1977年のシングル「硝子坂」でのデビューから1985年の芸能界引退まで、歌謡界で活躍してきた実力派女性歌手、高田みづえの全音源が1月20日より、各音楽サブスクリプションサービスで一挙解禁された。

 今回解禁されたのは、シングル26作、オリジナルアルバム10作、カバーアルバム1作、そしてライヴアルバム2作に収録された全183曲。このうち、59曲はレコードで発売されただけで1度もCD化されていない貴重音源だ。

 ここであらためて彼女の実績を振り返ってみたい。高田みづえは、1960年鹿児島県生まれで、オーディション番組『君こそスターだ!』でのグランドチャンピオンを経て、1977年3月25日、シングル「硝子坂」でデビュー、都会に染まらぬあどけないルックスながら、力強さと素直さと憂いを兼ね備えた歌声で大人をも魅了し、いきなりオリコンTOP10入り。その年の新人賞も多数受賞し、NHK紅白歌合戦も初出場を果たした。

 以降、約8年の間にシングル6作がオリコンTOP10入り、特に1980年の「私はピアノ」はオリコンTOP10に11週もランクインし、累計49万枚以上という大ヒットとなった。また、紅白歌合戦には合計7回出場しており、まさに名実のともなった歌手だったと言えるだろう。

 彼女のセールス面での特長は、なんといってもカバーヒットが多い点。シングル26作中1位の「私はピアノ」と同3位の「そんなヒロシに騙されて」はいずれもサザンオールスターズ、売上2位の「硝子坂」は木之内みどりのカバー。また、オリコンTOP100内35週という驚異的なヒットとなった「潮騒のメロディー」は、カナダのピアニスト、フランク・ミルズのメロディーに日本語詞を加えたものだし、他にも有線放送で年間27位のヒットとなった「愛の終りに」(原曲:音つばめ)や、競作ブームとなった「秋冬」(原曲:中山丈二)もカバーだ。

 つまり、一部のジャンル内で愛されていた楽曲が、彼女の普遍的な歌唱力によって、より幅広いリスナーに届いたということだ。だからこそ、2015年に30年ぶりに音楽番組に出演した際をはじめ、昭和を振り返った懐メロ番組で紹介される度に、ダウンロードランキング(レコチョクランキング歌謡曲・演歌部門)でTOP10レベルにまで急上昇するほどの反響があるのだろう。

 なお、今回配信のカバーアルバム『あの日に帰りたい』には、表題曲(荒井由実)のほか、「神田川」(かぐや姫)、「秋止符」(アリス)、「心もよう」(井上陽水)、「精霊流し」(グレープ)、「シクラメンのかほり」(布施明)などが収録されており、彼女の歌の上手さをより幅広く堪能できるはずだ。

 近年、若い世代にも昭和歌謡、昭和ポップスブームが起きているが、時を超え幅広い世代を魅了しうる高田みづえだからこそ、今回のサブスク解禁によって、更なる再評価が進むことだろう。【文:臼井孝(音楽と人をつなげたい音楽マーケッター)】

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