海蔵亮太「自由に楽しく等身大の自分で」自問自答の中で見出した歌うことへの解答
INTERVIEW

海蔵亮太

「自由に楽しく等身大の自分で」自問自答の中で見出した歌うことへの解答


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年02月16日

読了時間:約12分

 シンガーの海蔵亮太が2月17日、2ndアルバム『僕が歌う理由(わけ)』をリリース。約2年ぶりとなるフルアルバムはシングル「素敵な人よ」や、海蔵が敬愛するサム・スミスのカバー「ステイ・ウィズ・ミー ~そばにいてほしい」、ボーナストラックとして大竹しのぶとのデュエットが話題となった「ありがとうって気づいていてね」など全14曲を収録。アルバムタイトルにも記されている通り、歌う理由を自問自答した作品でもある。その答えはリード曲「僕が歌う理由(わけ)」に込められている。インタビューではこのアルバムの制作背景に触れながら、歌う理由の真意に迫った。【取材・撮影=村上順一】

歌えば暗かった空間も明るくなる

村上順一

海蔵亮太

――年末年始はどのように過ごされていましたか。

 どこかに行くわけでもなく、こんな状況なので大人しくしていました。なので年末年始はゆっくり過ごせました。 去年から今に至るまで家で過ごす時間が増えたので、自分の人生見つめ直すことが多かったです。

――今年でデビュー3周年を迎えるということで、どんな気持ちですか。

 何か大きな答えを一つ見つけなければいけないなという思いもありつつも、逆に言ったら今何も染まっていない、イメージが強く付けられていないからこそできることも沢山あるなと。自分の音楽を見つけるというのは変わらずやって行くことなのかなと思っています。

――その気持ちが今作にも大きく表れているなと思いました。今作に収録されているNiziUの「Make you happy」のカバーも意外性がありましたから。

 この曲は“歌ってみた動画”としてYouTubeにアップしていたんですけど、それがまさか今回のアルバムに入るとは自分でも思っていなかったので自分も驚いています。 僕は音楽の楽しさに気付いたのはアカペラで、自分もアカペラ出身ということもあり、この曲を声で表現してみたら面白いんじゃないかなと思いました。

 その中でベースを初めて声でやってみたんですけど、自分でもこんなに低い声が出るとは思っていなかったので驚きもありました。 僕は身長が大きいので低い声はもしかしたら得意だったのかもしれないなと、この曲で気づきもあって 逆に高い声が出る方のが奇跡だなと思いました(笑)。

――昨年のインタビューでさらにキーが伸びてるとおっしゃってましたよね。

 はい。この曲でベースにチャレンジしたことで使える音域の幅がさらに増えたなと感じています。最初のところは結構高いんですけど意外と出て、このアルバムを通していろんな発見がありましたし、きっとこのアルバムの制作で一番楽しんでいたのも僕だと思うんです。

――その楽しさもすごく伝わってくるんですけど、私はこのアルバムから大人の色気も感じたんです。

 僕も三十歳を超えて、そういった部分も出していきたいなとは思っていました。

――ところで、今作のアルバムタイトルでもある『僕が歌う理由(わけ)』というテーマについてはずっと考えていたことだったんですか。

 ずっと考えていたというわけではなくて、純粋に僕の歌が好きで聴いてくださる方が喜んでくれたらいいな、という思いはずっとありました。このタイトルで曲を作ろうとなった時に改めて「どうして自分は歌っているんだろう?」と考えたというのが正直なところです。今は聴いてくださる人が喜んでくれるから、というのが着地してるところなんですけど、「歌を歌いたい」と強く思ったことを振り返るきっかけになりました。

――歌い始めたきっかけというところで、幼少期にご両親を喜ばせたいと思い歌っていたということをお聞きしたんですけど、どんなエピソードがあったんですか。

 両親の事を考えて歌うというのは特にしなくても良かったことだと思うんですけど、家庭環境的に気にしなければいけない状況でした。両親も若かったのでぶつかることもあって子供が気を使わなければいけない場面もあったんです。その空気をどうにかしたいというのは無意識にあって、そのツールが僕にとっては歌でした。両親が喧嘩をしている時に僕がたまたま歌った歌で2人が笑顔になって、その時に歌えば暗かった空間も明るくなるんだ、と分かったんです。

 もちろん当時僕も歌いたい曲というのはあったんですけど、それよりも両親が昔歌っていた曲だったり、知っている曲を敢えて選んで歌っていました。なので自分が知らない曲、例えば美空ひばりさんの曲だったりも一生懸命覚えて歌ってました。

 中学生になって友達とカラオケに行くようになった時に、みんなが自分の歌いたい曲を歌っていたことに衝撃を受けたんです。その光景が僕にとってはすごく不思議でした。その時も僕はどんな曲を歌ったらみんなが盛り上がるかな、とかそういうことを考えて選曲していたので。

――そこで新たな気づきもあったんですよね?

