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アジアから世界に発信するエンターテイナーMORISAKI WIN(森崎ウィン)が、「My Place, Your Place」を配信リリースした。MORISAKI WINはミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。俳優としても様々な役を演じ活躍する中で、 2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たし大きな話題となった。
2022年は1月に「anymore」、2月に「Live in the Moment」を配信リリース。3月から放送がスタートしたスーパー戦隊シリーズの第46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主題歌を担当。オープニング曲「俺こそオンリーワン」と、エンディング曲「Don’t Boo!ドンブラザーズ」を収録した主題歌CDを4月に発売するなど、コンスタントに作品を発表。
そして、5月にリリースされた「My Place, Your Place」は、TWICE、Stray Kids、 ENHYPENなどに提供実績のある海外作家を起用し、ハイトーンを生かしたミドルバラードに仕上がった。インタビューでは、ソロ活動で変化した意識から「My Place, Your Place」の制作背景、MORISAKI WINがいま追求していることなど、多岐に亘り話を聞いた。【取材=村上順一】
自分がエンターテインメントをやっている意味
――ソロ活動が始まって新たな意識、芽生えたものはありましたか。
当時よりちょっと自由になれたのかなと思います。デビューしたてのときは右も左もわからずみたいなところもあり、1人でのやり方もよくわかっていなくて。でも、自分らしくなるのが一番じゃないか、ということに落ち着きました。最近よく思うのは、ソロデビューしてもうすぐ2年経ちますけど、自分がいま純粋に活動出来ていること自体が当たり前じゃなくて。
――コロナ禍もあり、今できることを後回しにして、「今度でいいや」という考え方はなくなりましたよね。
まず普通の生活があって、それが約束されているから、エンタメという贅沢ができると思います。もちろんアジアに進出したいとか、いろんな欲は変わらずにあるんですけど、それが今やれることに対して全力でより一層やろうという気持ちが高まりました。常に100%以上の力で向き合っていくんですけど、僕の場合は役者とシンガーをやりながらなので、けっこう頭の中がこんがらがったりするのですが、本当に僕がやりたいこと、自分の世界観を作れているというこの状況が、改めてすごく幸せだなと噛み締めています。
――充実されているんですね。
はい。この気持ちをみなさんとシェアしたい。僕にはすごく素晴らしいチームがいるから、僕らで作ったものを皆さんに一つでも持って帰ってもらって、明日への糧、何か踏み出せる力にしてもらえたらと思っています。エンタメはそういう力をすごく持っていると思っていて、それを自分の中で独り占めするのではなくて、どんどん放出して、俯いている人を見上げさせて、「こんな景色あるんだよ」というのを提示したいんです。誰かの人生を変える、と言ったらすごくおこがましく聞こえるかもしれないですけど、何かそういうきっかけになれたらいいなって。
――どんどん想いが強くなってきている。
改めて自分がエンターテインメントをやっている意味、自分が歌をやっている理由をこの2年で見つけたのかなと思っています。常に自分探しなんですけど、僕がここにいる理由といいますか、そういうところがちょっとずつ見えてきたかなと。
僕の帰る場所
――そして、新曲「My Place, Your Place」がリリースされましたが、今年はリリースが続きます。3部作みたいな感覚もあるのでしょうか。
はい、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主題歌のリリースもありましたが、1月の「anymore」、2月の「Live in the Moment」、新曲「My Place, Your Place」で3部作のイメージでリリースしました。
――今回リリースされた「My Place, Your Place」はミディアムバラードでグッときますね。
3部作の最後は、ちょっとミディアムな曲がほしいなと思ったときに、ちょうどこの「My Place, Your Place」がハマるなと思いました。この曲をリリースすることは前から決まっていたのですが、リリースする順番をどうしようか、とチームで話していて。
――タイミングを見計らっていたんですね。
この曲は日本語を多めにしているんですけど、歌詞で<そしてあの台詞を言うよ OK?>と<「ボクを信じて」>というのは、普通にワードとして言ったらけっこう照れくさい歌詞なんです。メロディに乗せるとそれが言えてしまうのが音楽が面白いところの一つで。「ファンのために」とストレートに言うと照れ臭いので、安易にあまり言いたくはないけど、それがこの楽曲を通して伝わればいいなと思ってます。
――昔から「ファンのために」とか言わない?
