桜雅を演じる久保史緒里

 乃木坂46の久保史緒里が、9月に東京・PARCO劇場で上演される「パルコ・プロデュース 2022」の舞台『桜文』で主演を務めることがわかった。明治期の燦爛たる吉原を舞台に情感溢れる悲恋の物語。久保は、吉原随一の花魁、桜雅(おうが)を演じる。自身初の花魁役で新境地を見せる。

 本作は、古き良き日本を舞台に、幽玄でエロティック、情感あふれる物語をユニークな感性で美しく描きだすことに定評のある秋之桜子氏による書下ろし。俳優の心の奥に眠っている感覚を炙り出し表現させ、作品世界を多様化させる演出術で、今や引く手あまたの演出家・寺十吾氏とのタッグで明治期、吉原随一の花魁をめぐる耽美な悲恋の物語を描く。

 この耽美な世界を体現するのにぴったりな俳優陣が揃った。吉原随一の花魁、桜雅役は乃木坂46のメンバーとして活躍しながら、女優として舞台やTVドラマにも精力的に出演し注目を集める久保史緒里。

 そして、桜雅が一人前の遊女になる前の少女時代、心から想い合っていた相手・仙太役と、仙太と他人の空似ながら瓜二つの容貌だったために、桜雅と深くかかわっていく小説家志望の青年・霧野一郎の二役に、若手個性派俳優として、舞台・TVドラマ・映画とジャンルを問わず活躍し今後がますます期待されるゆうたろう。

 禿上がりの若い遊女である振袖新造の葵役に、女優、そしてアーティストとしてマルチに才能を発揮する松本妃代、桜雅の髪を結い続け、吉原随一の花魁となっても心許し信頼した髪結い・与平役は石倉三郎が務める。

 さらに、当代きっての大店、紙問屋の旦那で、物語が大きく動くきっかけとなる桜雅の豪華絢爛な花魁道中を開く西条宋次郎役に、榎木孝明。知的で飄々とした佇まいから漂わせる包容力とその変幻自在さで、物語がふくよかに広がっていくことだろう。

 そして、石田圭祐、阿知波悟美、加納幸和、木村靖司、有川マコト、塾一久といった演技巧者が揃い、明治期の吉原を体現する。

 9月5日から25日に東京・PARCO劇場で、10月1日・2日には大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、10月5日に愛知・名古屋文理大学文化フォーラム、10月8日に長野・サントミューゼ 大ホールで上演される。

榎木孝明、久保史緒里、ゆうたろう

脚本・秋之桜子:コメント

 三年前、お声がけ頂き、気がふれるほど美しく儚い物語をPARCO劇場で描きたいと「桜文」が立ち上がりました。コロナ、戦争と世界は大きく揺らぎましたが、この物語を紡ぐことが出来、上演となったこと嬉しく思います。主役の花魁役には乃木坂46の久保史緒里さん。清楚な透明感とともに憂いを帯びた目と儚さで、この舞台に様々な香りを放って頂けることでしょう。相手役の若き文士には優しい笑顔の中に男を感じさせるゆうたろうさん。そして人気実力とも充実の榎木孝明さん、石倉三郎さん。花組芝居の加納幸和さんはじめ骨太な舞台人の参加も決まり、演出は秋之と何度もタッグを組む寺十吾さんとなれば、そこにもう「桜文」の世界が匂い始め、この秋が待ち遠しくてなりません。

演出・寺十吾:コメント

 これ言っていいのかしら?実は作家の秋之桜子さんは元文学座の女優、山像かおりさんなんです。しかも秋之さんはある限定された時間内にのみ山像さんに降りてくるらしく、だから山像さん?に戯曲の質問をしてもまるでちんぷんかんぷん。これウソじゃ無いんです。今まで秋之さんと何度も仕事をしましたが本当なんです。現に秋之さんから夜中にメールが来ると山像さんのメールとはまるで質感が違って、しかも何かに取り憑かれたかの様な長文が多いんです。その秋之さんが今回描いた「桜文」は、文才に恵まれた花魁と美しい言葉や文章に恋焦がれた明治の若き文士との激しくも禍々しい恋の物語です。もちろん主人公の久保史緒里さんもゆうたろうくんも何かに取り憑かれないとこの作品に飲み込まれてしまいます。2人に一体何が憑依するのか?お楽しみに!

