眉村ちあき、人との繋がりに変化 “日本元気女歌手”に迫る
INTERVIEW

眉村ちあき

人との繋がりに変化 “日本元気女歌手”に迫る


記者:村上順一

撮影:冨田味我

掲載:20年12月10日

読了時間:約11分

 弾き語りトラックメイカーアイドルの眉村ちあきが9日、3rdアルバム『日本元気女歌手』をリリース。今年1月発売の前作『劇団オギャリズム』からわずか11ヶ月という速さで制作。先行配信として発表されSTAY HOME中のSNSからコーラスパートの募集を呼びかけ制作した「手を取り合うからね」、モーツァルト作曲オペラ魔笛より「夜の女王のアリア 夜の女王アリア 復讐の炎は地獄のように」、白濱亜嵐、平祐奈がW主演する映画『10万分の1』の挿入歌となっている「36.8℃」など、スペシャルトラック「夢だけど夢じゃなかった」を含む全17曲を収録した。インタビューでは、人との繋がりに変化があったという2020年を振り返りながら、楽曲の制作背景、日本武道館公演への意気込みなど、“今”の眉村ちあきに迫った。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

私って7文字で表現出来るんだ

眉村ちあき

――今年を振り返るとどんな1年でした?

 すごい沢山予定が入っていたんですけど、今年は何かに挑戦しようとしてもコロナ禍で出来なかったんです。過去にプロレスのリングでライブをした時に音が出なくなってしまって、歌とアコギの生音だけでやり切ったことがあったんですけど、その時みたいにこの現状をひっくり返せないかなと思いました。そこから「手を取り合うからね」という曲を作ってみたり、みんなとの新しい繋がりかたを探して音楽を作ったのが印象的な1年でした。それで、ライブが大好きなのに「このまま終わらせたくない」と思って、2020年は眉村ちあきが武道館をやった年にしたくて、悲しいことばかりではなく、良いことを発信したいと思って武道館を決めました。

――この1年で大きく変化したことは?

 これまではネガティブなこともツイートしちゃってたんですけど、この状況だとファンのみんなが心配しちゃうと思って、良いことばかりツイートするようにしたので、ちょっと大人になったかなって(笑)。落ち込んだことも沢山あったけど、言わないようにしてました。

――ライブが出来ないと分かった時は悲痛な叫びを上げてましたよね。でも、そんなマイナスもプラスに変えて、今作が出来たというポジティブなこともあって。今作もたくさん曲が入っています。

 いつも、めいっぱい入れちゃうんです。毎回CDの余ってる部分がもったいないと思っちゃうんです。せっかくみんなが買ってくれるなら1曲でも多い方がいいなと思って。心がホクホクになる。

――タイトルの『日本元気女歌手』にはどんなメッセージが込められているんですか。

 これ、私が中国で紹介された時に書いてあった言葉なんです。それを見て「私って7文字で表現出来るんだ」って感動して。こんな簡潔に表現しているのは初めてみたので衝撃的でした。それで気に入って最初はTwitterのプロフィール欄に書いてたんですけど、気に入りすぎてアルバムのタイトルにしちゃいました。

――それにしても音楽性の幅が広いですよね。1曲目の「夜の女王アリア 復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」はオペラですし。

 これライブでけっこうやってたんです。この曲すごく難しくてハイFっていう高いファの音が出る人があまりいないと言われてるみたいで、それで「その音、私が出たら面白くね?」と思って。ドイツ人の映像見てマネしただけなんですけど。最初は「その音が出るんかい!」みたいなオチとして歌ってたんですけど、だんだんやっていくうちにオペラに興味が出てきてアルバムに入れちゃおうと思って。それでオペラの先生にドイツ語の発音とか発声法を教えてもらってレコーディングしました。なので、「今度はちゃんと収録するんかい!」というオチなんです(笑)。

――2段階のオチがあって(笑)。

 この曲は復讐の曲で、強い女性の歌なんですけど、まだ自分は貫禄が足りないんです。なのでもっと年齢を重ねて復讐を燃えたぎらせないとこの歌をちゃんと歌えたことにならないから、40歳ぐらいでもう一度挑戦したいと思っていて。

――ここからは復讐を覚えるための人生になるんですね。

 そうです(笑)。だからその時は今回の歌と聴き比べてほしいです。まだまだゴールは見えていないので一生オペラを歌い続けたいです(笑)。

――このアルバムがCDショップの試聴機に入っていて聴いたらオペラが流れてきたらみんなビックリしますよね。

 それも実は狙ってます(笑)。あと私の中でこの曲はオープニングアクトで、本当の意味での1曲目は「手を取り合うからね」からが本編みたいな感じです。

みんなトラックメイクも自分でやっていると思ってた

眉村ちあき

――さて、「ニーゼロニーゼロ/眉村ちあき&Creepy Nuts」はCreepy Nutsさんとのコラボです。ずっと頭からメロディが離れないんですけど、どんな経緯でコラボすることに?

