シンガーソングライター・ギタリストのReiが2月14日、東京 EX THEATER ROPPONGIで『Rei Release Tour 2021 “SOUNDS of HONEY” -the Band Set-』を行った。ライブは昨年11月にリリースしたセカンド・アルバム『HONEY』を携えて1月30日の名古屋 THE BOTTOME LINE公演を皮切りに約1年振りの東名阪ツアーとして有観客で開催する予定だったが、コロナ禍で中止に。そのツアーファイナルとなる予定だった東京公演のみ行った。新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行い、キャパを約500人の観客数に制限し併せて生配信も実施。ライブは『HONEY』収録曲を中心に、ライブ定番曲「New Days」や「BLACK BANANA」などアンコール含め全17曲を届けた。アルバムでもコラボしたSOIL&”PIMP”SESSIONSからタブゾンビ、サポートメンバーの栗原健がゲスト出演し、大いに盛り上がったライブの模様を以下にレポートする。(※ネタバレあり)【取材=村上順一】

心は踊らせていきましょう

Rei(撮影=上飯坂一)

 開演時刻が迫ると配信では「ワクワク」「ドキドキ」といったコメントが見られ、ライブを待ち侘びている様子が見られた。そして、いよいよ開演時刻になり会場である東京 EX THEATER ROPPONGIが映し出され、SEが流れる中と観客の拍手の中、Reiがステージに登場。SEのサウンドも相まって緊張感を感じた瞬間でもあった。

 ライブのオープニングを飾ったのは、アルバム『HONEY』でも1曲目を飾るReiのスライドバーによるギタープレイが印象的で、カントリー、ケルトミュージック、様々な音楽を昇華した「B.U.」で幕は開けた。グルッとReiやサポートメンバーたちを360度映し出すカメラワークが通常のライブでは体験できない映像を映し出す演出で配信で観ている人たちを楽しませる。

 テレキャスからストラトにギターをチェンジし「COLORS」へと。突入。グルーヴィーな歌とギターのコンビネーションが、身体を揺さぶりかける。観客は着席スタイルでライブを観覧しているが、しっかりリズムを体で受け止めているのが映像からもわかる。続いて、ライブでおなじみの「JUMP」と、観客も声が出せないなか、クラップでライブの一体感を作り出していく。

 Reiの掛け声で観客もスタンディングで身体を揺らし楽しんだ「MOSHI MOSHI」。ロックの王道とも言えるビートの上で自由に楽しむReiの姿が印象的で、サウンドのボルテージが画面越しからでもどんどん上昇していくのが伝わってきた。そして、配信のチャット欄でも会場に行きたい、といったコメントも見られた。そして、ソリッドでファンキーなギターカッティングが堪能できる「COCOA」では、サビで観客もリズムに合わせ手を振り楽しむ。

 MCでは「みんな元気でした?」と投げかけ、今日有観客でライブができていることの喜びを伝えるRei。そして、配信を観ているファンにも「見てますか? 全国の皆さん」と笑顔で語りかけ、Reiは「歓声が聞こえる」とイマジネーションを働かせる場面も。

「心は踊らせていきましょう」と観客の拍手をきっかけに、Reiの英語によるトークからスタートしたアルバム『HONEY』に収録の「ORIGINALS」を披露。ホワイトカラーのセミアコースティックギターがクールに響き、NEO-TRADというテーマを掲げるReiの現代とトラディショナルな音楽を見事に融合させたオリジナリティ溢れる演奏で魅了していく。それは続いて披露された「ERROR 404」でも存分にそのスタンスを感じることができた。

 MCでは自分が繊細だということに気づいたことを明かした。大切に思っている相手が弱いところを見せてくれたり、傷ついている部分をシェアしてくれた瞬間に不思議な安心感があったという。それをReiは音楽作品の中でやってみようと思い、今作では自身の弱い部分も取り入れた。自分に正直に書けた「Categorizing Me」は、その気づきが音楽というフィルターを通して、その繊細さが歌やサウンドからも感じられる演奏で、グッと聴くものの心を掴んでいた。

Rei(撮影=上飯坂一)

 そしてこのライブの前半と後半をつなぐインタールード的な役割を果たしていたインストの「Broken Compass」では、ストラトによる美しいギターサウンドで紡いでいく。そのフレーズと音色はどこか悲しげ。歌だけではなくギターという楽器を使って心情や感情を表現するギタリストとしての本質を垣間見た瞬間だった。そして、その世界観を引き継ぐようにメドレーで披露したバラード「Stella」と、歌とギターという2つの武器を持つReiならではの表現を堪能できた。

ひとりに一つの愛しているという感情を伝えたい

ライブの模様(撮影=上飯坂一)

 アルバムごとにギターを想定しているRei。セカンドアルバム『HONEY』を制作する上で重要な位置づけをしたシンラインのテレキャスにチェンジし、アルバムでもコラボしたSOIL&”PIMP”SESSIONSからタブゾンビ(tp)、サポートメンバーの栗原健(sax)を招いて、「Lonely Dance Club」をパフォーマンス。トランペットとサックスのサウンドが艶やかにバンドサウンドを包括し、力強さと切なさを感じさせるReiの歌声を盛り立てていく。

