INTERVIEW

芋生悠

あの時に何かが変わった。
芋生悠を変えた作品。


記者:鴇田 崇

写真:鴇田崇

掲載:21年02月14日

読了時間:約7分

 女優の芋生悠が、福士誠治主演のクライム・サスペンス映画『ある用務員』(公開中・2月19日(金)よりUPLINK渋谷ほか全国順次公開)にヒロイン・真島唯役で出演した。9人の殺し屋が入り乱れるなか、過酷な自身の運命に翻弄されていくヒロインを、等身大の魅力で演じている。福士をはじめ、山路和弘、前野朋哉、波岡一喜など演技派たちに囲まれながらも、そこに飲み込まれない存在感で観客を魅了する。

 このあと映画『HOKUSAI』(2021年5月公開予定)も控えるなど、若手女優の中でもっとも注目を浴びている芋生だが、女優としての転機になった作品は、一昨年のある舞台だったという。出演作が途切れない人気女優となった背景には、どういう原体験があったのか。『ある用務員』のみならず、今後の目標や課題も含めて話を聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

女優を目指すきっかけ

――今回の真島唯というキャラクターは、自分の人生に迷っているところへヤクザの抗争に巻き込まれてしまい、半ば強制的に試練を乗り越えなければいけなくなった女子高生でしたね。

 唯を通じて、人生は自分自身で選択することが大事だと改めて思いました。自分以外の誰かが決めた道の場合は迷ったり、誤った選択をすることもあるかもしれないけれど、それでも自分の中で判断しなければいけない。唯は、父親の因縁で抗争に巻き込まれてしまうのですが、それでも最終的には自分で道を決めるということが重要だと思いました。

――唯のようにとまではいかずとも、自分を変えようと思った経験は?

 学生の頃に空手を習っていたのですが、その時は自分には空手しかないと思っていました。空手は自分でやろうと決めたことだったということもあり、試合でなかなか勝てなくなったりした時に、空手がなくなったら自分には何もないなと思ったこともありました。なのでもしも空手がなくなったら、もう居場所がないって思ったことはありましたね。

――それではダメだと思ったということでしょうか?

 そうですね。それこそ唯のように惰性で過ごす時もありましたが、美術の授業で描いた絵をすごく評価してもらって、文集の表紙にもなったんです。そこで絵を描く喜びを知ったんです。その後に今度は表現することの喜びに目覚めて、女優を目指すようになりました。人が変わるきっかけはすごく大切なのですが、結局は自分の意思が一番大事になると思います。

鴇田崇

芋生悠

転機となった作品

――女優デビュー後、注目を集めていますが、転機となった出来事は何でしたか?

 世の中が注目している実感は正直、自分の中ではまだ分からないのですが(笑)、転機となった作品は一昨年に二度目となる舞台「後家安とその妹」をやらせていただきまして、それが初めてのダブル主演だったんです。しかも紀伊國屋ホールという、舞台をやっている人たちであれば誰もが上がりたいステージなんです。江戸時代という時代物も初めてで、題材も落語。自分にとっては新しいことがたくさんありました。

――豊原功補さん脚本・演出の舞台ですね。

 はい。まわりの役者さんたちはみなさん舞台経験が豊富で、本当にお上手な方たちばかり。稽古初日から打ちひしがれたというか、このままだったら全然ダメだなと初日から感じました。あの時、手練れの役者さんたちから刺激をいただいで舞台を乗り切ったことが、わたしの中で転機になっていて、そのあとはその舞台を観てくださる方々も多くて。あの時は悔しい想いをしたけれど、得られるものが多かったなと思います。

――幕が上がる初日の様子など覚えていますか?

 初日に向かうために自分の中で最大限のものを持って行ったけれど、もはや次元が違うというか、作品の中の役としてというよりも、人としての引き出しが重要に思いました。しかもみなさんの引き出しの多さが異次元で、佇まいや声、目、すべてにおいて重みが違った。普通に生きている時も自分はもっと日常から見直さなければいけないなって。役者としてもですが、あの時に何かが変わったと思います。

――凄まじいプレッシャーですよね。でもそれで大きく変わることになる。

 今ではあの時の経験があるので、面倒臭いと思うこと、逃げたくなるようなことでも、あえてやったほうがいいと思うんです。人間関係もそうだけれど、必要最低限の人間関係でいいやと思う反面、ここではなかなか上手くやっていけないなと思うような時でも、何も吸収しないよりは何か吸収できるかも知れないと思うようにはなったかなと思います。

鴇田崇

芋生悠

音楽の存在

――一方で、日常でリラックスのために音楽を聴いたりは?

 音楽はその時々で、いろいろな曲を聴くことが好きです。去年の自粛期間中には、ジャズシンガーのジュディ・ロンドンさんの『クライ・ミー・ア・リバー』という曲をよく聴いていました。歌われている姿が映画の中の主人公にみたいな感じで、声も低めのかっこいい声なんです。わりと男性シンガーが好きなのですが、彼女の歌うたたずまいがかっこよくてずっと聴いていました。雨の曲ではないのですが、雨の情景が浮かぶというか、すごく印象に残る曲ですね。

――男性シンガーだと、どういう方の曲をよく聴くのですか?

 原田真二さんの「キャンディ」、「タイム・トラベル」、「シャドー。ボクサー」をよく聴いています。

――あこがれの女優さんはいるのですか?

 海外の女優さんで、エル・ファニングさんです。洋画を観ることが多く、同年代の女優さんということもあるのですが、彼女のお芝居はすごく自由だなと思っています。

目指す女優像

――今後、どういう女優になりたいですか?

 役者としてステップアップしていきたいなと思うし、最近だとちゃんと明確に自分の課題が見えてくるのがいい状態だなと思っているんです。慣れてくると、勉強することをしなくなる。改めて勉強することをしなくなるなって。その点では勉強をすることが好きだから、勉強したいなという気持ちがあって、その中でひとつの課題としては、芝居の技術だけではなくて、人間力を上げるというか、もっと引き出しをたくさん作りたいなという想いがあります。なのでたとえばなんですけど、普段料理はしないのですが、するようになったり、本当に小さなことなのですが、掃除をちょっと工夫してみたり、自分なりの掃除の仕方にしてみたり、自分で自分を満たす方法みたいなものを知ることが最近はできているかなと思います。

――今日はありがとうございました。今回の作品、どなたに届けたいでしょうか?

 裏社会が、たとえば学生の人たちにどう受け止められるのかは気になりますが、映画を観なければまったく触れることのない世界ですので、どんな風に観るのかなと気になります。銃撃戦が目の前で起こることってないのですけど、絶対あり得ないことは映画の醍醐味でもありますよね。

 自分の役的には、今夢を持てない人に観てほしいと思います。自分が何をしたいかまだ見えていない人に観てほしいかなと思います。わたしはお芝居の世界を知らず、空手ばかりやってきたけれど、そういう世界があることを知った瞬間に視野が広がったので、どこか自分に置き換えられることもあるかもしれないので、ぜひ観てほしいです。

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