INTERVIEW

林芽亜里

連ドラで新境地へ 秘密を抱えたアイドル役「ターニングポイントに」


記者:木村武雄

写真:村上順一

掲載:25年10月30日

読了時間:約6分

 林芽亜里が現在放送中の読売テレビ・日本テレビ系10月期木曜ドラマ『推しの殺人』(木曜23時59分〜、TVerで見逃し配信中)で、田辺桃子・横田真悠とともにトリプル主演を務めている。物語は、3人組アイドルのメンバーが“殺人”という罪を隠したままステージに立ち続け、やがて未解決の連続殺人事件に巻き込まれていくサスペンスだ。林といえば、2023年1月期の『先生さようなら』で俳優デビュー後、話題作への出演が続く。『初めましてこんにちは、離婚してください』(MBS)では26歳のキャラクターを18歳で演じ話題に。『熱愛プリンス』(同)ではアイドルたちに翻弄されるヒロインを好演。今作で務めているのは、センターに抜擢されながらも、過去の出来事から孤独を抱えメンバーから妬まれる沢北イズミ役で、激しい感情の揺れを求められる難役に挑戦しており、俳優としてさらに飛躍が期待できるターニングポイントとなる作品となりそうだ。ドラマ第1話の撮影の合間に行ったインタビューでその想いを聞いた。【取材=木村武雄/撮影=村上順一】

「演技のベスト」を探る日々

──目覚ましいご活躍ですね。この1年でどんな変化がありましたか?

 19歳になる1年は本当にたくさんの経験をさせていただきました。以前取材していただいた頃より、自分の中にあるものが全く違うなと実感しています。

──演技への姿勢も変わりましたか?

 自信がついた部分もありますが、逆に考えすぎて慎重になっている面もあります。ただ、それは悪いことではないと思っています。最初の頃は「台本を覚えよう」という感じでしたが、「その先」が重要だと知ってからはより多くのパターンを考えるようになりました。このドラマにとってベストな演技とは何かを突き詰めていくと、自分一人では見えない部分も多くて。だからこそ、監督やプロデューサー、スタッフさんに積極的に意見を聞くようになりました。

──前回は現場で自分のプランが変わることもあり、どう対応していくか怖さがあったと話されていましたが、その辺りの変化は?

 それは今も変わらないです。自分の考えを持っていきますが、監督の求めで変わるときもあります。それをちゃんと納得して、別の角度の表現を学んで、それを自分の中で整理して演じる意識が、以前より強くなったと思います。

林芽亜里

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サスペンス初挑戦、未知の感情

──今回はサスペンス。今までとは全く違うジャンルですね。
 これまではラブコメやコメディーなど、比較的わかりやすい作品が多かったのですが、今回はサスペンスで、感情の深さも求められます。撮影初日のワンシーン目がかなり感情的なシーンで、想像していたよりも大きく表現しなければならなくて。でも監督が一緒に組み立ててくださって、最初から印象的なスタートになりました。

──そこで手応えを掴めた?

 まだ100%掴めたとは言えませんが、最初に感情を大きく出すシーンに挑戦できたことは、今後に向けて良いきっかけになりました。

アイドル役へのアプローチ

──ドラマ『熱愛プリンス』のときにアイドルはすごいなと思ったとか。まさか今回はご自身がアイドルの役を。

 『熱愛プリンス』では、アイドルを“観る側”だったんですけど、今回は自分がステージに立つ側になるなんて面白いなって思いました。実際にお客さんが入った状態でステージに立ってみて、当時感じていたアイドルの皆さんのすごさを改めてより強く感じています。

――役作りとして、まずアイドルという部分では、どういったことをされたんですか。

 地下アイドルに触れたことがなかったので、実際にライブを観に行って雰囲気を体感しました。「ベイビー★スターライト」というグループの役で、ステージもたくさん積んでいる設定なので、「必死さ」が見えないようにという監督の言葉もあって、とにかく練習しました。

──もともとダンスの経験はあるんですよね。

 高校入学してから少しダンスをやっていたのですが、その経験がここで活きるとは思っていませんでした。当時「いつか役に立ったらいいな」くらいに思っていたのが、今繋がって、少しでもやってて良かったなと。ただ、ジャンルは全く違ったので、劇中の振付師さんと一から練習を重ねました。音楽をずっと聴いて、練習漬けの毎日で、「私、練習生だったっけ?」と思うぐらいでした(笑)

林芽亜里

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仲間の支えと刺激

──共演のお二人との練習も刺激になりましたか?

