≠ME「また1つ何かを超えるタイミングに」全国ツアーへの想い
INTERVIEW

≠ME

「また1つ何かを超えるタイミングに」全国ツアーへの想い


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:25年05月10日

読了時間:約11分

 指原莉乃プロデュースのアイドルグループ≠MEが、10枚目となる両A面シングル「モブノデレラ/神様の言うとーり!」を4月30日にリリース。「モブノデレラ」は、物語の最後に報われる“シンデレラ”とは異なり、決して主人公にはなれない、恋は実らず、疎外感に満ちた“脇役”の苦しみを描いた1曲。誰もが共感してしまうような悲しみを、≠MEの表題曲としては初となるミディアムバラードで表現。一方、「神様の言うとーり!」は、TVアニメ『甘神さんちの縁結び』2ndクールのエンディングテーマで、≠MEらしい爽やかさが弾ける、直球のポップソングに仕上がった。インタビューでは、同作のレコーディングやミュージックビデオ(MV)撮影の裏側、さらに6月7日・8日にぴあアリーナMMで幕を開け、7月21日に国立代々木競技場 第一体育館でフィナーレを迎える≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」への思いについて、メンバーの鈴木瞳美、谷崎早耶、冨田菜々風、本田珠由記の4人に話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

朝から低い声で喋って準備していたレコーディング

谷崎早耶、冨田菜々風

――新曲「モブノデレラ」の注目ポイントを教えてください。

冨田菜々風 ≠ME表題曲初のミディアムバラードで、歌詞もすごく切ない曲になっています。7年目を迎える≠MEにとって、このタイミングで新たなジャンルの曲に挑戦させていただけることがとても嬉しいですし、皆さんに新しい一面をお見せできると思いました。MVも観ていただけたら、皆さんもきっと共感できるところがあると思いますし、私たちも共感を得られることを目指して頑張りました。

――印象的なタイトルですが、初めて聞いた時はどう思いましたか。

谷崎早耶 タイトルを聞いたとき、聞き馴染みがなかったので、言葉を調べたのですが、検索結果に出てこなかったので、少し気になっていました。その後、メンバーと一緒に歌詞を見ながら曲を聴いて、その時に「“モブノデレラ”って何だろう?」という話になりました。あるメンバーが「造語じゃない?」と話していて、私は「そういうことか!」と思いました。指原さんが考えてくださった造語なのですが、その意味を理解したとき、とても感動したのを覚えています。

――レコーディングはいかがでした?

鈴木瞳美 私は明るい曲調、高めのトーンの方が得意なのですが、今回、私のパートは音程が低いところが多かったので、難しかったです。レコーディングの前にプリプロという本番前の準備として、一度録るのですが、そのときに「キーが低い、どうしよう...」と思いました。とにかく低い声が出るように練習をしたのですが、レコーディング当日は緊張してしまい、喉が開かず、何度もトライしました。

――時間をかけて向き合ったんですね。

鈴木瞳美 はい。朝から低い声で喋るなど準備していました。ただ、サビは転調して高くなるので、そこも苦戦しました。カラオケで歌ったらみなさんも「難しい」と感じるんじゃないかなと思います。

――本田さんは歌詞を読んでどう感じましたか。

本田珠由記 歌詞を初めて見た時に、1曲の中に、いろいろな感情が入っていると感じました。自分と誰かを比べてしまう劣等感や嫉妬など、こうすればよかったという後悔も感じました。歌詞にある<ヴィランの一人 なれたでしょう>は、主人公がもがいている心情だと思うのですが、私も胸が苦しくなりました。

――“ヴィラン”という存在には、惹かれる部分がありますよね。

本田珠由記 はい。ヴィランはシンプルに悪役と思われがちですが、本作の主人公は、好きな人の視界に入れるのなら、悪役でもよかったというのを感じて、それほど苦しかったんだなと思いました。また、<空っぽの拍手してたんだ>というワードもとても印象に残っていて、すごい表現だなと思いました。

――冨田さんはレコーディングはいかがでした?

冨田菜々風 AメロとBメロは自分語りをしているので、それがより伝わるように歌うことができたらいいなと思っていました。そして、サビで気持ちが爆発するような盛り上がりを作りたいと思っていました。また、最後のサビ前のソロパートはさまざまなパターンを録らせていただきました。特にニュアンスについて話し合いながら、丁寧にレコーディングしていきました。

――意識していたことはありますか?

