Paraiso、ポップしなないでが放つ新バンドプロジェクトの5人に迫る
INTERVIEW

Paraiso

ポップしなないでが放つ新バンドプロジェクトの5人に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年01月10日

読了時間:約17分

 2021年突如出現したミクスチャーポップバンド・Paraiso(パライソ)。超セカイ系おしゃべりJ-popユニットのポップしなないでのかめがいあやこ(Syhth.Vo)とかわむら(Dr)が中心となり、集団行動、ex.相対性理論の真部修一(Gt)、シンガーソングライターのましのみ(Key.Vo)、イエスマンのNAGAMUU(Ba.Vo)の5人で構成されるバンドプロジェクト。1月10日に「ビリヤニ」を配信リリースし、トリプルボーカルによる唯一無二の音楽性を提示。MusicVoiceではこの5人にアンケートを実施。なぜこのメンバーでバンドを組んだのか、Paraisoというバンド名の由来、「ビリヤニ」の制作背景など、個性豊かなメンバー5人に迫った。【村上順一】

【番外編】メンバーそれぞれの印象

2人じゃ出来ないことをやる

――Paraisoが結成された経緯を教えて下さい。

かわむら 事の起こりは、自分とかめがいさんでポップしなないでのサウンドをこれからどうしていこうかということを考えた時に、まずチャレンジしてないことを全て無くしたいと話になったんですね。じゃあ編成を大きくしたバンドやろう、ただポップしなないでに寄り添ったバンドなんてのは全然面白くないな、と。2人じゃ出来ないことをやるために、制御できない人たちを集めて、バンドをやりたいなと思ったのが結成のきっかけになったんだと思います。

 で、やるならとにかく芯が通ったものがやりたいので、音楽とカルチャーを深く愛していて、自分がどの位置からそれを見ているか日々考えているような人達に声をかけようと。その人達と我々の哲学をぶつけて、音楽という形でアウトプットしたいと考えまして。ということで、そういう人達に声をかけて奇跡的にタイミングが合ったことでこのバンドが結成されました。

かめがいあやこ コロナ真っ只中だったので、ライブの事はあまり考えすぎずに、制作メインでと頭を働かせていたところも、大きなきっかけになったと思います。その中で、「この人とやってみたい!」というワガママから声をかけさせて頂き、奇跡的に皆さんOKしてくれました。

――みなさん、このバンドに参加することになった時、どのような気持ちが芽生えましたか。

真部修一 かめがいさんに突然連絡をいただき、「バンド編成での制作を検討しているのでギターを弾かないか」というオファーをいただきました。ポップしなないでさんはツアーをご一緒したりと縁が深く、また完成度の高い楽曲を上質なボーカルで世に出していることを知っていましたので、有り難くお受けすることにしました。

ましのみ コロナ禍に入って、私がちょうど音楽や自分の人生との向き合い方にかなり悩んで苦しんでいる時期に、ほぼきちんとお話ししたことのなかったお2人からお誘いを頂きました。率直に、嬉しい! 面白そう! やりたい! と思いました。何よりポしなが好きだし、バンド形態での音楽の生み出し方にもずっと興味がありました。個人的にはこのお誘いを機にお2人と仲良くなっていなければ今もっと違う価値観で生きていたかも、と思うくらいに凄いタイミングで強い影響を受けています。大感謝。

NAGAMUU かわむら君がベース弾けるか尋ねてきたので、サポート探してるのかと思ってた。もっといい人が居そうだけど、どうしても私がいいなら最近弾いてないけど頑張りたいなと思いました。ポしな好きだし、でも私できるかな、なんで私何だろう? え、なんで?? と不安でした。

――Paraisoとは楽園や天国という意味を持っていると思いますが、バンド名に込めた想いは?

かわむら 衛府の七忍という漫画を読んでいる際に、明石レジイナというキャラのセリフに「ぱらいそ」という言葉が出てきたのが命名のきっかけなので、特に想いはありません。ただ、いわゆる一般的な「バンド活動」よりも好き勝手超然的に活動したい気持ちはあったので、言葉の持つイメージはぴったりだな、と思いました。あと「ビリヤニ」の舞台となったバングラディシュ料理屋は自分の中のパライソだと思っています。

――Paraisoで活動していく中で、どんなところに楽しみを感じていますか。

かわむら 全員主役みたいな人間なので、何が起こるのかわからないのが良いです。自分は目的地を伝えるのみで、細かくディレクションをしようという気もないので、何が起こるのかを楽しみたいですね。サウンドについては確かな信念を持った人しかいませんので。気まぐれにも見える全員の力が存分に発揮されるのを見るとワクワクします。