 田辺桃子さんと横田真悠さんと初めて3人で合わせた時、お二人のダンスがすごくキレッキレで。それを見て「私ももっと頑張らないと!」と強く思いました。センターという立ち位置もあるので、責任感もありました。ダンスの先生から「1人でやっているときより、2人と一緒の方が良い影響が出て、変わってきている」と言っていただけたのはうれしかったです。

──実際のパフォーマンスでは、どんなことを意識しましたか?

 ステージ上では、カメラを意識しすぎず、実際にお客さんに楽しんで貰えるように、お客さんと一緒に楽しもうという意識でやっていました。表情も含めて「とにかく笑顔でいること」を大切にしていました。

2面性の切り替え

──一方で、裏の顔としてのダークな一面も演じるんですよね。

 そのギャップが本当に大きいです。モニターで自分の映像を見たとき、ライティングや撮り方も相まってアイドルの時と、「捕まりたくない」と涙ながらに言うシーンが同一人物とは思えないくらいで私自身も驚きました。置かれた環境によって別人のようにも見える、その塩梅をしっかり明確に作ろうと当初から思っていて、それがうまく表現できればいいなって思います。

──シーンごとに気持ちの切り替えは難しくないですか?

 切り替えは本当に難しいです。私はパッと切り替えられる人間では無いのでシーンによってはそのシーンの流れのままでいることが多いです。

──メンバーからは妬まれる役柄でそのあたりは?

 横田真悠さんは普段とても優しく、仲良くしてくださっているのですが、役では私を妬むという設定です。でもオフでは全くそんな空気はなく、横田さんの演技力のおかげで、自然にスイッチが入るようになっています。

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分岐点の予感

──今回の作品はご自身にとって、どんな意味を持つと思いますか?

 まさにターニングポイントになりそうな作品です。1時間ドラマ13話を3カ月かけて撮影するというのは初めての経験で、成長できる部分がすごく多いと感じています。今はまだ始まったばかりですが、すでに演技に対する考え方も大きく変わっています。

──関西弁のセリフにも挑戦されていますよね。

 そうなんです!関西弁のイントネーションを間違えられないですし、感情も込めなければいけなくて…。最初は一本調子になってしまって、監督や方言指導の先生にもたくさん指導していただきました。慣れない方言に引っ張られてしまいがちですが、それも含めて大きな学びになっています。

元気の源は「おにぎり」

──そして、20歳の誕生日にカレンダーを発売されます。韓国ロケだそうですね。

 6月に3泊4日・釜山で撮影しました。韓国を選んだ理由は、単純に行ったことがなく、美味しいご飯を食べに行きたかったというのもありますが(笑)、アジア圏でリラックスできる場所としていいなって思いました。色々調べて、釜山のロケーションは素の自分と大人っぽい表情、その二面性を出せるんじゃないかなって。

──ご飯ね(笑)。元気の源は「おにぎり」と過去にも話されていますが、今回の撮影でも…?

 やっぱり、おにぎりです!(笑)変わらずにおにぎりを食べて乗り切っています!

──最後に、あらためて意気込みをお願いします。

 この3カ月で、どれだけ自分が変われるか。まだ先は長いですが、毎日の積み重ねで成長していきたいと思っています。「今までにない芽亜里ちゃんだ」という声も頂いていますので、今までのキュンキュン恋をする女の子とはまた別の顔を、お見せできるのではないかと、私自身もワクワクしています。ぜひ、楽しんで下さい!

林芽亜里

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(おわり)

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村上順一

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