逢田梨香子「ありのままの自分を」アーティストとしての姿勢
INTERVIEW

逢田梨香子

「ありのままの自分を」アーティストとしての姿勢


記者:村上順一

撮影:冨田味我

掲載:21年02月27日

読了時間:約11分

声優・アーティストの逢田梨香子が2月24日、2nd EP「フィクション」をリリースした。2015年『ラブライブ!サンシャイン!!』の桜内梨子役で声優デビュー。 同作品のスクールアイドルユニットAqoursとしても活動し、2019年6月に1st EP『Principal』でソロシンガーデビューした。今作はシンガー逢田梨香子 のあくなき挑戦を感じさせた1枚で、1曲目のテレビアニメ『装甲娘戦機』のOPテーマとしてOA中の「Dream hopper」から逢田梨香子 が作詞を手掛けたバラードナンバー「花筵」まで、個性的でさまざまな表情を持つ4曲が並んだオムニバス映画のようなEPに仕上がった。インタビューでは、2nd EP「フィクション」の制作背景から、「色んなものを削ぎ落とした先に何が残るのか」とストイックな一面を見せてくれた、逢田梨香子の今に迫った。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

これまでの私のイメージにとらわれない楽曲に

逢田梨香子


 
――昨年を振り返ると、ご自身にとってどんな変化があったと思いますか。
 
 2020年の前半は大きく状況が変わって上手く順応ができない自分がいました。最初は忙しかったところにお休みになってしまって、何をしていいのかわからなくなってしまって…。でも、お仕事が再開してからはお仕事に対する気持ちも変わった部分もあるので、今まで以上に一つひとつのことにありがたみを感じることも出来ました。なので、無駄な時間はなかったのかなと思います。
 
――身体も休めることも出来たのでは?

 はい。やっぱり外に出ることも怖かったので部屋で大人しくしていました。もともとは夜型だったんですけど、一周回って朝型になったり生活のリズムはガタガタになりました(笑)。ちゃんと決まっていることがないと人間というのはここまで堕落出来るんだな、と思いましたから。でも、途中からこれではダメだと思って健康志向になりました。料理とかすごく気をつけるようになって、玄米とか食べるようになったんです。今でもそれは継続しています。
 
――その期間に新しい音楽に触れたりもしましたか。

 そんなに幅広く音楽を聴く方ではないんですけど、今売れているTOP100とか聴くようになりました。私はこれまでK-POPはあまり聴いてこなかったんですけど、歌番組で観たBTSさんの「Dynamite」がすごく格好良いなと思いました。K-POPは言葉がよくわからないというところで敬遠していたところがあったんですけど、改めて格好良い曲が沢山あるんだなと知りました。MVとかも勉強のために見るようになったんです。
 
――幅が広がりつつあるんですね。さて、2ndEP『フィクション』がリリースされますが、このテーマになったのはどんな経緯があったのでしょうか。
 
 “フィクション”はEPとしてのコンセプトとして出て来た言葉なんですけど、「Dream hopper」という曲が一番最初に出来た曲で、今までの私にはなかった個性的な楽曲ということもあり、この曲を軸に考えていきました。EPが4曲入りということで全て方向性が違う感じ、これまでの私のイメージにとらわれない楽曲にしたら面白いんじゃないかとなりました。4つのストーリー、映画を観ているかのような作品にしたいと思い、自分も4人の主人公を演じているような感じで向き合いました。
 
――その「Dream hopper」は展開が大きく変わっていく曲ですが、最初聴いた時どう感じましたか。
 
 展開に驚いて一回聴いただけでは理解出来なかったんですけど、自分の中では聴いた事がなかったタイプの楽曲で、お洒落な曲だなと感じました。『装甲娘戦機』というアニメのOPテーマだったので、バトルものということもあり、もっとロックっぽい曲なのかなと予想していたので。そして、セクションによって表情が変わっていく楽曲だなと思いました。予想の斜め上を行っていて、自分の新しい扉を開いてくれた曲でした。
 
――レコーディングはどのような意識で臨みましたか。

 レコーディングも大変で、まずはお家でどういう風に歌ったらいいのかを考えました。カワイイ曲なんですけど聴く人の背中を押してあげられるような曲にしたかったので、力強さというものは意識しましたし、勢いとノリは大切にしました。
 