 Creepy NutsさんとはジョージアのウェブCMで初めて出会ったんですけど、それで仲良くなりました。一緒にやりたいなと思って私が弾き語りで歌ったデモを送ったらラップが戻ってきて、それを元にアイデアを出し合いながら作りました。トラックはCreepy Nutsさんがめっちゃいい感じに作ってくれて。あと、この曲の最後のコーラスはブースの外にいたスタッフさんにも参加してもらって録ったんです。その部屋までマイクを持っていって歌ってもらいました。

――眉村さんはラップはどういう風に捉えているんですか。

 ラップはめっちゃ好きで、フリースタイルとかやってるとアメリカ人の気分になれる。昔、下北沢の駐車場でサイファー(複数人が輪になって即興でラップをすること)をやっていたことがあって、知らない人たちがラップをやっているところに乱入して「私が眉村ちあきだよ」ってやってたんです。女の子でそんな風に入ってくる人がいないみたいで、みんなビックリするんですけど、それも楽しいです。

――驚かせるのが好きなんですよね。幼少期からそんな感じでした?

 そうなんです。子供の頃はクリスマスの日にサンタクロースみたいに真っ赤な服を着て、家族の枕元にプレゼントを置いてました。でも、みんな寝てるから私がサンタクロース風の格好してても気づかないから意味がない(笑)。

――気分の問題ですよね(笑)。「クリスマスソング」という曲が入ってますね。

 この曲は去年のクリスマスに作ったんです。クリスマスに赤レンガ倉庫でライブするから、そういう曲があった方がいいなって。

――この曲、ギターのカッティングがかなりクールですね。どなたが弾いているんですか。

 これ私が弾いています。ただめちゃくちゃ加工してます。なので加工を頑張った曲なんです。弾くより簡単です。

――さすがトラックメイカー! そういえば自分でトラックメイクするようになったのは、頼むとお金と時間がかかるから自分でやるようになったと聞きました。

 もっと前は音楽やっている人みんなトラックメイクも自分でやっていると思ってたんです。例えば秋元康さんがAKB48さんの曲のトラックを作っていると思ってたし、当時対バンしていたアイドルさんとかも全部自分たちでやってると思っていて。それで自分でやるようになって、「えっ!これみんなやってるの? マジスキルが高すぎる。超努力しないとダメだ」と思って。

――どこでみんながみんなやっていないと気づいたんですか。

 やり始めてから1年後くらいに、友達が「これ依頼しようかな」とアレンジャーさんに発注しているのを見たんです。その時に「えっ、そんなのあるの!」って。でも、自分でできるようになっちゃったのでもういいやって。

――そんな自分で出来てしまう眉村さんが他の人に頼む時はどんな時ですか?

 本物に弾いて欲しいと思った時で、ギターソロ、ベースソロとか技術的に限界があるんです。そういうのを覚えたアルバムになったと思います。ずっとこれまで一人だったけど、誰かとやるの楽しいかも、と思えたアルバムでもあるんです。殻を破れた感覚もあって。

――このコロナ禍で人との繋がりを潜在的に求めていたのかも知れないですね。

 そうかも! 最近は友達作るのも楽しいなと思いました。これまでは5回くらい会ってからやっと友達になるみたいな感じだったんですけど、今はその辺の人とインスタを交換しちゃうくらいで。

――今度は極端すぎませんか(笑)。

 フットワーク軽く行こうと思って(笑)。

――もともとそんな慎重派だった眉村さんがライブでは、人との繋がりが濃いんですよね。モードが変わるんですか。

 友達に関しては、私のことを気に入ってくれているかわからないじゃないですか。でも、ライブに来てくれる人は私のことが好きだと思うので、ガンガン行けちゃうんです!

――例えば恋愛に関しても相手が自分のこと好きだとわからないと行けない?

