渕上舞、新譜『星空』に迫る「選択を潔く出来る人間になりたい」
INTERVIEW

渕上舞

新譜『星空』に迫る「選択を潔く出来る人間になりたい」


記者:榑林史章

撮影:

掲載:21年01月28日

読了時間:約11分

 声優・アーティストの渕上舞が27日、シングル「操り人形クーデター」と2ndフルアルバム『星空』を同時リリース。アニメ『ガールズ&パンツァー』の西住みほなど人気キャラクターを数多く演じる人気声優。2018年1月にアルバム『Fly High Myway!』でソロデビューしてアーティストとしても活躍する。「操り人形クーデター」は、今までにないダークさのあるビジュアルや楽曲で新たな一面を見せる。約3年ぶりとなるアルバム『星空』では、星空や夜をテーマに新曲6曲中3曲で自らが作詞を手がけ、大人の女性の揺れ動く気持ちの機微さが表現されている。各歌詞に込めた想いや、夜や星空にまつわる話を聞いた。【取材=榑林史章】

“いろんな場所から見た星空”が共通して出てくる

「操り人形クーデター」ジャケ写

――まず「操り人形クーデター」についてですが、クールな曲で、何かに抗うような歌詞は渕上さんが書かれていますね。

 TVアニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』ED主題歌ということで、もちろん物語に寄り添ってはいるのですが…コロナ禍に入ってから考えごとをする時間が増えて、それが自然と歌詞にも反映されています。

 例えば自分らしい振る舞いとは? そもそも渕上舞って誰? みたいな。哲学というわけではありませんが、その人を形作る人格はどうやって決まって行くのか、でもその人がそういう人であると端から思っているだけで、本人はそうじゃないと思うこともあるよな~とか。そういったモヤモヤしたものが頭の中を駆け巡っていた時が、ちょうど制作時期と重なったのもあってこういう歌詞になりました

――ジャケット写真がモノクロで、MVでは仮面を付けている渕上さんと操り人形に扮した病みメイクの渕上さんが出て来ます。今までとは違ったイメージでインパクトがありました。

 ファンのみなさんも良い意味で驚いてくださっています。仮面やマリオネットなどの世界観は、もともと私が好きなものだったので提案させていただきました。例えば人がいない寂れた洋風の劇場や、楽曲との繋がりはありませんがピエロやサーカスなど、楽しいけど陰も感じさせる世界観が好きなんです。(アニメ『オーフェン』にも、そういったキーワードが散りばめられていたので)せっかくだから私が好きな世界観も反映出来たら良いなと思いました。マリオネットになり切ったダンスも思いのほか上手く出来ましたし、シングルもアルバムもともに自画自賛したくなるほどの出来上がりでとても満足しています!

――そんな「操り人形クーデター」も収録した2ndフルアルバム『星空』は、夜や星空をコンセプトに新曲を制作したとのこと。どういうところから、そういうコンセプトが思いついたのですか?

 前回のミニアルバム『Journey & My music』の最後に、「Journey」という曲を収録していて。私が作詞させていただいたのですが、今までの自分を振り返った歌詞の終盤に、<次は星の海 渡ろう>というワードが出てくるんです。今作はその続きをイメージして夜や星空を共通テーマにしました。

 アルバムの新曲は“いろんな場所から見た星空”が共通して出てくるのですが、例えば1曲目の「廻り廻る奇跡」は、鳥が空を飛びながら体中で感じている星空をイメージして曲も歌詞も作っていただきました。buzz★vibesのSinnnosukeさんに提供していただいた「QT Show」は少し変則的ですが、クラブや夜遊びの施設でキラキラ輝いているミラーボールや照明を星空に例えています。

――「Meteor」という曲は、アカペラで始まるところや、OLさんの日常感が溢れた曲という感じで印象深かったです。アカペラは渕上さんから提案されたそうですね。

 個人的にアカペラで始まる曲が、すごくステキだなと思っていたんです。例えば茅原実里さんの「みちしるべ」という曲がすごく好きで、私もそんな曲を歌ってみたいと思って提案させていただきました。ただイントロも無くメロディのガイドとなるものも無いので、リズムから何から何まで自分の感覚で歌わないといけなくて大変でした。どのテンポ感でどの声感が一番馴染み良いのか、悩みながらでしたけどかなりこだわって、何度も録り直しをさせていただいたので、ぜひじっくりと聴いて欲しいです。

