安野希世乃「歌いたいし、負けたくない」困難の中でも折れない音楽への信念
INTERVIEW

安野希世乃

「歌いたいし、負けたくない」困難の中でも折れない音楽への信念


記者:榑林史章

撮影:

掲載:21年03月03日

読了時間:約10分

 声優でアーティストの安野希世乃が3日、3rdシングル「フェリチータ/echoes」をリリース。安野は声優としてテレビアニメ『ブラッククローバー』のチャーミー役や『スター☆トゥインクルプリキュア』の天宮えれな(キュアソレイユ)役などで活躍するほか、『マクロスΔ』の音楽ユニット・ワルキューレのメンバーとしても活躍。2017年にミニアルバム『涙。』でソロアーティストとしてデビュー。「フェリチータ/echoes」はアニメ作品『ARIA The CREPUSCOLO』のオープニング/エンディングテーマで、「echoes」には、ワルキューレのメンバー東山奈央がコーラスで参加している。安野の優しい人柄が『ARIA The CREPUSCOLO』の世界観ともマッチした今作について話を聞くとともに、いま彼女が思うことを語ってもらった。【取材=榑林史章】

MPを消耗した「フェリチータ」のレコーディング

「フェリチータ/echoes」KIYONO盤ジャケ写

――アニメ『ARIA The CREPUSCOLO』には安野さんもアレッタ役で出演されています。『ARIA』シリーズに歌と役で携わってみて、どんなお気持ちですか?

 『ARIA』はテレビシリーズだけでなく、OVAや劇場版も制作されてきて、今作『ARIA The CREPUSCOLO』はその新作アニメになります。ファンのみなさんには待望の作品であり、こんなにも素敵な作品に参加できて私自身とても光栄です。

 この『ARIA』シリーズにおいて音楽はとても重要で、シリーズのこれまでの作品を見てひしひしとそのことを感じました。『ARIA』の世界にしっかり寄り添って、「最高にマッチした歌をお届けしなくては!」という意気込みで歌わせていただきました。

――『ARIA』の世界は、優しくて穏やかです。安野さんは『ARIA』のどんなところに魅力を感じていますか?

 今作を試写会で見させていただいたのですが、悠久の時を感じました。これはテレビシリーズを見た時にも感じたことで、30分のアニメなのに、2~3時間もそのアニメを見ていたような気持ちになるんです。見終わった後に時計を見て「まだ30分しか経っていなかった」とびっくりしたほどです。歌唱のお話をいただいてから今作に触れたのですが、ARIAの世界観に呑み込まれるように今も見進めています。

――「フェリチータ」は絹織物のように繊細な滑らかさで音と歌声が流れ、『ARIA』の世界観にぴったり寄り添っていると感じました。

 まさしくそこを目指して歌ったので、そう感じていただけて良かったです。最初に聴いた時も、オケとしては空間を用意してくれているのだなと思いました。あまりにも複雑なコード進行で、頼れるものが無かったと言うか…。たいていの歌は、この楽器の進行を聴いていればボーカルの旋律を見失わずに済むという、道標があるものだと思うのですが、それが無いように感じました。あるいは、とても密やかでさりげなく流れているけれど、寄りかかることはできないといったような…。「空間は作ったから、あとはあなたの旋律を紡いでね」と言われているようで、まずはメロディを覚えるのにひと苦労しました。

――作編曲の窪田ミナさんは、これまでも『ARIA』シリーズの楽曲を手がけられてきた作曲家さんです。

 窪田さんはレコーディング当日が初めましてでした。まず、窪田さんご自身がピアノで参加されたオケ録りが行われ、その後の私の歌録りにも同席してくださいました。窪田さんにはハードワークな1日だったと思いますが、私としてはすごく光栄な機会をいただきました。

――どういったディレクションだったのですか?