――「Dream hopper」のミュージックビデオ(MV)は逢田さんのダンスも見れますね。

 ダンスは新しい挑戦でした。私からこの曲は踊りたいとリクエストさせていただきました。サビの部分はhopper=バッタをイメージしていて、みんなも一緒に踊れるような簡単な振りになっていると思うので、ぜひ皆さんも真似してもらえたら嬉しいです。
 
――ロケ地が団地というのも印象的でした。

 MVのイメージはあったんですけど、細かいところがなかなか決まらなくて、悩んでいた時に監督さんから団地というアイデアが出まして。最初そのお話を聞いた時は「えっ、団地?」と思ったんですけど、説明していただいて、ポップでシュールな感じになるとわかって。日常の風景に今回MVを一緒に撮影した奇抜な5人が入ることで生まれるアンバランスさ、というのがすごく面白いなと思いました。
 

フィクションとノンフィクションの境界線は曖昧

冨田味我

逢田梨香子


 
――続いての「フィクション」はジャズっぽい雰囲気もある楽曲ですね。

 今回、自分がやった事がない曲というテーマがあったので、こういったビックバンドでブラスが印象的な大人っぽい曲が歌いたい、とリクエストさせていただいて出来た曲なんです。1st EP『Principal』や1stアルバム『Curtain raise』もそうなんですけど、舞台に立つ人というのをイメージしていて、これは偶然なんですけど演劇に関係性のある歌詞になりました。テーマ自体はずっと書きたいと思っていたテーマで、演じるというのは声優のお仕事に近いものがありますし、曲は明るいイメージなんですけど、ダークな感じがある歌詞を書きたいなと思って。
 
――ということはスムーズに歌詞は書けて。

 この曲の歌詞は一回書き直しているんです。「フィクション」というタイトル、テーマは変わっていないんですけど、9割は新しく書き直しました。
 
――書き直すことでどのような変化が?

 書き直す前は、生活の中で自分が当たり前に思っていた事が当たり前じゃなかった、嘘だったんだということも沢山あって、意外と現実はフィクションとノンフィクションの境界線が曖昧なんだなと感じた時に、騙されているだけではなくフィクションから抜け出して現実の世界へ、「フィクションから抜け出そう」というテーマでした。それではちょっと硬く、少しわかりにくくなってしまったと言いますか、それでスタッフさんと話し合いをして再構築して「フィクションに迷い込んでしまう」という。今の形になりました。
 
――真逆の発想になって。フィクションに迷い込む、というのはすごく大胆ですね。

 思い切ってみました。私はテレビ番組の『ザ・ノンフィクション』とか『情熱大陸』、『プロフェッショナル 仕事の流儀』などドキュメンタリー系の番組や本が大好きでよく読んでるんです。 それを見ると小説や映画のような出来事ってリアルでも全然起きているなと思ってしまって。自分には関係ないと思っていても実はそんなこともなくて、そういったことも隣り合わせだったりするんです。なのでそういう意識ってよくないなと思って...。 でも、今回出来上がったフィクションは自分の意識は置いておいて、全く違う人物のストーリーを書くイメージで書きました。なので意外と書き始めたらすんなり筆が進みましてゼロだったところから2時間ぐらいで書くことができたんです。
 
――レコーディングはいかがでしたか。

 テンポが速くて立ち止まることころがないといった感じですごく大変でした。リズムとかも追いかけるだけで最初は精一杯だった感じもあって…。 でも頑張って歌うことができたと思います。なので皆さんがこの曲を聴いてどんなふうに感じてもらえたのかすごく楽しみなんです。
 
――そして、3曲目の「退屈が大好き」はカジヒデキさんがサウンドプロデュースされています。

 カジさんとは今回初めてご一緒させていただいたんですけど、今まで歌ったことがないような楽曲をチャレンジしたいというところで、可愛い楽曲ってこれまであんまりなかったなので、楽曲のイメージでいうと例えば、やくしまるえつこさんのようなウィスパーボイスも使うような、キュートさとサウンドのカッコよさが共存した世界観の楽曲が歌ってみたい、というリクエストをさせていただいて書いていただきました。
 