――歌詞の主人公像なども提案されたそうですね。

 はい。主人公はアラサーの女性で、仕事は出来るほうである程度任されている立場で、彼氏もなく結婚もしていない。でもそこに引け目を感じているとか、辛さや寂しさを感じているわけでもないんです。それでもやっぱり一人でいるとふと寂しくなることがあって、そんな時にベランダに出て見上げた星空がすごくキレイで、何となく明日も頑張ろうと思えたみたいな。曲を聴いた時にそういう映像が頭に浮かんだので、作詞家の六ツ見純代さんに提案して書いていただきました。女の子らしい面を全面に出しつつ、例えば<新しい連ドラ 配信で観れるし>というワードなど、その時代も反映した“今だから書ける歌詞”が素晴らしいです。きっとみなさんには、リアルに情景を思い浮かべていただけると思います。

――「恋なの?」はとても可愛らしい曲で、コメントで「今までで一番浮かれた曲」と言っていたものですね。

 これです(笑)。私が書く詞はあまり救いが無く、ちょっとネガティブだったりするものが多いんですけど、この曲に関してはほぼそういう要素が無くて、こういう歌詞は初めてではなかろうかと思います。それだけに書いている時が楽しくて、一番早く書けました。

――初デートのウキウキした気持ちを歌っていて。

 最初は、地球じゃないところから見た星空をテーマに、宇宙の遊園地みたいなファンタジックな歌詞にする予定だったんですけど、書いているうちに勝手に変わってしまって。最終的に“遊園地で二人で見た星空”をテーマに、恋をし始めた女の子の何でも楽しくて世界がバラ色に見えるみたいな気持ちを書かせていただきました。歌詞のストーリー展開としてこの後二人はどうなるのか、もしかしたら続編的な曲が出来るのか等、いろいろ妄想して楽しんでもらえる楽曲になったと思います。

今年はボ~ッとするのをやめたい

『星空』通常盤ジャケ写

――「揺れる Moonlight」は、歌謡チックなメロとドラマチックなサウンドの格好良い曲ですね。

 今作でも一、二を争うお気に入りの曲です。上がってきた楽曲を聴いたら、海にどんどん沈んでいく映像が見えたので、じゃあこれは“海の中から見た星空”にしようと思って作詞をしました。

――揺れる波に星空が映っているから、「揺れる」なんですね。

 そうなんです。でも最初は水面がキラキラしているんですけど、沈んでいくうちにどんどん真っ暗になって、光も音も届かなくなっていって、暗く冷たく寒くなっていく。キレイで美しいけど楽しいわけではないという、複雑な心境をこの曲では描きました。

――そして最後の「星空」は、胸にグッとこみ上げてくるものがありました。思い悩む時もあるけど、嫌が応でも明日はくるわけで、物思いにふけっている夜みたいな印象です。歌詞はどんなことをテーマにしましたか?

 伝えたかったこととしては…結局欲しいものや憧れ、やりたいことなど、みんなそれらを集めようとして頑張るんですけど、集めたものを手ですくった時に、砂をすくうように指の隙間からこぼれ落ちるものもあって。それを悪いとか悲しい、出来ないとか辛いと思わなくても良いんじゃないだろうかということを伝えたいと思いました。あれもやりたいこれもやりたいってなるけど、こぼれていったものは、きっと今の自分には必要なかったものだったと、思っても良いんじゃないかと。

 欲しいものはいっぱいあるけど、抱えられる数には限度がある。持てないなら下ろせば良いし、最悪それを捨てちゃっても良い。そういう選択をもっと簡単に出来れば良いのに。そういう選択を潔く出来る人間になりたいという、自分自身の願いも込めています。

――聴く人とすごく目線が近い曲なのかもしれないですね。自分以外の人のことを聞くと、安心する部分もありますから。

 そうですね。希望を歌ったりみんなで頑張ろうよと歌っている曲はたくさんありますけど、私はそうではなくて。頑張らなくても良いんだよという歌を、ずっと歌っていきたいなって思います。