「ファンの皆さんのために」という言葉が、たまに薄っぺらく聞こえてしまうからなんです。なので、さらっとリップサービスで言うようなことでもないのかなと思っていて。それもあってこの曲の歌詞を読んだ時に、ベースはラブソングなんですけど、タイトルが「My Place, Your Place」というのはディープなタイトルだなと思いました。
――確かに深いですよね。
僕にとってのミャンマーはそういう場所なんですけど、今の活動の中で帰る場所というのが意外となくて。でも改めてこの音楽の現場、MORISAKI WINプロジェクトというのは僕の帰る場所だし、それが僕の場所だけなく、僕のスタッフさんに対してもそうですし、ファンのみんなにとってもそうであってくれたらいいな、という想いがあります。
――そういった言葉は要所で言えればいいのかなと思いますね。
言葉に出さないだけで、ファンのみんなのことは常に考えてますから。ずっと応援してくれている人もいますし、絶対にアジアに行くと言ったからにはプレッシャーもあるんですけど、もっといろんな人たちを巻き込んで、大きなところでやれるようにならなければいけない、できるつもりでやっているので、中途半端になってしまうようだったらやめる覚悟もあります。
――レコーディングで新しい試み、印象的だったことはありましたか。
今回はいつもディレクションをしてくれているSWEEPさんが不在でした。僕の師匠みたいな感じなんですけど、SWEEPさんがいない時にどれだけできるのか、というのがありました。今回は作詞をしてくださったEIGOさんがディレクションも担当してくださいました。リズムが最初難しかったのですが、この2年間やってきたこと、SWEEPさんから学んだことがすごく身に付いているなと思えたレコーディングでした。頭で考えながらやっているというよりも、身体が反応しながらやっているような感覚があって。自分のリズムとかもわかってきたし、休憩のタイミングとか1日の中で自分の持って行き方もわかるようになってきました。
――これまでのSWEEPさんとのやりとりが今回も活きていたんですね。
はい。本当にいい師匠に出会えたなと改めて思いました。あと、この楽曲を事前にプリプロを自分の家でやって、曲との向き合い方がちょっと変わりました。
――どんな作業だったのでしょうか。
時間の関係で自宅でプリプロをすることになったんですけど、曲のデータを送っていただいて、それをDAW(レコーディングソフト)に全部並べてフレーズを確認したときに色々見えたものがあって。これまで自分の家で声を録ってもあまりいい音で録れてなかったんですけど、今回ゼロから勉強したら意外と必要ないエフェクトが掛かっていたり、初歩的なところを見落としていたところが結構ありました。ただ、そういう作業を始めると6〜7時間はかかってしまうんですけど(笑)。
MORISAKI WINという人間自体が成長している
――今、WINさんが追求されていることって何ですか。
僕、今キャンプにハマってまして、キャンパーとしての追求です。
――ハマったきっかけは?
お世話になってるトレーナーさんが元々キャンプをやっている方で、一緒に行こうと誘っていただいたのがきっかけでした。今は自分一人で行くぐらいキャンプ好きになって。キャンプは更地に自分の世界を構築するんですけど、それが表現のひとつだと思いました。キャンプは去年の11月に始めたばかりなので、ここからブッシュクラフトとか、バッグ1個で山に籠れるくらいまで成長したいですね。
――楽しいというのが一番にあると思うのですが、そこで発見したことはありますか。
改めて自分の世界観を作るのがすごく好きで、何かモノを作るのが好きなんですよね。このご時世、いつまた出来なくなるかわからないじゃないですか。できている幸せを噛み締めながらも、とことんやりきって、自分がこういうことができている中の裏には色んな人たちがいる、ということを忘れないことが、今の僕に大切なことなんじゃないかなと思います。
――ライブはどんな楽しみが?
ライブは非現実的にしたいという思いがあって、その空間をみんなで作り上げたいんです。そのひとつにグッズがあって、このライブでしか買えないものを一つは絶対に作ろうと決めています。そして、そのグッズを持ってる人達だけを集めてライブをしたいという野望もあって。ファンに差をつけるわけじゃないのですが、昔から僕のことを知ってくれている人は一番大事にしたい、とすごく思っていて。苦しいときでもライブに来てくれて、僕がバカやっているところも知っているので。
――グッズまで考えて。
すごいこだわりが強いからスタッフさんを困らせてるところもたくさんあるんですけど(笑)。グッズ以外では会場のトイレットペーパーまでこだわってみたいというのもあります。ライブ会場の関係で、「ちょっとさすがにこれは...」と言われることもあるんですけど。
――トイレまで管理したい(笑)。
ディズニーランドの隠れミッキーじゃないけど、いたるところに“WINワールド”が散りばめたくて。僕は他のことでもそういうところに感動するので細かく作りたい、と思ってしまうんです。
――ライブは“WINランド”を作るわけですね。
そうです。僕のスタッフは「予算が…」とか言いながらも実現してくれます(笑)。
――今この活動はWINさんにとってどんな場所になっていますか。
僕もソロデビューしたてよりは、色々と吹っ切れたところがあります。今のこの活動はMORISAKI WINという人間自体が成長している、成長できる場所だと感じています。
(おわり)
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