INTERVIEW

茅島みずき

狂気の女子高生ストーカー役で新境地 リアルを追求した芝居への挑戦:ドラマ「エリカ」


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:25年07月31日

読了時間:約7分

 俳優・モデルの茅島みずきが、動画配信サービスFODで配信されるFODオリジナルドラマ『エリカ』(8月1日(金)20時より独占配信)で主演を務める。戦慄の女子高生ストーカー閉野恵里佳を演じる。

 茅島は、透明感のあるルックスと芯の強い演技が魅力で、2022年放送のドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』(日本テレビ)で連ドラ初主演を務め、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ)『霧尾ファンクラブ』(中京テレビ)、映画『交換ウソ日記』(2023)、『【推しの子】』(2024) など話題作に出演。Seventeen専属モデルを経て、若手実力派として注目を集めている。

 ドラマ『エリカ』は楠本哲氏原作のサイコホラーコミックスを実写化。徐々に見えてくるエリカの歪んだ本性と、壊れていく青嶋一哉(渡辺大知)の人生を描いた作品。また、本作の主題歌を茅島みずき自身が歌唱を担当。『エリカ』の世界観を落とし込んだ楽曲「distortion」が、ドラマをより一層盛り上げる。

 インタビューでは、予測できないストーリー展開に強く引き込まれたと話す茅島みずきに、狂気的な一面を持つ閉野恵里佳を演じるにあたりこだわっていたことから、主題歌「distortion」のレコーディング背景、歌詞で印象的だったところについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

殴る角度や指の使い方にこだわった

茅島みずき

――ドラマ『エリカ』のオファーを受けた際の決め手は何でしたか?

 どのような役にも挑戦したいという気持ちが常にあります。私自身、ホラーはあまり得意ではないのですが、原作を読んだ時、ただ怖いだけではない奥深さや、全く予測できないストーリー展開に強く引き込まれました。恵里佳が次に何をするのか、気づいたら最後まで読み終えていて、「ぜひこの作品、恵里佳に挑戦したい」と思いました。実写化にあたって「このシーンはどうやって撮影するんだろう?」といった不安もありましたが、それ以上にチャレンジしたいという気持ちが勝りました。

――ドラマ『エリカ』の撮影で特に苦労された点はありましたか?

 原作にはアクション的なシーンも多く、撮影では苦労しました。特に、人を殴る、殴られるといったシーンは初めての経験だったので、殴る角度や指の使い方、どのタイミングで首を振ればリアルに殴られているように見えるのかなど、細かい動きをアクション指導の先生に教わりました。何度もテイクを重ねながら、相手の役者さんや監督とも密にコミュニケーションを取り、呼吸を合わせて作り上げました。また、血の表現についても、どうしたらよりリアルに見えるかをみんなで話し合い、こだわった点の一つでした。

――監督からはどのようなリクエストがありましたか?

 第1話の最後に廊下で青嶋先生に向けて、「先生」と声をかけるシーンがあるのですが、その際、監督から「怒りだけでなく、青嶋先生への愛情や、自宅に来てくれなかった悲しみも混ぜて、複雑な感情を表現してほしい」とアドバイスをいただき、それを意識して演じました。

――主人公・恵里佳の役作りで意識したこと、工夫されたことは?

ドラマ『エリカ』場面カット(C)楠本哲/少年画報社/フジテレビ

 まず原作を繰り返し読み、彼女の心情を想像するところから始めました。そして、家庭環境を踏まえて、衣装合わせの際には「メイクをあまり綺麗にしすぎない」など、外見的な部分にもこだわりました。恵里佳は感情の起伏が激しいキャラクターなので、その細かな変化を捉えるのが難しかったです。特に、目の使い方一つで狂気や恐怖の伝わり方が大きく変わることを実感し、動き一つでこんなにも印象が変わるのかと勉強になりました。

――共演者の方々との現場で、印象的なエピソードはありますか?

 青嶋先生役の渡辺大知さんは、お芝居について深くディスカッションしてくださる方で、私が悩んでいる時や、表現に迷った時に、たくさんの意見をくださいました。「こうしたらもっと良く見えるかも」「じゃあ、こう動いてみるね」といった提案をいただき、とても演技がしやすかったです。

――恵里佳という役柄に、共感できる部分はありましたか?

