俳優の曽田陵介と秋田汐梨が、映画『惑星ラブソング』(6月13日公開)に出演。曽田は広島の青年で、なかなか前向きになれない性格の主人公・モッチを、秋田は海外留学を目指して日々奮闘するアヤカを演じる。本作は、終戦80年となる2025年を舞台に、アメリカ人観光客と広島の若者たちが出会い、過去と現在が交錯する平和をテーマにしたエンターテインメント作品。監督・脚本は、幻想的な物語を描く時川英之氏が務める。インタビューでは、撮影のエピソードから、タイトル『惑星ラブソング』にちなんで、二人のお気に入りの“ラブソング”について話を聞いた。
新鮮だった横書きの台本
――曽田さん、髪の毛をかなり切られましたね。
曽田陵介 はい。本作の撮影の頃と比べると髪型は結構変わりしました。
秋田汐梨 広島で先行公開の舞台挨拶でお会いしたときは髪がすごく長かったので、今日お会いしてビックリしました。
曽田陵介 髪を結んでいたのですが、あの時が人生で一番髪が長かったです。逆に今日の取材は、東京に来てから一番短いです(笑)。
――そうなんですね! さて、今回の作品は、終戦80年というのも大きなテーマとなっていますが、お二人はどのようなことを思いましたか?
曽田陵介 僕が当初思っていた平和をテーマにした映画とは違いました。「平和」がテーマと聞くと、戦争のシーンがあって、兵隊さんが出てきて、苦しむ人たちの描写がある、といったかなり重く捉えてしまう部分があると思います。でも、この脚本はそうではなくて、教科書の1ページ目に書いてあるかのようなさわりだけを描いている。だからといって雑には描いているわけではないです。こういう観点からの平和をテーマにした映画もあるんだ、というのが読んだ印象でした。
秋田汐梨 広島に住んだことがない人間からすると、劇中の「広島って毎日戦争のことテレビでやっているよね」というセリフに衝撃を受けました。この映画は、戦争の残酷さを伝えるわけではなく、それを経て未来にどう生かすか、という話なので、色々な人が見やすい映画だなと思いました。
曽田陵介 僕が初めて平和記念館に行ったときは小学生で、シンプルにショッキングでした。大人になって映画の撮影前に行った時は、どうやったらこれがなくなるんだろう、と印象が変わりました。
――脚本を読んで感じたことは?
曽田陵介 台本って普通は縦書きなのですが、今回の台本は横書きだったんです。
秋田汐梨 台本、とても新鮮でした。ジョン役のチェイスをはじめ、日本語が分からない方向けに、全て英語で書かれた台本もありました。
曽田陵介 横書きの台本に馴染みがなかったので、「縦書きの台本も用意してもらおうか?」とか話していたよね。
――秋田さんが演じるアヤカは英語のセリフも多かった印象です。どのように役作りをされましたか?
秋田汐梨 英語は全然話せないので、入口は音として覚えることにしました。繰り返し何度も聞いて耳で覚えて、その後に台詞の意味を理解するようにしていました。自分のセリフは覚えれば話せますが、チェイスさんとの会話は流暢な英語のセリフがずっと続くので、リアクションのタイミングが難しかったです。現場では、この単語が出たらリアクションしよう、と曽田さんとも相談をしていました。
曽田陵介 たとえば「ここに爆弾が落ちたんだ」という英語のセリフを、どこで言っているのか、流れの中だと難しいんです。英語って重要なワードが最後に来るので、喋っている最初の方にリアクションしてはおかしくなってしまいます。
秋田汐梨 “この単語を”とキーワードで決めても、チェイスさんが流暢すぎて聞き逃してしまうことも割とあって、苦戦しました。
――方言(広島弁)の演技はいかがでしたか?
曽田陵介 僕は広島の大学に通っていたこともあって、広島弁になじみはあったので、聞き慣れた言葉ではありました。
秋田汐梨 私は京都出身なので、イントネーションも違いますし、広島人になりきれているのか不安でした。
――最初、秋田さんの出身地を知らずに見ていたら、広島の方なのかなって思うくらい馴染んでいたと思います。
曽田陵介 広島の方々も、監督も「すごい」とおっしゃってましたよ。
秋田汐梨 嬉しいです。私のイメージだと広島弁って、上り下がりの幅が広いイメージでしたが、実際は意外とフラットで。監督も広島の方で、曽田さんも広島に住んでいたことがあったのっで、現場でもポイントを教えて頂きながら、割とすんなりな馴染めたと思います。
座長としての意識と共演者との交流
――曽田さんは今回映画初主演とのことですが、座長として心がけていたことはありますか?
曽田陵介 みなさんとたくさん話そうと思っていました。スタッフさんともしっかり話して、現場が円滑に進んでくれれば、自分もやりやすいかなと思い、チェイスさんをはじめ日本語が喋れない方もいたので、初日に「飲みに行こう」と誘いました。良い関係性ができれば、「ここはこうだよね」とか言いやすくなるかなと思いました。
――コミュニケーションを大事にしていたのですね。
曽田陵介 僕が過去に出演した作品で、先輩方もそうされていたので、自分もそれを見習ってやろうと思いました。
――特に印象に残っている座長さんは?