 優しく囁くように、歌というよりも語るように、繊細に紡いでほしいということを言われました。何かを付け足すような作業は一切無く、むしろ脱色しきって、元は白だったけど透明になるくらいまで抜ききるようなレコーディングでした。終盤は脱力しきって自分が歌っている感覚がほとんど無く、私とは別の大いなる意思によって歌わされているような、半分トランス状態の感覚でした。むしろそうやって抜ききることや、自我を捨て無我の境地に至ることが、「フェリチータ」を歌う上での目的地だったのかなと、今思い返すとそう思います。

――ある種のゾーンに入った感じかもしれませんね。また、イントロのピアノは水面がキラキラしているような雰囲気で、ヴェネチアをモチーフにした『ARIA』の世界観ともマッチしています。

 水を連想させる音作りがなされていて、旋律の紡がれ方や揺らぎ感からも水のエッセンスを感じさせます。流れるようにサビに入っていくところもしかり、始まりから終わりまでブレイクすることなく、まるで水の流れのようにとめどなく流れ続けていきます。私はその流れにただ身を任せるように歌い、ここまで没入感を感じたレコーディングは過去イチだったと思います。まるで出汁を出しきった煮干しになったような気持ちです(笑)。

――こういうレコーディングは、やっぱり終わってからドッと疲れが出るんでしょうね。

 元気な曲は体力的な面でHPが削られますけど、それとは違っていて。注ぎ込んでいると言うか、生命力を分け与えているような感覚で、HPよりもMPを激しく消耗するイメージでした(笑)。精神力を使う感じというか。でもこの曲自体にもMP回復効果があって、歌い終わった時はすごく幸せな気持ちで満たされていました。

――きっと聴いた人も、癒やされるでしょうね。

 はい。私自身も聴くと純粋に癒やされます。疲れたな~と思った時に聴いてもらったら、きっと疲れを取り除いてくれるんじゃないかと思いますね。

――「フェリチータ」はイタリア語で「幸福」という意味があるそうですが、ちなみに安野さんが最近感じた幸せはありますか?

 『ARIA』という作品に関われたことは一つ幸せですし、最近は毎日すごく幸せを感じています。それはたぶん少し前から始めた習慣が自分に合っていたんだと思いますけど。

――どういうことを始めたんですか?

 ヨーグルトを毎日食べることです。そしてヨーグルトに加えるお砂糖をオリゴ糖に替えたこと。オリゴ糖は乳酸菌を活性化させるので…つまり腸内環境を整えることを意識した食生活に変えたんです。そうしたら「何かうれしいことがあったっけ?」と思うくらい、ハッピーな気持ちが続くようになって。腸内環境は大切だといろんなところで聞いていましたけど、実際にやってみるとその理由が分かりました。あと乳酸菌のサプリメントも摂っています。

――それで幸福感が続くというのは、やはり健康第一ということですね。

 ヨーグルトを食べているだけですけどね。単純なんです(笑)。

『PUI PUI モルカー』は全人類にオススメ!

「フェリチータ/echoes」ARIA盤ジャケ写

――もう1曲の「echoes」には、“Buddy’s Vocal”(Backing Vocal)として、声優・歌手の東山奈央さんが参加されています。

 この曲の展開自体、始まりから終わりにかけて2人の関係性が深まっていく曲だなと思っています。最初は1人の目線で歌っていて、憧れの“あなた”という存在を見つけることで、もう自分は1人じゃないと確信していく。だから、決して孤独を歌っているわけではないんです。サウンドとしても1人の目線の1番はリズム隊の音が入っていないのですが、徐々ににぎやかな音になり、憧れの“あなた”が応えてくれるようになって、声も1人から2人になります。曲の終盤ではその繋がりが深まって、お互いがお互いにとってかけがえのない存在になっていく。ずっと1人で呼びかけていた声に応えてくれるのが、東山奈央ちゃんの歌声です。

――『ARIA』にはウンディーネという職業が出てきて、その頂点に立つプリマ・ウンディーネにみんな憧れ、その座を目指してがんばっていく。その関係を歌っている感じですね。

 そうなんです。最初は先輩のウンディーネに憧れていたけど、やがて自分にも後輩ができて想いを継承していく。そうした『ARIA』シリーズが紡いできた大きな流れが表現されていますね。

――「echoes」のサウンドは「フェリチータ」とは少し違って、ケルティックな民族感があってこれもいいですね。

 こういう音は聴いていて心地良いので、すごく好きです。エコでシンプルなものを置いてあるような雑貨店で流れていたら、すごく似合いそうです(笑)。それに日本でこういうグローバルな視点を持った曲が生まれたことも、世界の人に知ってほしいですね。

――東山さんとのレコーディングはいかがでしたか?

