声優アーティスト・愛美が25日、東京・TOKYO DOME CITY HALLで自身初のライブツアー『愛美 LIVE TOUR 2022 “AIMI SOUND”』のファイナル公演を開催した。その模様をレポートする。

 2023年4月よりスタートするTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のOPテーマを来春リリース、そしてそれを皮切りに3クール連続でTVアニメのOPテーマを担当することが決定した声優アーティスト・愛美。クリスマスーーそして、愛美の誕生日当日。『愛美 LIVE TOUR 2022 “AIMI SOUND”』のツアーファイナルが行われた。ソールドアウトとなった東京・TOKYO DOME CITY HALLは3階までみっちりと埋まり、ライブのスタートを静かに待っている。

 会場が暗転し、オープニングムービーが流れる。星空の映像をバックに“最高の夜にしよう!” “今だけの音で 今だけの時間を楽しもう!”というメッセージが映し出されると、愛美がステージに登場し、愛機である白いギブソン レスポールスペシャルを肩にかける。そして、ミラーボールに反射された無数の光が星のように広がる中で歌った「スターリア」から、ライブが始まる。開放感のあるサビで、愛美の歌声が立体感のある会場のてっぺんにまで響き渡っていった。

愛美(Photo by Sayaka Yuki)

 ドラムのビートに合わせて、クラップが起こり、「ファイナル東京! 盛り上がっていきましょう!」という彼女の掛け声に合わせて始まった「ReSTARTING!!」。ハンドマイクでステージの左右へ行き、拳を突き上げたり、歌詞を「東京! メリー・クリスマス!」と替えて歌ったりしながら、会場を熱くしていく。

 今回のライブは2022年7月にリリースしたアルバム「AIMI SOUND」を引っさげてのもので、その収録楽曲がメインとなる。「次は、SILENT SIRENのすぅちゃんが作詞をしてくれた曲なんですけど、私のギター始まりなので、ちょっと練習していいですか?」と、実際に音を鳴らして練習をする緩さが愛美らしい。このツアーで初登場となる赤いギブソンのSGで、バッチリとイントロを決めると、会場も少しリラックスした気持ちで、盛り上がりながら「≒」を聴いていた。客席が愛美カラーのパープルに染まったところで、さらにごきげんなイントロから「瞬間SummerDay!」へ。この曲では、みんなでクラップをしながらノリノリで楽しんでいて、愛美の笑顔もハジけていた。

愛美(Photo by Takashi Konuma)

 「懐かしい曲、9年くらい前の曲を歌いたいと思います」と、舞台セットのスピーカーに腰掛けて、「We're the stars」を披露。ピアノとボーカルで静かに始まり、楽器がすべて重なると、一気に歌に力強さが増す。愛美の感情的なボーカルに、観客も聴き入っていた。

 「ここから、私が作詞をした3曲を続けて聴いてもらいたいと思います」と言って、「MAYDAY」「アナグラハイウェイ」といった強力なロックチューンを続ける。テクニカルなバンドのプレイ、そして、そのグルーヴをしっかりと感じながら、声を張り上げていく。そこから壮大なロックバラード「LIGHTS」への流れも見事で、歌詞を大切にしながら熱唱する愛美の歌声に心打たれた。

 幕間映像で、愛美を「裏」でプロデュースする謎多きプロデューサー神宮寺愛子が登場し、笑いを誘いながらツアーグッズを紹介すると、衣装チェンジをした愛美とバンドメンバーが再びステージに登場。大石昌良作詞・作曲の「かかった魔法はアマノジャク」から後半戦がスタートする。ファンキーなサウンドの中、クールに歌う愛美。曲間でドラム、ベース、キーボード、ギターとソロ回しをしていき、最後に愛美がテナーサックスで自ら「Happy Birthday to You」を吹く。バンドメンバーがサプライズでこの曲を演奏するシーンはよく見かけるが、自分の誕生日を自分で祝う演奏をするのは中々ない光景だ。続く「いやよいやよもすきのうち」はスタンドマイクで、可愛い振り付けをしながら、キュートな歌声で歌っていく。

愛美(Photo by Takashi Konuma)

 実はテナーサックスの演奏では、音声ケーブルが楽器に引っかかり音がちゃんと鳴らないハプニングが起きていたのだが、MC中に完璧な「Happy Birthday to You」を披露。こういう予想もしていなかったことが起こるのもライブの醍醐味と言えるだろう。

