JAM Project「今が最高」常に乗り越えてきた20年 5人の絆に迫る
INTERVIEW

JAM Project

「今が最高」常に乗り越えてきた20年 5人の絆に迫る


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年02月26日

読了時間:約13分

 JAM Projectが、結成20周年を記念して2月26日から3月11日まで2週間限定でグループ初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』が公開される。JAM Projectは影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹の5人組で、世界に日本の「Anisong(アニソン)」を躍進させたパイオニアであり、”レジェンド”と称されるスーパーユニットだ。グループ初のドキュメンタリー映画では、彼らが残した数々の功績や活動の中で生まれた葛藤など、ポジティブなところからネガティブな一面まで包み隠さず納められている。インタビューでは、密着されて感じたことや、メンバーそれぞれのアニソンシンガーとして乗り越えてきたことなど、多岐に渡り5人に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

期待を裏切った部分も映画に残せた

(C)2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

――今回密着されてみて皆さんいかがでしたか。

遠藤正明 密着される事に慣れていなかったので最初は戸惑いました。ライブ映像商品のおまけに付くようなメイキングとはまた違うので、最初はどうしたらいいのかわからなくて(笑)。 でもだんだんカメラに慣れてきて、監督さんやスタッフさんが僕らの音楽に興味を持ってもらえたのが分かったので、そこから変わっていきました。最後には監督さんになんでも喋れるようになってましたから。

奥井雅美  撮られているというのを意識すると少し良い人振るというか、カッコつけてしまったりというのが頭のどこかで人間って働くと思うんです。 なので最初は表情とかもすごく気にしていたんですけど、もうずっと撮られているのでだんだん意識しなくなってきて。完成した映画を観たらカメラを意識していない表情だったり、 普段だったらNGにしてしまう表情も映画では使われているんですけど、それがすごくリアルな感じで良かったなと思っています。メンバーそれぞれ見たことがないような表情も映画では見れると思うので、そこも良い意味で期待を裏切った部分を映画に残せたのかなと思います。

きただにひろし 僕もカメラがあると気にしてしまうので、戸惑うところもあったんです。 この前、監督とも話していたんですけど、それがだんだん普通になってきたときに、いい絵が撮れたと仰っていて。自分がもちろん出ているんですけど客観的に映画を見た時に、自分のシーンは思い返しちゃいますね。自分が泣いてしまったシーンとかは、思い出すとグッとくるところがありましたから。

福山芳樹 1年半ぐらい密着していただいたんですけど、こんなに時間をかけて撮影するんだと驚きました。 僕のイメージでは20周年のツアーファイナルがエンディングにくるんだと思っていて、そのツアーがあるから僕は割と前半のシーンも安心していたんですけど、コロナ禍でツアーが中止になってしまって、途中から映画のエンディングを気にし始めてしまって。さっき影山さんとビートルズの話をしていたのですが、『Let It Be』という、彼らがこれで解散しました、みたいな映画があるんですけど、僕らの作品もそういった作品ならなきゃいいなとか思ったり(笑)。完成したものを観たとき、リアルなマイナス感とプラス感が両方出ていて、僕の中では「こういうことだよな」とふに落ちたのもあって、改めてJAM Projectを勉強できました。

影山ヒロノブ 自分の人生の中で映画に出演したことは一度もなかったので、JAM Projectの映画を作ると聞いて最初すごくびっくりしました。 僕らの本質を掘り下げるような内容にしたいということだったんですけど、 僕の中であまりよくわかっていなかったんです。ビートルズの映画みたいな感じなのかなとか、ツアーを回っていく中である程度演出が入って、観た人が「ツアーってこんなにすごいんだ」というドキュメンタリーなのかなと思っていました。 でも完成した映画を観たときに、20年やってきた中でのそれぞれの生き様みたいななことも含めてそこがメインになっているのがすごいなと。

――確かに本作にはマイナスに感じられる要素もありました。

影山ヒロノブ コロナ禍の前にツアーの話をしたときにスタッフからは、そもそも3時間も歌えるのかという話があって。自分自身にもマンネリに打ち勝てない葛藤みたいなものがあったんだと思うんです。自分達の役割が終わったんじゃないかと。このツアーもアニバーサリーという形式だけになってしまうのではないかと。何とかしないといけないという思いもあって、このツアーをやった先に何か考えられるんじゃないかと。でもコロナ禍で中止になり…。そのなかで唯一出来たのがオンラインライブの『JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.』でした。

 『JAM FES.』の後それぞれのインタビューがありますが、試写でそのシーンを見たときに、一番ネガティブだった頃からするととてもポジティブなものになったと感じられて。そんな自分にびっくりしました。歌えなくなり初めて「こんなにも歌いたかったんだ」ということにも気づきました。

きただにひろし こんなにも歌わなかった期間があったというのは、本当に初めてでした。

今1番のJAM Projectのテーマとは

JAM Project(C)2021「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」FILM PARTNERS

