INTERVIEW

黒羽麻璃央×ko-dai

笑顔と共に届けたい。
2人が語る転機と芝居と音楽


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年03月23日

読了時間:約10分

 黒羽麻璃央の冠番組『黒羽麻璃央のやりたいこと全部やります』がABEMAで配信中だ。黒羽がやりたいことを実際にやってみる番組で、キャンプや野球などにも挑んでいる。そこで見せるのは、2.5次元ミュージカルなどの“役者の顔”とは異なる素の表情。黒羽自身も「すごく楽しい」とのびのびだ。その主題歌にはソナーポケットの「静かな夜空であなたと繋がった」が使用されている。アルバム『80億分の1 ~to you~』の収録曲で、自身を見つめ直すきっかけになったコロナ禍で、これまでの制作サイクルから離れ「作りたい」と湧いて生まれた楽曲の一つだ。ko-daiも「麻璃央くんが笑顔を届けるサポートになれば」と期待を寄せる。

それぞれの転機

――番組主題歌以外で2人の接点は?

ko-dai すっぽんが苦手というなかなか被らない貴重な共通点があります(笑)。あと虫が苦手というところも。僕は特に「G」が苦手ですね。ギャングスターって呼んでいます(笑)

黒羽麻璃央 オシャレー!ギャングスターの「G」なんですね。

ko-dai そうそう、漆黒の「G」!

――「漆黒」は聞こえがいいですね(笑)。とこで、今回の楽曲は書き下ろしではないんですよね? もともとテーマみたいなものがあったんですか?

ko-dai コロナ過で会えなくなった人や恋人同士もいると思うんです。僕らもツアーが無くなりましたし、ファンやアーティストにも会えなくなって。それは僕らだけではなくて、舞台やミュージカルもそう。エンターテインメントで生きる世界の人たちが、来てくれるはずだった人と会えなくなって。そうした「会えない恋」をテーマに書きました。なので、遠距離で会えないという方にも同じような感覚で聴いてもらえると思います。「どんな言葉よりも好きな人の笑顔が一番元気になれる」ということで番組の主題歌に選んで頂きました。麻璃央くんのいっぱい笑っている姿が視聴者に届いて、いろんな人たちが笑顔になる連鎖が起きているので、それを最後にこの曲でサポートさせてもらえるのは嬉しいです。

――その笑顔ですが、ko-daiさんはその昔、笑顔が苦手だったそうですね。

ko-dai 当時はそうでしたね。演技レッスンしてからは大丈夫になりました。感情も出せなかったんですよ。だから「怒れ」って言われても出来ないし、役者としては致命的な感情をブロックしちゃうみたいな。2015年くらいから若手の俳優たちに混ざってレッスンして。「お前、かっこつけ症候群だな」と怒られながら(笑)。怒られること自体が久々でした(笑)。どうしてもブロックしてしまう部分を何とか崩して。そこからは笑えるようになりました。

――転機とも言えそうですね。黒羽さんも転機があったそうですね。俳優を一回辞めようと思ったと。

黒羽麻璃央 そうです。色々と辛いことが重なってそう思った時もありました。地元に帰って何をやるかもわからないけど、とにかく自分が一番好きな場所に帰ろうと思って、親に相談したら「帰っておいで」と言ってくれたんです。その言葉にやめていいんだって思えて逆に後押しされました。それが僕の転機です。やっぱりどこかで「もうちょっと頑張りなさい」って止められるだろうなって期待していた自分もいて。でもそう言われたことでふっと何かが吹っ切れた気がして。

 きっとプレッシャーに感じてなんでしょうね。田舎の町から出てきて、それでいてジュノンボーイ。今は少しずつテレビにも出演させて頂いていますが、舞台がメイン。舞台は好きな人には届きますが、それ以外の方には届きづらい。僕が何をやっているのかは親戚もあまり知らないわけですよ。舞台で毎日忙しくしていても「何やってんだろうね」って思われんだろうなって勝手に誤解をしていて、そういうものがプレッシャーになっていたんだと思います。だから帰っておいでと言われてすべて楽になって、それなら行けるところまでやりたいって思えて、お芝居することも楽しくなっていきました。今はこの仕事以外をやっている自分が想像できないです。