――すごく可愛い曲調なんですけど、毒っ気のある言葉が入ってるのが面白いですね。

 ギャップが凄いですよね。 こういった歌詞は私の曲ではなかったのでこの出会いも私にとってはすごく大きかったです。自分でも歌詞を書いてみて思うんですけど、こんなに大胆で遊び心がある歌詞を書くことは自分にはできないなと思いました。すごく新しいものをインプットできたなと感じています。
 
――すごくインパクトのある言葉が並んでいるのですが、特に印象的だったフレーズはありますか。

 どれも印象的なんですけど、あえて一つ挙げるとしたら<飛び蹴りキメてよダーリン>です。飛び蹴りをしている光景を想像してしまいました(笑)。 この曲の主人公の女の子は結構幼い感じ、10代前半とかのイメージなんです。それがわかるとこの歌詞のイメージもまた変わってくると思うんですけど、ちょっと背伸びをしているような女の子のイメージが私にはありました。<忙し過ぎて退屈>というワードもすごく深いなと思いました。あと歌詞に出てくる<ダーリン>というのは、人のことではなく犬の名前だと、私がいただいた歌詞カードに書いてあったんです。それも面白いなと思いました。
 

ありのままの自分を届けていきたい

冨田味我

逢田梨香子


 
――EPの最後を締めくくるのは「花莚」ですが、この歌詞に出てくる<あなた>というのはどんな方をイメージされているんですか。

 今まで私の書いた歌詞には登場人物というのは出てこなかったんですけど、今回は聴いてくださった皆さんが身近に感じて頂けるような歌詞を書きたいなと思いました。生きていく中で、抗えない別れというものがあると思うんです。恋人が離れていってしまうというのは引き止めようと思えばできると思うんですけど、そうではない死別だったりとか、そういったイメージで歌詞を書きました。
 
 愛情というのはいろんな形があってそれは恋人だったり友達だったり家族だったり、他にも仕事関係の人もそうですし、いつも支えてくださっている方とかもそうです。自分の中では愛という言葉は遠ざけていて、それはプライベートでもそうですし、歌詞でも触れてこなかった部分なんですけど、今ここでその思いを奮い起こして書いてみようかなと思いました。幼少期の頃を思い出しながら書いたんですけど、だんだん曲が進むにつれてその登場人物が大人になっていく様を描いた楽曲なんです。
 
――「花筵」というタイトルはすごく珍しいなと思ったんですけど、どこから出てきた言葉だったんですか。

 私はこの言葉を知らなかったんですけど、どんなテーマで歌詞を書こうかなと思っていた時に、抗えない別れ、大切な人に何かを送るということを考えた時に餞(はなむけ)という言葉が思いついて、それに関連したワードを調べていたら「花筵」という言葉にたどり着きました。それで写真を検索したら桜が散ってできた道が出てきたんです。そこからイメージがすごく湧いてきました。
 
 花が散ってしまうと来年までその木に花は咲かないけど、その散った花びらでできた道は誰かの人生を彩るかもしれないと感じて、それってすごく素敵だなと思いました。最初はもっと自然な曲を書こうと思っていたんですけど、そっと隣にあるように馴染みのある曲にしたいと思い、そういったワードを入れていきました。
 
――このEPを「花筵」のようなバラードで終わるのも美しいですよね。

 ありがとうございます。楽曲を作っていただく時に「エンドロールで流れるような曲」というリクエストをさせていただきました。1曲目から色んなストーリーがありましたけど、この曲を聴いてもう一度1曲目から聴いてみたい、と思ってもらえる楽曲になったらいいなと思ったんです。余韻が残るような終わり方にしていただきました。
 
――まさにこのEPが映画といった捉え方なんですね。最後に2021年どんな姿をファンの方に見せていきたいと思っていますか。

 声優としては演じるという作業をしていて、アーティストもそれに近しいところはあると思うんですけど、あえてアーティストとしての活動の時は正直に、ありのままを皆さんに見せることができたら伝わるものがあるのかなと思っています。なので色んなものを削ぎ落として行きたい、と思っていて、削ぎ落とした先に何が残るのか、という自分の中での楽しみがあります。きっと応援してくれる皆さんも取り繕った私より自然体の方がいいんじゃないかなと思うんです。新しいことに挑戦しつつも、無理をせずありのままの自分を届けていきたいです。
 
(おわり)

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