デビュー30周年のその日…2021年2月10日、ZARD初の生配信ライブ「ZARD Streaming LIVE “What a beautiful memory ~30th Anniversary~”」が開催された。坂井泉水の歌と映像、そしてバンドの生演奏が見事にシンクロする奇跡のライブで、ZARD“永遠のスタンダードナンバー”22曲が全国に届けられた。

東京国際フォーラムは、2004年のZARD初であり唯一の全国ツアー「What a beautiful moment Tour」で2公演が開催されたZARDゆかりの場所のひとつで、2004年のツアーパンフレットの撮影も行われた。今回、その特別な会場でライブを行うということで、象徴的な2本の石柱や、坂井泉水を囲むように配されたバラの花等、ステージセットも2004年のツアーを再現。30周年という記念すべき年ならではのこだわりの舞台が設けられた。

そしてそのステージから披露されたのは、圧倒的ポピュラリティーを放つ大ヒットシングル、人気曲の数々!1曲目「きっと忘れない」から最後の「負けないで」まで、息つく間もないほどの名曲のオンパレード。

さらに視聴者が息を飲んだのは、「眠れない夜を抱いて」の初公開映像。1993年に日本青年館で撮影された貴重な映像が、実に27年の時を越えて、大きなサプライズとなった。

また、30周年記念ということで、春畑道哉(TUBE)、大黒摩季ら、ゆかりのアーティスト、ミュージシャンからのお祝いコメント映像も寄せられ、ZARD、そして坂井泉水への思いを語った。

なお、ボーカル・坂井泉水の誕生日となる2021年2月6日に行われた、ライブ映像と実際の打ち上げ花火を合成し、バーチャル空間で「音楽と花火の競演」を楽しむ新感覚のエンターテインメントコンテンツ「ZARD 30th Anniversary ONLINE HANABI SHOW ~Happy Birthday Dear IZUMI SAKAI~」も見逃し配信中。以下、オフィシャルライブレポート。

ZARDのライブにようこそ

『ZARD Streaming Live “What a beautiful memory ~30th Anniversary~”』

 2021年2月10日は、ZARDデビュー30周年。ということで企画されたこのZARD Streaming Live “What a beautiful memory ~30th Anniversary~” 、今回はコロナ禍ということもあり無観客配信ライブという形式となった。会場の東京国際フォーラムは、2004年ZARD唯一の全国ツアー「What a beautiful moment Tour」で2公演が開催されたゆかりの場所、当初は有人ライブを行う計画で1年前から押さえられていたが新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年秋には無観客ライブ配信とすることで変更決定、着々と準備が進められていた。

 元々、坂井泉水の歌声と映像をバンド演奏とシンクロさせて行うライブは2007年の坂井泉水逝去後から追悼ライブとして行われていた形態だけにファンにとっては馴染み深いもの。しかし、生バンド形態でのライブは2016年のZARD “What a beautiful memory ~25th Anniversary~”以来5年振り、期待が募らないないはずがない。

 開演5分前、「まもなく配信開始いたします」の表示が加わり、定刻。

 イントロダクション「永遠」のストリングスの響きに迎えられて現れたのは、 葉山たけしのコメント映像、続いて大野愛果、池田大介、TUBEのギタリスト春畑道哉とZARDゆかりのアレンジャー、作曲家陣が次々と坂井泉水との思い出を愛情たっぷりに語っていく。ZARDサウンドの温かみは、こういったファミリーのような環境から作り上げられていったんだな、と確信を新たにした。

 続いて、映像には坂井泉水の姿。何故だか見慣れた馴染みのあるような顔つきにホッとする瞬間、映像は生配信中の会場ステージセンターのボーカルマイクにスポットが当たり、「ZARDのライブにようこそ。今日は最後まで楽しんでいってください!」

 坂井の声に導かれて、オープニング・ナンバーは、「きっと忘れない」。

 鮮やかに迫力あるバンドサウンドがヘッドフォンから耳に飛び込んでくる。配信ライブだからといって、このクリアーな音質、臨場感、生々しい迫力ある演奏は紛れもなくライブ空間そのものだ。忘れられなかった感動が再び蘇ってくるのを感じる。あの、いつもの坂井泉水の澄んだ歌声、会場の大スクリーンに映し出された姿、バンドマスター大賀好修のギターサウンド、ステージセットもあの日あの時を再現し、贅に入り細を尽くしたライブ感の演出に、1曲目から安堵と歓喜の瞬間が訪れる。