かめがいあやこ 今までずっと2人で制作をしていたので、今回制作中、スタジオに入る度に皆さんの才能にドキドキしましたし、どんどん曲が立ち上がっていく事に感動しました。あと、ましのみちゃんもながむーも歌が本当に魅力的なので、一緒に歌えるのがすっごく楽しくて、2人のすごいところをたくさん見て聴いて、自分の栄養にもしていきたいなと思っています。

真部修一 まずプレーヤーとして演奏できる場所があることを嬉しく思っていますし、新しい出会いにとても刺激を感じます。自分主導のバンドを何年かやっていることもあってか、誰かのクオリティコントロールの下で、一人員としてポップスの現場に関わりたいと思っていたので、いま思うと願ってもないタイミングでした。色々とご迷惑をおかけしつつ、身になる経験をさせてもらっています。

ましのみ それぞれ持っているはみ出たところをぶつけ合って、それがどんな風に形になっていくんだろう、というのが1番楽しみです。ずっとやってみたかったことだったから!!

NAGAMUU みんなのソングライティングが楽しみです! それぞれ曲を作れる人が集まっているけどみんな大人なので、変なエゴとか無く面白い化学反応を起こしてくれそう!

――個性的なトリプルボーカルがこのバンドの特色になってくると思うのですが、どのような効果を狙ってこの編成になったのでしょうか。

NAGAMUU 私も気になります!!

かわむら 何か効果を狙ったわけではなく、集まった人達がやりたいことやったらこうなった感じですね。別に誰か1人で歌ってもいいんですけど、曲によってはそういうのも楽しいじゃないですか。必要が無ければやらないと思います。

かめがいあやこ 初めは、似ちゃうかな? と思っていたのですが、それぞれ違う個性的なボーカルで、こだわりも強いのですごく尖っていて、3人合わさると本当にパワー漲ってるなと思いました。でも、みんな器用に合わせる事もできるので、コーラスの時の声の混ざりがすごく良いので驚きました。

真部修一 トリプルボーカル、素晴らしいです。単なる歌い分けではなく、有機的に機能しているのがいい。これからさらに発展するのではないかと思います。声の相性が良く、人選も狙い澄ましたかのようです。

スケールや視野を大きく持った曲を作りたかった「ビリヤニ」

――「ビリヤニ」はオリエンタルなサウンドが印象的ですが、どんな1曲にしたいと考え制作されましたか。

かわむら 音楽をやる上で、最近雑念がすごく多かったんですよね。みんなどんなこと言って貰いたいのかな、とか、何が喜ばれるのかな、とか。めんどくさくなったので、一旦そういうの抜きにして、食べたいものの曲を作ろうと思って作りました。その考えに基づき、とにかくスケールや視野を大きく持った曲を作りたくて、サウンドも構成されています。やっぱダンスミュージックが好きだし。なぜビリヤニがテーマになったかってのは難しいですね…でも、結果的に集まった5人のカルチャー感と、食べたいビリヤニの空気がマッチしたのはあると思います。

かめがいあやこ かわむらくんからデモが来た時点でかなり完成形が見えていたのですが、そこから更にアレンジやコーラスワークが加わり、曲自体の個性もかなり強い曲になったと思います。

NAGAMUU ビリヤニ大好き!

――同曲の作詞は3人で行われましたが、どのような流れで制作されたのでしょうか。

かわむら 自分がざーっと全体を作って、ましのみちゃんとながむーに自分が歌う分を作って貰いました。その部分がめちゃくちゃ良くて笑いましたね、自分の武器わかってるなあ、て。

ましのみ 自分のラップ部分、”ましのみ”要素をバンバン出してよ! とかわむらさんに言われたので、そのまんまぶつけてみたらOKが出ました。やった!

NAGAMUU かわむら君が作った歌詞に、自分が歌うパートを少し自分流にアレンジしたという感じです

――同曲でメンバーそれぞれが気に入っているところや、こだわったポイントを教えてください。

かわむら サビのコーラスワークはとても気に入っています。ブルーノ・マーズみたいじゃないですか? レコーディングのカロリーが高すぎて後悔しそうでしたが、出来上がりは素晴らしいので是非聴いてください。真部さんのギターも凄いですね。コレコレ! ていう。レコーディング時に他メンバー全員が演奏時すぐ歓声をあげるので、とてもやりづらそうでした。

