二宮和也、吉永小百合にドキドキ「僕の初めての人に」
映画『母と暮せば』(12月12日公開)のクランクアップ記者会見が12日、都内で開かれ、吉永小百合、嵐の二宮和也、黒木華、浅野忠信、山田洋次監督が出席。映画に懸ける思いなどを語った。吉永と二宮は互いにファーストネームで呼び合う仲。二宮は「家族にも呼ばれた事がないのでドキドキしちゃいます」と照れた様子で撮影を振り返った。
映画は、戦後の長崎が舞台。母が、原爆で亡くした息子の亡霊と送る日々の様子を描いた。山田監督にとっては初のファンタジー作品となる。『父と暮せば』『木の上の軍隊』との3部作として未完のままに他界した作家の井上ひさしさんに捧げる思いで制作した。また、中咽頭がんを患い治療を続けていた音楽家の坂本龍一(63)が復帰作として音楽を手掛けた。
撮影は今年4月26日にクランクイン。東京のセットを中心に一部ロケを実施。7月15日に長崎でクランクアップした。吉永と山田監督は長崎市で8月9日に行われた平和祈念式典に出席。
山田監督は「汗が出るとても暑い日だった。原爆が投下された当時もあの暑さのなかで肉親を捜すことはどんなに大変だったのだろうかと思う。色んないきさつもあって今回制作したが、戦後70年という年にこの作品が完成することに意義があることだと思う」と語った。
また、吉永は「被爆者の方や長崎市民の方に会ってお話しました。核兵器は使ってはいけないということ、平和に対して強い思いがあるということを感じることができました。若い人たちのなかには広島で起きた事、長崎で起きたことを知らないひとも増えていると聞きます。10代やお子様たちにもこの映画を観て頂き、あの時に起きたことを知って頂きたい」と述べた。
映画では、親子を演じている吉永と二宮。互いをファーストネームで呼ぶそうで、二宮は「“かずなり”と呼んで頂きました。ちょっとドキドキしちゃいます。親にも身内にも一回も呼ばれたことがなかったので。僕の初めての人になりました」。
更に「僕の名前は“かずや”と読み間違えられることが多くて、初めての現場では“かずや”でも良いかなと。でも、第三者がいる時は“かずなり”さんと暗に宣伝活動を毎日のようにやってくれて。“かずや”でもいいやと思っていた自分をぶんなくってやりたいと思いました(笑い)非常にありたがった」とエピソードを明かした。
一方、吉永は「どうやって呼べば分からないときに“さゆり”さんと言ってくれて。そのおかげで距離が縮まった。撮影はお母さんよりも私といるときの方が長いと言ってくださって。テレビでも危険な事をやっている姿をみると大丈夫かしらと思う」と“親心”をにじませた。 【取材・紀村了】