森高愛が、ABCテレビのドラマL枠で放送中の『離婚後夜』(毎週日曜0時10分、全10話、テレビ朝日では毎週土曜深夜2時30分~ TVer、FDOで見逃し配信中)に出演中だ。LINEマンガにて4000万PV達成の*あいら*/taskey/HykeComicが原作を手掛けた大人気作品の実写ドラマ化で、“離婚後夜”から始まる初恋ピュアラブストーリー。森高が演じるのは、大学3年生の宝条伊織(佐野晶哉)に好意を寄せられる新人作家・金織香帆(久保田紗友)の親友・目黒実咲。実咲は、香帆の元夫・金織真也(長谷川慎)の同期・大崎リュウジ(比嘉秀海)の恋人でもある。森高と言えば、人気を博した『烈車戦隊トッキュウジャー』カグラ/トッキュウ5号で注目を集めた。現在も話題作への出演が続く。俳優として活躍を見せる一方、10万人超のフォロワーを抱えるTikTokでは「あいぴょん」の愛称で親しまれ、あるあるネタで100万再生超を連発させるなど、幅広い活動を見せる。今作では、役作りのため髪をばっさりカット。香帆に美容のアドバイスする役どころで、自身の趣味でもある美容にも通じる点もある。そんなキャラクターをどう捉え演じているのか。【取材・撮影=木村武雄】
10年を経て
――『トッキュウジャー』放送開始から10年が経ちますね。
当時はお子さんから声をかけてもらうことが多かったんですけど、今は世代が上がって親御さんに声をかけていただくことが多くなりました。やっぱり色褪せないんだなって思いますし、10年経ってもこうして声をかけていただけるのは嬉しいですね。
――もともと俳優に興味はあったんですか?
お芝居をしたいと思ってこの世界に飛び込みました。最初はモデルでしたが、お仕事が楽しくてそれがメインになったという始まりでした。
――この10年を振り返ってどうですか?
変わっていないようで、何もかも変わったような気もします。『トッキュウジャー』のように1年続けて撮影するような作品はなかなかないので、それを経験して強くなりました。当時は若かったので「無敵」の気持ちで外に出た感覚でしたけど何もできないと打ちのめされて、まだまだ子供だったなと実感して。10代は高校生役や大学生役、感覚として自分が掴める範囲の役柄が多かったのが、年を重ねて社会人やお母さん役と自分が経験したことがない役を頂くことも多くなって、知らなかった世界を一歩一歩進みながら知っていく感覚があります。それは役者としての私の課題でもあり、楽しさでもあって。皆さんと違う社会経験の積み方をしているので、友人にも話を聞きながら追体験のように自分に取り入れて、想像の範囲を超えていきたいと思っているところです。
――そうした意味ではTikTokでバズっている“あるあるネタ”は観察力が活かされていますよね。
美容あるあるは日々、コスメショップに行って店員さんやお客さんの様子を観察したり、ライブに行って思ったことやファンの行動をメモしたり。でも、もともとアイドル好きなので自然と観察していたという感覚が近いです。
――TikTokを始めた理由は?
最初は楽しそうだからという興味本位でした。でも今はたくさんある発信の場の一つとして、楽しいことが出来たらいいなという感じです。
――森高さんの知る入り口は広がっていますよね。やっぱりファン層は違う?
違います。どれが本当の私か分からないかも(笑)。そう考えるとインスタグラムが一番私の素が出ているかもしれないですね。街で声かけられるときは『あいぴょんだ!』って言ってくれることも多くて、SNSは同世代の方が多いです。
――それぞれの場で行っていることが、いずれ一つのものとして大きなことができたらいいですね。
それができたらいいなって思います。みんなも自分も一緒になって楽しめること、それを目指しています。
――10年前と比べると夢や目標は変わってきた?
変わってきているかもしれないです。軸としてずっとお芝居をやっていきたい、ドラマや映画に出たいというのはありますけど、基本楽しいことやワクワクすることが好きなので、SNSで発信してそれに対してレスポンスをもらって。みんなで作り上げていくことが私にとって、楽しくてワクワクすることなので、10年前の私が想像していたものと全く違っているかもしれないです。髪を切るとも思っていなかったし(笑)。
――役に合わせて切ったという。
そうです。実咲ちゃんのイメージで切らせて頂きました。
転機の作品に
――出演経緯は?
佐藤琢磨監督のワークショップがありそのご縁で声を掛けていただきました。実咲は髪が短いので結ぶという案もあったんですけど、やるなら切りたいと思いました。こういう機会でないと切れないし、短い髪は2、3歳の時だけだったので、似合うか不安だったんですけど、古い友人からもこっちの方もがいいって言ってくれて、切って良かったなって(笑)。
――監督はその意気込みを感じ取ったと思いますが、共演者の反応は?
2回目の共演の方も多かったので、髪が長い時しか知らない方は「えっ!」ってなっていました(笑)。川津明日香ちゃん(池田アカリ役)とは7年前に『兄に愛されすぎて困ってます』で共演させていただいたんですけどクランクインしたときに髪を切った私を初めて見て「えっ、えーっ!!」って2度見されました(笑)。
――出演が決まってから役とどう向き合いましたか?