 続けて、我々視聴者の気持ちを察したかのような2曲目は「君に逢いたくなったら…」。さらに大楠雄蔵のゆったりしたピアノイントロが印象的な「Oh my love」へ。ゆったりとした白のニットにショートパンツ姿の坂井が歌い出す。今もこの透明感溢れる歌声で、その表情と仕草で動く坂井泉水の姿には、見惚れてしまう眩しさがあった。

 そして、この歌声と生バンド演奏のシンクロ感がハンパないせいだろうか。画面から見えている映像と演奏に全く違和感やバーチャル感が感じられない。まさに手触り感のあるリアリティー・サウンド。熱気さえ感じ取れてしまいそうな親密さと一体感のステージ、これがZARDサウンドの「魔法」とでも呼ぶべきものなのだろうか。

 3曲を終えてMC(司会進行)の中田有紀が登場。先日2月6日に行われた坂井の誕生日ライブ「ZARD 30th Anniversary ONLINE HANABI SHOW 〜Happy Birthday Dear IZUMI SAKAI〜」でもMCを務めていたプロフェッショナルなアナウンサーだ。コロナ禍ということもありマスク着用でまずはこのライブの趣旨を説明する。画面には、誰もいない会場の映像が映される。そしてステージ上のバンドメンバー、確かに収録映像ではないリアルタイムの感触が伝わってくる。

 「30年もの長きに渡り愛され続けているZARDの楽曲、あらゆる世代に受け入れられ癒しを与えた不朽の名曲の数々を、ぜひ今夜は「歌詞」に込められた坂井の想いにも今一度寄り添いながら、最後までお楽しみください。それでは、まずは懐かしい曲を中心にお届けします!」

 ドラムカウントから始まったその曲は、まさに30年前のこの日、1991年2月10日にリリースされたZARDのデビュー曲「Good-bye My Loneliness」。当時のMV映像が流れ、そしてライブシチュエーションで歌う坂井泉水とのコンビネーション映像となっていく。それに交わるのは2021年の生バンド演奏。いくつもの時を超えたコラボレーションなのに全く違和感なく体験できてしまうこのブレの無さ!間奏の鈴木央紹のサックスソロも素晴らしい。今日のバンドメンバーのほとんどは、ZARDのライブを何度も経験し、坂井とも共演したことのある猛者揃い。完璧なるZARDのライブ&バンドサウンドを再現していた。

 続いては92年の4thシングル曲「眠れない夜を抱いて」。白のシャツブラウスにレザーのショートパンツ姿は、当時の音楽番組で披露されたことがあるが、今回の映像は1993年に日本青年館で撮影されたMV。実に27年の時を超えて初公開された貴重映像であった。そして続く「IN MY ARMS TONIGHT」も同年の5thシングル曲。ブレイク前の初期ナンバーもこうやって並べて聞いてみるとエヴァーグリーンな魅力に溢れ、その瑞々しさに新たなる息吹が与えられたようだった。

 ZARDのライブでは、坂井泉水の歌っている映像以外にもレコーディング風景や限りなくオフショットに近いプライべート感たっぷりの秘蔵映像がインサートされてくるのも楽しみの一つ。「息もできない」ではレコーディング風景、黒のTシャツ姿ですっぴんとおぼしき坂井の姿が画面に映し出される。清楚でいて表情の一つ一つにライブ感がある。こういうオフショットを見ながら演奏を堪能できるのも貴重な体験だ。特にこの曲では間奏部の大賀好修と森丘のギター・アンサンブルが素晴らしかった。

 二回目のMC、ここで本日の参加ミュージシャンの説明が入る。何しろ今回のバンドメンバーもバンドマスター大賀好修を中心に総勢10名の大所帯。1999年のZARD初の船上ライブ経験者から、初のツアー、追悼ライブも経験した、ZARDサウンドを熟知したメンバーを中心に構成されている。特にここでクローズアップされたのは、コーラス隊。ベテランと言うべきdoaの大田紳一郎の他に、今回、新たにZARDのトリビュートバンドSARD UNDERGROUNDのヴォーカル神野友亜とBARNZのヴォーカル一条紀希の2名が初参加した。1999年の船上ライブのバンドメンバーも当時の若手ミュージシャンを多数起用し、実現はしなかったが2007年に予定されていたライブでも後輩ミュージシャンに参加してもらう予定だったそうだ。坂井は新しい世代との共演を楽しみにしていたというが、その意思を汲んだ人選であると同時に、次の世代のZARDをリスペクトするミュージシャンが育ってきているのを伺わせるワンシーンだった。

