INTERVIEW

広瀬すず

「楽しい」が原動力に。
『あんのリリック』主人公・桜木杏


記者:木村武雄

写真:SHIN ISHIKAWA(Sketch)

掲載:21年02月17日

読了時間:約6分

 広瀬すず(22)が2月27日スタートのWOWOW『ドラマWスペシャル あんのリリック-桜木杏、俳句はじめてみました-』(夜9時、全2話)で主演する。俳人・堀本裕樹氏の青春俳句小説が原作。芸大生リリックライター・桜木杏と、俳人でコピーライターの連城昴が織りなす“言葉”をめぐり熱く魂がぶつかり合う。広瀬は主人公の杏を演じる。

「楽しさ」は原動力、「人と作品の運は人一倍強い」

 「私の中で『楽しかった』はとても大切で、たまに当時の写真を見返して『この作品、楽しかったな』、『こういう方に出会えたな』と思えることが心の支えになっています」

 淡い青春の記憶を懐かしむように、彼女にとってこれまで出演した作品は“卒業アルバム”のようなものだ。

 そして、その「楽しさ」が、彼女を前へと進ませる原動力になっている。

 「疲れることや大変だと思うことにストレスを感じると言いますか、仕事に向き合う上では邪魔になります。私にとって『人』は大事で、共演者の方など一緒に仕事する方が楽しんでくれたり、頑張ろうと思ってくれるだけでも全然違います」

 NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』でヒロインを務めた。長期にわたる撮影は過酷で、体力や精神的にも負担が大きいと言われる。そんな現場を広瀬は「楽しんだもの勝ち」と気持ちを切り替え、乗り切った。

 「朝ドラは『ヒロインが一番大変だから支えなきゃ』という思いが皆さんにあって気にかけてくれました。でも途中から『あれ、大丈夫だぞ(笑)』という空気になってそれを皆が口に出して言うくらいでした(笑)。そうした現場の人たちが大好きで楽しかったです。人と作品への出会いに対する運は人一倍強い自信があります。毎回そうしたところにも支えられています」

 その「運」が新たに引き合わせたのは『あんのリリック-桜木杏、俳句はじめてみました-』。

 「良い雰囲気の現場ってこういうことだよね、ということを改めて実感しました」

 この現場もまた、のちに“アルバム”で見返したくなる「楽しさ」があった。

SHIN ISHIKAWA(Sketch)

広瀬すず

フィルターをかけていた過去

 本作で広瀬が演じるのは、人との関わりを苦手とする桜木杏。下宿の部屋に一人でラップのリリック(歌詞)を考えることに至福を感じる役柄だ。これまでに様々なキャラクターを演じてきた広瀬だが、周囲との接触を拒み一人で楽しむ桜木杏のような人柄を演じるのは初めてに近い。

 「杏はどこか不思議さがあり掴みどころがなくて、一人の時間が一番楽しいという女の子を演じることもあまりありませんでした。でも、私もどちらかと言えば一人でいることが大好きなタイプですので気持ちは楽でした」

 杏は、細かな所に気づいてしまい、それを言葉にして人を傷つけてしまうことから、機微に反応しないように度が強い眼鏡をかけて視界をわざと虚ろにさせるようになった。広瀬にもそうした“フィルター”をかけていた時期があった。

 「小学生の時、恥ずかしがり屋で内気な性格でした。目が隠れるぐらい前髪を伸ばしている状態が落ち着いていました。でも、スポーツを始めて皆と仲良くなったことで『髪切っちゃえ!』と切って。そこでフィルターがなくなった感覚でした。それは杏にも近くて、私は髪を切ることで終えましたが、杏は眼鏡をはずすタイミングがそれに当たるんだろうと思います」

 内気だった少女は今、輪の中心に立っている。

 「今はフィルターを付けようとも思っていないです。ただ、そうした経験があるので、杏には共感しますし、世間をシャットアウトしている役を演じるとき、前髪を目にかかった状態でお芝居をしたいと伝えたこともあります」

SHIN ISHIKAWA(Sketch)

広瀬すず

仲間の存在

 杏は、俳句にラップとの共通点があると知り興味を持ち始める。これまで触れたことのない俳句の世界、そして人々との出会いによって新しい自分を見つける。

 「人に見られているところとそうではないところを持つ杏が、人との出会いでどう変わっていくのか、そして、杏の輝きが昴にはどう映っているのかというのは考えました。でも、皆さんが杏を作ってくれたような感じもありましたので、あまり考えすぎず演じることが出来ました」