 ありました。気を使って歌うよりは自分が歌って楽しそうにしている姿を見せた方が、みんなも気持ちいいんだろうな、というのはその時に感じたことです。

――幼少期も今も根本的には歌う理由というのは変わらないのかもしれないですね。

 そうだと思います。 自分自身が歌うことで家庭の空気感だったり、その場の雰囲気を変えるという意味では違いはないのかもしれないです。そうすることで自分の居心地も良くなりますし、結果的にそれが自分の為にもなっているんです。ただ、その友達と行ったカラオケで自分の中での自由度はすごく増えたなとは感じています。

――今回、すごくバラエティにとんだ曲が並んでいますけど、曲順はどのように考えてたんですか。

  基本的には聞いていて気持ち良いの良い流れというのを意識して曲順は考えました。その中で悩んだのはリード曲をどこに置くかということだったんですけど。 最初の方なのか真ん中なのかはたまた最後なのかと色々考えたんですけど、 やっぱりこの曲は最後かなと思ったんです。アルバムのタイトルと同じなので、その答えという意味も含めて最後がいいかなと思いました。

海蔵亮太の“秘密”とは

村上順一

海蔵亮太

――1曲目の「Opening」はどのようなイメージで収録したんですか。

 もしライブを想定していて、こういう感じで始まりたい、というイメージがあったんです。そこから2曲目に繋がったらいいなあみたいな。今ライブができていないからこそ、こういったものを入れたいというのがあったのかもしれないです。去年今まで通りのツアーやライブができていたら、この曲も生まれなかったかもしれないです。「ライブが始まるぞ!」という緊張感もありつつ、この曲で背筋を伸ばしていただいて、アルバムを聴いていただければと思います(笑)。

――続いての「Everyday Heroes」は昨年リリースした「ありがとうって気づいていてね/海蔵亮太 with 大竹しのぶ」のカップリングでしたね。

 この曲は介護の方や医療関係者の方に向けた曲で、この曲はアルバムにも入れたいなと思いました。 今また緊急事態宣言が出てしまって、収束の目処も立っていない中でこの曲の意味はより高まるなと思いましたし、「 一緒に頑張っていきましょう」という思いがあります。

――ちなみに海蔵さんにとってのヒーローはいますか。

  僕はいろんな道を紆余曲折してここまできたと思うんです。今もそうなんですけどいろんな人に支えていただいて、「こっちの道じゃないよ。こっちだよ」と指導してもらいながら生きているので、誰か一人というのはすごく難しいんです。でもしいて挙げるとしたら生まれてくる時に僕を取り上げてくれた助産師さんから、僕の人生でここまで関係してきた方々全員がヒーローだなと思っています。

――さて、「Believe in you」はなんでも憧れのボーカルグループをイメージして歌われたとのことなのですが、 どんなグループをイメージされて歌ったんですか。

  小学生の時に憧れていたのは歌って踊れるアイドルグループでした。 「これがエンターテインメントだ!」と思ったんです。それは自分ができなかったことなのですごく憧れていたんです。でも当時カラオケでは両親のために歌っていたこともあり、そういった曲は歌えていなかったので、その当時の思いがこの曲に出たのかもしれないです。今回レコーディングでは色んなタイプのボーカリストをイメージしていて、聴かせるようなリードボーカルの人もいれば、アイドルっぽい人、自分らしく素直に歌っている人もいるといった感じで、人格を使い分けて歌ってみました。それがすごく楽しかったです。

――この曲から何か気づきもあったのでは?

 ありました。僕はライブと比べるとレコーディングはちょっと苦手なんです。僕の中で歌というのは人に向かって歌うというイメージがあるので、マイクだけに向かって歌うというのがちょっとよくわからなくて...。レコーディングだと自分一人の空間ということもあって、人をイメージして歌うというのがなかなか難しいなと感じていて、ちょっと苦手意識がありました。でも、今回この曲でいろんな人になりきって歌ってみたことで、苦手意識というのは少し薄れたかなと思っています。それもあってこの曲以降のレコーディングはリラックスした雰囲気で歌えた感じがしています。

――「Believe in you」以降に録った曲というのは?

 「コトバの花束」、「秘密」、「僕が歌う理由(わけ)」です。すごく楽しみながらレコーディングできたんじゃないかなと思っています。

――その「秘密」は洋楽っぽい感じもあってすごくクールですよね。

 僕はこの曲のメロディーを聴くと90年代とかを感じて、ノスタルジックな気持ちになるんです。アレンジは今っぽい感じなんですけど、懐かしさもありつつ真新しさもある曲になっているなと思います。最初は懐かしさ、新しさのどちらに寄せた方がいいのか迷ったんですけど、 自分が感じたまま歌ってしまえばいいんじゃないかなと思って、苦手意識を乗り越えたからこそ歌えた曲だなと思っています。

――ちなみに海蔵さん、“秘密”にしていることはありますか。

 僕は秘密の宝庫なのでたくさんあります(笑)。よく取材とかで好きな食べ物を聞いていただけるんですけど、デビューした時からよく話していたのは「カスタードクリームが好き」ということなんですけど、このコロナ期間で好きなものが変わってきていて。不動の1位を守り続けてきたカスタードクリームが陥落しそうなんです。それは「さば缶」なんですけど...。

