INTERVIEW

風間俊介×庄司浩平

風間俊介「日本語の豊かさ」で芝居を深める――庄司浩平も驚く“言語化能力”:40までにしたい10のこと


記者:村上順一

写真:提供:©マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

掲載:25年07月11日

読了時間:約10分

 風間俊介と庄司浩平が、テレ東系ドラマ24『40までにしたい10のこと』(毎週金曜日 深夜24時12分から放送中)に出演する。本作は、累計発行部数75万部を超えるマミタ氏の同名漫画が原作だ。10年以上恋人がいないアラフォー上司・十条雀(風間俊介)と、クールな年下アラサー部下・田中慶司(庄司浩平)による、大人の年の差オフィスラブストーリー。十条が作った“40までにしたい10のことリスト”を慶司が見つけ、二人で一緒にリストをクリアしていく中で関係が変化していく様子を描く。主演の風間はこの現場を「初心を思い起こさせてくれる幸せな現場だった」と語り、庄司も「成長につながる日々だった」と振り返るほど、充実した撮影だったという。今回は、そんな本作で共演した風間俊介と庄司浩平に、作品の魅力や撮影の裏側について話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

まるで5年ほど一緒に仕事をしてきたような感覚

風間俊介©マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

――原作コミックを読んでいかがでしたか。

風間俊介 休日の夕暮れのような、とても温かいけれども、この時間が永遠ではないと感じさせる寂しさがあるところが魅力的だと思いました。雀は39歳なのですが、原作の絵が39歳よりも若く見えるなと思っていたので、撮影する中で「俺ももう40歳になるし」という説得力と、「まだまだ若いですよ」と言ってもらえそうなバランス感は考えていきたいなと思ったのが、原作を読んだときの第一印象でした。

庄司浩平 僕はこれまでボーイズラブというジャンルに触れたことはなく、今回初めて読みました。恋愛漫画は好きでいろいろ読んできましたが、いい意味で変わらないなと思いました。素敵な人と出会い、楽しい時間を過ごし、お互いの困難を乗り越えながら大切にし合い、手を取り合っていく。オフィスラブで年齢差があるという面白い要素がたくさんある中で、マミタ先生が素敵な世界観を作り上げてくださっていて、とても美しく描かれているなと思いました。男性目線での感想になるかもしれませんが、ある種の芸術だと感じましたし、国内に留まらず多くの方がとりこになる理由にあふれているなと思いました。

――役へのアプローチについて、お二人で話し合ったことはありましたか。

風間俊介 本読みのときに温度感のようなものは話しました。原作があるので、その温度感を失わないようにする。3次元であることへの調整という感じでした。精神性というのは、二人で会って話したときに、既にその作品の描いていたものをどう捉えたかという点で一致していた体感があったので、横に並んだときの慶司と雀の感覚を確かめようと思いました。庄司くんが立っている目の前に僕が立ってみたら、バックハグを待っている人みたいになっちゃって(笑)。

庄司浩平 その時はまだ撮影は始まっていなかったのに(笑)。

――撮影をしていく中でお互いの印象が変わったところはありましたか。

庄司浩平 芸能活動を始める前から風間さんのことは知っていたので、遠い存在だと勝手に思っていました。テレビなどで風間さんを拝見する中で、とても柔らかい雰囲気を持っている方だなというのは、イチ視聴者の方とあまり相違はないと思っています。現場の柔らかな雰囲気を保ち、明るいエネルギーを注入する方法をたくさん持っていらっしゃる方だと思い、とてもリスペクトしています。

風間俊介 僕は庄司くんのことは第一印象から変わっていません。一番最初に会ったときから、なぜか4〜5年ほど一緒に仕事をしていたんじゃないかという空気感が二人の間に生まれ、とても心地が良かったです。約2カ月くらい撮影をしていたのですが、印象が変わるのではなくて、ただただ思い出が増えていく、そんな日々でした。

好きなものに一生懸命だからこその可愛さ

庄司浩平©マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

――風間さんは“かわいい”を意識されたとのことですが、役を演じるにあたり意識されていたことは?

風間俊介 演じるにあたりある種ヒロイン性とも言えるのですが、恋愛ドラマなどで女優さんが担ってきたことのすごさを改めて実感しました。角度一つで伝わり方は変わります。原作のマミタ先生が描く雀はとてもかわいらしいのですが、実直で好きなものに一生懸命だからこその可愛さだと思いました。たぶん可愛くしようとは雀自身は思っていないので、そのバランスを考えました。可愛さを意識しすぎるとかえって不自然になる瞬間があるだろうと思ったので、可愛く見せようとしつつも、精神性としては慶司を見たときに心から愛おしいとさえ思っていれば、自然と顔は輝くのではないかと思いました。

――庄司さん演じる慶司はとてもクールな役柄です。

庄司浩平 ジャンル分けするならば便宜上クールに見えるだけで、コミュニケーションが欠落しているとか無口なわけではないんです。原作の慶司も同僚の田中颯(平井亜門)と仲良く話しますし、雀と遊ぶときも楽しそうです。アニメ的なクールさではないので、彩りを鮮やかにするのではなく、グラデーションの中でそういった一面もあるというようなイメージで演じました。外見は原作をリスペクトしつつ、慶司という人間に対する「かっこいい」は彼の振る舞いや、色々なことに真摯に向き合っている姿、そこが雀が慶司のことを素敵だと感じる部分だと思うので、そういった真摯な姿勢がにじみ出ていたらいいなと思いながら演じていました。