 「フリクホリカ」は、おしゃれでグルーヴィなサウンドに、ゆったりと乗る愛美のオトナなボーカルが素晴らしい。そこからアコースティックギターを手にして歌った「ラブレター」は、フォーキーな愛美の歌声が心に沁みて、あらためて彼女の歌のパワーを感じた。

 そして「このツアーのために、作詞をしてライブ映えする曲を作ってきました。この忙しい師走、仕事や課題、宿題から逃げだしたい気持ちを持ってる人もいると思うけど、それでもやっていこうぜ!ということで、この曲を聴いて、みんなで現実逃避できればなと思います!」と伝えて、未発表の新曲「エスケープ」を披露。クラップをしたり、サビで拳を振り上げたくなるような、本当にライブ映えする楽曲。曲が浸透していけば、さらに盛り上がることは間違いないだろう。さらにDECO*27作詞作曲の「ドレス」で勢いを加速させていく。

 ライブの終盤、ファンへの感謝の気持ちを伝え、「ライブで前みたく皆で声が出せるようになるまで、私の曲を楽しんでいただけるその時が来るまで頑張り続けたいし、その先もまだまだ頑張り続けます!」と決意を語ると、再びレスポールスペシャルを手にし、未来への希望も感じる「カザニア」を心を込めて歌う。「ツアー緊張したけど、楽しかったです! また遊びに来てください」と曲間にメッセージも届け、本編ラストは「不完全ドリーマー」!彼女と深い縁のある上松範康(Elements Garden) が作曲、愛美自身が作詞をした楽曲で、渾身の愛美サウンドを叩きつけ、諦めなければ大丈夫、そして物語はまだ始まったばかりなんだ!という強い想いをぶつけて、本編を締めくくった。

 アンコールでは、米俵を3つ乗せた台車を引きながら、自身が作詞・作曲した「※おこめぞん」を披露。お米のCMソングになりそうなキャッチーさが魅力なのだが、バンドメンバーだけでなく、会場のオーディエンスも稲穂(※グッズではない)を振りながら楽しんでいた。実はこの歌詞、お米のことを歌いながらも、なんてことのない毎日のやり取りが実は幸せなことなのだ、というメッセージも込められているので、噛めば噛むほど味わいが深くなる楽曲でもあるのだ。

愛美(Photo by Takashi Konuma)

 続くMCで、TVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のOPテーマを担当、そのシングル「MAGICAL DESTROYER」を来春リリースすること、さらにこのシングルを皮切りに3クール連続でOPテーマを担当することが決定した旨を報告する。「すごく嬉しいです。どれもタイプが違う、いろんな愛美を楽しんでいただける楽曲になっています」と、その喜びを噛み締めていた。

愛美(Photo by Takashi Konuma)

 そして、このツアーを振り返り「皆さんの感想が自分にとって安心につながって、東京まで歌い切ることができました。これからも皆さんとお互いを預けあって、ありのままの愛美で歌っていければと思います。次の曲は皆さんのことを思って作詞した曲です。いつか声出しができるようになったら、みんなで盛大に歌いたいと思っています」と言って、アルバムでも最後に収録された「愛世界」を歌っていく。ライブへの想い、そしてファンへの深い感謝の想いを強く感じる楽曲だが、いつか鳴り響くはずのシンガロングを感じながら、この日は大きな手拍子とともにライブを締めくくった。

 最後は笑顔で「皆さんの応援と愛があるから、いろいろなことが叶っていっているし、いろんな奇跡が起こっているんだと思います、これからも一緒にいろいろな景色を見てくれたら嬉しいです。今日は最高のクリスマス、そして最高の誕生日になりました。ありがとうございました! また会おうね」と約束をし、ステージをあとにした愛美。2023年も新たな景色を見せてくれるはずだ。

 なおこのライブの模様は、2023年1月20日(金)21:00~ライブ配信される。

セットリスト

「愛美 LIVE TOUR 2022 “AIMI SOUND”」セットリスト
2022年12月25日(日)TOKYO DOME CITY HALL

M1. スターリア
M2. ReSTARTING!!
M3. ≒
M4. 瞬間SummerDay!
M5. We’re the stars
M6. MAYDAY
M7. アナグラハイウェイ
M8. LIGHTS
M9. かかった魔法はアマノジャク
M10. いやよいやよもすきのうち/愛美先生(CV.愛美)
M11. フリクホリカ
M12. ラブレター
M13. エスケープ(新曲)
M14. ドレス
M15. カザニア
M16. 不完全ドリーマー

<ENCORE>
EN.1 ※おこめぞん
EN2. 愛世界

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)