かめがいあやこ 特に気に入っているのはコーラスワークです。どんなコーラスにするか、どんなハーモニーにするかギリギリまでこだわったので、レコーディングの時は録るものが多くて大変でしたが(笑)、すごく楽しかったです。ましのみちゃんが低音のパートの音を確認している時に「(変なメロディで)頭がおかしくなりそう」と言っていました。

真部修一 メンバー顔合わせの際、初めて演奏した曲で、印象に残っています。ブリッジ部の三声のコーラス、リハーサルの時点では存在せず、最終的に付け加えられたものだと思いますが、録りの現場に同席していなかったので、上がってきた音源を聴いてびっくりしました。そしてとても素敵だと思いました。

ましのみ ピアノは真部さんのめちゃくちゃかっこいいギターを聴いた直後に録ったんです。心が突き動かされたハイ状態のまま、ほぼ全部即興で何も考えずに弾いていたのを覚えています。ですがギターと交じり合えた感覚になって、すごく気持ち良かったです。そのせいでMV撮影の時にプレイを何ひとつ再現できなかったのだけすごく苦しかったです。もう、泣きそうになりました。

NAGAMUU <ハイデラバードにペコリ>という歌詞がお気に入りです。ビリヤニの炊き方は様々あるのですが『ハイデラバード式』が丁寧で工程も多くて美味しいって言われてるんです。このワードをチョイスしてくるなんて最高!と思いましたね。ビリヤニ本当に好きじゃないと書けない奥深いワードが沢山散りばめられている、全人類のスパイス好きに聴いて頂きたい!! そして一緒にペコリ合唱してほしいなと思います。

――音楽とは関係ないのですが、“ビリヤニ”にまつわるエピソードなど、もしありましたら教えてください!

かわむら 真部さんはまだなんですが、他メンバーとスタッフはビリヤニの舞台となるバングラディシュ料理屋に連れて行きました。ながむーがビリヤニを頼まなかったのに、ましのみちゃんのビリヤニを一口食べて感動して、ビリヤニにすればよかった! と言っていたのが意味不明でよかったです。なんのために連れてきたんでしょうね。

ましのみ ビリヤニめちゃくちゃ美味しかったです!!!!
NAGAMUU スパイスカレーはとても好きで良く食べるのですが、ビルヤニは数回しか食べた事が無くて。メンバーと食べに行ったビリヤニがまじで美味し過ぎて引きました。もう一度連れて行ってくれたら、私もビリヤニ頼む!

かめがいあやこ 多分、初めて食べたのは数年前なのですが、美味しすぎてびっくりしました。ただ、わたしは今まで「おいしい」と保証されているようなビリヤニしか食べたことがないので、まずいビリヤニも食べてみたいです。

真部修一 ポしなさんおすすめのレストランがあり、そこのビリヤニが絶品だそうですが、まだ食べに行けておりません。是非一度味わってみたいと思いつつ、最近クローブを口にしてなぜか体調を崩してしまった経緯があり、二の足を踏んでおります。

――「人類の皆様へ 」は<この街に100年も残るよなミュージックいかがですか >という歌詞が、このバンドのアティチュードのようなものを感じさせたのですが、どのような想いでこの曲を書かれましたか。

かわむら かっこいい3人が歌うので、かっこ良すぎることを言っても成り立つな、と思って、普段では言えないようなことも歌詞にしています。でも歌詞とか関係なく、そもそもつまらないじゃないですか、言いたいことを言えないのは。なんで、自由で縛られないこのバンドぐらいは、とりあえず言ってみてから考えるようにしたいと思っていましたね。

かめがいあやこ タイトルだけ聞くとすごくテーマが大きいように感じますが、ひとりひとりの人間が自分のいる場所から心の中で叫んでいるような曲だと思います。わたしも自分の中にある小さな怒りや諦めを腹にためながらも、これからやってやるから見てろよ! と前向きに戦う自分自身の歌だと思って歌っています。

――「人類の皆様へ 」でメンバーそれぞれが、ここを聴いて欲しいといったポイントや、こだわったところなど教えてください。

かわむら アンバランスな音像のバンドサウンドに込められた、現代のメッセージを感じ取ってもらえたら嬉しいです。こういうの好きだけど思ってたのとはなんか違うんだよな…て思ってもらえたらいいですね。

かめがいあやこ ボーカルの振り分けに色々と悩んだのですが、色々とみんなで試して、この曲の持つ言葉のパワーがしっかり伝わる形になったと思うので、それが伝わったら嬉しいです。あとは、ましのみちゃんのピアノソロと、真部さんのギターソロが超カッコいいので100回聴いてほしいですね。