――最後に<叶いますように>と。これも本音ですよね。

 結局は堂々巡りなんですよね。こぼれたものは捨てちゃえば良いと思うんですけど、でも本当は欲しいというのが本心。それに、欲しいという気持ちがあるからこそ、頑張れるということもありますし、本当に全部捨ててしまったら、それはそれで毎日が楽しくないだろうし。

――このアルバムを聴いて、少しでも肩の力を抜くことが出来たり、明日も頑張ろうと思うことが出来たら良いですね。

 そうですね。特に今は、どんな職業の方でもみなさん大変な思いをされていると思うので。もちろん他人ごとではあるけど、他人ごとだからこそ言えることがあったり、他人から言われるからこそ響く言葉があったりすると思います。このアルバムを聴いて、少しでも何か感じてもらえたら嬉しいです。

――さて、夜が一つテーマになっているということで、渕上さんの“夜活”について伺いたいと思います。

渕上舞

 私は昔から完全に夜型の人間なので、今までの人生を振り返っても夜の時間を過ごしていることのほうが多いですけど、特に決まったルーティーンとかは無いです。人並みにお風呂入って化粧水やボディクリームを塗って、気が向いたらストレッチをするくらいです。

――寝る時間は、やはり遅くなってしまいますか?

 遅いほうですね。最近はなるべく深夜1時前には寝るように意識はしていますけど、気づいたら2時とか3時になっていることも多くて。

――その時間は何をしているんですか?

 それが、何もしていないんです(笑)。何かしているとすれば、台本を読んでいたりとか仕事に関わる何かで、アルバム制作期間なら歌詞を書いたりとか。それ以外は、考えごとをして時間が過ぎてしまうんです。ゲームをやるわけでもなくドラマを見るでもないのに、アッという間に時間が過ぎてしまって。仕事から家に帰って椅子に座ったまま、気づいたら1時間経っていたなんていうこともよくあって。だから今年は、何もせずボ~ッと時間を過ごすのをやめたいと思っているんです。その1時間があればやれることがたくさんあるし、1時間早く寝られるわけだし。

――「Meteor」の歌詞みたいに、ベランダに出て空を眺めたりは?

 ほとんど出たことがないんですけど、ベランダはけっこう広いので、気候が暖かくなったら椅子でも置いてみようかしら。ただ、そこでまた1時間ボ~ッとしてしまったら意味ないですけど(笑)。

――では、タイトルにかけて、今まで見た中で一番きれいだった星空はありますか?

 私の実家は福岡で、福岡も都会なので、そこで見る星空は東京とあまり変わらないんですけど、祖父母の家は熊本の田舎なんですね。街灯もなくて夜になると本当に真っ暗闇になるくらいの山奥で、だからこそ星空がすごくキレイです。子どもの頃は夏休みと冬休みの年2回行っていて、当時は星空がどうこう気にしたことは無かったんですけど、大人になって見ると、自然に囲まれた場所だとこんなにも星が近くに見えてキレイなんだと感動します。

――今作の新曲の歌詞には、星に願うといった表現がたくさん出てきます。最後に渕上さんの今の願いを教えてください。

 2020年は嬉しいことや楽しいこともたくさんあったんですけど、総括すると悩みごとも多かったので、今年はノーストレスで幸せに暮らしたいですね。きっとみんな思うことでしょうけど、心穏やかに過ごせる日常が、早くやって来ますようにという気持ちです。

(おわり)

作品情報

渕上舞
1月27日発売
6thシングル「操り人形クーデター」
 LACM-24077 1200円(税抜)
2ndアルバム『星空』
 初回限定盤(CD+Blu-ray) LACA-35857 4800円(税抜)
 通常盤(CD) LACA-15857 3000円(税抜)

「操り人形クーデター」収録曲
1.操り人形クーデター
2.追想 Colors
3.操り人形クーデター(Off Vocal)
4.追想 Colors(Off Vocal)

『星空』収録曲
01.廻り廻る奇跡
02.予測不能 Days
03.Rainbow Planet
04.Meteor ※読み:ミーディア
05.恋なの?
06.揺れる Moonlight
07.リベラシオン
08.Love Summer !
09.バレンタイン・ハンター
10.QT Show
11.Crossing Road
12.星空

初回限定盤 同梱 Blu-ray
2019年4月に中野サンプラザホールで開催されたライブ『渕上 舞 2nd LIVE "Journey & My music"』の模様を100分以上収録。

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