――映画のタイトルは『GET OVER』ですが、このタイトルにはどのような思いが込められているのでしょうか。

影山ヒロノブ いろんなGET OVERがあると思うんですけど 、「乗り越えること」というのが今1番のJAM Projectのテーマになっているので、選んでくれた言葉だと思うんです。 僕は今までの自分たちを乗り越えて次にみんなに見せるもの、という意味だと思います。 それが僕たちが存在している意味だと思っています。

――この20年間でそれぞれが何かを乗り越えた瞬間はどんなものでしたか。

遠藤正明 常に自分との戦いだと思っていたので、格好よくいったら昨日の自分に勝てていたらいいなというものがありました。そうしないとやっぱり前には行けないと思っているので、毎日が乗り越えていく瞬間だったなと思っています。

奥井雅美 私が何かを乗り越えたと感じた瞬間は以前いたレコード会社をやめて、自分でレコード会社を作った時かな。ソロでやっていたら、同業者でのチームはあっても、仲間っていないじゃないですか。でもJAM Projectに参加した時に輪が広がって見えるものがたくさんあって。それまでには「歌うのをやめたい」と思う瞬間も何度かあったんです。ある程度長くアニソンに関わった頃に当時のチームと温度差が出来て揉めてしまうこともありました。その時は“アニソンをやっていたからだ”と自分の中で結論づけたんです。

 そのために、一度アニソンの世界から離れ、ノンタイアップでやりたい、と思っていた時期もありました。でも、それをアニソンシンガーがやってしまうと売り上げが半分以下に落ち込んでしまうんです。その時に私を最初にスカウトしてくださった方が、「アニメをやらなきゃダメだよ」と言ってくださって、 JAM Projectに加入を提案して下さったんです。アニメのカバーアルバムを出したりアニソンの世界に戻ってきて、いろんな人たちの姿、各自がどんな思いでアニソンを歌っているのかというのも参考になったり、すごく刺激を受けました。自分がこんなにも長く、この年齢まで歌えるとも思っていなかったし、ライブも年々激しくなっているけど、いろいろ乗り越えてきたんだなと思います。なのでこのメンバーで歌えていることに今すごく感謝しています。

――影山さんはいかがですか。

影山ヒロノブ スター5人のチームを一つのチームに変えることが出来た時です。福ちゃんと奥井ちゃんは同じ時期にJAM Projectに参加してくれて、水木(一郎)さん、(坂本)英三さん、松本(梨香)さんがJAM Projectから離れて、僕がいつも思っていたのは自分が野球のオールスターチームの監督みたいな感じで、それぞれのファンががっかりしないように見せ場を作らないといけないなとレコーディングの時に思っていたんです。でも、それを永続するのは難しくて。

 このメンバーでコーラスも突き詰めてやるようになった時に、この曲で僕は野球に例えるとライト8番だなとか、そういうのがわかった時から一つのチームになって、そこが僕にとって一番乗り越えた瞬間だったと思います。今ではもう最初からサポートに回ろうと思って書いている曲もありますから。それによってJAM Projectでしか出せないようなものが出来るようになったんです。

きただにひろし 僕は常にGET OVERの連続だと思っていて、毎回色んな高さの壁があるんですけど、それを運と努力で乗り越えてきて。JAM Projectに入ってからもずっとやっていると思うんです。いまだに自信がなくて不安なのですが、自分には伸びしろがあって、「まだまだ行ける!」と思っています。その壁をずっと登っていて超えていく、その瞬間の連続で、死ぬまでGET OVERなんです。

福山芳樹 映画にも映っていますが、JAM Projectに入った時はこんな人たちと共演できるんだ、「すごい!」としか考えていなかった時代から歴史をたどり、最後の「The Age of Dragon Knights」に繋がっていきます。「SKILL」という曲のデモを最初に聴いた時にすごく難しくて覚えられるのかなと思いましたが、それが基準になって毎年毎年どんどん難しくなっていくんですけど、「SKILL」があったからこそ「The Age of Dragon Knights」に繋がっているんだと思えたんです。常にGET OVERの姿勢があったからここまで来れたんじゃないかなと思います。

シンガーとしての理想像に迫る

村上順一

JAM Project

――JAM Projectとして20年間活動してきましたが、それぞれみなさん“イチ”シンガーとしての理想像にたどり着いた部分はありますか。

奥井雅美 私は目標とか理想を持ったことがなかったんです。唯一あったのが自分が聴いて好きだと思える音楽をアニソンに取り入れられたらいいな、という思いでやってきました。JAM Projectだと影山さんが作る曲を歌うことが多いんですけど、年々曲が難しくなっているんです。それをずっと歌える自分でいたいと思っていて、声をキープしていくこととか。なので、理想とは違うかもしれませんが、今はずっと歌い続けられる声を持っていたいなと思っています。それを今はできていると自分では感じているので、これからも柔軟に、もっといろんなことができるようになりたいんです。あとはみっともない姿を見せたくはなくて、若いシンガーと一緒に歌うこともあるんですけど、「JAM Projectはやっぱりすごい」と思ってもらえるような活動を続けていきたいです。