風間俊介 本当にすごくカッコ良かった! 庄司くんがクールな中に感情の機微をどう出すか、監督とたくさん話している姿を見て、真摯に向き合っていて素敵だなと思っていました。
庄司浩平 ここ、太字で書いてください(笑)。

――お二人が思う本作で一番のおすすめシーンはどこですか。

庄司浩平 二人でスカッシュをするシーンです。スカッシュは少し非日常的なシチュエーションで、より二人の関係が盛り上がり、二人の仲が深まったところでもあります。慶司と雀というキャラクターを超えて、単純に“僕、庄司と風間さん”の二人が楽しんでいた時間になったかもしれません。また、同性間恋愛の楽しいところだと感じたのが、そこに男友達のような空気が流れていたことです。二人で汗を流して笑い合う、男性同士の楽しい時間が流れていたなと感じるので、そこも皆さんに楽しんでいただける一つだと思います。

風間俊介 原作にもある、置いた手が触れ合う瞬間があるのですが、身長差があるので手の大きさも違うんです。二人の大きさの違う手が重なり合う瞬間、手のアップを撮ると聞いていたのですが、実際にその画面を見たときに、大きさの違う手が重なり合うカットがすごく素敵だなと思ったので、楽しみにしていてください。

風間俊介の言語化能力のすごみ

風間俊介×庄司浩平©マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

――風間さんは本作の記者会見で「この世界に入ったことが大きな一歩だった」とお話しされていました。私の中で特に『金八先生』の時の印象が強いのですが、当時の経験はどのように活かされていますか?

風間俊介 自分のファーストステップ的なところの経験として、楽しかった思い出が強いのですが、元々すごくドラマ、物語に憧れていたので、その物語の一部になれることが楽しいと当時から思っていました。たくさんの作品を経験する中で、楽しいだけではなくつらいプレッシャーが作品に良い影響を与えることもありますが、今回は、初めてドラマの世界に飛び込んだ時のように、みんなで「楽しい」と思いながら作品を作ることができた、初心を思い出させてくれる幸せな現場でした。

――庄司さんはこれまで演じてきた役柄での経験が、今回の作品で役に立っていることや、何か思い出されることはありますか?

庄司浩平 僕がやってきた特撮の現場だと、監督が年間で7人くらいいらっしゃって、色々なやり方を経験できます。デビュー作のときや、現在出演中の『仮面ライダーガヴ』でもそうですが、監督それぞれの撮り方や目指す方向を自然に得られたというのは、とても良い経験であり学びになったと感じています。今回の池田(千尋)監督、小菅(規照)監督は、僕がこれまで経験してきた監督とはまた違ったアプローチを取られる方だったので、学びになりましたし、それが良い方向に作用していたと強く感じています。

――お二人は今回共演されて、お互いの演技から刺激を受けたことや、真似してみたいと思った部分はありますか?

風間俊介 ワンシーンワンシーンが、その連続でした。演じるキャラクターや姿というものはその人自身が強く出ると思うんです。庄司くんは歩く所作がとてもきれいな人です。僕も動きの所作は常にきれいだと良いなと思っていて、庄司くんを観て僕もこういう風に動いてみたいと、日々刺激を受けていました。

庄司浩平 ディスカッションをよくしていた中で驚いたのは、演者側からこんなにも言語化できるのかということでした。ドラマなのでシーンに波があったり、際立たせたい場面があるのは当然ですが、常に最大風力を出す必要はありません。このシーンをどう演じるかというところは、芝居なので感覚的なものも大きいのですが、風間さんは役者として理解が深いからこそ、言語化が非常に上手いんです。そのため、監督や他の共演者、カメラマンさんも向かう方向が明確に分かります。自分たちがどう演じるかという日々は挑戦で頭を使いましたが、成長につながる日々でした。

――風間さん、その「言語化」というのは意識されていたりしますか?

風間俊介 意識しているわけではないのですが、監督に「こういうことですか?」と聞いたときに、喜怒哀楽の4つだけでは表現しきれない芝居が多々あります。例えば「悲しいけど嬉しい」という感情が入り混じるシーンがたくさん出てくると、言葉や表現方法は山ほどあった方が良い。加えて、日本語は感情の機微を表す言葉にあふれているので、それを頼りに正しい感情を共有してシーンを撮りたいと思っているので、それには言語化できたら良いなとは思っています。様々な感情があるからこそ、それを明確にしないと難しくなり、かえって分かりづらくなってしまう。そうなると、作品の妨げになり、観ている人たちもストレスを感じるでしょうから、みんなが同じ方向を向けるのが一番良いと思っています。

――今回、主題歌をChevonの「菫」が起用されています。楽曲を聴いてどんなことを感じましたか。

庄司浩平 メッセージもそうですし、メロディもポップで明るくて、ドラマにすごくフィットしています。配信で観られる方も多いかもしれませんが、この放送される時間帯で、このドラマを観てすごく良い週末を迎えられそうだなと僕自身も思っていて、そこに歌という形で色彩を加えてくださって、とても嬉しいです。

風間俊介 本当にこの作品のために曲を作ってくださったんだと思いました。ドラマは日々の生活の中で起きた彩りだったりを描いている作品なので、その日常で光が差す瞬間だったりとか、何か予定があって外出する瞬間の高揚感をすごく表現してくれている楽曲で、本当にこのドラマにぴったりだなと思いました。楽曲も合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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