恋人役のリュウジを比嘉秀海君が演じているんですけど、以前も恋人役で共演したので、気持ちが入りやすかったです。久保田紗友ちゃんとは初めての共演だったのでどう声をかけたらいいか不安だったんですけど、紗友ちゃんから「なんて呼んだらいい?」「お紗友って呼んで」って最初からぐっと来てくれたおかげで仲良くなれました。リュウジを好きということと香帆が大切ということに関して、お芝居に入っていきやすかったです。
――撮影前のルーティンとかあると思いますが、今回は?
髪を切ったことと付随しているのですが短くしてから朝シャンしないとどうにもこうにも髪の毛が爆発しちゃって。それまでは髪を濡らすだけで良かったんですけど、今回の撮影から1時間前に起きて湯船に入るようにしたんです。そうしたら自分の中にゆとりができるようになって、新しいルーティンにしようと思いました。
――実咲の心情の部分ではどう向き合いましたか?
実咲は自分のことより人のことを思っている子だなと感じたので、常に誰かと一緒にいるのを心掛けました。これは無意識だったのですが、撮影期間を振り返ると、プライベートでも友達とよく連絡を取っていたなって。友達を大切にする感情みたいなものをすぐ引き出せるように潜在的にやっていたんだろうなと撮影が終わってから思いました。
――ヒロインを手助けしていく役ですが、ここに注目して欲しいというところはありますか?
周りの人の気持ちの揺れ動きを見ると、自分も頑張らなきゃいけないって思う人は多いと思うんです。実咲も、仕事や恋愛に頑張っている香帆を見てすごい影響を受けていたと思うし、アドバイスしながら自分も感化されていたんだろうなと感じることも多くて。そういう香帆の姿を見て実咲も頑張れたし、前に進めたんだろうなって思う瞬間がすごく多かったです。
――今回の役どころは相手に与えながらも、相手から受けたという感じですか?
与えているというより、いろんな人からいろんなものを受け取った感覚の方が強かったです。いろんな人から良くも悪くも影響をもらってどんどん自分が成長していった印象があります。
――実際に現場に立ってどうでしか?
佐藤監督は視線を大切にされていて、それをワークショップ2日間で学ばせていただきました。佐藤監督とは方向性をすり合わせできた感覚があったので、固めていくというより大まかにこういうことをやりたいというものを持って行って、現場で話し合いながら作っていきました。温かい現場だったので、「実咲ってこうだよね」と一緒に模索して頂いて、共演者も含めてみんなで作っていった感じがありました。勉強にもなったし刺激もたくさん受けました。佐藤監督に、撮影終わったあとに「森高さんのことを信じて信頼してお願いして良かったです」とおっしゃっていただけたので、すごく救われました。
――久保田さんはストイックなお芝居される印象があるんですけど影響は受けましたか。
印象的なのは最終話で私の最後のカットの時です。いろんな感情があったと思うんですけど、私に優しく笑いかけてくれたときのお紗友があまりにきれいで、その顔が頭から離れなかったです。すごいストイックでもあるし繊細だし優しくて。香帆は強い部分を前面に出す子ではなかったけど中に芯みたいなものはあって。その強さに私自身も感化されていました。素敵なパワーがある子です。私のクランクアップの日で、多幸感あふれる最後で終われたことが印象に残っています。
――森高さんにとって大事な作品になるんだろうなと思います。第2章という位置づけといったら申し訳ないんですけど、そういう感じもあるのかなって。
丁寧にみんなで作り上げた感覚があるので、大切にしたい作品です。ひとつのターニングポイントというか。髪を切ったという物理的なこともそうですけど、3人の監督とも出会えてみんなと作り上げて、またひとつ違う何かみたいなものは見えた気がしたので、ステップアップもそうですし、大事にしたい経験ではあります。
森高さんきょうのスタイリング解説
髪を切ったので、メンズライクだけど、結構ボトムスは短いのが最近トレンドです。秋冬になってジャケットも羽織れるので、そういうセットアップにしてみました。ロングブーツはここ2、3年流行っていて。夏は短パンとは合わないからなかなか難しくて。冬が近づいてきたのでブーツを履いていっぱい短いボトムスを履けるのが楽しみです!
◆森高愛(もりたか・あい) 1998年1月14日生まれ、26歳。埼玉県出身。雑誌モデルを経て、2014年に『烈車戦隊トッキュウジャー』でドラマ初レギュラー。主な出演作はドラマ『三千円の使いかた』、『週末旅の極意~夫婦ってそんな簡単じゃないもの~』、『ジャンヌの裁き』、映画『俺物語!!』、『人狼ゲーム ラヴァーズ』、『ただ、あなたを理解したい』など。お菓子作りが得意で、「日本アイシングクッキー協会認定講師」資格も持つ。女優業の他に、TikToker「あいぴょん」としても活動。(@ai_moritaka)。現在は、ドラマ『離婚後夜』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に出演中。