冨田菜々風 前後で歌うメンバーにどう繋げるのが最善なのか考えていました。みんなで楽曲を作っているので、そういう部分をすごく話し合いました。みんなの歌唱力もどんどん向上しているので、より良い歌の持っていき方を探りながら、レコーディングができたと思います。

――ところで、この曲のモチーフになっているシンデレラと言えば、歌詞にも登場する“ガラスのシューズ”ですが、このワードから思い浮かぶことはありますか。

鈴木瞳美 誕生日の時にピンクのお花が詰められた、素敵なガラスの靴をいただいたことがありました。小さくて履けないのですが、今も家に飾っています。

本田珠由記 本物のガラスではないのですが、昔ガラスの靴が流行っていた時期がありました。おもちゃ屋さんに行くと、ガラス風の靴がたくさん並んでいたことを思い出します。リボンがついていて、色が選べるので3色買ってもらって、お家でプリンセスごっこを、よくしていました。

――お姫様やヒロインも憧れますよね。谷崎さん、冨田さんも小さい頃にそういった憧れはありましたか。

冨田菜々風 ありました。昔、ボタンを押すとドレスが光るお人形があって、それがすごく欲しかったのですが、買ってもらえなかったことを思い出しました。

谷崎早耶 私は幼い頃、着せ替え人形で遊ぶのが好きでした。いろいろなお洋服がある中で、ドレスを好んでよく着せていました。また、少女向けのアニメが当時とても好きで、アニメのキャラクターになれるおもちゃを、サンタさんにお願いしたのを覚えています!

「神様の言うとーり!」MV撮影で“ハッピーハプニング”!?

鈴木瞳美、本田珠由記

――もう 1曲の「神様の言うとーり!」のMVは学園もので、皆さんの笑顔がとても楽しそうで、印象的でした。撮影はいかがでしたか。

本田珠由記 Dメロの後の間奏では、みんなの笑顔がとても素敵で、ファンのみなさんから、「なぜ、こんなに笑っているんだろう?」というコメントを見て、特別なシーンになったんだなと思いました。

――何か楽しいことがあったんですよね?

本田珠由記 実は、撮影で使っていた風船が割れた瞬間の笑顔だったんです。私は割れた音に驚いて、「わっ!」と声を上げてしまったのですが、撮影はそのまま続いて、驚いていました。そのシーンが使われるとは思っていなかったのですが、完成した映像を観たら、みんな素敵な笑顔で、“ハッピーハプニング”が生んだ、思い出深いシーンでした!

――そんなことがあったんですね。谷崎さんは撮影いかがでした?

谷崎早耶 最後、みんなでポーズした後に、河口夏音ちゃんがよろけて終わるシーンがすごく好きなんです。それぞれ好きなポーズをしたのですが、やっぱりメンバー みんなの個性が出るなと思いましたし、河口夏音ちゃんがよろけるところも、すごく彼女らしいなと思いました(笑)。≠MEの良さが集まっている、お気に入りのシーンです。

――河口さん、どんな心境であのシーンに臨んだのか気になりますね。

谷崎早耶 “よろけ方”を研究していた河口夏音ちゃんを見ました(笑)。そういった真面目な部分も彼女らしくて、いいなと思いました。

――努力家ですね。冨田さんが思う、本作の注目ポイントはどこですか。

冨田菜々風 振付なのですが、サビの<満月の夜願った 好きでいて>は、手で満月を作って、目を閉じて眠る振りなのですが、全員が目を閉じて、その後の「ヘイ!」という音のタイミングで一斉に目を覚まします。実はこれがなかなか難しくて。ただ、揃った時はすごく気持ち良い瞬間です。皆さんは目を閉じている可愛いメンバーを観て、目を覚ます瞬間まで、注目してもらえたら嬉しいです。

――特にマネしてほしい振り付けはありますか。

鈴木瞳美 サビです。キャッチーなメロディーと歌詞に合った振り付けになっているので、真似しやすいんじゃないかなと思います。メンバーの名前の掛け声があるのですが、ぜひ順番を暗記していただいて、掛け声をしていただけたら嬉しいです。

――皆さん、MVでは制服を着ていますが、着こなしのこだわりポイントはありますか。

谷崎早耶 衣装さんが、それぞれに合った制服を用意してくださいました。私はカチューシャがポイントになっていて、それが上品な雰囲気になっていると思いました。MVを観てくださった方が、「学園のヒロインみたい」と書いてくださったコメントも嬉しかったです。皆さんがいろいろ想像してくださっていて、コメントを見るのがとても楽しかったです。

本田珠由記 ≠MEの活動の中で制服を着させていただくときは、MV撮影のタイミングが多いです。学生を卒業してからは、ラフにパーカーを着たり、リュックを背負ったりすることが多くなり、私のファッションの好みもどんどんラフな感じになっていきました。学生時代はスカートを折ることもなかったのですが、今回は私服に近い制服の着こなしで、元気なイメージで撮影できたんじゃないかなと思っています。

鈴木瞳美 MVではシンプルな制服だったので、髪型はハーフアップを少しアレンジしたお団子のような髪型で、アニメに登場するような女の子をイメージして、髪をセットしていただきました。

――学生時代はどんな服装でした?