 ご時世もあって一緒にとはいきませんでしたが、東山さんは、私が歌ったものを聴きながら別日に録ってくださって。ミックスには私も同席して、そこで動画を撮って東山さんに送ったら、「静かなところで、落ち着いてゆっくり聴かせていただきます」とお返事がきました。東山さんとはワルキューレとは別に、3~4年前に「ぽかぽかイオン」というゆるいユニットを非公式に結成しているのですが(笑)、いつか本格的に活動が始められたらいいなと思っていて。その時に彼女の口から「echoes」についてじっくり話を聞こうと思います。

――今作にはセルフカバーも収録されています。<ARIA盤>には「生きる」、<KIYONO盤>には「夏色花火」のアコースティックバージョンを収録しています。とくに「生きる」は、すごく力強いボーカルが印象的で、歌詞からは今の時代に通じるものを感じて胸に響きました。

 響いて届いて刺さってくれるようにと思って、私も叫ぶような気持ちで歌いました。包み込むように歌うことで響く曲もあれば、優しく歌うから響く時もあり、がむしゃらじゃないけど負けん気で歌った曲が刺さる時もあります。今は音楽を奏でることが難しい時期ですけど、それでも歌いたいし負けたくないし、「私は生きてやるんだ~!」という気持ちを歌声に込めました。今お届けできる「生きる」を歌い切れたと思っているので、たくさん聴いてもらえたらうれしいです。

――そして3月6日に大阪で、4月4日に東京で初のアコースティックライブ『安野希世乃Acoustic Live 2021 ~恋するWater Colors~』を開催します。

 「生きる -acoustic color-」と「夏色花火 -acoustic color-」のレコーディングに参加してくださったミュージシャンのみなさんが、そのままアコースティックライブで演奏をしてくださいます。ギター、ピアノ、パーカッション、チェロという編成で、音楽業界では名の知れたみなさんです。ライブでご一緒させていただくのは初めてなので、ボーカリストとしては少し緊張感もありますね。今私ができるオンリーワンのライブを楽しみながら作れたらいいなという気持ちです。ステージ上の演奏者の音だけで調和を作るアコースティックライブは、1回1回の公演が一期一会の体験になると思います。

――では最後に、『ARIA The CREPUSCOLO』は見る人を癒やしてくれる作品ということで、安野さんを癒やしてくれるものは何ですか?

 『PUI PUI モルカー』(テレビ東京)ってご存じですか? 巷で話題になっているフェルト人形のショートアニメーションなんですけど、教えてもらって見てみたら、めちゃめちゃ癒やされました。

――子ども向けなんですか?

 子ども向けなんてとんでもない! 全人類向けですよ! 心が疲れた時は、ぜひ『PUI PUI モルカー』を見ることをオススメします。そして「フェリチータ」と「echoes」を聴いて、『ARIA The CREPUSCOLO』を見て癒やされてください!

(おわり)

作品情報

安野希世乃
3rdシングル「フェリチータ/echoes」
3月3日発売
フライングドッグ

ARIA盤 VTCL-35325 1,540円(税込)
1. フェリチータ
2. echoes Buddy’s Vocal:東山奈央
3. 生きる -acoustic color-
4. フェリチータ ‐instrumental-
5. echoes -instrumental-

KIYONO盤 VTCL-35326 1,540円(税込)
1、2、4、5 曲目はARIA盤と同じ
3.夏色花火 -acoustic color-

公演情報

『安野希世乃Acoustic Live 2021 ~恋するWater Colors~』
3月6日(土) 大阪・NHK大阪ホール
4月4日(日) 東京・人見記念講堂

プレゼント情報

Twitterフォロー&RTで抽選で1名様にサイン入りチェキプレゼント。

安野希世乃サイン入りチェキ

【応募方法】

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【応募期間】

・3月3日〜3月10日23時59分まで。

当選された方には、TwitterのDMでご連絡をさせていただきます。

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