 Reiは「まだまだいくよ!」と、そのままタブゾンビと栗原健も参加し「My Name is Rei」を披露。ブラスが加わるアレンジでまた新たな一面を感じさせてくれた。間奏でのブラスとの掛け合いも楽しそうに演奏するRei。音楽の醍醐味が詰まった瞬間だった。

 活き活きとしたサウンドが放たれた「Route 246」に続いて、アコースティックギターにチェンジし、観客のクラップをビートに展開した「DANCE DANCE」は、Reiの心地よいウォーキングベースで躍動感を生み出していく。この曲はライブの楽しみの一つでもあるコール&レスポンスもあるナンバーだが会場は手拍子、配信を見ている人はチャット欄で反応するなど、それぞれのスタイルでコール&レスポンスを楽しんでいる様子が伝わってきた。

 そして、ライブはラストスパートへ。「New Days」での中西道彦(Ba)のドライブしたベースソロから、Reiは客席の両サイドにある中二階にあるベランダから、フライングVギターでアグレッシブなギターソロで注目を集め、幅広いサウンドワークで彩る渡辺シュンスケ(Key)の鍵盤さばきと、サポートメンバーの見せ場も。そして、今度はReiが中二階の逆サイドから登場し、ロングトーンで存在感をアピール。会場全体を大きく使った演出で盛り上げていく。山口美代子(Dr)によるドラムソロをバックにサングラスを着用した一際クールなReiがメインステージに再び登場し、激しいサウンドで会場を扇情していく様は圧巻だった。

Rei(撮影=上飯坂一)

 ギアをさらに上げ本編ラストは「What Do You Want?」。カントリーとラテンミュージックをミックスしたかのような、アグレッシブな1曲でエキサイティングしていくステージ。音源以上にスリリングなサウンドと歌、Reiもステージを激しく動き回り、演奏終了後はギターを床に置いてステージを後にした。

 アンコールでは再びタブゾンビと栗原健をステージに招き入れる。「もう1曲ご一緒してもいいですか?」と、2人に投げかけ、Reiは歪みサウンドで「BLACK BANANA」を披露。サビでのメロディをブラスがユニゾンするエネルギッシュなアレンジ、怒涛に押し寄せる“音の波”に乗って、Reiと中西は間奏でギターとベースを頭の後ろで演奏するという、アクロバティックなソロを展開。それを引き継ぐようにタブゾンビの鮮烈なトランペットソロでボルテージは最高潮まで高まった。

ライブの模様(撮影=上飯坂一)

 2018年11月にリリースしたファースト・アルバム『REI』のInternational Editionが、Verve Forecastレーベルより2月26日に全世界配信されることを報告。全編英語詞で、ボーカルを再録し、再ミックス&再マスタリング。一部の曲ではアレンジも手を加えられているという。

 そして、Reiはコロナ禍になるまでは大勢の人に自分の音楽を届けたい、知ってほしいという思いが強かったが、その思いはありつつも、ひとりに一つの愛しているという感情を伝えたい、その難しさを感じた1年で自分の音楽の奏で方を改めようと思ったという。一人がたくさんいるんだ、という思いにしたいと、このライブにも臨んだことを明かした。

 会場からは大きな拍手とこのメッセージに配信を見ているファンは「感無量」や「感極まった」など、Reiからの思いを受け止めたコメントが多く見られた。大きな意識変化がこの1年であったことを伝え、ラストは「matatakuma」を披露し、『Rei Release Tour 2021 “SOUNDS of HONEY” -the Band Set-』の幕は閉じた。

 感動や興奮、楽しさといった現在コロナ禍で稀薄になっているものを埋めるようなステージだと感じさせた。筆者は配信での観覧だったが音の持つ熱量というものは画面越しでも十分に伝わってきたし、会場で生で体感した人たちは配信とはまた違ったバイブスをリアルに感じたのではないだろうか。より生への希求が高まる世の中に、Reiからの愛が存分に感じられた一夜だった。

集合(撮影=上飯坂一)

 このライブの模様は2月17日23:59まで視聴可能で、視聴チケットは同日21:00まで購入可能となっている。

セットリスト

『Rei Release Tour 2021 “SOUNDS of HONEY” -the Band Set-』

01.B.U.
02.COLORS
03.JUMP
04.MOSHI MOSHI
05.COCOA
06.ORIGINALS
07.ERROR 404
08.Categorizing Me
09.Broken Compass - Stella
10.Lonely Dance Club (w/ SOIL&“PIMP”SESSIONS)
11.My Name is Rei (w/ SOIL&“PIMP”SESSIONS)
12.Route 246
13.DANCE DANCE
14.New Days
15.What Do You Want?

ENCORE

16.BLACK BANANA (w/ SOIL&“PIMP”SESSIONS)
17.matatakuma

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