――ではミュージカル『刀剣乱舞』の三日月宗近役としてNHK紅白歌合戦に出場できたというのは結構大きかったですか。親戚の方から何をやっているのか分からないと言われている中で紅白は全国区なので。

黒羽麻璃央 そうです。たくさんの方から連絡を頂きましたし、全然仲良くない人からも(笑)。そういうもんなんだなあということは痛感しました。でも、紅白はミュージカル『刀剣乱舞』の三日月宗近役として出たのであって、自分自身ではない気がするんです。役というフィルターを通しているので。もちろんそういうことを目指してやってきていましたけどね。

――逆にko-daiさんはソナポケとして、歌手として、自分自身の考えや体験が曲を通してダイレクトに届くわけで黒羽さんとは真逆のところにあると思いますが、逆に届くが故に難しさを感じたことはありますか。

ko-dai ラブソングを多く歌っているので、間違って恋愛マスターって勘違いしている人がいて、恋愛マスターと言われた時がありました(笑)。なんだかめちゃくちゃ恋愛成功者だと思っている(笑)。こちらからしたたら失敗ばっかりしとるわって(笑)。失敗しとるからこういう曲書けんねん!って(笑)。今までの恋愛とか歌っているので照れていたら絶対にできないというか。

――その照れもあるとき、ふと感じるようになったことは?

ko-dai その感情はそんなに無くやれています。でも別れた元カノから「この曲って私との事じゃない?」と言われたことはありました(笑)。

黒羽麻璃央 僕が女性だったら、私と付き合っていた時のことを歌ってないかとか考えちゃいますね(笑)。

ko-dai そうそう。でも別れているから関係ないよね、みたいな(笑)。だから、自分がどんな恋愛をしているかっていうのがバレます(笑)。例えばこの曲も映画を見ていたら考察する人なんだーって。出会う人とか僕の曲を聴いてたら、だいたいこういう人なんでしょう?歌詞に書いてあったみたいな。本当にそういうことするじゃんと思われても嫌だって(笑)。それとラブソングを歌っているので曲が歩き始めた時に地元の先輩から電話がかかってきて「隣にいる女性に歌ってあげて」というのは結構ありましたね(笑)。

黒羽麻璃央 それは自慢したくなりますからね(笑)。

ko-dai 電話越しで夜中に大きい声で歌えるわけないでしょうってね(笑)。

黒羽麻璃央×ko-dai

役者に向いているタイプ

――先ほど黒羽さんは、紅白は役として出た印象があると話されていましたが、今回の番組にも出られた有澤樟太郎さんが「役としてじゃなく自分として見てもらえた」と喜んでいました。役の印象が残るというのはどう思いますか。

黒羽麻璃央 出したいんだと思って出してはないんですけど、ただ自分には個性はあまりないと思っています。どういう人間ですかって言われても自分がどういう人間なのか説明ができないんですよ。最悪、別にできなくてもいいかなと思って。

ko-dai 役者としてはいい事ですよね。

黒羽麻璃央 その役のイメージを持っていただければ、別にそれは全然構わないなと思っていて。嫌な役をやっていれば、性格悪そうな人だよねとか、可愛い役やっていれば、あざとい所もあるかなと思われても別にいいなと思っています。個性はあえて作らないとか、気ままにずっと自分が思った通りに生きているというか。でも難しいですね自分ってどういう人間なんだろう。

ko-dai それだから役者に向いているのかもしれないですね。それが逆だったら出来なかったと思いますよ。少しでもレッスンに参加して気づいたところでもありますが、役者は何にでもならなきゃいけないから、自分を持っているとどっかで自分が入っちゃう。だから役になれないっていうのは、役者の最たる答えというか、自分はどんな人ですか、自分が分からないってすごいスペシャルだなと思います。

――今回の番組の中で自分のやりたいことをやっているので「役」ではないですよね。そのあたりはいかがでしたか。

黒羽麻璃央 本能でやりたいこと。こういうことやってみたいなというものをスタッフさんが聞いてくださったので、それを箇条書きにして提出したら、僕と仲良い人もみなさん知ってるのでゲストで呼んで下さって。本当にプライベートなのか仕事なのか途中からちょっと本当に分かんなくなって。どこかで息抜きしないとやばいなって思っていたので、今回みたいなお仕事を頂いて、結構本当にリフレッシュできました。でも体的には詰め詰めのスケジュールだったのできつかったんですけど(笑)。