 そして、お馴染みとなった「こんなにそばに居るのに」のインストゥルメンタル演奏によるメンバー紹介映像から本編へ。世代を超えた素晴らしいZARDファミリーによるスリリングなロック・ナンバーでテンションも上がり気味になってくる。間奏の森丘のギターソロ、大賀とのダブルギターソロ、鈴木のサックスソロと各メンバーのインプロヴィゼーションの応酬はまさに生ライブ演奏の醍醐味だ。ライブ中盤に入り、演奏にも一段と熱が込もってくるのが伝わってくる。エキサイティング!かと思えば、今度はメランコリックな名曲「もう少し あと少し…」を繰り出してくる。ここではジャケット写真を彷彿させるオーバーサイズのニット姿にジーンズの坂井。憂いのある表情とその仕草が生き生きと伝わってくる。心に染み込む歌詞と歌声、思わず泣きたくなる。

 感無量になっているのも束の間、大田紳一郎と大賀好修の柔らかいアコギの音色からボサノヴァ調に始まったのは「来年の夏も」。清涼感溢れるナンバーが徐々にバンドサウンドの厚みが加わりドラマティックに盛り上がっていくあたり、まさに時間旅行をしているみたいだ。アレンジも素晴らしいが、この曲では特にエンディングの、大楠雄蔵の華麗なるピアノ・ソロプレイ…これも忘れられないハイライトシーンだった。

 三度目のMC は、「Forever you」の歌詞の一節の朗読から始まった。坂井泉水自らが「人生ソングともいうべき曲」と称したこの曲は、彼女のZARD以前のタレント時代の過去を歌詞のモチーフにしたナンバー。その時代に感謝しこそすれ、後悔などないと言っていた坂井だが、興味本位で書かれる中傷記事や事実でない記事に心を痛めていた時、プロデューサーの長戸大幸に、そのことを歌詞にすればいい、と勧められたエピソードが語られ、曲へと繋がれる。
「歌詞をじっくり噛み締めながら お聞きください」
“過去の自分に後悔なんてない”

 すがすがしいイントロで導かれた白Tシャツ姿の映像、悲しみよりも達観、諦めよりもその先の希望を歌ったナンバーは、まるでコロナ禍の今だからこそより心に響いてくる。坂井の表情、心のこもった演奏と共に、そこには意志があった。胸に響く、とは今日、この曲を聞いた時の気持ちを言うのだろう。
続いて静かにスクリーンにファンからのメッセージと写真が映し出される。そのコメント一つ一つに、ZARDの音楽がリスナーと共に今もなお歩み続けている確信が刻まれていた。演奏されたのは「かけがえのないもの」。かけがえのない人たちに支えられたかけがえのないZARDの音楽、そして坂井泉水は、かけがえのない存在だったのだと改めて感じ入り、歌と演奏が一体化した重厚なサウンドが涙を誘った。 

 「永遠」のMVオフショット映像のインサートから広大な平原を走る印象的なシーンへ。赤いスーツ姿が鮮烈だった坂井泉水の姿、まるでロードムービーを見ているかのような映像と共に、壮大なるバンドサウンドで「永遠」が奏でられた。これも名曲中の名曲だ。

 そして、この方、その「永遠」の作曲者である徳永暁人からのコメント映像が届いていた。そして、盟友でもある川島だりあ、締めには忘れられない戦友、大黒摩季がメッセージを寄せていた。まさに、そうそうたる面々、ZARDサウンドがビーイング・サウンドのシンボルであることを象徴する一幕であった。

 さぁ、そしていよいよこの生配信ライブも終盤戦、その臨場感にMCが花を添える。

 「ここからはZARDライブに欠かせない楽曲を立て続けにお届けします。坂井泉水さんの瑞々しい歌声を存分にお楽しみいただき、一緒に盛り上がって皆様の思いを坂井さんに届けましょう!」

 始まったのは「心を開いて」。この曲といったらもうファンならすでに周知の南フランス「ニース」での坂井の映像シーンだろう。その期待を裏切らない歌声と映像に、分厚く、熱い生バンド演奏。現地のマダムにキスされて照れる坂井、自転車に乗って手を振る坂井、そして夕日、ZARDライブには欠かせない曲と演出のナンバーだ。さらに「Today is another day」へと続き、爽やかな希望感溢れるZARDサウンドを満喫。心なしか、ここにきて演奏陣のメンバーの表情にも生き生きとした笑顔がこぼれ出してきた。観ている我々の気合いも存分に彼らに乗り移っているかのようだ。

