Who-ya Extendedがリリースした、EP『VIVID VICE』収録の「VIVID VICE」は、2021年1月から開始し、3月26日最終回を迎えるアニメ『呪術廻戦』第2クールのオープニングテーマになっている。Billboard JAPANの急上昇中の新人アーティストを抽出したチャート「Heatseekers Songs」では堂々3位にランクインするなど(2021/3/22現在)、デビューから破竹の勢いを見せるWho-ya Extendedはまだまだミステリアスな存在だが、その音楽性は表情豊か。アニメ『呪術廻戦』との親和性、「VIVID VICE」を含む4曲収録の本作を中心にWho-ya Extendedに迫る。

Who-ya Extendedとは?

 Who-ya Extended(フーヤエクステンデッド)は、ボーカリストWho-ya(フーヤ)を中心としたクリエイターズユニット。2019年11月、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のオープニングテーマ「Q-vism」でデビューし、同曲が配信されるとiTunes総合チャート、Amazonデジタル人気度ランキング第1位を獲得するなど、一時配信チャートを席巻。「Q-vism」のMVがYouTubeで公開されると、瞬く間に100万回再生突破と、センセーショナルなデビューを果たした。

 また、Who-ya Extendedはまだまだ多くの謎に包まれたアーティスト。素性を伏せることで生じるミステリアスな魅力を醸すという目的、完全にプライベートを確保するという目的、アーティストとしてのスタンスという部分など、様々な理由が考えられる。いずれにせよ、素性がなかなか見えないアーティストの姿に対する想像力を湧き立たせてくれるなど、ある種プラスの方面に作用することもあるのではないだろうか。

表情豊かな音楽性

 EP『VIVID VICE』1曲目、「VIVID VICE」は疾走感あふれるロックナンバー。サウンドや曲調、アレンジにフォーカスすると、フレッシュさもありながら、あらゆる音楽に精通した熟練さも感じられる。そこから、Who-ya Extendedというクリエイターズユニットは複数人数で、あらゆる世代のクリエーターが集う集団ではないかという憶測が出てくる。あくまで主観だが、 “声”や“音”からWho-ya Extendedの姿を想像すると、若い世代のミュージシャンを思い浮かべてもはまれば、ベテランロックミュージシャンの姿を想像してもしっくりとくる。

 2曲目の「The master mind」を聴くと、導入からエレクトロビートが耳に飛び込んでくる。そのビートの音色やギターのアプローチは、どこか80〜90年代を彷彿とさせつつも、サビに進むにつれて近代的なサウンドへと展開する。また、ロックサウンドの基盤となるドラム、ベース、ギターアンサンブルの部分をピックアップすると、海外寄りのサウンドメイクも感じられ、非常に間口の広いサウンドだ。端的に、若い世代に受け入れられやすいサウンドかつ、筆者のようなアラフォー世代にとってもある種の親しみやすさが感じられる。

 3曲目の「VIVID BANG」は音像に注目したい。全体のサウンドが整いつつも、おそらく意図的に、各パートを大胆に分離させている手法がそそられる(例えば、ギターやドラムの一部のパートが左右いずれかに寄った部分から聴こえるように)。その手法の特色は、各パートの“旨み成分”のような部分が明瞭に味わえるという側面がある。ギターは個別に聴き取りやすいし、音が分離しているぶん、ボーカルのリバーブなどの残響音やオーバーダビングも隠し味的ではなく効果的に聴こえたりと、音楽を聴く楽しみを増幅させてくれる。複数回聴いても新たな発見があるトラックと言えよう。そして、4曲目の「Enough Is Enough」はラウドなサウンドでありつつも緩急の効いたロックバンドサウンド。ザラついたクールさとポップさを併せ持っている。

ポスト『鬼滅の刃』?

 本作収録の4曲、どれもボーカリストWho-yaが中心となり仕上げられた作品なのか、あらゆる世代のクリエーターが集結して密に創り上げられたものなのか、はたまた全員20代前半ほどの気鋭集団なのか、現状では不明だ。本作から感じられるのは、4曲ともEP作品として一貫性がありつつも様々なアプローチがあり、彼らの音楽的バックボーンはかなり深いのではないかという印象だ。

 Who-ya Extendedが、“次はポスト『鬼滅の刃』との呼び声も高いアニメ『呪術廻戦』の第2クールオープニングテーマを担当”と、紹介されることもある。YouTubeで「TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットOPムービー/第2クールOPテーマ:Who-ya Extended『VIVID VICE』」を観ると、彼らの音楽と、『呪術廻戦』のダークファンタジーな世界観はそのグラフィック、ムービー、サウンドと、それぞれマッチしていると感じられる。それは『鬼滅の刃』と、主題歌であるLiSAの「紅蓮華」「炎」が非常に親和性が高かったことから、同様に相乗効果を含む現象が起きてもおかしくないのではないだろうか。

 ミステリアスな存在ながら、着実に音楽界での存在感を強めているクリエイターズユニットのWho-ya Extended。表情豊かな音楽性の彼らの作品、アプローチ方法は、あらゆる部分でリスナーをワクワクさせてくれる。【平吉賢治】

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