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NiziUのMAYAが、12月24日に自身初の絵本『まっしろなちょうちょ』を発売。MAYA全編描き下ろしの本作は、「仲間の大切さ」を謳った作品で、1匹の蝶が本当の自分の色を探し求めて羽ばたく姿を描いた成長物語。NiziUとして歌とダンスで世界を魅了する彼女が、なぜ「絵本」という新たな表現の場を選んだのか? そして、作品に込められた「ありのままの自分を愛する」というテーマに込められた思いについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
こういうチャレンジもできるんだ
――絵本出版のお話を聞かれた時、どんなお気持ちでしたか。
元々、絵を描くことも、小説を読むこともすごく大好きだったので、今回このような機会をいただいた時は本当に嬉しかったです。私は歌とダンスをメインでやってきたので、「あ、こういうチャレンジもできるんだ」という喜びがありました。歌とダンスとは別の表現で思いを届けられる機会となるため、ドキドキはしていましたが、こうして形になり、発売できることがとても嬉しいです。
――過去にどんな絵本を読まれていたり、どんな絵を描かれていたのか、ルーツについて教えてください。
昔は両親が共働きだったので、一人でいる時間が多く、児童館や保育園の中で絵本が常に身近にありました。色々なジャンルの絵本を読ませていただき、絵本は私の人生の中で関わりが深いと思っています。絵に関しては、兄が絵を習っていたので、小さい頃から触れる機会が多かったです。兄の描いているのを見て私も描いてみようと思っていました。当時は趣味だったので、全然上手な絵ではなく、自分が描きたいように描いた自由な絵でした。両親も私が描いた絵をすごく気に入ってくれていました。
――今回の絵本に込めたテーマ、また、制作過程で大変だった部分を教えてください。
今回のテーマは、「自分の自尊心を高める」にしました。ありのままの自分を愛していただきたい、ありのままの自分らしくいることは何なのか、というのを一番のテーマにしたかったので、その部分が皆さんに伝わってくれたら嬉しいです。初めての絵本づくりが想像していたよりも大変な部分が多く、分かりやすい文章と絵だけで自分の伝えたいことを伝えるという難しさに一番苦戦したと思います。いざ趣味でやっていたことが正式に形になるという不安もありました。
――その苦労を乗り越える原動力になったものはありますか?
本当にたくさんの方が助けてくださったり、メンバーがいつも隣で応援してくれたりしたので、自分も自信がつきました。また、根本にある絵を描くこと、何かを作ることが好きという気持ちは変わっていないので、制作中に新しいアイデアが浮かんでくると、「もっと良い本になりそう」と向上心も湧いてきました。
――絵を描かれる時のこだわりや工夫を教えてください。
今回、画材をずっと探していて、最初は色鉛筆やクレヨンなども考えたのですが、移動やツアーがあったため、常に持ち歩いてどこでもすぐに描けるようにしたかったことと、細かい表現がしやすかったので、最終的にデジタルタブレットで描きました。
――特に大切にされたことはありますか?
私は色合いをすごく大切にしていました。色味をはっきりとした原色ではなく、全体的にふわっとした柔らかい色合いに仕上げたい、この絵本が心温まるような優しい存在になってくれたら嬉しいなと思って作りました。
――本作の主人公ナビちゃんのデザインは、すぐに出来上がったものですか?
いろんな蝶の形を書いたり、羽の形とかもたくさん書きました。試行錯誤して、最終的にあの丸みを帯びたふわっとした、かわいい真っ白な蝶になりました。
――ナビちゃんにはMAYAさん自身が投影されていると思います。他の登場キャラクターはどなたかモデルがいるのでしょうか?
他のキャラクターたちと出会ってナビちゃんの心に新しい感情(色)が芽生えてくるという部分に関しては、私の中でメンバーが大きく描かれていて、形や種類は別々ですが、メンバーそれぞれからもらったもの、初めて感じさせてくれた気持ち、そういった違いをキャラクターの形や色や大きさの違いで表したいなと思いました。なので、他のキャラクターはメンバーをモデルにしたものが多いです。誰がどのキャラなのか想像してもらえたらうれしいです。
考察の余地があるエンディングが好き
――デビューしてから現在までで、ご自身にとって大きな冒険だったと感じることは何ですか?
毎日今でも大きな冒険をしているなと思うのですが、デビューさせていただいてからは、毎日新しいことばかりで、慣れという言葉がないぐらい日々勉強、日々経験、日々成長を繰り返しています。その中でも、ファンの方々やメンバーなど、色々な方々との出会いが私をすごく強くしてくれました。出会いが一番大きい冒険です。
――MAYAさんが初めてのことにチャレンジする時に大切にしていることは何ですか?
一番は自分の気持ちです。そのチャレンジに対してどれだけ熱量があるのか、このチャレンジを通して何を頑張りたいのか、まず自分に問いかけ、話し合いながら目標を決めて取り組むことを大切にしています。
――ご自身が物語や作品を読む際、ハッピーエンドやバッドエンドなど、どんなエンディングがお好きですか?