 恵里佳の行動自体は、絶対に自分ではやらないことばかりですが、青嶋先生を一途に想う純粋さや、まっすぐな気持ち、先生の反応に一喜一憂する乙女心に共感できました。

――恵里佳の嬉しい時の表情は、とても生き生きとしていて、幸せそうで良いですよね。ちなみに茅島さんが幸せを感じる瞬間は?

 色々ありますが、最近だとたくさん眠れた時に幸せを感じています。寝るのは好きなのですが、やはり撮影中はいろいろ準備とかもあるので、寝る時間もまちまちになってしまいます。それもあって、たくさん寝られた日は嬉しいです。

“感情を抑えて歌う”ことを意識したレコーディング

茅島みずき

――茅島さんが歌う主題歌「distortion」について教えてください。デモを聴いた時の印象は?

 初めて聴いた時、「このドラマに本当にぴったりだ!」と感じました。恵里佳の複雑な心情が歌詞でうまく表現されていて、ダークで不穏な曲調から、サビで明るくポップになる展開が、逆に不気味で、作品の世界観にとてもマッチしています。細部までドラマの世界観を再現されていて、素晴らしい曲だと思いました。

――イントロの低音の響きや、電話のSE(効果音)、扉を叩く音などドラマの世界観が音でも表現されていると感じました。レコーディングは今年4月にリリースされた「ローファー。」に続いて、2回目とのことですが、今回レコーディングで意識された点は?

 はい、2回目のレコーディングだったので、前回よりもリラックスして臨めました。ただ、表現に関しては手探りの部分もありました。そんな中で制作チームの方々と話し合ううちに、「淡々と歌う方が、この曲の良さ、怖さが際立つんじゃないか」という話になり、それが私自身の考えとも一致したんです。そこで、感情を抑えることを特に意識しました。サビはポップなメロディですが、あえて感情を抑えて淡々と歌うことで、かえってゾクッとするような怖さが表現できたと思います。

――歌詞の中で特に印象に残っているフレーズや、お気に入りの部分はありますか?

 サビの部分が印象的です。明るいメロディに<愛して oh darling my darling>と、受け取り方によっては重さを感じさせる部分が、恵里佳の持つ可愛らしさと狂気的なところにぴったりで、すごくいいなと思いました。

――ミュージックビデオではダンスにも挑戦されたそうですね。

 はい。踊ること自体は好きなのですが、ここまで本格的に取り組むのは初めてでした。ミュージックビデオでは、楽曲の世界観をもとにした独創的な振り付けのダンスを披露しています。毎日たくさん練習したので、ぜひダンスにも注目してもらえたら嬉しいです。

――女優、モデル、そしてアーティストと幅広く活躍されていますが、今後の抱負は?

ドラマ『エリカ』場面カット(C)楠本哲/少年画報社/フジテレビ

 今回『エリカ』で、これまで演じたことのない狂気的な役に挑戦し、自分の演技の幅がまた広がったと感じています。声の出し方や呼吸の使い方など、ボイストレーニングで学んだことが演技にも生きていて、それも発見でした。今後も、役者・モデルだけでなく、歌やダンスなど様々な分野に積極的に挑戦していきたいです。

――最後に、ドラマ『エリカ』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 『エリカ』はただ怖いだけでなく、先の読めない展開にハラハラドキドキできる作品です。私のようにホラーが苦手な方にも楽しんでいただけると思いますし、原作ファンの方々にも満足いただけるよう、すべてのシーンにこだわって制作しました。ぜひたくさんの方にご覧いただけたら嬉しいです。

茅島みずき

(おわり)

【ドラマ情報】

FODオリジナルドラマ『エリカ』(C)楠本哲/少年画報社/フジテレビ

■タイトル:『エリカ』(全6話)

■配信:2025年8月1日(金)
20時~独占配信開始 以降毎週金曜日20時最新話配信
※配信日時は予告なく変更となる場合あり。

■出演:茅島みずき、渡辺大知、岡本玲
山本道子、續木淳平、内野謙太、桃月なしこ ほか

■主題歌:茅島みずき「distortion」(Amuse)
■原作:楠本哲『エリカ』(株式会社少年画報社)
■スタッフ:

演出:大内隆弘
脚本:青島太郎
音楽:丸橋光太郎
プロデュース:酒井綜一郎
プロデューサー:坂田航(ギークサイト)

■制作プロダクション:ギークサイト
■制作著作:フジテレビ

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村上順一

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