――野球もやりたいなと。

黒羽麻璃央 それはいつでも思っています。毎日自転車でバッティングセンターに行っているんですよ。

ko-dai 野球、やってたんですね。

黒羽麻璃央 怪我して辞めるまではずっとやっていました。野球が生まれて初めて選択したものだったんですよ。その前はバスケを小1からやってて、始めた理由が仲のいい友人がミニバスに入ったから僕も入るというものでした。バスケは嫌いじゃないけど、好きで始めたけわけじゃないから放課後は野球をやってたんですよ。そのうち野球が好きだなって思ってそこから少年野球に入ったんです。本当に生まれて初めて自分が好きだと思ったものを選択した瞬間でした。

ko-dai 友達、大事にしますよね。友達が入ってたからとか、友達の家が近いから引っ越したりとか。

黒羽麻璃央 そうですね。信用している友達なので(笑)。

ko-dai 友達がやっぱり一番大切なんですか?

黒羽麻璃央 そうです。でも思いが重いのかな。多分重いです(笑)。

――それだけ感情があるということですからね、役者としてはいい事です。

ko-dai いい恋愛するタイプと思います。僕は束縛しちゃうタイプだけど(笑)。

黒羽麻璃央 同じです(笑)

ko-dai 僕は束縛を愛だと思っちゃうタイプ。愛するがゆえの…。

黒羽麻璃央 束縛されるのは大丈夫ですか。

ko-dai ある程度なら。自分もしてるんだからしょうがない(笑)。

自発的に生まれた曲たち

――さて、ソナーポケットとしては先月にアルバム『80億分の1 ~to you~』をリリースして、昨年はデジタルシングル「もう直接言うことはできないから、こうして歌にして届けようとしてる。」と「大切な人へ」をリリースしています。環境も色々と変わってきて昨年1年をどう感じたのか、そしてそれが楽曲作りにどう影響を与えたのか、教えて下さい。

ko-dai 本来は2020年になったタイミングでアルバムを出そうとしてたんですけど、納得の行く楽曲が揃わなかったので一回白紙にしました。それで2020年はツアーを回って、その後に出そうと思ったんですけど、ツアー自体がコロナで中止になってしまって。13年間ずっと音楽に追われている生活というか、音楽を作って出してという決まった生活のリズムの中にソナポケの活動があって、それが一回無くなった時にすごく曲を作りたくなる時間ができたんですよ。一回音楽から離れようと思って、締切もないリリースするかも分からない状況になった時に、久しぶりに制作意欲がめちゃくちゃ湧いてきました。

 作ることが活動の一つ。要は楽曲を作らないアーティストって何もしてないのと同じ。作ることが当たり前になっていたので、その当たり前を一回排除した時に、いろんな作りたい曲が出来てきました。おそらく20曲くらい出来たのかな。準備ができたので、アルバムを出すってなった時に、今まではアルバムのために曲を作ったりもしたんですけど、今回はアルバムの為にと言うよりかは、アルバムを作るにあたって、自分たちの入れたい思いだったりとか、入れたい楽曲でいうのを選んだ。美味しいお弁当作るのにおかずを選ぶみたいな感じで作れて、そうした作り方が久しぶりで。

 ラブソングも多いですし、愛のある一枚にしたいと。とにかく2020年を考えることが多かったので、考えることなく聴けるアルバムしたくて。すごく直接的な表現ばかりした曲を集めました。だから人に渡したり、一緒に誰かと聴いた時に考えずに聴ける曲ばかりなので、ぜひ大切な人に届けてもらいたいと思います。

――では今回の主題歌「静かな夜空であなたと繋がった」もそういう自発的な思いで出来たってことですね。今回の番組もナチュラルな感じもありますし、重なっていますね。

ko-dai 使ってもらったことで、本当にこの曲をより色んな人に、麻璃央くんの笑顔とともに届くので、この曲を作って良かったなとつくづく思います。

(おわり)

【取材・撮影=木村武雄】

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