鈴木瞳美 高校時代、制服は自由だったので、ピンクのカーディガンにピンクのスカートで、スクールバッグを背負って、≠MEのリハーサルに行っていました。当時は今の櫻井ももちゃんぐらいピンク色を身に纏っていました(笑)。

一同 懐かしい!

鈴木瞳美 そのピンクの制服はとても気に入っていたので、ここぞとばかりに着ていました(笑)。

――冨田さんは今回の制服はいかがでした?

冨田菜々風 とても自分に合っているなと思いました。

谷崎早耶 私とすごく菜々風らしいなと思いました!

――ご自身の学生時代と重なるところもありましたか。

冨田菜々風 学生時代とは全然違いました。私の通っていた中学校と高校は、校則が厳しい学校だったので、膝下何センチと決められた長さのスカートを履いていました。MVのように自由な校風の、都会の学校にすごく憧れていたのを思い出します(笑)。

もっと≠MEを好きになってもらえるようなツアーに

――6月7日から≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」が始まります。ツアーへの意気込みを教えてください。

本田珠由記 ≠ME 全国ツアー2024「やっと、同じクラス」では、初めてTikTokでツアーVlogを作ったのですが、やってよかったなと思いました。各地で撮ったVlogを残しておくことで、楽しかった思い出を何度も振り返ることができますし、ファンの皆さんも裏側ではこうなっていたんだ、と楽しんでいただけたので、≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」でも、それを更にパワーアップさせてお届けしたいと思っています。≠MEのことをもっと好きになってもらえるようなツアーにしたいです。

――いま、ツアーに向けて個人的な課題はありますか。

本田珠由記 体幹です。最近ピラティスを始めて、この前、初回のレッスンに行きました。ピラティス初回レッスン後にライブをしたのですが、体幹がよくなっている気がしたので、この調子で、もっと体幹を磨いて、ブレないパフォーマンスができたらと思っています。

――鈴木さんは?

鈴木瞳美 ≠ME 全国ツアー2024「やっと、同じクラス」と比べると、スケジュールがぎゅっと詰まっています。短期間にたくさんの会場を回らせていただくので、まずは健康第一で頑張りたいです。また、前回ツアーを完走した後にみんなと輪になって「お疲れさま」とやったのが、とても思い出として残っているので、今回もメンバー全員がケガなく、全公演を駆け抜けて、それをできたらいいなと思っています。

――ツアーで楽しみにしていることは?

鈴木瞳美 ≠ME 全国ツアー2024「やっと、同じクラス」では北海道での公演がなかったのですが、以前、北海道に行かせていただいた時に、人生で初めて車海老を食べました。本当に美味しくて感動したので、≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」で北海道に行ったら、車海老を食べるのが小さな目標になっていて、とても楽しみにしています。

――谷崎さんはどんなツアーにしたいと思っていますか。

谷崎早耶 ≠ME 全国ツアー2024「やっと、同じクラス」はメンバーそれぞれの出身地を巡るツアーでしたが、今年は大阪や、愛知など久しぶりに公演が出来る地域もあるので、成長した姿をお届けしたいです。1回 1回の公演を大切にして、みなさんにもっと≠MEの事を好きになっていただけるようなツアーにできたら嬉しいです。

――そんな谷崎さんが楽しみにしてることはありますか ?

谷崎早耶 ≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」ツアーファイナルの国立代々木競技場 第一体育館です。個人的にとても立ちたかったステージなので、ツアーファイナルの会場が発表されたとき、テンションが上がって、とても騒がしかったと思います(笑)。その気持ちを胸に、ツアーファイナルに向けて頑張りたいです。

冨田菜々風 ≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」は、≠MEにとってすごく大事なツアーになると思っています。≠ME 6周年コンサート「≠ME 6th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」では、会場がさいたまスーパーアリーナというグループ史上、一番大きなステージに立たせていただきました。10枚目のシングルも≠MEにとって挑戦できる楽曲をいただいたということもあり、このツアーを通して、また1つ何かを超えるタイミングになるんじゃないかと思っています。ここまで大きくなってこられたのは、ファンの皆さん、スタッフさんに支えられての今なので、感謝と恩返しの気持ちで、私たち自身もすごく大きく成長できるツアーにしたいです。

(おわり)

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村上順一

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