遠藤正明 歌い手として理想のゴールは決めていないかもしれないです。もしゴールがあるとしたら声が出なくなったり、「もう歌えないな」と思った時なんじゃないかなと。ただ、歌えるまで歌い続けたい、という思いはもちろんあります。もう僕には歌うことしかできないので、歌えるところまで歌い続けたいなと。

影山ヒロノブ 僕が若い頃に思っていたのは、年齢を重ねてもっとすべてのことが自然にできるようになる、人生を歌えるようなシンガーになれたらという理想がありました。歌というのは作為的に表現する、歌う部分もあると思うんですけど、それがキャリアを重ねていけば、余計なものが全部取れて自分の核みたいなものが残るような気がしていて、そんなシンガーになれたらというのは今も思っているんですけど、それを理想とするならまだまだ先は長いなと。

――その理想が生まれた経緯は?

影山ヒロノブ 子供の頃ずっと好きだったのはロックでもソウルフルな人が好きで、ポール・ロジャースは23歳で人生の全てを歌える男と言われていて、それはすごくエモーショナルで。特にFREE(英・ロックバンド)のライブ盤が僕は好きなんだけど、黒人のシンガーがやるフェイクのような感覚で、それが魂の歌みたいに感じました。自分もいつかこんな風に自分の本質を自分だけのスタイルで歌えるようになりたいと思ってました。いつも思うのは自分はまだまだ自然とは程遠いなと思っています。

きただにひろし 僕は死ぬまでGET OVERなので現状に全然満足していないし、まだまだそれは技術やメンタルなど学ぶべきところがたくさんあります。新たにいろんな人の音楽、例えばOfficial髭男dismのような流行の曲聴いて刺激を受けたりして、「こういう曲も歌ってみたい」とか欲が出てきて。音楽がすごく楽しいんです。今の環境はどんどんチャレンジもできるし、ボイトレにも何年か前から通っているんですけど、そこでの発見もあります。まだまだやれることは無限にあるなと感じています。ゴールに旗は立てているのかもしれないですけど、そこがどこにあるのかは今はまだ自分ではわからないんです。たぶんゴールはこれ以上上手くならないなと思ったときなんですけど、それはいつ訪れるのかはわからないですから。

――理想がわからないから楽しいというのもありますよね。福山さんはいかがですか。

福山芳樹 理想というのが歌えば歌うほど遠のいていく感じがしています。初めて僕がレコーディングを体験したのが30年前なんですけど、その時のショックたるやなくて。こんなに理想とかけ離れているんだと思いましたから。キャリアを重ねていく中でちょっとづつ上手くなってはいくんですけど、18年前にJAMに参加してまだまだ先があるんだと思いました。なので「今できるベストで勝負するしかない」と思ったのはここ最近なんです。自分を知るというか、上手い人たちを見て、その人たち以上のことをやってやろうと思っていたんですけど、越えればそれが理想なのかといえばそうでもないし、近づけば近づくほどこんなにも先があったんだと理解できるんです。「SKILL」が歌えたくらいですごいなと思っていた時期が遠い昔のように感じています。

――みなさんのお話を聞いて、このJAM Projectが理想や技術など底上げしているんだと思いました。さて、この5人で良かったと思える瞬間はどんな時ですか。

遠藤正明 まさに今、このメンバーで良かったなと思えています。もちろん嫌な時期もあったんですけど、この映画を観て、メンバーのことをもっと好きになりましたから。

影山ヒロノブ そうだね。何か一つのことを獲得するならその何倍もの苦しみを乗り越えないと手に入らないというのは間違いないです。20年掛かってやっとここまで辿り着いた、最終的に辿り着いたのがこのメンバーですから。この5人は色んなことを乗り越えてきたから今が最高なんです。

きただにひろし JAM Projectは本当に奇跡だなと思います。時代性とかそういうものもないと生まれなかったと思います。

奥井雅美 偶然ではなく必然性みたいな。同年代の男性、女性、同業者、色んなシンガーがいますけど、JAM Projectのメンバーが一番かっこいいと思っています。胸を張って「うちのメンバーいいでしょ!」というのはいろんなところで言っているので。音楽的なこともそうですし、それぞれの役割もあっての今が最高なんです。

――最後にこの映画を観てどんな事を感じてもらえたら嬉しいですか。

影山ヒロノブ 自分たちより若い人たちに伝えたい事があるとすれば、実際は上手くいかないことの方が多いのが人生なんですけど、人は誰でも努力したり、良い仲間と巡り会う事で最終的に自分の目標を叶える事が出来る、ということを感じて欲しいですし、自分の心の中に持ち続けて欲しいなと思います。

(おわり)

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