新浜レオン、大河デビューで新境地 紅白歌手が演技で見つめ直した「歌の原点」
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
歌手の新浜レオンが、8月31日放送の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(第33回)に江戸浄瑠璃の流派のひとつ、富本節の全盛期を支えた富本斎宮太夫役として初出演する。新浜は2019年リリースの「離さない 離さない」でデビュー以来、甘く力強い歌声と端正なルックスで多くのファンを魅了し、昨年は念願の「NHK紅白歌合戦」初出場も果たした。初めての大河ドラマ出演という快挙は、自身に大きな変化をもたらした。収録現場での挑戦、主演の横浜流星との交流、そしてこの経験が自身の歌手活動にどう影響したのか、熱い思いを語った。【取材=村上順一】
【写真】新浜レオン、大河ドラマ『べらぼう』第33回場面カット&撮り下ろしカット
信じられないオファー
新浜レオンにとって、大河ドラマは「夢の舞台」だった。歌手として「いつかは」と心に描いていたが、その夢がまさか今年叶うとは想像もしていなかったという。全国ツアーの最中にスタッフから知らされた出演オファーは、まさに青天の霹靂だった。多忙なスケジュールの中、奇跡的に収録の日程が全てはまり、出演が実現した。
この知らせに、ファンをはじめ周囲の人々は自分のことのように喜んでくれたという。特に、長らく秘密にしなければならなかった期間はもどかしかったが、解禁後には「自分の歌より盛り上がってるんじゃないか」と感じるほどだったと、喜びを滲ませた。
役を生きるための挑戦と葛藤
初めての時代劇出演は、戸惑いと挑戦の連続だった。演じた富本斎宮太夫は、江戸時代に実在した浄瑠璃の歌い手だ。現代の歌手として活動する新浜にとって、当時の「語り」や「所作」を身につけることは一筋縄ではいかなかった。
「歌のビブラートやこぶしを抜く表現に苦戦しました」と語る新浜は、現代とはまるで違う歌い方を先生に指導してもらったという。特に、言葉をはっきりと発音することを意識したそうで、当時の日本語の語り口に近づけるため、細かな部分までこだわった。また、着物を着て歩く立ち方や扇子の使い方といった所作も、一つ一つ時間をかけて勉強した。
しかし、最も印象的だったのは、この経験が歌手としての「言葉を歌で伝える」という原点を見つめ直すきっかけになったことだという。トップ俳優陣の演技を間近で見て、話し方や目の使い方、さらに「喋る前の呼吸」までを細かく観察した。この経験は、歌のイントロや間奏といった、空白の時間をどう表現するかという点で、自身の歌手活動に大きなヒントを与えてくれた。
貴重な出会いと深まる絆
収録現場では、主演の横浜流星との再会も大きな喜びだった。昨年出演した『NHK紅白歌合戦』で顔を合わせ、その時は会話こそなかったが、その後成田山新勝寺での節分会で再会。今回の共演は3回目となり、横浜から「レオン君とここで会うとは思わなかったね」と言葉をかけられた。
同い年ということもあり、収録の合間には、互いの仕事について語り合ったという。「歌の現場と全然違うんですね」と新浜が言うと、横浜は「歌で(お客さんがいて)一発で撮る方がすごい」と返した。一方の新浜は「同じシーンをカットを変えて何度も撮り直す方がすごい」と、お互いのプロフェッショナルな仕事ぶりにリスペクトを示し合った。
また、新浜は横浜の演技を間近で見て、その堂々とした姿に大きな刺激を受けたという。いつか自身も俳優として、青春や「まっすぐ生きる」といったテーマの作品で主役を演じてみたいという夢を語った。
役者の魅力について新浜は「自分のことは置いておいて、その世界に没頭できる」ことだと話す。その中で演じてみたい歴史上の人物を聞かれると「新撰組」と回答。幼い頃に観た香取慎吾演じる近藤勇の姿が印象に強く残っていると明かした。
歌手としての原点と「べらぼう」からの学び
新浜の人生を語る上で欠かせないのが、野球で甲子園を目指し、一度は挫折を経験した過去だ。彼はその敗北を乗り越え、歌手という新たな目標を見つけた。新浜にとっての「甲子園」は「NHK紅白歌合戦」となり、デビューから6年間、ひたむきに努力を続けてきた。
時代に抗い、信念を貫く主人公・蔦屋重三郎の姿で繰り広げられる闘いは、まさに彼の人生そのものに重なる。「最初は馬鹿にされても、何かを貫き通していきたい」という思いを新たにしたという。彼の不屈の精神を支えているのは、家族、特に歌手である父の存在だ。父の姿から「紅白に出るすごさ、大河ドラマに出るすごさ」を学んだ。デビュー直後、「おかちまちパンダ広場」で行ったフリーライブで観客が鳩が3羽しかいないステージを経験したこともあったが、心が折れることは一度もなかった。「挽回する、もっと大きな姿で見返すんだ」という強い気持ちが、彼を支え続けてきた。
この大河ドラマへの出演もまた、彼の夢の通過点に過ぎない。先日、かつて観客が鳩が3羽しかいなかった上野で観光大使に就任し、たくさんの観客の前で歌ったというエピソードを笑顔で語った。
「いつの時代も芸事は人の心を動かす」ということを改めて知り嬉しかったと語る新浜。自然災害やつらいニュースもたくさんある中で、「歌で癒しのエールを送りたい」という気持ちが、今回の大河ドラマの収録を経て強くなった。「僕は素晴らしい職業をやらせていただいている」「初心を忘れずがんばりたい」と目を輝かせた。
新たな挑戦と未来への誓い
「わずかな期間でしたが、全力でやれたことに感謝です」と、新浜は初の時代劇出演を振り返る。この経験は、歌手としても演者としても、彼を一回りも二回りも大きく成長させた。
「見たことのない、驚くような景色をお届けする」という言葉に、彼の熱い思いが凝縮されている。伝統を重んじつつも、新たな挑戦を恐れない。今回の『べらぼう』出演もまた、その決意の表れだ。
最後に、新浜は「全力でやったことは間違いありません。ドラマと一緒に“盛り上がレオン!”」と、ドラマファンに力強くメッセージを送った。今回の出演が、彼の歌手活動に新たな彩りを与え、そして未来の「新浜レオン」を形作っていくことは間違いないだろう。この経験を糧に、彼はこれからも歌い続ける。
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