中山美穂が2020年11月20日に、これまでリリースしてきたシングル40タイトル、アルバム31タイトルの計506曲を、主要定額制(サブスクリプション)音楽ストリーミング・サービスで配信解禁。12月23日にはベストアルバム「All Time Best」を発売と、1985年~1999年までの15年間、休むことなく音楽活動を続けてきた中山美穂のヒット曲の数々が、手軽に聴くことができるようになった。

 1980年代に、筒美京平、角松敏生、CINDYといった、多くの素晴らしいミュージシャンから楽曲提供を受け、歌手として大きく成長した中山美穂は、90年代に入ると、女優として、話題のドラマで主演として出演し、その作品が軒並み高視聴率を記録。演じた役のイメージにピッタリなドラマ主題歌を歌い、シングル売上では80年代のセールスを上回るヒット曲を数多く生み出した。女優と歌手の両方で大きな結果を残した最大の理由は、演じる役や、歌う主題歌に共通して、「優しさと強い信念」を感じられることだ。

 今回、中山美穂が、1990年代に発売したドラマの主題歌に起用されヒットしたシングルの中で、特に強く「優しさと強い信念」を感じることができる3曲を、ドラマで演じた役のエピソードとともに紹介していく。まずは1曲目

一途な「片想い」をポップなサウンドで彩る、「愛してるっていわない!」

「愛してるっていわない!」は、1990年10月からフジテレビの「月9」枠で放送されたドラマ『すてきな片想い』の主題歌に起用された20枚目のシングル。
中山美穂が演じた与田圭子は、恋の相手、柳葉敏郎が演じた野茂俊平とは、1時間半の長電話をしても平気な、気を許せる存在だが、長電話の途中で名前を聞かれたときに「林なな」という偽名を使ったことがきっかけで、俊平が好きなことを隠し続ける。

 長電話をすればするほどお互いのことを知っていき、自分の正体をばらさない方が幸せだと想う「優しさ」と、「告白したい!」と思う気持ちが葛藤していくストーリーは、観ている視聴者が主人公の圭子になったような、ムズキュンな疑似恋愛をしている気持ちに。

 そんなムズキュンな気持ちを歌詞で描いている主題歌の「愛してるっていわない!」は、アップテンポな曲調が、疑似恋愛している視聴者の心が躍るシーンを、うまく表現し、30万枚を超えるヒットを記録。中山美穂が演じた、与田圭子から滲み出る「優しさ」に共感する人が、今もとても多い名作ドラマ作品。

「遠距離恋愛」の気持ちを、温もりを感じるサウンドで飾る、「遠い街のどこかで・・・」

「遠い街のどこかで・・・」は、1991年10月からフジテレビの「月9」枠で放送されたドラマ『逢いたい時にあなたはいない…』の主題歌に起用された23枚目のシングル。

 中山美穂が演じた、大木美代子は、大鶴義丹が演じた、野口雄介と付き合って1周年のデートで、札幌へ転勤することを告げられ、遠距離恋愛がスタート。

 逢えなくなった2人に、すれ違いや、他の異性からのアプローチなど、様々な恋の障壁が現れるが、一途な思いの「強い信念」を貫き、ピンチになった時は、相手のことを想って空を見上げることで、壁を乗り越える。空を見上げているシーンで必ずかかる主題歌の「遠い街のどこかで・・・」は、イントロのギターの響きが、雄介への思いを運んでくれる流れ星のような、幻想的で煌びやかなナンバー。視聴者は、「がんばれ美代子!」と、遠距離恋愛を応援したくなる気持ちを共感し、60万枚を超えるヒット。クリスマスに札幌の名所を2人が寄り添いながら巡る最終回のシーンは、最高視聴率26.3%を記録した。

笑いが絶えない「家族愛」を、清らかで美しいサウンドで奏でる「ただ泣きたくなるの」

 「ただ泣きたくなるの」は、1994年1月からTBS系列で放送されたドラマ『もしも願いが叶うなら』の主題歌に起用された28枚目のシングル。中山美穂が演じた毛利未来は、ロックバンド「子供ばんど」のボーカリスト、うじきつよしが演じた、資産家の御曹司、井上健との婚約。

 順風満帆な生活を送っている最中、幼い頃に両親の離婚がきっかけで別居した兄弟3人が未来の前に現れる。その三人は、音楽ユニット「To Be Continued」のボーカリスト、岡田浩暉が演じた三男、鷹志、ファンクロックバンド「FLYING KIDS」のボーカリスト、浜崎貴司が演じた次男、竜次、お笑いコンビ「ダウンタウン」のツッコミ担当で、ドラマ放送の一年後に、小室哲哉とのユニット、「H Jungle with t」を結成する浜田雅功が演じた、虎男。

 初めは喧嘩ばかりだったメンバーが「家族愛」や、恋に目覚めていくハートフルなラブコメディー。中山美穂と浜田雅功の息のあった掛け合いの良さが話題となり、ドラマの平均視聴率は17.8%。ハートフルな演技を、美しいピアノのイントロからはじまる主題歌がドラマ全体の雰囲気を、さらに優しく包み込む。そんな幸せな気持ちを共感した人が多く、「ただ泣きたくなるの」はミリオンヒットを記録。

 ミュージシャンとして活動しているメンバーが多いという共通点から、出演者同士、非常に仲が良く、2019年の中山美穂のInstagramでは、懐かしの4兄妹ショットがアップされるなど、今でも交流が続いている。

 今回は3曲のシングルをクロースアップしたが、90年代の中山美穂のシングルは他にも、「世界中の誰よりきっと」(中山美穂&WANDS名義)や「未来へのプレゼント」(中山美穂 with Mayo)など、テレビドラマの主題歌に起用されヒットした曲がたくさん存在する。女優として演じた役の経験や、共演者の方との交流から生まれた「優しさと強い信念」を感じることができる90年代の中山美穂の楽曲を、この機会に、もう一度聴いてみるのはいかがだろうか。【藤田太郎】

▽藤田太郎プロフィール

イントロマエストロ。約3万曲のイントロを最短0.1秒聴いて曲名を正解する能力が話題になり、『マツコの知らない世界』『ヒルナンデス!』等多数のメディアに出演。クイズ大会などプロデュースも多数。ラジオBayFM『9の音粋』水曜日の担当DJと出演中。

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