曽田陵介 皆さんそれぞれ素晴らしい座長さんでしたが、僕は石原さとみさんの座長っぷりにとても感動しました。石原さんは満遍なく色々な方に話しかけていた印象だったので、僕もそうしようと思いました。
――秋田さんから見て、曽田さんの座長ぶりはいかがでしたか?
秋田汐梨 今おっしゃっていたように、みんなに話しかけている姿が印象的でした。私は人見知りなのですが、気さくに話しかけてくださったおかげで、モッチとアヤカの幼馴染みの雰囲気が撮影初日から出せたと思います。雰囲気を作りながらチームをまとめてくださって、素晴らしい座長だなと思いました。また、チェイスさんとの会話を見ていると、言葉が通じているのかは分からないけど、お二人とも楽しそうでした。マインドで話している感じです。
曽田陵介 「I think so(私もそう思う)」とそればかり言っていたら、チェイスさんが笑ってくれて(笑)。
秋田 それを見て曽田さんは笑わせることが好きなんだと思いました。広島の先行舞台挨拶の控室でも、コミュニケーションを積極的にとっていて、曽田さんの行動にチェイスさんも笑っていました。
二人がお気に入りのラブソングとは?
――曽田さん演じるモッチのネガティブなところも本作のポイントだと思っていて、曽田さん自身は共感できる部分はありましたか?
曽田陵介 モッチに対して「臆していないで行け!」と思ってしまったところはありました。ただ、モッチは幼少期を経てああいう性格になったので、分かるところもあります。僕も将来やりたいことが特になく、どこに就職しようか、見えない未来に対して不安を感じる時期があったので、そこはモッチと似ているなと思います。ただ、モッチは少し考えすぎて決めつけすぎている部分はあって、「チャレンジすることが怖い」という面はありますが、自分だったらとりあえずチャレンジしてみると思います。
――お二人はつらい時や挫けそうになった時、どのように乗り越えていますか? また、支えになっている言葉はありますか?
曽田陵介 「なんとかなるさ」です。あまり深くは考えないようにしています。本当に困ったときは人に話してみるのが一番いいかもしれません。そういうときは僕も先輩とかに相談するのですが、思ったことを口に出す、喋っているうちに自分で何かに気づくかもしれないですから。たとえばこういったインタビューでも話しているうちに、何か糸口が見えたり、絡まったものが解けたりすることはたくさんあります。
秋田汐梨 私は特に決まった言葉はないのですが、悩んだ時はいつも母に相談します。初めてのこと、新しい環境に戸惑い、毎日色々なことが積み重なって落ち込んでしまった時期がありました。そんな時、母に電話をかけたら、第一声を聞いただけで安心して涙が止まらなくなったことがありました。母は私の状況を理解し励ましてくれました。さらに数日後には母から手紙が届きました。私は昔から母の字が好きで、その字に憧れて、母の字をなぞって練習していたほどだったので、励まそうと手紙をくれた母の気持ちが嬉しかったです。その手紙は今でも大切に持っていて、つらい時に読み返して励みにしています。
――最後に、作品タイトルにちなんでお気に入り、または思い入れのあるラブソングを教えていただけますか?
秋田汐梨 私は宇多田ヒカルさんが好きで、どの曲もとても好きです。全曲プレイリストに入れて聴いています。あえて1曲挙げるとするならば、「One Last Kiss」です。去年、宇多田さんのライブで生歌を聴いて感動しました。今までのライブは目に焼き付けたいと思って観ることが多かったのですが、目を閉じて歌声に集中して聴きたいと思ったのは、宇多田さんのライブが初めてでした。
曽田陵介 僕は音楽はそんなに聴く方ではないのですが、僕の中でラブソングといったらGReeeeN(現・GRe4N BOYZ)さんの「オレンジ」です。中学生の頃、片思いしていたときに聴いていた曲なんです。「オレンジ」には夕焼けのイメージがあって、この曲を聴くと、下校時の情景と重なってとてもエモいです。当時、好きだった子と一緒に帰れたらいいなあとか考えながら、聴いていたのを思い出します。
(おわり)
ヘア&メイク:【曽田陵介】仙波夏海 【秋田汐梨】菅長ふみ
スタイリスト:【曽田陵介】岡村春輝(FJYM inc.)【秋田汐梨】高野夏季(KEN OFFICE)
■タイトル
惑星ラブソング
■公開表記
6月13日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開中
■キャスト
曽田陵介 / 秋田汐梨 Chase Ziegler 八嶋智人
西川諄 Raimu 谷村美月 佐藤大樹(友情出演) / 川平慈英
さいねい龍二 塚本恋乃葉 西村瑞樹 キコ・ウィルソン 松本裕見子 田口智也 HIPPY
■スタッフ
監督・脚本・編集:時川英之
プロデューサー:時川英之 横山雄二
特別協賛:みどりグループ
配給:ラビットハウス 宣伝:ブラウニー 協力:広島フィルムコミッション
企画・制作:TimeRiver Pictures
製作:「惑星ラブソング」製作委員会
コピーライト:©映画「惑星ラブソング」製作委員会









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