真部修一 レコーディングにあたり、初期衝動で演奏してみてはどうかという提案があり、図らずも自分の初期衝動と向き合うことになりました。無責任なプレーにならないか少し心配でしたが、上手くまとめ上げてもらってちゃんとしたものになりました。個人的にはましのみさんのピアノの初期衝動っぷりに驚愕したのを憶えています。

ましのみ 歌詞を背負いきれない気がして不安になったんですが 3人で歌ったら不思議と胸にスッと落ちました。かわむらさん凄い。

NAGAMUU 歌声が似た感じになるのかなって思っていたのですが、思った以上にみんな違って耳が楽しくなって嬉しい。

踊って面白い音楽を作りたい

「ビリヤニ」ジャケ写

――今作2曲が完成して、どんな手応えをそれぞれ感じていますか。

かわむら 正直なんでビリヤニを一曲目に出すことにしたのかよくわかんないんですが、これからもやりたいことが結構ありますね。自分の中ではビジョンがあるので、それを他の4人が軽々超えていくことを想像してます。どんどんルーツの音楽にリスペクトを込めて、シンプルな信念をベースに、各々の手癖や音楽性をミックスして演奏して、聴いて、踊って面白い音楽を作りたいというのはベースにあります。

かめがいあやこ 個性が5つ集まるとこんなに広がっていくんだなとすごく驚きましたし、制作は本当に楽しかったです。聴いてもらう皆さんにどう届くのかはわからないですし、漠然としたドキドキはありますが、しっかりと良いものが出来たなという自負はあるので、これからも楽しみです。

真部修一 両曲とも、強度のある楽曲と衒いのない演奏で、上品かつキャッチーに仕上がっていると思います。

ましのみ 音楽ってめちゃくちゃ楽しいな!!!って思っています。

NAGAMUU 全然違う個性を持った2曲なので、その時の気分や曲の個性に合わせたアレンジでみんなをワクワクさせられるんじゃないかなって、私がワクワクしてます。

――皆さんはそれぞれの活動もあると思いますが、このParaisoでどのような面を打ち出せたらと思っていますか。

かわむら 自分たちの活動ではできないことを折角だから無責任にやって欲しいですね。責任はポップしなないでにありますので。個人的には「ミュージシャンが集まってモノを作る」という、すごくシンプルな活動を楽しみたいです。
かめがいあやこ 本当に個性的ですごい方々と一緒にやれているので、わたしもひとりの人間として自我を保つのに必死で、自分がどういう風にその場に立つのかというのを、常に試されています。ここから更に自分を突き詰めていって、歌の中にかめがいあやこという人間が現れていったら良いなと思います。

真部修一 とくに意識していることはありません。かわむらさんと以前お話した際、メンバーそれぞれが闊達自在に制作に関与できる場にしたいという旨のお話を伺い、お言葉に甘えに甘えさせてもらって、自然体でいる次第です。

ましのみ 曲もコンセプトもビジュアルも全部自分で考える良さもありますが、Paraisoでは敢えてもっとお任せする事を覚えて、身軽でいたいと思っています。他の4人がいるし私くらいめちゃくちゃやってもいっかーをお互い大歓迎し合えるとんでもない場所です。大感謝。

NAGAMUU 私だけなんかすごい無名で「誰っ?」って感じなので、歌ってベース弾ける素敵なお姉さんがここに居ますよって世に知らしめてやりたいですね!

――Paraisoでの目標、展望などお聞かせください。

かめがいあやこ このプロジェクトの終わりがどこになるのか正直まだ全然わかっていないですが、それぞれ5人にこんな面もあったのか! と驚いてもらえるような制作が出来たら最高だな、と思っています。

真部修一 上記のような気風の中で、誰も聴いたことのない、魔法のようなものが生まれる土壌が育っているのを感じますし、ポしなのお二人はそういったものを人為的にコントロールしようと画策、努力されているのではないかと思っていますので、ベストな形で協力出来るよう研鑽します。

ましのみ ライブしてみたいですけど、RECで調子乗ったので歌いながら絶対弾けないです。オケでも流せばいいですか?

NAGAMUU まずビリヤニという食べ物の素晴らしさを人類の皆様にお知らせしたいです。宜しくお願い致します。

かわむら みんなライブやりたがってなさそうですが、ライブしたいです。あとは、誰かの記憶に強烈に残る音源を作るのが目標です。時々あるじゃないですか、これってどういう経緯で出来た音源なのかわかんないけどずっと聴いちゃう音源。怨念でもこもってんの? ていうくらい忘れられないかんじの。それが作れたらいいな、と思います。

(おわり)

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