 杏を作り上げていった一人に昴がいる。杏の言葉の才能に気づき、俳句の世界へ引き入れるコピーライターであり俳人。その役を宮沢氷魚が演じた。

 「監督の演出に氷魚さんは全て一生懸命に応えていました。カメラマンさんもそんな氷魚さんのことを『良い人だな~』って言っていました。その言葉の通り、カメラが回ってないところでもすごく良い人で、優しい雰囲気とマイナスイオンが出ていそうな爽やかさに救われた気持ちでした。お芝居の時も監督と色んな事を話していて真面目な方という印象もありました。昴は自分と葛藤してもがいている瞬間が多く描かれています。氷魚さん自身がもがいているわけではありませんが、その真っすぐさが昴にも重なり、杏が惹かれる要素に通じるものがありました」

 そして、もう一人、杏とは同じクルーで人気ラッパーのハゲボウズ。演じるのは自身もラッパーとして活動する俳優の板橋駿谷。広瀬と共演した『なつぞら』では、当時34歳で学生、番長・門倉努役を好演して話題になった。

 「今も『番長』と呼んでいるんですよ! 何を言っても全て面白く返してくれる芸人さんのように頭の回転が速くて、カメラが回っていない所も楽しくトークしていました(笑)」

 その“番長”とは劇中でラップバトルを演じる。「自分とは遠いものだと思っていた」というラップを初披露する。

 「番長にひたすら相談に乗ってもらいました。練習を始めてから中盤くらいにスタジオを借りて番長とバトルのシミュレーションをやって。心配してメールもくれました。ラップを聞いた事もなかったので、コツも分からないですし、リリックも入ってこなくてどうやったらいいんだろうと思うこともありましたが、アドバイスをくれて助かりました。本番中も頼って引っ張ってもらいました」

SHIN ISHIKAWA(Sketch)

広瀬すず

自分の時間を作りだす音楽

 杏にとってはリリック、昴にとっては俳句が心の拠り所であり、自己表現の一つだ。これまで縁がなかったこれらに触れ、印象も変わった。

 「ラップバトルは一見、ケンカをしているように見えましたが、お互いのステータスを高め合っていくというのは面白いと感じました」

 そんな広瀬は普段、どう音楽と接しているのか。

 「プライベートで出かけたりする時に車で掛けることが圧倒的に多いです。音楽を聴いている時は自分の時間という印象があります。現場に入っている時はどうしてもそうした自分の時間が作れないので、落ち着きたい時、休みたい時にも音楽を聴いています。その時は自分の時間に近い空間になれますので」

 そしてこう続ける。

 「移動中の車の中は私にとって一番落ち着く場所でもあります。そういう時に音楽を聴いています。それと、音楽を聴くと疲れが取れるという友達の言葉を信じて、寝ることができない時に音楽をかけながら目をつぶっていることは良くしています」

 当時を思い起こし笑顔になれる“アルバム”のように、音楽もまた彼女をほぐす大切な役割があるのかもしれない。

SHIN ISHIKAWA(Sketch)

広瀬すず

(おわり)

【取材=木村武雄】

ヘアメイク:河北裕介
スタイリスト:丸山晃
撮影:SHIN ISHIKAWA(Sketch)

■衣装

<黒ワンピースのコーデ>
ワンピース ¥70000 (アキラナカ/ハルミPR)
インナー ¥14000 (ルシェルブルー/リステア・ルシェルブルー総合カスタマーサービス)
ブーツ ¥35000 (クラークス オリジナルズ/クラースジャパン)
ピアス ¥18000 (ソワリー/ソワリー)

【問い合わせ先】
ハルミPR 03 6433 5395
リステア・ルシェルブルー総合カスタマーサービス 03 3404 5370
クラークスジャパン 03 5411 3055
ソワリー 06 6377 6711

WOWOW
「ドラマWスペシャル あんのリリック-桜木杏、俳句はじめてみました-」
前編:2/27(土)よる9時~、後編:3/6(土)よる9時~
※前編放送終了後、WOWOWオンデマンドで前後編を一挙配信

この記事の写真
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