INTERVIEW

松井咲子

私にとっては全て。ピアノが叶えた夢。
『1st写真集 咲子』


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:20年12月29日

読了時間:約6分

 元AKB48の松井咲子が、自身初の写真集『松井咲子 1st写真集 咲子』(KADOKAWA)を来年1月18日に発売する。「ピアノがなかったらきっとこういうのも実現しなかったと思う」と語る彼女にとってピアノとは。そして本作で見せたギャップとは。

ピアノの存在

 「納得できるものにしたくて、ファンの方にギャップを見て頂きたいと思いました」

 『松井咲子カレンダーブック2021』でのカットに代表されるように、普段は清楚でピアノを弾く姿が印象的だ。グラビア経験も多いわけではない。しかし、『1st写真集 咲子』ではランジェリー姿などにも挑戦。その思い切った姿にファンも驚くほどだ。

 彼女を大胆にさせたのは「20代最後」という言葉だけでない。「ファンの皆さんに喜んでもらいたくて…」

公開されたカット(C)KADOKAWA (C)MATSUI SAKIKO (C)SOMEDAY PHOTO/TANAKA TOMOHISA

 12月10日に30歳の誕生日を迎えた。現在はピアニストとしても活動するが、その歩みは“異色”と言える。4歳の頃から習い始めたピアノ。将来はその道に進むはずだった。しかし、小学生の頃にアイドルに憧れを抱き、高校2年の終わり頃、母親が密かにAKB48のオーディションに応募した。

 AKB48での活動で、彼女を一躍有名にさせたのは、フジテレビ系『TEPPEN』だ。芸能人がピアノ演奏の分野でトップの座を競う。松井は初出場した2012年に優勝を飾った。

 「影響力のある番組で見て下さった方が沢山いました。AKB48は知らないけど、『TEPPEN』で知りましたとか、いまだに『TEPPEN』の方ですよね、ピアノの方ですよねと言われることもあります。本当にありがたいです。だからこそ頑張りたいと思っています」

 過去4度優勝した。しかし、前回は敗れた。「ピアノなんてもう一生弾かないぞ!って思っても根本にはピアノがあってまた向き合えている自分がいます。ピアニストとしての仕事にも繋がっていますし、頑張らないといけないものになっています」

 AKB48時代にもコンサートでピアノを演奏した。『TEPPEN』での活躍が認められ、ソロアルバム『呼吸するピアノ』もリリースした。一般的なピアニストとは異なる道だが、ピアニストとしての道をしっかり歩んでいる。

 「AKB48がなかったらこうしたこともできなかったですし、こうして今でもコンサートに立てていなかったと思います。小さい時はピアニストになりたいと思っていて、まさかアイドルになるとは夢にも思いませんでした。まさに想定外の出来事です。でも音大を出て音楽家になるのは相当難しいことを高校の時に知って。だから運が良かったと思います。贅沢にやらせて頂いているのは幸せです」

 そんな彼女にとってピアノは「全てです」

 「ピアノのない人生は考えられない。一般的なピアニストの方では出来ない経験をさせて頂いています。その分、いろんな角度から音楽、ピアノの面白さを伝えられると思っています。しっかり全うしたい」

 ピアノは彼女の運命を切り開いた大切なものだ。ピアノが叶えたのはAKB48、そしてTEPPENという晴れ舞台だけではない。今回の写真集もそのうちの一つ。

 「写真集にもピアノを弾いているカットがあるぐらい、切り離せないものです。入り口はどうであれ、ピアノから入ってこうした大胆な私を見てもらってもいいですし、もしかしたら写真集から知ってもらえるかもしれない。いろんな面の私を知ってもらえる、沢山の入口を作って行きたいです」

妄想の世界だから大胆になれた

写真集とカレンダーを持つ松井咲子

 その写真集の入口を抜けると、そこには彼女の「妄想」の世界が広がっている。

 テーマは「20代最後の妄想」。

 「妄想の世界じゃないと出来ないことをやりたいと思い、普段は見たことがないようなことをさせて頂きました。妄想だからできる気持ち、妄想だから大胆になっちゃいました(笑)」

 ミニスカートやショートパンツ、純白やラベンダー、グリーン、ネイビー、レース、ほか数多くのランジェリー姿、これまでまったく見せたことのない真っ赤なビキニ姿でくつろぐ姿など、『妄想』の世界ならではの肌みせを全開にした。

 「撮影していてどんどん楽しくなっちゃった。これを着たい! この写真を載せて欲しい!とか。ただただ楽しんだ結果がこういう形になりました(笑)」

 なかでもお気に入りは、ソファでの淡いブルーのランジェリー姿。「こんな格好を人前でする日がくるとは思わなくて! 自然とこうなりました」

 この“妄想”はリップを塗ったところから始まった。「撮影の時からこういう妄想にしようと唯一決めたカットで、彼氏が『早く行こうよ』とせかしてくるけど、リップ塗って『まだよ。もう少しでメイクが終わるから』と。でも結局、出かけずに〇×△…」と顔を赤らめ説明する。

 初挑戦の赤のビキニ。「今後着ることはないと思う。勇気がいる色ですし。シャンパンでのカットは濡れて自分でも見たことがない表情で驚くと思います。ファンの方の反応が楽しみ」といたずらっぽく笑う。

 「やっぱり、昔の私だったらこんなことは出来なかった。妄想をさらけだしたり、ランジェリーカットももう少し減らしてくださいと言っていたと思う。大人になったのかな(笑)」

お気に入りのカット、流れている音楽は…

お気に入りカットを紹介する松井咲子

 彼女のブログで綴られる文章は起承転結がしっかりとしていて面白い。それを今回の写真集では妄想エッセイと言う形でしたためた。「妄想を人に発表することはなかったので小恥ずかしいところもありますが、文を褒めて頂くこともあるのでエッセイを考える時間は楽しかったです」

 普段から妄想は「しています」という彼女。

 例えば?と聞けば「あああああ…。恥ずかしいけど…昔は、幼なじみと同じ家で暮らす純愛や同窓会で久々に会った初恋の人との妄想とか。いや、ニヤニヤしちゃう(笑)。年齢を重ねていくと妄想の質も内容も変わってきていて、最近は子供が出来たときのことも。妄想は自由です」

 ただ、ピアニストとしては大事なことだ。作曲者の想いや、その時の時代背景を「妄想」することはよく聞かれることで、それが音色に深みを加えることもある。「こんな形でもピアノが役に立っているのかな?」とほほ笑む。

 先ほどのお気に入りカット。もし流れている音楽があるならば…「Perfumeさんの『ねえ』かな。きょうは好きな人とのデートを楽しみにしている、そんなウキウキ気分です」。そう言いながら振付を披露して笑う。

 「CDのアルバムのように、いろんな妄想をカットごとに考えました。朝楽しんでほしいなというカットや、お酒を飲みながらの大人っぽいカットも。これを見て妄想して欲しい」

 過去にリリースしたインストアルバム『呼吸するピアノ』をBGMに、眺めるのも一興か。

リップから始まった“彼氏との妄想”

 そんな松井。ファンクラブも立ち上がった。12月10日の誕生日にはカレンダーも発売した。「カレンダーはファンのみなさんがイメージする通りの姿です。写真集とのギャップを楽しんでほしいです」

 彼女が写真集で奏でる妄想――。きっとスタンディングオベーションをもって迎えられることだろう。【取材・撮影=木村武雄】

松井咲子

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木村武雄

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