――ジャンルが全然違いますね(笑)。

 僕も三十歳を過ぎて、これもターニングポイントなのかなと思っていて、甘党というところから卒業しつつあると感じています。全体的に見てもそんなに甘いものを食べなくなってきていて、最近ではお煎餅がすごく美味しいなと思うようになってきたり、味覚が変化してきていることが、今の僕の秘密です(笑)。

会えた時の喜びを爆発させたい

――今作にはサム・スミスのカバーで「ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」が収録されていますけど、なんでもサム・スミスの生き方に感銘を受けて好きになったというお話を聞いたんですけど、どんなところに感銘を受けられたですか。

 常に優しさの塊、全てを温かさで包み込む姿勢なんです。サムは過去に自身のセクシャリティの問題でいじめられたり、辛い経験をしてきたからこそできる、他人を許すという生き方がすごく素敵だなと思っていて。僕もサムとは違いますけど、辛い経験もしてきたので、僕も誰かを許せる心の余裕を持ちたいと思っています。そのサムの曲をカバーすることが出来て嬉しいです。

――どんな意識でレコーディングに臨みましたか。

 讃美歌に近いイメージで臨みました。原曲は少し暗い内容の部分もあったりするんですけど、最終的には許してしまう、そういったところに重きを置いて歌いました。この曲は一発録りでした。前回、コブクロさんの「風」という曲でも同録したんですけど、すごく難しくて緊張するんです。でも今回は前回とはレコーディングへの気持ちの持ち方が変わったので、歌う楽しさを感じながらレコーディングできました。

――緊張というところだと、ボーナストラックの「ありがとうって気づいていてね」は大竹しのぶさんとのデュエットということもあり、いつもとは違う空気感もあったのでは?

 もう緊張でガクガクでしたけど、一つの夢が叶った瞬間でもあったので、あの時間は一生忘れないと思います。歌は同じ日に別々に録ったんですけど、最後にしのぶさんが「一緒に歌いましょう」と言って下さって、2、3回一緒に歌わせていただきました。あの瞬間は今でも鮮明に覚えていて、すごく嬉しかったです。音楽の意義がしのぶさんと歌わせていただいてわかったところもあって、「より自由なんだ」という気持ちを今回のアルバムに込めることができました。そのきっかけ下さったのはしのぶさんだったのかも知れないです。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。

 僕の人生がこの『僕が歌う理由(わけ)』というタイトルや曲に込められていて、このアルバムを聴いていただけたら、本当に自由に楽しく、等身大の自分で歌っているんだというのがわかってもらえるアルバムになったと思います。それを生で皆さんにお届け出来る日が来たら、僕の音楽活動への意欲がより伝わると思っています。ファンの皆さんとお会いできていないので、もう、お一人ずつとお話ししたいくらいの気持ちなので、会えた時の喜びを爆発させたいです。皆さんいつもファンレターやメッセージを送ってくれるんですけど、すごく感動していて、その気持ちに恩返し出来るようなライブが出来たらいいなと思っています。

(おわり)

作品情報

海蔵亮太
2nd Album「僕が歌う理由(わけ)」 
2021年2月17日発売

TYPE-A (CD+DVD) CRCP-40622  3,636円+税
TYPE-B (CD) CRCP-40623 2,727円+税

CD (TYPE-A、B共通内容)
1. Opening
2. Everyday Heroes(Album ver.)
3. コトバの花束 
4. 素敵な人よ
5. しゃぼん玉
6. Believe in you
7. Make you happy
8. イッショケンメイ
9. 秘密
10. アイシテル×アイシテル
11. 紫陽花
12. ステイ・ウィズ・ミー ~そばにいてほしい
13. 僕が歌う理由(わけ) 
〈Bonus Track〉
14. ありがとうって気づいていてね/海蔵亮太 with 大竹しのぶ

DVD (TYPE-Aのみ)
LIVE DAM Ai presents
海蔵亮太 Streaming Live 2020
@yokohama LANDMARK HALL (2020.09.26)より

1. Everyday Heroes
2. 接吻
3. Just a Friend
4. たいせつなひと
5. I LOVE YOU
6. ぬくもりを残して
7. 風
8. 抱きしめて
9. 紫陽花
10. 愛のカタチ
11. 素敵な人よ
12. Stripes
13. イッショケンメイ
14. 君と僕の挽歌
15. コーヒーカップ

<アルバム購入者イベント>

●2月21日(日)16:00〜 Zoomトーク会  
詳細: https://muvus.jp/muvus/cmdtyList.php?cat=jHznNNaoDdgG
販売期間 :2/18(木)23:59まで
※先着販売になります。
※定員数を超えた場合は、販売を終了となります。

●3月20日(土)14:00〜 配信ミニライブ 
詳細: http://www.crownrecord.co.jp/artist/kaizo/pdf/20210320event.pdf
(タワーレコード全店・タワーレコードオンラインでのアルバムご購入者対象)
応募期間:2021 年 2 月 16 日(火)正午〜2021 年 3 月 14 日(日)23 時 59 分まで

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村上順一
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