私は、考察の余地があるエンディングが好きです。「めでたしめでたし」と完全に閉じられる終わり方よりも、「これから何が待ち受けているか分からない」といった余韻を残して終わるものが好みです。物語の後に、「この展開はこうだったから、結末はこういう方向に向かうのではないか?」と、読者が考える時間があるのが楽しいんです。
――そのご自身の好みが、今回の絵本の結末にも反映されているのでしょうか?
はい、反映されています。絵本を読んでくださった皆さんに、ナビちゃんがこれからどんな色に変化していくのか、どんな自分になっていくのかを想像していただきたくて、あえて結末をしっかり決めずに終わりたいと考えていました。
――ナビちゃんが「本当の自分の色」を探し続けていた設定は、MAYAさんの過去の経験と関連しているのでしょうか。また、その時期を今振り返ってみて、どのように感じますか?
はい、ナビちゃんには私自身に近い部分があり、私の気持ちも半分込められているので、非常に思い入れが深いです。当時を振り返ると、それはもがいて、苦しんでいた時期でした。デビューした後も、「私が選んだこの道は本当に正解なのだろうか」と悩むことがありました。ナビちゃんのように「自分は何色なんだろう」と、色々なものに影響されてしまったり、本当に好きなものが何かわからなくなったりした時期もありました。ただ、今ではポジティブに捉えられるようになりました。それも様々な経験の一つだったのだと思います。あの大変だった時期を乗り越えたからこそ、今、自分らしくいることの大切さを改めて感じています。そう考えると、あの過去も貴重な経験の一つだったと強く感じています。
いろんな自分を見せていくことに対する恐怖や心配がなくなった
――日々の仕事で心がすり減らないように、自分を自分らしく保つために、どのように仕事と向き合っていますか?
私にはメンバーという存在がいるのが本当に大きいです。私が気づかない間にいっぱいいっぱいになっていても、メンバーが先に気づいて、話を聞いてくれたりすると「あ、今いっぱいいっぱいだったんだ」と気づくことが多いです。なので、メンバーの皆に支えてもらっている部分は大きいです。この絵本にもその思いを込めさせていただきました。
――最近、メンバーの方に救われたエピソードがあれば教えてください。
たくさんあるのですが、最近ホールツアーで各地を飛び回っていた時、やはり大変で心がすり減ってしまった時に、メンバーがぎゅっと手を握ってくれたんです。もちろんファンの皆さんの前に立つことは好きなので自分との葛藤はあったのですが、その言葉ではなく、ギュッとした温もりだけであんなに愛を感じるんだと思って、「一人じゃないから大丈夫かな」とすごく思えました。
――MAYAさんはNizi Projectの時から「母性」のようなイメージがありました。今回の絵本の優しい作風は通じるものがありますが、ご自身のイメージについてどうお考えですか?
確かにメンバーに対してお節介に近いぐらいやってしまうところもあるので、周りから見たらお母さんみたいなポジションなのかなとは思います。けど、本当はすごく面白いことが大好きで、メンバー同士でふざけたりするのも大好きなんです。今ではその二面も自分らしいと思うようにしています。
――しっかりしたお姉さん像と、お茶目なご自身との間で迷われた時期はありましたか?
デビュー当時は、しっかりしている私を皆さんに「見せなきゃ」という気持ちが強かったです。でも最近は、「自分らしくいていいんだ」と思えるようになったので、いろんな自分を見せていくことに対する恐怖心や不安がなくなりました。ずっと「しっかりしなきゃ」「私はお姉さんだ」と葛藤していた部分はあったのですが、メンバーといるとそれも忘れてしまうぐらい楽しくて、みんなが「そのままでいいんだよ」と言ってくれるから、肩の荷を下ろしていいんだ、と思えるようになりました。
――昔から好きだった絵を描くことや物語を読むことが、NiziUの活動にプラスになっている部分はありますか?
アウトプットが多くなってしまうといっぱいいっぱいになってしまうので、インプットする時間で絵を描くという選択をすることが多いです。例えば、ライブが終わった日の夜など、アドレナリンが出てソワソワしている時に、ちょっと気持ちを落ち着かせようと絵を描いたりして、心や体のバランスを整えるようにしています。また、本は表現力に繋がる部分が大きいなと思うので、最近はいろんなジャンルの本を手に取るようにしています。そういったインプット時間をすごく大切にしていきたいと思っていますし、プラスになっているところだと思います。
――この作品を誰に届けたいですか?
絵本はお子さんが読むイメージが多いかなと思うのですが、私も改めて制作するにあたりいま世の中に出ている絵本をたくさん読みました。大人になった今でも心に響く絵本がたくさんあったので、本当に子供から大人まで、世代を問わずたくさんの方々に届いてほしいなと思います。
(おわり)
作品情報
書名:まっしろなちょうちょ
著者:NiziU MAYA
定価:1,980円(10%税込)
発売:2025年12月24日(水)
発売・発行:株式会社KADOKAWA
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