 続けざまのカウントで繰り出されたのはロックテイスト全開な「愛が見えない」。激しい映像でランドクルーザーを乗りこなすワイルドな坂井、なのに表情はクール、冷めた歌唱に秘めた情熱をフツフツと感じさせるナンバーだ。それにしても、バンドの演奏もかなり重層的でハードなのにそれでいて、サウンドに埋もれない凛とした坂井泉水のボーカル力、その存在感にはハッとさせられてしまった。

 そしてたたみかけるように躍動感あふれるナンバー「君がいない」。シャイな表情の坂井からも何か楽しんでいる様子が伺える。レコーディング時のオフショット映像で見せる真剣な表情もこれまた美しすぎて絶句である。

 さらに、今度はあのオレンジのニット姿も印象的なジャケットだった「マイフレンド」。ロンドンの街並みに溶け込む坂井の映像と共に繰り広げられるドラマティックなナンバーはもちろん、ここまで披露された曲のどれもが聞き馴染みのある大ヒット曲だ。自ずとバンドの演奏も熱気を帯びてくる。これでもかと、立て続けの6曲目、今度は場所はN.Y.。そう、これも斬新かつ秘蔵のオフショット映像公開がライブで話題を呼んだナンバー「Don’t you see!」。この軽快な、時を超越した名曲、映像の中で生き生きと輝き、ポーズをとり、動いている坂井泉水の姿を観ていると、まさにソウル=魂は不変だ、という確信しか浮かんでこない。エンディングMCでは、中田も少し興奮気味に語っていた。

「デビュー30周年を迎えた2021年、ZADはこのあともさまざまな企画を用意しています。ぜひ、続報を楽しみにお待ちください!!」

 きっと彼女にも何かが感じ取れていたに違いない。重厚なバンドサウンドで鳴らされたラストパート1曲目は、言わずもがなの名曲「揺れる想い」どこまでも澄んだボーカル、どこまでも一体感を感じさせるバンドサウンド。今でも、この歌声も歌詞も曲もここにある。我々オーディエンスと共有しているライブ感、リアリティー、この凄みは一体何だ?

 そして思わず笑みが漏れる「あの微笑みを忘れないで」。ジーンズスタイル、髪を無造作に下ろした坂井。まるでライブ終盤の盛り上がりで髪をふりほどいたかのようにさえ見える。後半パートではステージシーンの動きもダイナミックになっているかのようだ。

 ひときわ勢いよくカウントで始まったエンディング・ナンバーはJ-POP永遠のスタンダード・ソング「負けないで」。力強いボーカル、力強い演奏、そして聞いた誰もを元気にさせるコトバのチカラ。大名曲、聞いただけでテンション上がってポジティブ・モードに持っていかれるこんなナンバーは他にない。全くコロナになんか負けていられない。何があっても大丈夫。そう背中を押された。

最後に一言、坂井泉水の声が響く。 

「今日はどうもありがとうございました。また会いましょう〜」 

また会いたい、また会える、それが真実だった。

また思いきり騒ぎましょう。過ぎてしまえば一気に2時間強を駆け抜けたライブだった。そして脳裏に浮かんだのは「Today is another day」の一節。

“明日がある”

【TEXT:斉田才】

セットリスト

「ZARD Streaming LIVE“What a beautiful memory ~30th Anniversary~”」

1. きっと忘れない
2. 君に逢いたくなったら…
3. Oh my love
4. Good-bye My Loneliness
5. 眠れない夜を抱いて
6. IN MY ARMS TONIGHT
7. 息もできない
8. こんなにそばに居るのに
9. もう少し あと少し…
10. 来年の夏も
11. Forever you
12. かけがえのないもの
13. 永遠
14. 心を開いて
15. Today is another day
16. 愛が見えない
17. 君がいない
18. マイ フレンド
19. Don't you see!
20. 揺れる想い
21. あの微笑みを忘れないで
22. 負けないで

■バンドメンバー

Guitar 大賀好修[From Sensation]
Guitar 森丘直樹[From WWEEZZ]
Guitar & Chorus 大田紳一郎[From doa]
Bass 麻井寛史[From Sensation]
Keyboards 大楠雄蔵[From Sensation]
Drums 車谷啓介[From Sensation]
Saxophone 鈴木央紹
Chorus 神野友亜[From SARD UNDERGROUND]
Chorus 一条紀希[From BARNZ]
Manipulator 大薮拓

MC:中田有紀

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