久保史緒里:コメント

 私が演じる桜雅は悲しい過去を抱えている、明治中期随一といわれていた花魁です。

 今回の台本を読ませていただき、この作品の世界観や桜雅の過去に触れて、パワーと衝撃のある作品だと思いました。

 花魁役を演じるのは初めてなのですが、目に見える部分は豪華で美しく綺麗でも、苦しい過去を抱えていたりと、その一人一人の背景を知れば知るほど深い世界だと思います。今回の役を演じる上で、当時の感じや所作はもちろん、いかに桜雅が過去に抱えている悲しさを表現できるか、というところもポイントになってくると思うので、頑張りたいです。

 今回の作品は私にとって挑戦となる舞台です。演出の寺十さんや大先輩の共演者の方々と一緒に演じていけたらと思います。作品の世界の絢爛さを舞台上からお届けいたしますので、ぜひ楽しみに劇場にお越しいただけたら嬉しいです。

桜雅を演じる久保史緒里

ゆうたろう:コメント

 霧野一郎役のゆうたろうと申します。

 『桜文』は僕自身はじめてのテイストの作品、そして久しぶりの舞台出演という事で気合いと高揚感とともに不安とプレッシャーをすごく感じています。課題も沢山ありますが稽古を重ねていく上で少しずつ役と共に成長出来る様全力で挑みますので是非期待していてください。それでは劇場でお会いできることを楽しみにしています!

榎木孝明:コメント

 初めての台本をワクワクしながら一気に読みました。興奮を覚えつつ、同時にストーリーは私の中で映像化していました。初見でそれが出来るか出来ないかは、舞台が成功するか否かの大きな条件です。もちろん今回は大成功で大傑作となり、満足げなカーテンコールの自分まで見えました。

 男の色気に加えて醜い嫉妬心まで要求される作品です。何とやり甲斐のある役柄でしょう。寺十吾さんは是非やらせてもらいたかった演出家です。出会いに感謝して精一杯努めたいと思います。

あらすじ

 時は明治中期、桜満開の吉原。当代随一と謳われる花魁、桜雅は、その妖艶な佇まいとともに、決して笑顔を見せないことでも、その名を知られていた。何とか桜雅の笑顔を引き出そうと、当代きっての大店である紙問屋の旦那、西条宋次郎(さいじょう・そうじろう)は、その財力で豪華絢爛、贅を極めた花魁道中を開くことに。

 一方、吉原のような世界とは全く縁のない堅物で生真面目な小説家志望の霧野一郎(きりの・いちろう)に花魁道中の記事を書かせようと、新聞社が白羽の矢を立て、見物に参加させていた。全く笑わない桜雅を目の前に、霧野は、純真な心で思わず『笑ってください』と、叫んでしまう。途端に、『なぜ…』と発しながらゆっくりと倒れていく桜雅。混迷する花魁道中、騒然となる大勢の見物客。

 それは、決して思い出さないように心の奥深くに閉じ込めていた想いが、一瞬にして呼び覚まされてしまった瞬間だった。桜雅がかつて花魁の見習い、雅沙子として過ごしていた頃、心から想いを通わせ合っていた少年、仙太。二人の淡く儚い初恋の想い。しかし、その誠実さと繊細さゆえに、自ら命を絶ってしまった仙太に、霧野は瓜二つだったのだ。

 花魁道中で笑顔を引き出せそうもなかった西条は、桜雅が突然意識を失ったことで体面が保たれた、と霧野をかばい、匿う。果たして、抗えない宿命に、この奇妙な出会いはどんな運命を与えるのか?物語の歯車が動き出す……。

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