 うんうん。もうそれはわからないと無理。でも、絶対イケると思ったら突進しますよ。あと私、若い男の子としゃべれなくて、電車とかでも隣に立っているだけで緊張しちゃうんです。地元が一緒とか同級生だったらまだしゃべれるけど、初対面だと本当に無理で...。ライブに来てくれてたのがオジサンだったから、オジサンは大丈夫なんですけど。

一人で悶えながらときめきチャージ

眉村ちあき

――映画『10万分の1』の挿入歌になっているバラード「36.8℃」は学生時代のすごくピュアな恋愛への想いを描いていますよね。

 そうなんです。高校生の時に恋愛を出来なかったので、その憧れみたいなものを曲にしたんですけど、今までこんな風に書けなくて。制服でデートするのがずっと憧れで、もうそれは一生叶わないので、少女漫画を“爆読み”して、その実写版も“爆観”してます。ときめき王道路線の大ファンで映画『10万分の1』も少女漫画からの実写化されたもので、恋愛要素に加えて、人生へのメッセージが強い作品なんです。

 このお話しをいただいた時にこれは私にしか出来ん! こんなにときめきに飢えている、求めている人は私しかいないだろって思いました。昨日も映画『植物図鑑』観ていたんですけど、そういう映画を寝る前に観てずっと一人で悶えながらときめきチャージしてます。あと、ファンのみんなからときめきシチュエーションを募集して、それを読んでニヤニヤしてます(笑)。

――ちなみに眉村さんが人生で印象的な映画を挙げるとしたら?

 『パラサイト 半地下の家族』と『エスター』かな。サイコホラー系も好きなんです。

――そこから曲が出来ることもあるんですか。

 作ってみるんですけど、いつも違う曲になっちゃうんです。結果イェーイってなって終わっちゃうんです…。

――インプットは試みたんですね。

 コロナ禍で外出も出来なかったから、本とか読んでインプットしてみようと思ったんですけど、私、字に弱くてダメだったので、だったら心に響くものを観ようと映画から始めて。

――でも、今回の「36.8℃」は映画作品を観てしっかりアウトプット出来たんですよね?

 出来ました! やれば出来るんだなと思いました(笑)。

――この曲の歌詞でお気に入りのフレーズはありますか。

 サビの<ふたりなら証明できるよ>です。あと<笑顔がほら共鳴してるよ>と韻を踏んでいるのもお気に入りです。この『10万分の1』は病気が進行していってしまう物語ですけど、桜木莉乃ちゃんは前向きな性格で強い子なので、ポジティブにしてみたんです。監督さんは「好きに書いていいよ」と言ってくれて、映画を観た女子高生がいいなと思えるシーンにしたかったので、そのシーンに寄り添えるような曲にしました。

 監督さんはすごく優しくて、私に強く言ってしまうと窮屈な曲になってしまう、と思ってくれていたんじゃないか、というのを感じたので頑張りました。キスシーンで盛り上がるようにというのはあったんですけど、最初は「難しいなあ」と思っていたんですけど、自由に作ったらバッチリでラッキーでした。

その瞬間を彩る曲がある

眉村ちあき

――さて、「やさいせいかつ」という曲があるのですが、なぜこのタイトルに?

 タイトルの意味は「やさしいせかい」なんですけど、TwitterとかSNS上では「やさいせいかつ」なんです。私も優しい言葉を掛けてあげたいなと思って書いた曲です。

――最近、眉村さんは優しい言葉を掛けられました?

 沢山掛けてもらってます。遅刻しそうになった時、マネージャーさんに遅れることを連絡したら「全然大丈夫だよ」って言ってくれたり。

――実際は大丈夫じゃないのに?

 それが私、いつもウソの集合時間を教えられているんです。だから、本当に余裕みたいなんですよ。だからたまに教えてもらった時間通りに着いちゃうと「なんでそんなに早いの!」って言われちゃうんですけど(笑)。でも、本当に優しい世界で、すごく甘やかされて育ってます。

――愛されていますね。さて、このアルバムをどんな時に聴いてもらえたら嬉しいですか。

 私が音楽を聴きたい時って、例えば夕方に道を歩いていて「なんかつまらないなあ」と感じた時、夕方に合う曲を選んで聴くと、その瞬間が絶世の夕方になるんです。きっとアルバムの中に、みんなにとってのその瞬間を彩る曲があると思うので、選んで聴いてくれたら嬉しいです。

――でも、「教習所」は相当ピンポイントですよね。

 もうこの曲は教習所に行って悔しい思いをした時にぜひ聴いて欲しい(笑)。「偏差値2 ダンス feat. 玉屋2060%(Wienners)」は狂いたい時に聴いてもらいたいですし、「手を取り合うからね」は子どもが歌ったら絶対かわいいので、ぜひ歌ってもらいたいです。

――幅広い人に聴いて欲しいアルバムですよね。最後に12月14日に控える日本武道館ライブ『日本元気女歌手〜夢だけど夢じゃなかった〜』への意気込みをお願いします。

 久しぶりの有観客でのワンマンライブです。もちろんみんなを驚かせたい準備もしてるし、武道館に合った演出とか準備段階から今までの規模とは違うものをひしひしと感じています。武道館でもかしこまらずに、いつもの自分でやりたいと思っているので、その辺にいる女の子のライブ、という感じでみんなに観てもらえたら嬉しいです!

(おわり)

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