し、2020年4月に集計を開始して以来、歴代の大河ドラマで最多を更新した。10月からの新サービス「NHK ONE」への移行に伴い、全話を通じた合算値ではないものの、中盤までの勢いだけでもこれまでの記録を塗り替える形となった。

 放送メディアを通じた視聴も堅調に推移した。ビデオリサーチの調査によると、関東地区における期間平均の総合視聴率(リアルタイムとタイムシフトの合計)は、世帯で14.7%、個人で8.4%を記録した。また、関西地区でも世帯13.3%、個人7.6%となっている。

 番組を1分以上視聴した「視聴人数」の推計値では、総合テレビとBS放送を合わせた全国での期間平均は約1,491.5万人に上った。最も注目を集めたのは初回放送の1月5日で、この日の最大視聴人数は2,125.4万人に達した。

 放送終了にあたり、制作統括の藤並英樹チーフ・プロデューサーは、18世紀後半の江戸時代を舞台にした初の大河ドラマとして、「『時代劇』の面白さ、豊かさをお届けできたらと思いながら作ってきた」と振り返った。また、「蔦重が生み出した黄表紙や浮世絵のように、長く皆さんの心に残る番組になれましたら嬉しい」と、視聴者への深い感謝の意を述べている。

 テレビ放送という伝統的な枠組みを超え、配信という現代の波に乗った「蔦重」の物語は、まさにメディアの変遷を描いた劇中のテーマを体現するかのように、幕を閉じた。

 本作のデータは、リアルタイムでの視聴(関東世帯平均9.5%)に加え、タイムシフト(同5.7%)やデジタル配信(歴代最多UB)が、作品の評価を支える大きな柱となったことを示している。これは、視聴者が自分のライフスタイルに合わせて作品を楽しむ「マルチプラットフォーム化」が、大河ドラマという伝統的なコンテンツにおいても完全に定着したことを物語っていると言えるだろう。

【NHKプラス】
第1回~第36回(9月21日放送)の平均視聴UB数は38.6万UBで、歴代大河ドラマで最多視聴数。
※「べらぼう」については、9月までの旧NHKプラスのデータ。
10月1日から開始した NHK ONE とは集計できるデータが異なるため、NHK ONEで配信されていた第37回~最終回のUB数は含まず。
※歴代大河ドラマのデータは、2020年4月以降、NHK プラスで配信されたタイトルごとに全話平均視聴UB数で比較。
※計測単位は UB:ユニーク・ブラウザ。視聴した端末・ブラウザベースの数。同じ端末・同じブラウザで複数回訪問しても1。
※同時または見逃し配信での視聴数・放送当日~見逃し7日間の数値。

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